外局
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外局(がいきょく)とは、内局(内部部局)に対するもので、日本の行政組織において、府省のもとに置かれ、特殊な業務、専門性の高い業務を行う機関。庁と委員会の2つに大別される。
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[編集] 概要
日本政府の行政組織は、内閣のもと1府11省からなり、それぞれの府省には大臣官房及び局(部)が、その下に課または室がもうけられている。外局は、この局と同程度の業務を受け持ちながら、その業務が特殊性・専門性を帯びているために独立した機関として設置されているものである。
庁の長は長官、委員会の長は委員長であり、長は外局内の職員の任命権を有するなど、府省に対して独立性を有している。一方で、長自身の任命権は内閣ではなく大臣が有している点、自ら「府令・省令」を発することはできず(規則の制定は可)、大臣に発出を依頼しなくてはならない点などでは、担当府省の制限のもとにあるといえる。例外的に、海上保安庁だけは単独で庁令を発することができる。なお、庁や委員会であっても内閣府の外局は内閣府設置法第49条、省の外局は国家行政組織法第3条第3項および同法別表第一に定められたものだけであり、宮内庁や警察庁、検察庁、航空・鉄道事故調査委員会のように外局ではない場合もある。
1948年(昭和23年)の国家行政組織法施行前は、外局は「庁や委員会」と決まっておらず、内務省の社会局や衛生局、宮内省の内大臣府や掌典職、厚生省の引揚援護院、陸軍省の陸軍兵器本部、海軍省の艦政本部などがあった。
外局の長には国務大臣を充てることができ、特に庁の場合は大臣庁と呼ばれる。2007年1月9日、内閣府の外局で最後の大臣庁であった防衛庁が独立した防衛省に昇格したことにより、大臣庁は消滅した。
[編集] 外局の一覧
[編集] 庁や委員会の名称を持つが外局ではないもの
- 内閣府
- 法務省
- 国土交通省
- 航空・鉄道事故調査委員会 - 国土交通省の審議会等の一つ。
[編集] 過去に存在した外局
- 内閣直属
- 総理府
- 金融再生委員会 - 2001年1月6日の中央省庁再編により金融監督庁と統合され、内閣府の金融庁に
- 金融監督庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により金融再生委員会と統合され、内閣府の金融庁に
- 宮内庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により内閣府へ移管
- 経済企画庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により内閣府に統合
- 北海道開発庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により国土交通省に統合
- 沖縄開発庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により内閣府に統合
- 総務庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により総務省に改組
- 科学技術庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により文部科学省に統合
- 国土庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により国土交通省に統合
- 環境庁 - 2001年1月6日の中央省庁再編により環境省に昇格
- 行政管理庁 - 1984年7月1日、総務庁に統合
- 保安庁 - 1954年7月1日に廃止され、防衛庁に
- 経済審議庁 - 1955年7月、経済企画庁に改称
- 特別調達庁 - 1952年4月1日、調達庁に改称
- 調達庁 - 1962年11月1日、防衛庁建設本部と統合され、防衛施設庁に
- 賠償庁 - 1952年4月28日廃止
- 沖縄・北方対策庁 - 1972年5月15日、沖縄開発庁に
- 地方自治庁 、1953年8月1日、自治庁に
- 自治庁 1960年7月1日、国家消防庁を統合して自治省に
- 国家消防庁 1960年7月1日、自治庁を統合して自治省に
- 内閣府
- 総務省
- 法務省
- 司法試験管理委員会 - 2004年1月1日、「司法試験委員会」(国家行政組織法第8条による審議会等に相当)に移行。
- 外務省
- 出入国管理庁 - 1951年11月1日、入国管理庁に改組
- 入国管理庁 - 1952年8月1日、法務省の内局に移管され入国管理局に
- 大蔵省
- 厚生省
- 引揚援護院
- 引揚援護庁 - 1954年4月1日、厚生省に吸収統合され引揚援護局に
- 農林水産省
- 食糧庁 - 2003年7月1日廃止。農林水産省の総合食料局に
- 通商産業省
- 資源庁 - 1952年8月1日廃止。通商産業省に吸収統合
- 工業技術庁 - 1952年8月1日、工業技術院に改編
- 電気通信省
- 電波庁 - 1950年6月1日、総理府に新設された電波監理委員会に
- 航空保安庁 - 1950年12月12日、運輸省に新設された航空庁に
- 運輸省
- 航空庁 - 1952年8月1日、運輸省に吸収統合され航空局に
- 経済安定本部
- 中央経済調査庁 - 1950年6月1日、経済調査庁に改称
- 経済調査庁 - 1952年8月1日、総理府の行政管理庁に統合
- 物価庁 - 1952年4月1日、経済安定本部に吸収統合され物価局に
- 宮内省
- 海軍省
- 内務省
- 駅逓局
- 山林局
- 社会局
- 衛生局
- 北海道庁 (1886-1947) - 内務省廃止とともに消滅
- 樺太庁 - 敗戦により事実上消滅
- 鉄道庁 - 1892年逓信省の外局に
- 逓信省
- 拓務省
- 南洋庁 - 1942年11月大東亜省の管轄になる。
- 大東亜省
- 商工省
- 貿易庁 - 1949年5月25日商工省、石炭庁と統合され通商産業省に
- 石炭庁 - 1949年5月25日商工省、貿易庁と統合され通商産業省に
- その他
- 復員庁 - 1947年10月に廃止
[編集] 関連項目
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