攻撃機
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攻撃機(こうげきき)とは、軍用機の種類のひとつ。明確な定義は無いが現代では戦闘機と同じ程度の大きさで爆撃機と同じように対地攻撃を主とする飛行機のことをさす。
日本の自衛隊では、専守防衛の是に「攻撃」という言葉は馴染まないとされ、支援戦闘機の呼称を使う。支援戦闘機は、世界の軍事用語と異なる、自衛隊用語のひとつである。ただし、航空自衛隊はその運用上の要求から支援戦闘機に対しても一定レベルの要撃能力を求めており、一くくりに支援戦闘機=攻撃機、とするのは正しくない(戦闘攻撃機も含まれる為。)。
ロシアなど旧東側では、「シュトゥルモヴィーク」と呼ばれる機種や「戦闘爆撃機」と呼ばれる機種が攻撃機としての任務を行っている。
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[編集] 主な攻撃機
- A-10 サンダーボルトII
- A-4 スカイホーク
- A-6 イントルーダー
- A-7 コルセアII
- F-1
- F-2(戦闘攻撃機)
- F-117 ナイトホーク
- Il-2(シュトゥルモヴィーク)
- Il-10(シュトゥルモヴィーク)
- MiG-23BN(戦闘爆撃機)
- MiG-27(戦闘爆撃機)
- Su-7(戦闘爆撃機)
- Su-17(戦闘爆撃機)
- Su-24(戦闘爆撃機)
- Su-25(シュトゥルモヴィーク)
- Yak-38(シュトゥルモヴィーク)
- トーネードIDS
- ジャギュア
- ミラージュ5/50
- 強撃5型
- スーパーマリン・シミター
- ハリアー
[編集] 攻撃機と爆撃機と戦闘機
攻撃機と爆撃機については歴史的に呼称が錯綜している。 そのため、両者の歴史・特徴については一括して爆撃機に記載したので、詳細はそちらを参照のこと。
一般的には、攻撃機のほうが爆撃機より小型であるとされる。 第二次世界大戦後、アメリカ海軍が急降下爆撃と雷撃の両方の任務をこなせる機体を攻撃機と称し、その後急降下爆撃や雷撃が廃れた後においても、対艦・対地攻撃をこなす機体を攻撃機と称した。必然的に艦上機である以上は、あまり大型の機体にはできない。 一方アメリカ空軍においては、戦闘爆撃機の性能が向上し爆撃機の任務を十分こなせるようになったがために、軽爆撃機というカテゴリが消滅し、大型爆撃機のみが純粋な爆撃機として残る事になった。 これにより攻撃機は、爆撃機より小型の機体であるという認識ができあがった。
一方で戦闘機との区別についても、錯綜している状態である。主な攻撃機の欄にあげられているF-1/F-2/F-117は、一応はF番号がつけられており、戦闘機に分類されている。F-117は戦闘機としての使用は不可能であるとされるが、F-1は戦闘機としての使用は不可能ではなく、F-2に至っては戦闘機として能力を高める改造が計画されている。ハリアーはイギリス空軍とアメリカ海兵隊では攻撃機として使用されているが、イギリス海軍が装備する改良型は艦上戦闘機として使用されている。元来、攻撃機といえど機関砲やミサイルを装備し、一部の例外を除いて戦闘機としての使用は不可能ではない。戦闘機が攻撃機(ないし爆撃機)としても十分な能力を持つに至って、両者の区別が錯綜し始めているのである。
[編集] 日本海軍での分類
日本海軍では 急降下爆撃を行える機体を爆撃機、水平爆撃および雷撃のみを行える機体を攻撃機と呼んだ。そのため現代の定義とは逆に、攻撃機のほうが爆撃機より大型の機種になる。例えば下記九六式や一式は、当時のドイツのHe 111に相当する重爆撃機だが、急降下爆撃を行えないため攻撃機とされた。後継機の銀河は機体強度を増して急降下爆撃が可能だったので、陸上爆撃機であった。海軍の攻撃機は大型機でも魚雷を搭載して敵艦を雷撃した。