世界名作劇場
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世界名作劇場(せかいめいさくげきじょう)は『カルピス名作劇場』や『ハウス食品名作劇場』などの名称で慣れ親しまれてきた日本アニメーション製作のアニメ番組シリーズである。
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[編集] 概要
フジテレビ系列で、毎週日曜日の夜19:30~20:00に放映され、日本アニメーションの代表的作品群として知られている。
同時刻に放送されたアニメ作品のうち『アルプスの少女ハイジ』までは日本アニメーション以外の制作であるため、日本アニメーションの公式では世界名作劇場には含まれない。
日本アニメーションでは、1975年の『フランダースの犬』から1996年~1997年の『家なき子レミ』までの間に放映された23作品及び10年弱の中断期間を経て2007年に放送が開始された第24作『レ・ミゼラブル 少女コゼット』を指している。『レ・ミゼラブル 少女コゼット』は放送時間は過去の23作品と同じだが、放送局はBSフジ。
なお、『世界名作劇場』という名前がついたのは1979年放映の第5作『赤毛のアン』からで、それまでは『カルピスこども劇場』や『カルピスファミリー劇場』という名前がついていたが、提供がカルピスだけでなくなったため、シリーズ名を変更した。今現在、日本アニメーションでは全て『世界名作劇場』の名称に統一している。
一部の作品に宮崎駿、高畑勲、富野喜幸、渡辺岳夫らが参加している。
[編集] 作風
- 不幸もの
- 孤児になったり、奉公に出されたり、不幸な状況にある少年少女が自らの力で困難を乗り越えていくパターンである。
- 『ペリーヌ物語』、『小公女セーラ』、『牧場の少女カトリ』、『ロミオの青い空』、『家なき子レミ』、『レ・ミゼラブル 少女コゼット』などの作品がこれに分類される。
- 冒険もの
- その名のとおり、主人公たちが冒険をする、というパターン。
- 『トム・ソーヤーの冒険』、『家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』、『七つの海のティコ』、『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』などの作品がこれに分類される。
- 家族もの
- 家族愛に満ちたホームドラマ的な内容に仕上がっているパターン。
- 『南の虹のルーシー』、『愛の若草物語』、『トラップ一家物語』、『若草物語 ナンとジョー先生』などの作品がこれに分類される。
[編集] 歴史
放映時期の初期である1970年代において既に人気番組で、『カルピスまんが劇場』・『オールスター家族対抗歌合戦』・『サザエさん』・『マジンガーZ』(続編の『グレートマジンガー』や『UFOロボ グレンダイザー』など)の4本立てが、日曜日宵の幼い子供のいる家庭の定番であった。
一説には、MBS(TBS系列)の『まんが日本昔ばなし』に対抗して作られた番組とも言われているが、『まんが日本昔ばなし』の放映開始は1975年1月、すなわち『アルプスの少女ハイジ』の翌年、『フランダースの犬』と同時期であるため、これは正しくない。
しかし、1983年と1984年頃は人気が低迷した。『パーマン』や『キン肉マン』など日曜朝の他局放映のアニメが人気を集めた為、日曜日には夕方より朝がむしろアニメ・子供向け番組の枠であるという見方が広がったこと、NHK総合で『クイズ面白ゼミナール』が同時間帯に放映され『よい子向け番組』同士の食い合いとなったなどの外的要因のほかに、同時期の世界名作劇場作品が暗いとされたこと、既存作品が再放送枠に多数放映されたなどの内的要因もある。
その後、1985年の『小公女セーラ』が成功したことを受け、1986年から1988年までにフジテレビも夕方のアニメ枠をてこ入れし、年少の子供やファミリー層に見やすい番組をそろえたことなどにより、裏で『クイズ百点満点』や『テレビ探偵団』など人気番組でかつ視聴者層の食い合う番組があり、ビデオなどで旧作が容易に見られるようになったにもかかわらず復調した。
