大糸線
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大糸線（おおいとせん）は、長野県松本市の松本駅から新潟県糸魚川市の糸魚川駅に至る東日本旅客鉄道（JR東日本）と西日本旅客鉄道（JR西日本）の鉄道路線（地方交通線）である。
北アルプス線という愛称が付けられているが、時刻表などには掲載されていない。
飛騨山脈の東側を、大町市以南は高瀬川、その北は日本海へと注ぐ姫川に沿って走っている。沿線には立山黒部アルペンルートの東口である大町市を控え、仁科三湖（木崎湖・中綱湖・青木湖）などの行楽地やスキー場が多く、行楽客や白馬岳などへの登山者の足であるとともに、松本市・安曇野市など沿線都市への通勤・通学路線としても機能している。広域輸送としては主に中央本線からの特急列車が直通する。
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[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離（営業キロ）：全長105.4km
- 軌間：1067mm
- 駅数：42駅（JR東日本34駅、JR西日本8駅。起終点駅・臨時駅含む、JR西日本は南小谷駅除く）
- 複線区間：なし（全線単線）
- 電化区間：松本～南小谷間（直流1500V）
- 閉塞方式：自動閉塞式（特殊）
- 保安装置：ATS-Sx形（JR東日本：ATS-Sn、JR西日本：ATS-SW）
※松本～南小谷間は東日本旅客鉄道長野支社、南小谷～糸魚川間は西日本旅客鉄道金沢支社糸魚川地域鉄道部の管轄である（会社境界駅である南小谷駅は、東日本旅客鉄道側が管理する）。
[編集] 運行形態
運行系統は電化区間であるJR東日本長野支社管轄の松本～南小谷間と、非電化区間であるJR西日本金沢支社管轄の南小谷～糸魚川間に分かれており、南小谷駅を越えて運行される定期列車は1995年の集中豪雨被害で運行を停止して以来1本もない。かつては大糸線全線を走破する列車として1971年から松本～金沢間に運行されていた急行「白馬」があったが1982年に廃止されている。
[編集] JR東日本管轄区間（松本－南小谷）
優等列車としては新宿方面から特急「スーパーあずさ」・「あずさ」が定期又は臨時で、名古屋方面から特急「しなの」が臨時でいずれも白馬駅または南小谷駅まで直通運転される。また、急行「アルプス」のダイヤを引き継いだ快速「ムーンライト信州」も臨時で運転される。
普通列車（使用車両：E127系100番台または115系）は松本～南小谷間を通して運転される列車のほか、松本～信濃大町間およびそれに接続する信濃大町～南小谷間の列車が主体となっている。また、一部は松本から篠ノ井線やさらに先の中央本線へ乗り入れ、塩尻駅や上諏訪駅、辰野駅、富士見駅まで運転される列車もある。
E127系100番台車は2両1編成で全12編成があり、信濃大町～南小谷間定期運用列車は、全列車がワンマン運転となる（快速、普通列車）。115系に関してはワンマン運転はない。
[編集] JR西日本管轄区間（南小谷－糸魚川）
運行される定期列車はすべて普通列車で、南小谷～糸魚川間の列車の他、平岩～糸魚川間などの区間運転もある。前者は1日7往復あるが、毎年3～6月・10月～11月に昼間時間帯の3往復が月1回、日曜日に運休するので、その場合は南小谷～糸魚川間に運転される列車はわずか1日4往復となる。なお、この区間の中間駅は夏季の平岩駅を除き全て無人駅となっている。
不定期列車として、大阪方面より北陸本線経由のスキー列車「シュプール号」が乗り入れたことがあったが、2001年冬～2002年春を最後に大糸線乗り入れはなくなっている。線路容量の関係で線内では定期普通列車として運転し、地元利用者にとっては乗り得車両となっていた。
非電化区間であるため、車両はキハ52形気動車で運行される。現在運行されている定期列車は3編成で、トイレがついていないワンマン列車1両での運転が基本である（駅の時刻表にも「トイレはありません」の表示があり、乗車前にトイレは済ますようにとの忠告がされている）。運行されている車両は、キハ52 115、125、156号車の3両である。うち、115、156号車は旧国鉄色に塗り替えられて定期運用についている。唯一白地に緑のストライプの旧越美北線色で残っていた125号は2006年11月に群青+クリームの旧国鉄ツートン塗装に変更され、同年12月2日から大糸線で運行を開始した。
なお、非電化区間での車内アナウンスは「JR大糸線をご利用くださいましてありがとうございます」という管轄を強調しない表現となっている。
