小公女セーラ
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『小公女セーラ』(しょうこうじょ- )は、フジテレビ系の「ハウス世界名作劇場」枠で放送されたテレビアニメ。放映期間は1985年1月6日から同年12月29日で全46話。昭和60年度厚生省児童福祉文化奨励賞受賞。
原作はフランシス・ホジソン・バーネットの『小公女』。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第10作 | 牧場の少女カトリ | 1984年1月 ~1984年12月 |
第11作 | 小公女セーラ | 1985年1月 ~1985年12月 |
第12作 | 愛少女ポリアンナ物語 | 1986年1月 ~1986年12月 |
目次 |
[編集] 作品概要
- 1885年のロンドンが舞台。英語表題は"A Little Princess Sara"。なお表題の『小公女』には『プリンセス』というルビがふってあるため『プリンセス・セーラ』とも呼称される。輸出された各国中、フランスでは特に人気があった。
- ストーリーは原作とは相当異なり、最後にはミンチン学園はセーラによって救われる。登場人物では、ベッキーやラビニアの扱いが大きくなり、アニメ独自のキャラクターであるピーターが登場しているが、これはセーラの味方を増やすことでセーラの苦境の表現を少しでも和らげようとする製作者側の配慮だった。それでもセーラの苦境の描写は執拗かつ過酷であり、放送当時、アニメ雑誌に「落ち込んでいるときに見ると首を括りたくなる」という読者からの投書があったほか、スタッフ宛に何度かカミソリレターが送られてきている。声優の学園長役の中西妙子やラビニア役の山田栄子は、番組終了後「こんな役は二度とやりたく無い」と周囲にもらしていた。少数意見ではあるが、声優の浅野真澄(放送当時小学生)のように、実際には聖人君子的なセーラよりもラビニア的な振舞いをする人間の方が多い筈だと彼女達を擁護する意見もある。
- さらに、主人公セーラの性格もアニメと原作では相当異なる。アニメでは徹底的な善人としてセーラが描かれているが、原作では強気・毒舌の面を強く持ち、辛くあたる校長ミンチン先生にたいしても堂々と反論する描写が多い。日本においては、原作に近いセーラ像では共感を得難いという配慮から変更されたと推測される。
- また、オープニング主題歌も暗く重い。最終回は一応ハッピーエンドであるが、ミンチン先生の結末が原作とは異なるため後味は悪く、この作品の暗い印象に拍車をかけている。
- 全体にソフト路線だった名作劇場にあって異色を放つ作品である。それだけに当時から賛否両論だったが、下降気味だった名作劇場の視聴率アップには成功している。
- 放映当時、「いじめ」が社会現象になりつつ、『おしん(NHK連続テレビ小説)』も話題になっており、リアルタイムなその時期に“いじめられ少女”の代名詞的な人物として「セーラ」と「おしん」が挙げられている。
[編集] 登場人物(声の出演)
- セーラ・クルー (声:島本須美)
- 本作の主人公。11才。過酷な運命に翻弄される。フランス人である母の教えでフランス語は得意。賢く、心の優しい少女。逆境に陥ってからはくじけない強さをも見せる。
- ラルフ・クルー (声:銀河万丈)
- セーラの父親。インドでダイヤモンド鉱山を経営している。フランス人の妻を早くに亡くしている。娘を残してインドで客死する。セーラに対して優しすぎる面もあった。
- マリア・ミンチン (声:中西妙子)
- ミンチン女子学院の経営者にして校長。父を亡くしたセーラを小間使いとして学院の屋根裏部屋に押し込め、無給の仕事でこき使う。
- アメリア・ミンチン (声:梨羽由記子)
- ミンチン校長の妹で学院の教師の一人。内心セーラに同情しているのだが、姉である院長のせいで、結局は見守ることしかできない。
- ラビニア・ハーバート (声:山田栄子)
- 学院の生徒の一人。アメリカの石油王の娘らしい。プライドが高いため田舎出を引け目に感じ、さらに代表生徒の座をセーラに奪われたことを恨みに感じている。そのためセーラにはつらく当たり、陰湿・執拗にいじめる。しかし、後半では苦境に陥るセーラに対して一目置くようになる。最終回でセーラに言い放った「あなたがプリンセスからクイーンになるとき、私は大統領夫人になってるわ。」は名セリフとなり、評判となった。完全に母親似で、意外にも父親は人格者。
- ジェシー (声:中野聖子→飯塚はるみ)
- ラビニアの取り巻きの一人。ミンチン院長のものまねが得意。
- ガートルード (声:佐々木るん)
- ラビニアの取り巻きの一人。
- アーメンガード・セントジョン (声:八百坂万紀)
- 学院の生徒の一人。セーラと仲良くなる。彼女が小間使いの身の上になった後も心配し、同情しているのだが、気が弱いためなかなか行動に移せない。物覚えが悪く父親には馬鹿にされているが、おばさんにはかわいがってもらっている。
- ロッティ・レイ (声:渡辺菜生子)
- 学院の生徒の一人で泣き虫。年少組。セーラになついている。
- ベッキー (声:鈴木みえ)
- 学院の小間使い。セーラの屋根裏部屋のお隣さん。通称『灰かぶりのベッキー』。セーラが特待生として優遇されていた時も、後に小間使いとなった時も、変わらずセーラを尊重する態度で接した。家族思いの優しい少女で、セーラの心からの親友。
- ピーター (声:坂本千夏)
- 町の子供。セーラの専用馬車の御者だったが、その後は市場で働いている。学院には配達で出入りしている。アニメのオリジナルキャラクター。
- モーリー (声:向殿あさみ)
- 学院に住み込みで働くメイド頭でジェームズの妻。セーラをあごで使う。
- ジェームス (声:郷里大輔)
- 学院に住み込みで働くコックでモーリーの夫。セーラをこき使う。
- デュファルジュ先生 (声:上田敏也)
- 学院のフランス語の先生。セーラの理解者だったが後に解雇。
- ラムダス (声:田中秀幸)
- クリスフォード氏に仕えるインド人。子猿のスーリャを飼っている。屋根裏部屋の奇跡を演出する。
- トム・クリスフォード (声:仲村秀生)
- ラルフ・クルーの友人にしてダイヤモンド鉱山の共同経営者。亡き友人の娘を探しにロンドンにやってくる。
- バロー弁護士 (声:藤本譲)
- ラルフ・クルーのロンドンでの代理人。依頼人に多額の出資を行っていたこともあり、依頼人の死で経費の請求先や投資の見返りを失い、とてもご立腹。
- カーマイケル弁護士 (声:屋良有作)
- クリスフォードの依頼でセーラの行方を探している。
- ドナルド・カーマイケル (声:堀江美都子)
