新谷かおる
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新谷 かおる(しんたに かおる、本名:新谷薫、男性、1951年4月26日 - )は、日本の漫画家。大阪府豊中市出身。代表作に『エリア88』など。
目次 |
[編集] 人物・概要
当初、高校を卒業するまでは操縦士を目指していたが、色覚異常が確認され断念。その後航空貨物関係の仕事を経て漫画家への道を進む。操縦士への道を断たれた反動か、初期の代表作品には「ヒコーキネタ」が多い。
1972年、『りぼん秋の増刊号』に掲載された『吸血鬼はおいや!?』でデビュー。
大和和紀、山岸凉子のアシスタントを経て1973年に松本零士のアシスタントを経験する。趣味を生かして「資料製作」を行っており、松本の作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場するヤッタラン副長のモデルとなった(ヤッタラン副長がいつもプラモデルで遊んでいるのは、その為とも言われている)。 夫人は漫画家・佐伯かよの。
画風は、初期は松本の影響が強かったが、徐々に独自性を確立。少女漫画家志望だったということもあり、人物は繊細なペンタッチで描かれる。作品の一部のキャラクターは、佐伯かよのが描くこともある(例:『エリア88』のジュリオラ)。逆に、佐伯作品中のメカニックを新谷が描くこともある。メカニックの描写は独特のパースが松本から受け継がれ、さらに昇華されたものとなっており、現存する漫画家でこれを継承できているものはいない。
メカニックと人間を絡めたロマン、シリアスとギャグをミックスした作風が特徴。 登場人物は、時として人生、社会、戦争、テクノロジーなどに関する哲学的なセリフを話す。
趣味は、バイク、カメラ、プラモデル、飛行機などで、その知識が作品に活かされている。
新谷の元アシスタントとしてはゆうきまさみが有名であり(その当時、ゆうき自身は会社員でもあり、二足のわらじを履いていたことになる)、交友関係もある関係か、ゆうきまさみの出世作『究極超人あ~る』には新谷夫妻の子供の名前をネタとして出している他、逆に近年の新谷の作品に出てくるキーパーソンキャラは、『機動警察パトレイバー』に出ている敵方のシャフトの内海がモデルとなっている(このキャラについては『パトレイバー劇場版化第一作目』の公開前にスペシャル版として出したムック本で、ゆうきとの師弟対談のコーナーがあり、その時に新谷が内海のキャラを大変気に入り、使用しても良いかとたずねた所、それをゆうきが承諾した為、使われる様になった)。ほかに有名どころでは島本和彦がたびたび手伝いに訪れていたことを島本が自著にて語っている。(これがアシスタントと言えるかどうかについては雇用および拘束期間についての説明がされたことがないので断定はできない。)島本はその後同人誌「新谷かおるになる方法」にてその経験や、新谷かおるの著作への分析と見解を語っている。
同人活動については特に精力的な時期があり、砂の薔薇を題材に有名漫画家とのコラボレーションを実現している。
[編集] 経歴
- 1972年、『吸血鬼はおいや!?』でデビュー
- 1985年、第30回小学館漫画賞受賞(『エリア88』、『ふたり鷹』)
[編集] 作品リスト
50音順
- 紅たん碧たん(あかたん あおたん)(1984年-1985年、週刊少年サンデー増刊号、小学館)-『ファントム無頼』終了後に掲載。任侠もの。
- 宇宙からのメッセージ・銀河大戦 - 特撮テレビドラマのコミック化。
- エラン(1989年-1991年、少年キャプテン、徳間書店) - 商社もの。
- エリア88:(1979年-1986年、少年ビッグコミック、小学館)- 親友の裏切りによって内戦中の国の傭兵部隊へと送り込まれた主人公が、恋人の居る日本へ生きて戻ることを誓って戦闘機パイロットとして戦うことに。
- ガッデム(Goddamn)(1988年-1990年、ビッグコミックスペリオール、小学館)- ラリー漫画
- クレオパトラD.C.(Cleopatra D.C.)(1988年-1991年、コミックバーガー、スコラ)
- コブラ11(1983年、月刊少年マガジン、講談社)―1983年7月号掲載の読み切り作品。ベトナム戦争中の日系攻撃ヘリパイロットの物語。戦場ロマン系。
- 戦場ロマンシリーズ(1977年-、月刊プレイコミック)
- ジェントル萬(ジェントルまん)(1991年-1993年、コミックバーガー) - F1もの。
- 白と黒の羊(1986年、コミックNORA)
- シリーズ1/1000sec(1980年、月刊マンガ少年、朝日ソノラマ) - カメラ、カメラマンもの。
- 銀色の照星(1978年、ヤングコミック、少年画報社) - 警察もの。
- ソニック・デザーター(1978年、週刊漫画)
- 砂の薔薇(1989年-1998年、月刊アニマルハウス、白泉社)- 女性隊員だけで構成される半軍半民の対テロ組織の活躍を描くアクション物。
