家なき子レミ
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『家なき子レミ』(いえなきこレミ)は、フジテレビ「世界名作劇場」の枠で放映されたテレビアニメである。放映期間は1996年9月1日から1997年3月23日までの全26話(このうち3話は未放映であり、放送時には全23話)。
原作はエクトール・アンリ・マロの『サン・ファミーユ』(家なき子参照)。但し、主人公の性別が男から女に変わった(本来、家なき子の少女版は同一原作者で『ペリーヌ物語』の原作でもある『家なき娘』)。
フジテレビ日曜19時30分の、いわゆる「世界名作劇場枠」の最終作でもある(第24作は本作の放送終了から10年を経た2007年1月よりBSフジで放送が開始された『レ・ミゼラブル 少女コゼット』)。なお、後番組は『中華一番!』。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第22作 | 名犬ラッシー | 1996年1月 ~1996年8月 |
第23作 | 家なき子レミ | 1996年9月 ~1997年3月 |
中断(1997年4月~2006年12月) | ||
第24作 | レ・ミゼラブル 少女コゼット | 2007年1月 ~2007年12月 |
目次 |
[編集] あらすじ
レミ・バルブランは貧しいながらも母親アンヌと妹ナナとともに幸福に暮らしていた。しかしパリまで出稼ぎに行っていた父親が大怪我をしてレミたち家族ものとへ帰ってくると、レミは自分が捨て子だったという出生の秘密を知らされる。そして愛する者、親しんだ土地から離れなければならなくなるのだった。
[編集] 登場人物(声の出演)
- レミ・バルブラン(声:堀江美都子)
- 本編の主人公。生後半年でパリの道端で捨てられていたところをジェロームに拾われ、バルブラン家の長女として育てられた。10歳になった年にジェロームによって人買いに売られるところをヴィタリス一座に救われ、拾われたときに持っていたネックレスを手がかりに、本当の母親を探す旅に出る。歌が得意。
- アンヌ・バルブラン(声:弘中くみ子)
- レミの育ての母。レミのことを実の娘同然に愛している。
- ナナ・バルブラン(声:嶋方淳子)
- レミの妹だが、ジェロームとアンヌとの間にできたバルブラン家の本当の子供であり、レミとは血がつながっていない。
- ジェローム・バルブラン(声:田中正彦)
- アンヌの夫。普段はパリへ出稼ぎに行っており何年も家に帰っていなかったが、大怪我をして足が不自由になってしまったため帰省した。10年前にレミを拾うが、そのときレミが高価な産着を身に着けていたため「きっと大金持ちの子供に違いない」と思い、お礼を目当てに引き取ったに過ぎなかった。怪我を負ったことで自暴自棄になり、生活苦からレミを疎み人買いに売り払おうとした。
- ヴィタリス(声:山野史人)
- ヴィタリス一座の団長。ヴァイオリンが上手く、若い頃は凄腕の演奏家だった。ジェロームによって人買いに売られそうになったレミを助け、一座に加える。物語中盤で悲壮の死を遂げる。
- ジョリクール(声:佐藤智恵)
- ヴィタリス一座の一員の小猿。
- ミリガン婦人(声:山田栄子)
- レミが旅の途中で出会った優しいイギリス貴族の女性。アーサーの他に女の子もいたが、赤ん坊の頃に連れ去られてしまった。
- アーサー(声:冬馬由美)
- ミリガン婦人の子供。大病を患っている上、両足も動かず車椅子での生活を強いられている。
- ネリー(声:林原めぐみ)
- ミリガン婦人の元で働くメイド
- マチア(声:安達忍)
- 孤児になりガスパールの元に売られた少年。ガスパールの命令で盗みを強要されていたが、レミに影響され真っ当な仕事でお金を稼ぐようになる。本来は誠実で優しい性格。亡くなった父親が音楽家で、ヴァイオリンが得意。物語中盤から終盤にかけてレミと惹かれあうようになる。
- リーズ(声:かないみか)
- ガスパールの元で働く少女。花売りをしてお金を稼いでいる。レミの妹のナナと同じ年頃。
- マルセル(声:柊美冬)
- ガスパールの元で働く少年。
- マリア(声:荒木香恵)
- ガスパールの元で働く少女。
[編集] スタッフ
- 製作:本橋浩一
- 製作管理:本橋寿一
- 企画:清水賢治、佐藤昭司
- プロデューサー:鈴木専哉、田中真津美
- 監督:楠葉宏三
- 脚本:島田満、小山眞弓
- キャラクターデザイン:大城勝
- 美術監督:川口正明
- 音楽:服部克久
- 制作:フジテレビ、日本アニメーション
[編集] 放映リスト
- 悲しい誕生日
- さよなら お母さん
- ヴィタリス一座
- 素敵な贈り物
- 奇跡のマリア像
- 幻のおかあさん
- もうひとつの家族
- さよなら私たちの家
- 運命の出会い
- ひとりぼっちのアーサー
- ペンダントの秘密
- 悲しみの雪山
- 雪の日の別れ
- 新しい旅の始まり
- 新しい仲間
- 雨の日の子猫(本放送時未放映)
- 地下迷路での誓い
- すれちがう母と子
- 旅の一家(本放送時未放映)
- 心の友達(本放送時未放映)
- 想い出のバイオリン
- 地下からの生還
- ふたりの願い
- 引き裂かれた愛
- 脱出!