- カーマイケル弁護士の息子。セーラとは顔見知り。セーラに恵んだことがある。
[編集] スタッフ
- 原作: フランシス・ホジソン・バーネット『小公女』
- 企画: 佐藤昭司、久保田栄一(フジテレビ)
- 監督: 黒川文男
- 脚本: 中西隆三
- キャラクターデザイン: 才田俊次
- 作画監督: 山崎登志樹、石井邦之、大谷敦子
- 美術設定: 川本征平
- 美術監督: 沼井信朗
- レイアウト監修: 森やすじ
- 音楽: 樋口康雄
- プロデューサー: 中島順三、石川泰平(フジテレビ)
- 制作: 本橋浩一
- 制作管理: 高桑充
- 制作: 日本アニメーション、フジテレビ
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ 『花のささやき』
- エンディングテーマ 『ひまわり』
[編集] 放映リスト
- 『ミンチン女子学院』 (1985年1月6日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:才田俊次、演出助手:山口武志
- 『エミリー人形』 (1985年1月13日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:才田俊次、演出助手:山口武志
- 『はじめての授業』 (1985年1月20日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:才田俊次、演出助手:斎藤次郎
- 『親友アーメンガード』 (1985年1月27日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:才田俊次、演出助手:山口武志
- 『泣き虫ロッティ』 (1985年2月3日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『灰かぶりベッキー』 (1985年2月10日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:黒田昌郎、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『代表生徒』 (1985年2月17日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木幸雄、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『親切なお嬢様』 (1985年2月24日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『インドからの手紙』 (1985年3月3日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『二つのプレゼント』 (1985年3月10日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:黒田昌郎、作画監督:才田俊次、演出助手:山口武志
- 『プリンセスの誕生日』 (1985年3月17日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『屋根裏の暗い部屋』 (1985年3月24日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『つらい仕事の日』 (1985年3月31日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:石井邦幸、演出助手:斎藤次郎
- 『深夜のお客さま』 (1985年4月7日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:平林淳、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
- 『街の子ピーター』 (1985年4月14日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:大谷敦子、演出助手:斎藤次郎
- 『ロッティの冒険』 (1985年4月21日放映)
- 脚本:椋露地桂子、絵コンテ:坂本雄作、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『小さな友メルの家族』 (1985年4月28日放映)
- 脚本:椋露地桂子、作画監督:山崎志登樹、演出助手:斎藤次郎
- 『悲しいメイポール祭』 (1985年5月5日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:腰繁男、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『インドからの呼び声』 (1985年5月12日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『謎の特別室生徒』 (1985年5月19日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:腰繁男、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『涙の中の悲しみ』 (1985年5月26日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:矢沢則夫、作画監督:大谷敦子、演出助手:斎藤次郎
- 『屋根裏のパーティー』 (1985年6月2日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
- 『親切なパン屋さん』 (1985年6月9日放映)
- 脚本:椋露地桂子、絵コンテ:矢沢則夫、作画監督:石井邦幸、演出助手:斎藤次郎
- 『エミリーの運命』 (1985年6月16日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『一日だけのシンデレラ』 (1985年6月23日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『年少組の小さな先生』 (1985年6月30日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:岡部英二、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『デュファルジュ先生の帰国』 (1985年7月7日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:楠葉宏三、作画監督:大谷敦子、演出助手:斎藤次郎