- 刀神妖緋伝(とうしんようひでん)(1999年-、コミックフラッパー、メディアファクトリー)
- ドラゴン株式会社(1996年-1997年、少年キャプテン、メディアファクトリーより単行本化)
- ドラゴン株式会社2(2003年-、コミックマーケット用同人誌作品、上記作品の続編)
- パスカルシティ(1986年-1987年、少年ビッグコミック) - エリア88終了後の連載。宇宙開発もの。
- バランサー(1985年-1986年、週刊少年サンデー):(当初の題名ジャップは、編集者承認の元に使用していたが、日本の蔑称であり、各所からクレームが付いたため変更される。)
- 左のオクロック(1988年、少年キャプテン) - バイクもの。
- 日の丸あげて(1999年、コミックバーズ、幻冬舎) - エアレースもの。
- ファントム無頼(1978年-1984年、週刊少年サンデー増刊号、小学館)- 原作 史村翔、航空自衛隊百里基地・第305飛行隊(実在する)を舞台にF-4ファントム乗りであるパイロット・神田鉄雄とナビゲータ・栗原宏美が中心になり織り成すドラマ。
- ふたり鷹(1981年-1985年、週刊少年サンデー、小学館)-バイクレーサー沢渡鷹と東条鷹、出生の秘密を持つふたりの鷹がライバルとして競い合う。
- ぶっとび!!CPU(1993年、ヤングアニマル、白泉社)- 未来からやってきたパソコンを名乗る美少女アンドロイドと同居することになった青年を主人公としたエロコメ。
- 烈風伝(れっぷうでん)(1994年-1995年、コミックガイズ) - 競技スキーもの。
- ALICE12(アリス トゥエルヴ)(1987年、少年ビッグコミック)(その後、月刊BIRZで再録されスコラ社から単行本発売) - 航空貨物を題材にした飛行機もの。
- NAVI(2000年-2002年、ヤングマガジンGT新増刊号、講談社) - ラリーもの
- Queen1313(クィーン ダブルサーティーン)(1981年、マイアニメ) - SF(スペースオペラ)
- RAISE(レイズ)(2004年- ヤングキングアワーズ、 少年画報社) - 第二次世界大戦もの
[編集] その他の仕事
- 宇宙大帝ゴッドシグマ (1980年) - テレビアニメ。キャラクター原案を担当。
- コスプレ戦士 キューティ・ナイト (1995年) - 実写ビデオ作品。シンタニ司令長官を演じる。
[編集] アニメ化された作品
- エリア88(1985年) - 全3話のOVAシリーズが製作された。「ACT I 裏切りの大空」「ACT II 狼たちの条件」「ACT III 燃える蜃気楼」の3本。「ACT I」と「ACT II」は再編集され、1985年に映画版として公開された(その後、テレビ東京でも放映された)。キャストは、風間真を塩沢兼人、ミッキー・サイモンを富山敬、サキを志垣太郎が演じた。
- エリア88(2004年) - 全12話のシリーズがテレビ朝日の深夜枠で放映された(2004年1月9日 - 2004年3月26日)。戦闘機などのメカニックにCGが使われた。オープニングテーマにバッハの『小フーガ』のアレンジ版が使われた。オリジナルキャラクターとして、カメラマンの新庄真(まこと)、女性パイロットのキトリが登場。新庄真は作品の「狂言回し」的な役割となっている。風間真は子安武人が演じた。しかし、全くヤル気の無い監督が原作の設定・世界観を無視し過ぎた作品作りをした為、生粋の「エリパチファン」を中心に猛バッシングを喰らう。
- ふたり鷹 - 全36話のシリーズがフジテレビ系列で放映された(1984年9月27日 - 1985年7月12日)。製作は国際映画社。キャストは、沢渡鷹を古谷徹、東条鷹を塩沢兼人、沢渡緋沙子を藤田淑子が演じた。
- 左のオクロック - 全2巻のOVAが、1989年に徳間コミュニケーションズから発売された。第1巻は「旅立ち」第2巻は「ビギナーズ・ラック」。キャストは佐々木望他。
- クレオパトラD.C. - 全3巻のOVAが、1989年から1991年に東映ビデオから発売された。第1巻は『アポロンの雷(いかずち)』。クレオパトラは川村万梨阿が演じた。
- ガッデム - 全2巻のOVAが1990年にビクターから発売された。第1巻は『サバイバルチェイサー』、第2巻は『ゴーアヘッド』。キャストは山寺宏一他。
- ぶっとび!!CPU - 全3巻のOVAが、1997年に、セクシー系の作品を手がける「ピンクパイナップル」レーベルから発売された。監督は後に劇場版ポケットモンスターを演出する日高政光、キャストは、三石琴乃、宮村優子らが名を連ねている。
- 砂の薔薇 - 2000年に「まんがビデオ」が発売された。(「まんがビデオ」とはセルアニメーションのような動画ではなく、漫画の原画を撮影したものに効果を施し、声優による声や効果音を付けるという形式で製作されたシリーズ)また、1993年には、東映ビデオより、「砂の薔薇 雪の黙示録」が発売されている。内容が一部漫画とリンクしている(エピソード「チームA」)。