又、1990年代前半は前時間帯である19:00~19:30の時間が『キテレツ大百科』、後時間帯の20:00~20:54については『ダウンタウンのごっつええ感じ』だった為、当時は『キテレツ・世界名作・ごっつええ感じ』と三大超人気番組がフジテレビの日曜ゴールデンタイムを支え、視聴率も民放トップになる時も当時はかなり多かった。しかし、末期は年々のマンネリ化を防ぐことができず、裏番組のTBS系『さんまのSUPERからくりTV』に押されるなどして視聴率が低迷していた。
1997年3月に『家なき子レミ』が完結し、フジテレビのお台場に移転と同時に惜しまれつつも一旦終了。後番組は同じく日本アニメーション製作のテレビアニメ『中華一番!』が同時間帯に放送された。
2006年、10年ぶりの新作となる第24作『レ・ミゼラブル 少女コゼット』(全52話予定)の製作が発表された。これはフジテレビと中国・中央電視台の共同製作で日本ではBSフジで2007年1月7日より以前と同じ時間帯の毎週日曜19:30~20:00に放送される。
[編集] 再放送
2007年現在、Yahoo!とGooでインターネットで配信中。
地上波各局でのローカル枠のほか、NHKのBS2、CS放送局のファミリー劇場やキッズステーションで頻繁に再放送されている。
また、2002年には過去23作品について、前・後編(合わせて約90分)にて再編集された「完結版」が制作され、BSフジで放送されたほか、2007年2月より、CS放送局のアニマックスにて順次放送されている。
なお、本放送のあった時代の再放送は、まずは本放送を行うフジテレビとその系列局にはじまった(最も古い放送例は、1971年9月のフジテレビ平日午後6時枠での『ムーミン』放送)。本放送の人気の全盛期には、系列局において初期~中期の作品の再放送が1社提供で行われた例も多い。そのスポンサーは当時当該放送エリアの子供らに馴染みの深い企業であることが多く、この枠のファミリー受けが各地で認知されていたことがうかがえる。例えば、関西テレビでのパルナス製菓提供、仙台放送でのエンドーチェーン提供などである。また、特に1社提供の場合、しばしば日曜朝が再放送枠となることもあった。
その後、他の系列局やNHK衛星放送などでも放送が増えた。特にNHK衛星放送は1990年前後にこの枠の作品が「衛星アニメ劇場」の看板作品だった。テレビ東京も1990年代後半(世界名作劇場枠終了直後?)に『ふしぎの島のフローネ』放送の例がある。反面、従来(長年)再放送を行ってきたフジテレビとその系列局の再放送は影を潜めた。平日午後~夕方や日曜朝の時間帯が、ドラマ再放送などに充てられたためと思われる。
海外放映も盛んで、いろいろな国で放映されている。韓国・台湾・中国・フィリピンなどの東・東南アジアや、ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・アメリカ合衆国等欧米、中東等。ちなみに東南アジア地域では『名犬ラッシー』を除く全作品が放送された。アメリカ合衆国では『トム・ソーヤーの冒険』と『若草物語』の数話分しか紹介されていない。
[編集] 本放送時の大人の評価
本放送時の全期間において(特に1970年代などの初期~中期において)、当時の親や教育者の多くは、この枠の作品を教育上良い子供向け番組とみなし、子供らの視聴を推奨した。親自身は好まなかった場合も多いが、その場合も子供の視聴は黙認する者が多かった。PTAなども上位で「子供に見せたい番組」に挙げていた。
反面、初期では「フランダースの犬」、後期では「小公女セーラ」などについて「かわいそう過ぎる」とする見方もあった。
また本放送枠は日曜日の宵であり、大人(特に子供らの父親である壮年男性)にとって数少ない自宅でのくつろぎの時でもあった(特に週休二日制導入以前の時代)。その時間帯での子供向け番組の放送は、彼らが見たいテレビ番組の視聴を阻む側面もあった。それを残念がる人もいたという(新聞の「フランダースの犬」本放送時の番組紹介もこのことが記載された)。なお、この時間帯で壮年男性層が好んだテレビ番組の主なものとしては、プロ野球中継の他、「お笑いオンステージ」などのNHK総合テレビ枠、「象印スターものまね大合戦」などのテレビ朝日(1977年3月まではNET)枠などがあった。