- 『夏休みの大騒動』 (1985年7月14日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:岡部英二、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
- 『ベッキーの里帰り』 (1985年7月21日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:黒田昌郎、作画監督:石井邦幸、演出助手:斎藤次郎
- 『インドからきた紳士』 (1985年8月4日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『屋根裏にきた怪物』 (1985年8月11日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:岡部英二、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『壁の向う側の秘密』 (1985年8月18日放映)
- 脚本:中西隆三、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『新学期のいじわる』 (1985年8月25日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:岡部英二、作画監督:大谷敦子、演出助手:斎藤次郎
- 『嵐の中のつぐない』 (1985年9月1日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:岡部英二、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
- 『消えそうないのち』 (1985年9月22日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:楠葉宏三、作画監督:石井邦幸、演出助手:斎藤次郎
- 『魔法のはじまり』 (1985年9月29日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:吉田健二郎、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『屋根裏は大混乱』 (1985年10月6日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:矢沢則夫、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『こわされた魔法』 (1985年10月13日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木幸雄、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『馬小屋の寒い夜』 (1985年10月20日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:矢沢則夫、作画監督:大谷敦子、演出助手:斎藤次郎
- 『アメリア先生の涙』 (1985年10月27日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木幸雄、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
- 『妖精たちのパーティ』 (1985年11月3日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木孝義、作画監督:石井邦幸、演出助手:斎藤次郎
- 『雪の日の追放』 (1985年11月10日放映)
- 脚本:中西隆三、鎌田秀美、絵コンテ:樋口雅一、作画監督:大谷敦子、演出助手:山口武志
- 『幸せの素敵な小包』 (1985年12月8日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木孝義、作画監督:山崎登志樹、演出助手:斎藤次郎
- 『おお この子だ!』 (1985年12月15日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木孝義、作画監督:石井邦幸、演出助手:山口武志
- 『ミンチン院長の後悔』 (1985年12月22日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木孝義、作画監督:大谷敦子、演出助手:花井信也
- 『また逢う日まで』 (1985年12月29日放映)
- 脚本:中西隆三、絵コンテ:鈴木幸雄、作画監督:山崎登志樹、演出助手:山口武志
[編集] 関連商品
- 「小公女セーラDVD(1~11巻)」 発売:バンダイビジュアル
- ジャケット画が初期は放送当時に準した絵柄だったが、7巻から美少女アニメ風の物に変更
- 「世界名作劇場・完結版 小公女セーラDVD」 発売:バンダイビジュアル (*90分に編集したダイジェスト版)
- 「世界名作劇場 メモリアル音楽館 小公女セーラ」 発売:コロムビアミュージックエンタテインメント
また、旧日本国有鉄道が1985年の母の日記念乗車票を発行した。
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カルピスまんが劇場 | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場 | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場 | ペリーヌ物語 |
世界名作劇場 | 赤毛のアン - トム・ソーヤーの冒険 - 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ - 南の虹のルーシー - アルプス物語 わたしのアンネット - 牧場の少女カトリ |
ハウス食品世界名作劇場 | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
世界名作劇場 | 七つの海のティコ - ロミオの青い空- 名犬ラッシー - 家なき子レミ |
ハウス食品世界名作劇場(BSフジ) | レ・ミゼラブル 少女コゼット |
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