九千部山
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九千部山(くせんぶやま)は佐賀県鳥栖市と福岡県筑紫郡那珂川町に跨る山で、標高847.5m。脊振山系。
[編集] 周辺環境
[編集] 福岡・佐賀の放送の要
- 山頂には、FMラジオ放送やテレビ放送の中継局がある(Love FMに関してはここを本局としている)。実はこれが、九州の地上デジタルテレビジョン放送の開始を遅らせる、大きな要因となっている。
- 1964年(昭和39年)に、NHKと福岡のVHF民放3社は、この九千部山に久留米中継局を開設した。当初は、耳納山系に設置することも検討されたが、九千部山に設けたほうが筑後の広い範囲をカバーできるとして、最終的に九千部山に決まった。
- しかし、県境地域に設けられたこともあり、電波は佐賀県など周辺地域にも広がった。結果、佐賀県は地元テレビ局がサガテレビ1社のみとなった。その後、佐賀県の放送局もこの九千部山に鳥栖市向け中継局を設置した。
- 地上デジタルテレビ放送では、原則としてエリアを同一都道府県に絞るよう定められている。また、佐賀デジタル親局は従来の日の隈山からここに移される事になっている。
- このため、久留米局は南東に、佐賀親局は南西に、それぞれビームを絞らなければならなくなった。その調整等のため、久留米市で地上デジタルテレビ放送が見られるのは、佐賀県での放送開始に合わせ、2006年12月となった。(結果、デジタル放送では佐賀県では久留米局は視聴できる地域が少なくなったが、多くの地域で熊本局が見られる。当初、久留米局は3Wであったため、佐賀県内では鳥栖市周辺のみは放送エリアであったが、2007年1月15日に定格出力の30Wに増力されたため、現在は佐賀市周辺までエリアが広がっている。ただし、佐賀親局は開始当初から定格出力の100Wで放送されている。)
- ちなみに、アナログ放送に関しては筑後・佐賀地区はもちろんの事、福岡都市圏においてもこの電波を受信する世帯が多い。理由として次のような事が挙げられる。
- 元々山の標高が高く、しかも重要な中継局であるため出力も大きく、結果、福岡都市圏でも十分に受信可能である事。
- 1993年6月にVHF局の送信所が福岡タワーに一本化されるまで、各局は自局の局舎横の鉄塔からバラバラに送信しており(VHF1chKBC=福岡市中央区長浜 3ch/6chNHK総合/教育=福岡市中央区天神、4chRKB=福岡市中央区渡辺通、9chTNC=福岡市南区高宮)、綺麗な画像を受けるためにVHFアンテナを何本も立てるより、UHFアンテナ一本ですむ久留米局を受信する世帯が多かった。(福岡市中央区内ではVHFアンテナが最大4つ必要な地区もあった。)
- 福岡都市圏における建造物の高層化で、福岡タワーや鴻巣山(民放UHF局の送信所がある)の電波がゴーストなどの電波障害を受け、受信困難になる地域が増加している事(ただ、地上波デジタル放送では大幅な改善が見込まれる上、その送信所は全て福岡タワーに集約される)。
- なお、FMラジオに関してはTV程の問題点が無い上、出力も福岡本局の方が大きいため、本局を受信しているリスナーが圧倒的である。
- LOVE-FM以外の福岡民放各局が九千部山を親局の送信所にしなかったのは、そうした場合に有明海周辺地域へのスピルオーバーがかなり広範囲になり、福岡県外での地元局への混信が多発する事を防ぐ為と見られる。
- 放送局以外にも、業務用無線の基地局(西日本鉄道など)が設けられている。
放送局の送信所については、久留米・鳥栖 テレビ・FM放送所を参照。
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