警察庁
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警察庁(けいさつちょう、National Police Agency)は、主として国の公安に係る警察運営を行い、警察の態勢整備、犯罪鑑識、犯罪統計その等の所掌事務について、都道府県警察(警視庁を含む)を指揮監督する日本国の行政機関。内閣府の外局である国家公安委員会に設置された特別の機関である。通称で察庁(サッチョウ)、本庁(ホンチョウ)とも呼ばれる。1954年の警察法の改正により設置された。
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[編集] 沿革
- 1874年(明治7年):内務省に警保局を設置。
- 1947年(昭和22年)12月17日:旧警察法の制定。
- 1947年(昭和22年)12月31日:GHQにより内務省を解体。それにともない警保局も解体。
- 1948年(昭和23年):旧警察法の施行。これに伴い、国家地方警察及び自治体警察(市町村警察)を設置。
- 1954年(昭和29年)6月8日:警察法の制定。
- 1954年(昭和29年)7月1日:警察法の施行。これに伴い、国家公安委員会、警察庁、都道府県警察を設置。
[編集] 組織
本庁は長官官房、5局(2部)で構成され、その他所要の地に附属機関と地方機関が置かれている。各都道府県の警察本部や警察署と違い、執行機関ではないので装備としてのパトロールカー、留置場はない。
[編集] 長官及び次長
長は警察庁長官で、国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て任免する。 全警察職員の最高位に位置する警察官であるが、警察法第62条の規定により唯一階級制度の枠外に置かれている。
警察庁長官は、国務大臣を委員長とする国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を総括し、所部の職員を任命し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所管事務について、都道府県警察(警視庁及び道府県警察本部)を指揮監督する。
長官を補佐する職として警察庁次長1人(階級は警視監)が置かれており、長官が出張等で不在のときはその職務を代行する。警察法第34条で、長官は警察官とし、警察庁の次長、官房長、局長(情報通信局長を除く。)及び部長、管区警察局長その他政令で定める職は警察官をもつて、皇宮警察本部長は皇宮護衛官をもつて充てるとされる。
[編集] 内部部局
- 長官官房
- 生活安全局
- 生活安全企画課
- 地域課
- 少年課
- 生活環境課
- 情報技術犯罪対策課
- 刑事局
- 刑事企画課
- 捜査第一課
- 捜査第二課
- 犯罪鑑識官
- 組織犯罪対策部
- 企画分析課
- 暴力団対策課
- 薬物銃器対策課
- 国際捜査管理官
- 犯罪収益移転防止管理官(2007.4.1設置)
- 交通局
- 交通企画課
- 交通指導課
- 交通規制課
- 運転免許課
- 警備局
- 情報通信局
- 情報通信企画課
- 情報管理課
- 通信施設課
- 情報技術解析課
[編集] 附属機関
[編集] 地方機関
- 管区警察局 - 府県警察本部の監督を行う。
- 東北管区警察局 - 青森県警察、岩手県警察、宮城県警察、秋田県警察、山形県警察、福島県警察を監督する。
- 関東管区警察局 - 茨城県警察、栃木県警察、群馬県警察、埼玉県警察、千葉県警察、神奈川県警察、新潟県警察、山梨県警察、長野県警察、静岡県警察を監督する。
- 中部管区警察局 - 富山県警察、石川県警察、福井県警察、岐阜県警察、愛知県警察、三重県警察を監督する。
- 近畿管区警察局 - 滋賀県警察、京都府警察、大阪府警察、兵庫県警察、奈良県警察、和歌山県警察を監督する。
- 中国管区警察局 - 鳥取県警察、島根県警察、岡山県警察、広島県警察、山口県警察を監督する。
- 四国管区警察局 - 徳島県警察、香川県警察、愛媛県警察、高知県警察を監督する。
- 九州管区警察局 - 福岡県警察、佐賀県警察、長崎県警察、熊本県警察、大分県警察、宮崎県警察、鹿児島県警察、沖縄県警察を監督する。
- 東京都警察情報通信部
- 通信庶務課
- 機動通信第一課
- 機動通信第二課
- 通信施設課
- 情報技術解析課
- 多摩通信支部
- 北海道警察情報通信部
- 通信庶務課
- 機動通信課
- 通信施設課
- 情報技術解析課
- 函館方面情報通信部
- 旭川方面情報通信部
- 釧路方面情報通信部
- 北見方面情報通信部
- ※各管区警察局にはそれぞれ管区警察学校が置かれる。
- ※各管区警察局の管理の下に、府県情報通信部が置かれる。
- ※北海道には管区警察局は置かれない。これは、地方自治体としての区域と管区(ブロック)としての区域が同一であることから、北海道警察本部に管区警察局としての役割が与えられているためである。
[編集] 警察庁の職員
警察庁の職員は、大きく警察官と一般職員の二種類に分かれる。 警察官としては、国家公務員I種試験(法律)に合格したいわゆるキャリア組の警察官、国家公務員II種試験(行政)を通過した警察庁採用警察官、警視庁・道府県警察本部採用者から警視正以上の階級に昇進した警察官、警視庁、道府県警察本部から出向した職員(警部以上の階級の警察官)などが勤務している。一般職員には、国家公務員I種試験(技術)に合格したキャリア組の職員、他の国家公務員試験を通過した職員などがいる。また、他の官庁からの出向者もいる。
※警視庁・道府県警察本部採用の警察官でも、階級が警視正以上になると警察法第55条により立場が国家公務員となり、所属も警察庁となる。このような警察官を地方警務官という。
[編集] 歴代の警察庁長官
- 国家地方警察本部長官(警察庁長官の前身)は含めない。
代 | 氏名 | 任命年月日 | 退任後の主な公職・役職 |
---|---|---|---|
1 | 齋藤昇 | 1954年7月1日 | 厚生大臣、運輸大臣 |
2 | 石井榮三 | 1955年7月1日 | (社)全日本指定自動車教習所協会連合会会長 |
3 | 柏村信雄 | 1958年8月29日 | 海外移住事業団理事長 |
4 | 江口俊男 | 1963年5月10日 | 公害防止事業団理事長 |
5 | 新井裕 | 1965年5月19日 | 日本航空専務、日本アジア航空会長 |
6 | 後藤田正晴 | 1969年8月12日 | 内閣官房長官・副総理・法務大臣 |
7 | 高橋幹夫 | 1972年6月24日 | 社団法人日本自動車連盟会長 |
8 | 淺沼清太郎 | 1974年10月9日 | 阪神高速道路公団理事長 |
9 | 山本鎭彦 | 1978年6月1日 | 特命全権大使(ベルギー駐箚) |
10 | 三井脩 | 1981年6月2日 | 日本道路交通情報センター理事長 |
11 | 鈴木貞敏 | 1984年9月25日 | 参議院農林水産委員長 |
12 | 山田英雄 | 1985年8月27日 | 公共政策調査会理事長 |
13 | 金澤昭雄 | 1988年1月22日 | (社)全日本指定自動車教習所協会連合会会長 |
14 | 鈴木良一 | 1990年12月7日 | 警察共済組合理事長 |
15 | 城内康光 | 1992年9月18日 | 特命全権大使(ギリシャ駐箚) |
16 | 國松孝次 | 1994年7月12日 | 特命全権大使(スイス駐箚) |
17 | 関口祐弘 | 1997年3月31日 | 警察共済組合理事長 |
18 | 田中節夫 | 2000年1月11日 | 社団法人日本自動車連盟副会長 |
19 | 佐藤英彦 | 2002年8月2日 | 警察共済組合理事長・警察庁顧問 |
20 | 漆間巖 | 2004年8月13日 |
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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