2014年度の北陸新幹線長野～金沢間の開業により、北陸本線金沢～直江津間は枝線を含めて経営分離されることが確定しているが、本路線のJR西日本区間の扱いはまだ決まっていない。
[編集] 使用車両
電化区間（東日本旅客鉄道）
非電化区間（西日本旅客鉄道）
[編集] 過去の使用車両
電化区間
- 社形（信濃鉄道買収車）
- 省形木造車
- モハ10形、クハ15形、サハ19形
- 17m級旧形電車
- 20m級旧形電車
- 新性能電車
- 電気機関車
非電化区間
[編集] 歴史
松本～信濃大町間は、信濃鉄道（現在のしなの鉄道とは無関係）により開業した。信濃大町～糸魚川間は国により建設され、信濃鉄道・大糸南線の松本～信濃大町～中土間と大糸北線の小滝～糸魚川間が1935年に開通した。松本～糸魚川間が全通し大糸線となったのは戦後の1957年である。
「大糸線」の路線名は、信濃大町以南が信濃鉄道であった時代に、国によって信濃大町と糸魚川を結ぶ路線として建設されたことに由来する。また、現在のJRの路線名で、複数の地名から一文字ずつを取って付けられた名前の中では米坂線と並んで両方の地名を訓読みする例外の一つとなっている（通常は音読み）。
[編集] 信濃鉄道
- 1915年（大正4年）1月6日 - 信濃鉄道 松本市～豊科間開業。松本市駅、梓橋停留場、明盛駅、豊科駅新設。
- 4月5日 - 南松本（松本駅隣接、現・南松本駅とは別）～北松本間延伸開業。（貨）南松本駅新設。松本市駅を北松本駅に改称。
- 5月1日 - 明盛駅を一日市場駅に改称。
- 5月30日 - 中萱停留場開業。
- 6月1日 - 豊科～柏矢町間延伸開業。柏矢町駅新設。
- 7月15日 - 柏矢町～穂高間延伸開業。穂高駅新設。
- 8月8日 - 穂高～有明間延伸開業。有明駅新設。
- 9月16日 - 梓橋停留場を駅に格上げ。
- 9月29日 - 有明～池田松川間延伸開業。細野駅、池田松川駅新設。
- 11月1日 - 島内駅新設。
- 11月2日 - 池田松川～信濃大町（初代）間延伸開業。常磐沓掛停留場、常盤停留場、信濃大町駅（初代）新設。
- 11月16日 - アルプス追分停留場新設。
- 1916年（大正5年）7月5日 - 仏崎～信濃大町間延伸開業。信濃大町駅（2代目）新設。信濃大町駅（初代）を仏崎駅に改称。
- 9月18日 - 松本駅～北松本駅間の旅客営業を開始。（貨）南松本駅を松本駅に改称。
- 1917年（大正6年）10月13日 - 仏崎駅廃止。
- 1919年（大正8年）7月10日 - アルプス追分停留場を安曇追分停留場に改称。
- 1926年（大正15年）1月8日 - 松本～信濃大町間電化。
- 1930年（昭和5年）10月28日 - おかめ前停留新設。
- 1934年（昭和10年）2月1日 - 昭和停留場新設。
- 1937年（昭和12年）6月1日 - 松本～信濃大町間を買収し国有化。大糸南線に編入。
[編集] 大糸南線
- 1929年（昭和4年）9月25日 - 大糸南線 信濃大町～簗場間開業。（信濃大町駅）、信濃木崎駅、海ノ口駅、簗場駅新設。
- 1930年（昭和5年）10月25日 - 簗場～神城間延伸開業。神城駅新設。
- 1932年（昭和7年）11月20日 - 神城～信濃森上間延伸開業。信濃四ッ谷駅、信濃森上駅新設。
- 1935年（昭和10年）11月29日 - 信濃森上～中土間延伸開業。南小谷駅、中土駅新設。
- 1937年（昭和12年）6月1日 - 松本～信濃大町間の信濃鉄道線を国有化し編入。
- 停留場を駅に格上げ。おかめ前停留場を北細野駅に、池田松川駅を信濃松川駅に、常磐沓掛停留場を安曇沓掛駅に、常盤停留場を信濃常盤駅に、昭和停留場を南大町に改称。青島停留場廃止。
- 1942年（昭和17年）12月5日 - 南神城駅新設。
- 1947年（昭和22年）12月1日 - 川内下仮乗降場新設。
- 1948年（昭和23年）9月25日 - 川内下仮乗降場を駅に格上げ、白馬大池駅に改称。
[編集] 大糸北線
[編集] 全通以後
- 1957年（昭和32年）8月15日 - 中土～小滝間が延伸開業し全通。大糸北線・新規開業区間を大糸南線に編入し、大糸線に改称。北小岩駅、平岩駅新設。
- 1959年（昭和34年）7月17日 - 信濃大町～信濃四ツ谷間電化。
- 1960年（昭和35年）7月20日 - 信濃四ツ谷～信濃森上間電化。北大町駅、稲尾駅、飯森駅新設。
- 1961年（昭和36年）12月23日 - 千国崎仮乗降場新設。
- 1962年（昭和37年）12月25日 - 千国崎仮乗降場を駅に格上げ、千国駅に改称。
- 1967年（昭和42年）12月20日 - 信濃森上～南小谷間電化。
