樽見鉄道樽見線
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樽見線（たるみせん）は、岐阜県大垣市の大垣駅から岐阜県本巣市の樽見駅に至る樽見鉄道の鉄道路線である。
大垣～神海間は旧国鉄の特定地方交通線を転換、神海～樽見間は旧日本鉄道建設公団建設線であった路線である。本来、この路線は鉄道敷設法別表の「大垣ヨリ福井県大野ヲ経テ金沢ニ至ル鉄道」の一部であったが、国鉄時代は神海駅までの開業にとどまり以北の建設は凍結された。樽見駅までは7割ほど完成していたことから転換後に工事を再開し延伸開業した。
住友大阪セメント岐阜工場のセメント輸送のため、大垣～本巣間には貨物列車も運行されていた。 このセメント輸送は営業収入の約4割を占めていたが、2004年に住友大阪セメントが鉄道輸送の利用を2005年度末で打ち切ることを表明し、2006年3月28日限りでセメント輸送貨物列車の運行を終了した。樽見線の貨物輸送は1990年度には約54万トンあったが、2002年度には約17万トンまで減少していた。今後の経営への影響が懸念されており動向が注目されている。
目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
朝と夜に区間運転列車があるほかは大垣～樽見間の運転で、1時間半に1本の運行である。レールバスで運行されているが、2006年3月4日までは平日の朝の通学時間帯の大垣～本巣間の1往復は客車で運行されていた。終点の本巣市根尾にある淡墨桜の見物客で賑わう春の観桜シーズンには特別ダイヤが組まれていたが、2006年は通常ダイヤでの運行となった。ただし、モレラ岐阜の利用客対応のため、臨時列車が運行されている。
本巣～樽見間の大垣方面に接続しない列車も朝に下り1本運行されている。
2006年4月20日までは毎時1本程度の運行で、本巣～樽見間に早朝と深夜の1往復、通過駅のある便が設定されていた。
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
樽見線の近年の輸送実績を下表に記す。輸送量が増加した時期もあったが、最近では一貫して減少している。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
| 年 度 | 輸送実績（乗車人員）：万人／年度 | 貨物輸送量 万ｔ／年度 |
特 記 事 項 | |||
| 通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | |||
| 1984年（昭和59年） | 4.8 | 15.1 | 11.2 | 31.1 | 33.7 | 国鉄より転換 開業 |
| 1985年（昭和60年） | 9.9 | 32.6 | 23.4 | 65.9 | 53.5 | |
| 1986年（昭和61年） | 10.9 | 37.4 | 24.4 | 72.7 | 49.9 | |
| 1987年（昭和62年） | 9.7 | 40.1 | 24.2 | 74.0 | 49.1 | |
| 1988年（昭和63年） | 9.4 | 44.6 | 27.9 | 81.9 | 48.7 | 神海～樽見間延伸開業 |
| 1989年（平成元年） | 9.0 | 50.5 | 36.0 | 95.5 | 50.7 | |
| 1990年（平成2年） | 8.8 | 55.0 | 36.4 | 101.2 | 56.7 | |
| 1991年（平成3年） | 9.4 | 56.1 | 35.0 | 100.5 | 56.0 | |
| 1992年（平成4年） | 9.6 | 56.4 | 35.4 | 101.4 | 45.8 | |
| 1993年（平成5年） | 9.9 | 52.9 | 35.5 | 98.3 | 37.1 | |
| 1994年（平成6年） | 9.2 | 54.5 | 33.1 | 96.8 | 44.2 | |
| 1995年（平成7年） | 8.8 | 58.0 | 37.4 | 104.2 | 34.9 | |
| 1996年（平成8年） | 8.8 | 57.3 | 37.6 | 103.7 | 38.6 | |
| 1997年（平成9年） | 8.2 | 52.6 | 34.3 | 95.1 | 33.5 | |
| 1998年（平成10年） | 8.1 | 47.3 | 33.1 | 88.5 | 31.5 | |
| 1999年（平成11年） | 7.2 | 42.1 | 30.4 | 79.7 | 40.6 | 新型車両1両（315号車）導入 |
| 2000年（平成12年） | 6.7 | 38.7 | 30.3 | 75.7 | 38.6 | |
| 2001年（平成13年） | 6.5 | 39.5 | 27.9 | 73.9 | 26.6 | |
| 2002年（平成14年） | 5.9 | 40.6 | 25.2 | 71.7 | 18.8 | 織部駅開業 |
| 2003年（平成15年） | 6.5 | 39.7 | 25.9 | 72.1 | 16.4 | |