1990年代に入ると、子供らの父母にも子供時代にこの枠の初期作品を親しんだ層が増えた。このため、子供のこの枠の新作の視聴で自分が見たい番組を見られないと思う親も減り、むしろ親子で馴染みの番組を見られると評価する人が増えたが、皮肉にもこのころから人気は下降線をたどっていった。
[編集] 非採用作品
「末期はネタ切れだった」という指摘があるが、これはストーリー選考の際に様々な制約(「悲劇的な結末の物語は避ける」etc)があり、使える物語の数がこれによって絞られ、ネタ切れではないものの、使える物語が無い状態であった。
また、放送作品としてリストアップしたものの、原作者や著作権者からアニメ化する事を断られたり、「名作劇場は儲かる」と考えた人達が、有名な作品の権利を先に押さえてしまい採用出来なくなったという噂もある。
最終選考まで残ったが、結局採用されなかった物語の代表的な例としては『巌窟王』や『子鹿物語』がある。(『巌窟王』は2004年にテレビ朝日、『子鹿物語』は1983年にNHKでアニメ化)。悲劇的な結末の物語としては『フランダースの犬』があるが『子鹿物語』の場合は、主人公自身が最後には可愛がっていた鹿に手をかけて殺す物語であるという展開が敬遠されたとも言われている。
[編集] シリーズ一覧
[編集] カルピスまんが劇場
- 1969年 どろろと百鬼丸
- ※『世界名作劇場』の該当作品ではないが、『カルピスまんが劇場』の冠が付いていた。
- 1969年~1970年 ムーミン
- 1971年 アンデルセン物語
- 1972年 ムーミン(新)
- ※以上、3作品は、瑞鷹エンタープライズ及び虫プロダクション及び東京ムービーの作品である為、日本アニメーションの公式では『世界名作劇場』には含まれていない。
- 1973年 山ねずみロッキーチャック
- 1974年 アルプスの少女ハイジ
- ※以上、2作品は、ズイヨー映像時代の作品である為、日本アニメーションの公式では『世界名作劇場』には含まれていない。
[編集] カルピスこども劇場
[編集] カルピスファミリー劇場
- 1978年 ペリーヌ物語
- ※カルピスの経営不振の為、この作品で一社提供を終了。シリーズの最長作品(53回)である。
[編集] 世界名作劇場
以後、メインスポンサーが花王と味の素他の複数各社提供を中心となる。
- 1979年 赤毛のアン
- 1980年 トム・ソーヤーの冒険
- 1981年 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ
- 1982年 南の虹のルーシー
- 1983年 アルプス物語 わたしのアンネット
- 1984年 牧場の少女カトリ
[編集] ハウス食品世界名作劇場
ここからしばらくはハウス食品の一社提供。
- 1985年 小公女セーラ
- 1986年 愛少女ポリアンナ物語
- 1987年 愛の若草物語
- 1988年 小公子セディ
- 1989年 ピーターパンの冒険
- 1990年 私のあしながおじさん
- 1991年 トラップ一家物語
- 1992年 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー
- 1993年 若草物語 ナンとジョー先生(1987年に放送された、『愛の若草物語』の続編)
[編集] 世界名作劇場
ハウス食品が1994年4月に『ブロードキャスター』(TBS系)の番組提供(1分)すると同時にこの枠での一社提供スポンサーが終了し、ハウス食品とNTTの複数各社提供を中心となる。
- 1994年 七つの海のティコ(原作無しのオリジナル作品)
- 1995年 ロミオの青い空(1年1作品最後の作品)
- 1996年 名犬ラッシー
- 1996年~1997年 家なき子レミ(本作を以て一旦シリーズ終了)
[編集] ハウス食品世界名作劇場(BSフジ)
10年ぶりにシリーズ再開。なお、放送はフジテレビ系BSデジタル放送局のBSフジに移った(チャンネルは異なるが、放送時間は前作までの伝統を踏襲し、日曜午後7時30分から)。BSフジに移ったことによりハイビジョン製作となる。またインターネットサービスプロバイダ『BIGLOBE』でも放送話が翌日より配信される。ハウス食品が冠スポンサーとなっているが実際はそれをメインにバンダイとインデックスミュージックを加えた複数社提供である。