- 1968年（昭和43年）10月1日 - 信濃四ツ谷駅を白馬駅に改称。
- 1983年（昭和58年）3月25日 - 全線にCTCを導入。
- 1985年（昭和60年）12月24日 - （臨）ヤナバスキー場前駅新設。
- 1986年（昭和61年）11月1日 - 姫川駅新設。
- 1987年（昭和62年）4月1日 - 国鉄分割民営化により、松本～南小谷間を東日本旅客鉄道が、南小谷～糸魚川間を西日本旅客鉄道が継承。日本貨物鉄道が松本～信濃大町間の第二種鉄道事業者となる。信濃大町～糸魚川間の貨物営業廃止。
- 1993年（平成5年）3月18日 - 南小谷～糸魚川間でワンマン運転開始。
- 1994年（平成6年）12月3日 - 松本～信濃大町間の貨物列車の設定廃止。
- 1995年（平成7年）7月11日 - 白馬～根知間が集中豪雨のため不通となる。9月1日までに南小谷～小滝間を除き復旧。
- 1996年（平成8年）1月16日 - 国道148号の復旧に伴い、不通区間のバス代行輸送を開始。
- 1997年（平成9年）11月29日 - 全線復旧し運行を再開。
- 1999年（平成11年）3月29日 - 松本～南小谷間でワンマン運転開始。
- 4月1日 - 日本貨物鉄道の松本～信濃大町間の第二種鉄道事業廃止。
[編集] 駅一覧
[編集] JR東日本管轄区間
| 駅名 | 営業キロ | 快速 | 接続路線 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 松本駅 | 0.0 | ● | 東日本旅客鉄道：篠ノ井線 松本電気鉄道：上高地線 |
長野県 | 松本市 |
| 北松本駅 | 0.7 | ● | |||
| 島内駅 | 2.6 | ▲ | |||
| 島高松駅 | 3.8 | ▲ | |||
| 梓橋駅 | 5.2 | ▲ | 安曇野市 | ||
| 一日市場駅 | 6.8 | ● | |||
| 中萱駅 | 8.4 | ▲ | |||
| 南豊科駅 | 10.4 | ▲ | |||
| 豊科駅 | 11.4 | ● | |||
| 柏矢町駅 | 14.2 | ▲ | |||
| 穂高駅 | 16.2 | ● | |||
| 有明駅 | 18.4 | ● | |||
| 安曇追分駅 | 19.9 | ● | |||
| 細野駅 | 22.8 | ▲ | 北安曇郡松川村 | ||
| 北細野駅 | 23.8 | ▲ | |||
| 信濃松川駅 | 26.0 | ● | |||
| 安曇沓掛駅 | 28.6 | ▲ | 大町市 | ||
| 信濃常盤駅 | 30.9 | ● | |||
| 南大町駅 | 34.0 | ▲ | |||
| 信濃大町駅 | 35.1 | ● | |||
| 北大町駅 | 37.2 | ｜ | |||
| 信濃木崎駅 | 39.4 | ▲ | |||
| 稲尾駅 | 41.6 | ｜ | |||
| 海ノ口駅 | 42.9 | ｜ | |||
| 簗場駅 | 46.3 | ● | |||
| （臨）ヤナバスキー場前駅 | 47.9 | ｜ | |||
| 南神城駅 | 52.8 | ｜ | 北安曇郡白馬村 | ||
| 神城駅 | 55.2 | ● | |||
| 飯森駅 | 56.7 | ｜ | |||
| 白馬駅 | 59.7 | ● | |||
| 信濃森上駅 | 61.6 | ● | |||
| 白馬大池駅 | 65.4 | ● | 北安曇郡小谷村 | ||
| 千国駅 | 68.7 | ｜ | |||
| 南小谷駅 | 70.1 | ● | 西日本旅客鉄道：大糸線（糸魚川方面） | ||
- 凡例
- ●：すべての列車が停車 ▲：一部の列車のみ停車 ｜：通過
- （定期列車の停車駅を示す）
[編集] JR西日本管轄区間
| 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|
| 南小谷駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道：大糸線（信濃大町・松本方面） | 長野県 | 北安曇郡小谷村 |
| 中土駅 | 4.0 | |||
| 北小谷駅 | 8.4 | |||
| 平岩駅 | 14.9 | 新潟県 | 糸魚川市 | |
| 小滝駅 | 21.7 | |||
| 根知駅 | 25.3 | |||
| 頸城大野駅 | 30.2 | |||
| 姫川駅 | 32.1 | |||
| 糸魚川駅 | 35.3 | 西日本旅客鉄道：北陸本線 | ||
[編集] 廃駅
[編集] 過去の接続路線
[編集] 特記事項
- 小滝～平岩間は、土砂崩れの影響で一部のルートが変更されている。