[編集] 関連商品
[編集] レコード
- エリア88 - 1984年4年21日、キングレコードからアルバムが発売された(スターチャイルドのコミックス・オリジナルアルバム・シリーズ)。音楽は新田一郎が担当。
- ファントム無頼 - 1985年8月31日、東芝EMI株式会社よりLPレコードが発売された。STAFF 企画/宇佐美廉 制作/(株)ユーメックス 音楽/渡辺博也 全10曲。
[編集] 模型
- ファントム無頼
- ふたり鷹
- 1984年頃、TVアニメ化のタイアップ商品として有井製作所から主人公他のキャラクターが乗った、デフォルメバイクのプラモデルが発売された。
[編集] コンピュータゲーム
- エリア88 一角獣の軌跡 - 1995年にファミリーソフトより発売された、3Dポリゴンを使用したフライトシューティングゲーム。PC9801シリーズ用。
- エリア88 エトランジェ1995 - 1995年にファミリーソフトより発売された、PC9801シリーズ用戦術シミュレーションゲーム。
- エリア88 - カプコンが1989年にアーケード版を、1991年にスーパーファミコン版を発売した2D横スクロールシューティングゲーム。プレイヤーはシン、ミッキー、グレッグのいずれかを選び、マッコイ爺さんから機体や武器を購入(アーケード版では機体は固定)、サキの命令により出撃する(スーパーファミコン版ではステージセレクト可能)。レベルアップ式のショットと、選択可能なアイテムを使用するオーソドックスなシステムで、ミッション達成ごとに報酬が支払われ、それによってアイテムを購入することができる。スーパーファミコン版では、Easy,Normal,Hardと裏技にてGamerの4段階に難易度選択が可能。
[編集] 関連記事
[編集] 研究書
- まんが情報誌「ぱふ」1982年5月号 - 特集:新谷かおる
- まんが情報誌「ぱふ」1984年7月号 - 特集:新谷かおる2
- 「いきなり最終回 PART3」(JICC出版局 1991年) - 『エリア88』の最終回が掲載。
[編集] その他のメディア
- 読売新聞 1985年10月20日 読者投稿欄 - 『ファントム無頼』を読み、空を翔ける男たちの友情物語に感動して航空自衛隊に入った娘について記した母親の投稿が載った。
- 防衛庁広報誌「セキュリタリアン」1992年11月号 - 自衛隊を描いた作品の特集記事で『ファントム無頼』が取り上げられた。(他に、原作・史村翔の『右向け左!』、『沈黙の艦隊』『青空少女隊』などが取り上げられていた)
- 月刊「コンバット・マガジン」1984年頃 - 怪獣映画の記事に、『ファントム無頼』の神田・栗原のコンビが陸自の戦闘服姿で怪獣に対峙するイラスト(記事執筆者による)が載った。
- 月刊「コンバット・マガジン」1984年頃 - パイロット用ヘルメットの塗装ガイドの記事に、風間真バージョンの塗装が製作事例として載った。
- 月刊「Gun」1984年頃 - 射撃講座の連載(作者:みかわしん)の講師役に、外見が風間真に似たキャラクターが登場した。
- 「別冊宝島235:いきなり最終回」1990年代後半 - 漫画の連載打ち切りに関する記事で自身の体験を話した。
- 月刊「航空ファン」2003年1~12月号 - コラム「エマージェンシーな日々」を連載した。
- 世界の傑作機 No.96 F-5E/FタイガーII,F-20タイガーシャーク - インタビューの掲載、内容はエリア88誕生秘話
- フィギュア誌「レプリカント」16号(2004年5月28日発行) - 松本零士との対談が掲載。アシスタント時代の話など。「ヤッタラン」は大阪弁の「やっとられん」から来ているとのこと。
[編集] 似た世界観を持つ作品
- 鳴海章の小説 - 『ゼロと呼ばれた男』(1993年)は、空自F-4パイロットが中東で活躍するなど、『エリア88』と『ファントム無頼』を思わせるキャラクター、雰囲気を持つ。また『原子力空母信濃』シリーズでは、『ファントム無頼』の影響でF-4が活躍する小説を書いたと本人が明言している。
- 映画『ベストガイ』(1990年) - 日本版『トップガン』として知られるが、女性がリーダーのテレビクルーが基地を取材するという話は『ファントム無頼』でも見られた。
- 漫画『イーグルドライバー』作・清水としみつ - 少年キャプテン(徳間書店)掲載。空自・小松基地のF-15パイロットの物語。少年誌の空自パイロットものとして『ファントム無頼』を受け継ぐ存在であった。機体は製図のような画風で描かれ、精密な反面、やや迫力に欠けるところがある。
- 漫画『ちょびっツ』は人型PCという設定であるが、これは『ぶっとび!!CPU』と酷似している。そのためか、『ぶっとび!!CPU』の文庫版の帯には『ちょびっツ』を煽るようなフレーズが書いてある。
[編集] 師匠
[編集] アシスタント
[編集] 外部リンク
- 八十八夜 新谷かおる公式ホームページ - 公式サイト。同人誌通販、掲示板など。