- 2007年 レ・ミゼラブル 少女コゼット
[編集] 番組の変遷
フジテレビ系 日曜19:30枠 | ||
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前番組 | カルピスまんが劇場~世界名作劇場 (どろろと百鬼丸~家なき子レミ) |
次番組 |
東京ぼん太ショー ※19:00 - 19:56 |
中華一番! | |
BSフジ 金曜16:00 - 16:55枠(2006年10月 - 12月) | ||
無意味良品(再放送) | アニメ世界名作劇場完結版 | ? |
BSフジ 日曜19:00 - 19:55枠(2006年10月 - 12月) | ||
東京の散歩道(再放送) | アニメ世界名作劇場完結版 | 19:00-? 19:30-レ・ミゼラブル 少女コゼット |
BSフジ 日曜19:30枠 | ||
アニメ世界名作劇場完結版 ※19:00 - 19:55 |
ハウス食品世界名作劇場 (レ・ミゼラブル 少女コゼット) |
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[編集] 備考・補足
原則として作品は1月に始まり同年12月に終わる(それ故、同じ日曜日放映で、期間も基本的にほぼ一致するNHKの『大河ドラマ』になぞらえ『大河アニメ』と呼ばれたこともある)。しかし『名犬ラッシー』は1月から同年8月、『家なき子レミ』は9月から翌年3月までと言う変則的な放映期間だった。
又、系列外の遅れネット局では(スポンサーが異なる為)、オープニングの『――劇場』のタイトル部分がカットされた状態で放送された。2007年の『レ・ミゼラブル 少女コゼット』もBIGLOBEの配信ではスポンサーレスのため企業名を冠しない『世界名作劇場』のタイトルに差し替えられている。
終了後、ハウス食品は関東ローカルの5分番組(現在は不明)、NTTは当時木曜20時枠に放送された『木曜の怪談'97』の提供を担当。その後、NTTは『強力!木スペ120分(1997年10月~1998年3月/木曜19時枠)『⇒『水曜21時ドラマ(1998年4月~2002年9月/期間中にNTT東日本・NTT西日本に変更)』を経て、現在は『土曜プレミアム(2002年10月~現在/前番組の『プレミアムステージ』時代から担当)』を番組提供をしている。
[編集] 外部リンク
- 世界名作劇場(バンダイビジュアル内)
- BIGLOBEキャラクター『世界名作劇場』
- 感動のアニメがよみがえる! goo アニメ『世界名作劇場』
- HIRAO'S HOME PAGE
- 韓国の関連サイト(朝鮮語)
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カルピスまんが劇場 | どろろと百鬼丸 - ムーミン - アンデルセン物語 - 山ねずみロッキーチャック - アルプスの少女ハイジ |
カルピスこども劇場 | フランダースの犬 - 母をたずねて三千里 - あらいぐまラスカル |
カルピスファミリー劇場 | ペリーヌ物語 |
世界名作劇場 | 赤毛のアン - トム・ソーヤーの冒険 - 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ - 南の虹のルーシー - アルプス物語 わたしのアンネット - 牧場の少女カトリ |
ハウス食品世界名作劇場 | 小公女セーラ - 愛少女ポリアンナ物語 - 愛の若草物語 - 小公子セディ - ピーターパンの冒険 - 私のあしながおじさん - トラップ一家物語 - 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー - 若草物語 ナンとジョー先生 |
世界名作劇場 | 七つの海のティコ - ロミオの青い空- 名犬ラッシー - 家なき子レミ |
ハウス食品世界名作劇場(BSフジ) | レ・ミゼラブル 少女コゼット |