- 私のお母さん
[編集] 主題歌
本来なら、出演者の堀江が主題歌を歌ってもおかしくないが、ストーリー上の都合もあってかこの作品の主題歌は歌っていない。
[編集] 解説
前作の名犬ラッシーが視聴率不振の為、半年で打ち切られてしまい、世界名作劇場としては唯一の9月始まりとなった作品である。世界名作劇場第23作目、そしてフジテレビの日曜19時30分枠では最後の作品となった。当時安達祐実主演の「家なき子」がブームであったため、原作では男の子であった主人公を女の子に変更したり(当初の企画では、ブームに便乗して主人公レミの声を安達祐実にしようという案も出されたが、安達祐実サイドの方で断った為、実現はしなかった)、名犬ラッシーで丸顔になった絵柄も普段どおりの絵柄に戻すなど、視聴率獲得の努力がなされたが、残念ながら名作劇場シリーズ中、平均視聴率は最も低かった。2006年現在、世界名作劇場作品では最短の話数(制作されたのは26話だが、実際に放送されたのは23話であるが、地方によっては最終話まで放送された)になった。
だが作品内容は、作画、ストーリーとも、他の名作劇場と同一のレベルを保っていた。前半はレミとビタリスとの芸人としての旅が描かれる。後半はビタリスの死後、ガスパールという男の家に行き、最終的にはガスパールの家で出会ったマチアとの恋愛物語で終了した。物語終盤につれ原作小説を離れて、レミとマチアが抱き合ったり、「ずっと一緒にいたい」などの発言がある。名作劇場では非常に珍しく、家族向けとしては恋愛色がかなり強かった。放送終了後も、この作品について批判が多いのはこの部分に起因していると思われる。
海外では、台湾、フィリピン、クウェートや欧州で放映されたがウケは良かった方であるという。しかし、日本ではほとんど見られず、視聴率不振のためか未放映作品が3話分出るなど、名作劇場の中でも肩身が狭かろう作品と言える。かつて発売されていたVHSビデオソフトや現在発売されているDVDでは、未放送となった3話分も収録されている。 尚、NHKBS2の、「BS名作アニメ劇場」で2001年後半に放送されたときは、未放映分3話を含めて全26話の放送をした模様である。
フジテレビ 日曜19:30の枠 | ||
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前番組 | 家なき子レミ (本作までが『世界名作劇場』) |
次番組 |
名犬ラッシー (世界名作劇場) | 中華一番! |
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カルピスまんが劇場 | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場 | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場 | ペリーヌ物語 |
世界名作劇場 | 赤毛のアン - トム・ソーヤーの冒険 - 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ - 南の虹のルーシー - アルプス物語 わたしのアンネット - 牧場の少女カトリ |
ハウス食品世界名作劇場 | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
世界名作劇場 | 七つの海のティコ - ロミオの青い空- 名犬ラッシー - 家なき子レミ |
ハウス食品世界名作劇場(BSフジ) | レ・ミゼラブル 少女コゼット |
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