| 2004年（平成16年） | 7.2 | 35.0 | 24.6 | 66.8 | 14.9 | |
| 2005年（平成17年） | 新型車両1両（516号車）導入 | |||||
| 2006年（平成18年） | モレラ岐阜駅開業 | |||||
[編集] 収入実績
樽見線の近年の収入実績を下表に記す。収入総合計額は年々減少している。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
| 年 度 | 旅客運賃収入：千円／年度 | 貨物運輸 収入 千円／年度 |
運輸雑収 千円／年度 |
総合計 千円／年度 |
||||
| 通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | ||||
| 1984年（昭和59年） | 19,652 | ←←←← | 34,966 | 0 | 54,619 | 148,705 | 1,279 | 204,603 |
| 1985年（昭和60年） | 42,769 | ←←←← | 56,525 | 0 | 99,294 | 239,526 | 3,102 | 341,922 |
| 1986年（昭和61年） | 47,798 | ←←←← | 57,999 | 0 | 105,797 | 222,195 | 1,412 | 329,404 |
| 1987年（昭和62年） | 14,476 | 33,694 | 54,513 | 0 | 102,683 | 212,458 | 2,504 | 317,645 |
| 1988年（昭和63年） | 15,057 | 39,844 | 77,392 | 0 | 132,293 | 205,428 | 2,262 | 339,983 |
| 1989年（平成元年） | 15,362 | 51,144 | 137,444 | 0 | 203,950 | 213,700 | 2,472 | 420,122 |
| 1990年（平成2年） | 14,727 | 59,302 | 128,259 | 0 | 202,288 | 230,333 | 2,578 | 435,199 |
| 1991年（平成3年） | 15,751 | 60,185 | 132,484 | 0 | 208,420 | 245,299 | 2,310 | 456,029 |
| 1992年（平成4年） | 16,454 | 61,890 | 135,255 | 0 | 213,599 | 214,734 | 2,583 | 430,916 |
| 1993年（平成5年） | 17,754 | 61,630 | 149,383 | 0 | 228,767 | 201,982 | 2,475 | 433,224 |
| 1994年（平成6年） | 16,699 | 64,474 | 135,971 | 0 | 217,144 | 208,455 | 2,804 | 428,403 |
| 1995年（平成7年） | 14,673 | 68,285 | 152,099 | 0 | 235,057 | 161,920 | 2,777 | 399,754 |
| 1996年（平成8年） | 14,997 | 69,087 | 157,200 | 0 | 241,284 | 186,750 | 4,140 | 432,174 |
| 1997年（平成9年） | 14,416 | 64,400 | 138,690 | 0 | 217,506 | 163,214 | 2,690 | 383,410 |
| 1998年（平成10年） | 14,423 | 57,461 | 131,270 | 0 | 203,154 | 146,536 | 2,459 | 352,149 |
| 1999年（平成11年） | 12,876 | 52,622 | 117,957 | 0 | 183,455 | 175,707 | 2,696 | 361,858 |
| 2000年（平成12年） | 11,828 | 48,413 | 119,121 | 0 | 179,362 | 164,039 | 5,418 | 348,819 |
| 2001年（平成13年） | 10,892 | 50,465 | 107,335 | 0 | 168,692 | 108,135 | 5,163 | 281,990 |
| 2002年（平成14年） | 10,092 | 51,180 | 92,794 | 0 | 154,066 | 76,086 | 25,129 | 255,281 |
| 2003年（平成15年） | 10,857 | 49,355 | 95,058 | 0 | 155,270 | 66,979 | 15,710 | 237,959 |
| 2004年（平成16年） | 12,354 | 42,645 | 88,905 | 0 | 143,904 | 62,527 | 9,088 | 215,519 |
| 2005年（平成17年） | ||||||||
| 2006年（平成18年） | ||||||||
[編集] 歴史
鉄道敷設法別表第74号に規定する「岐阜県大垣ヨリ福井県大野ヲ経テ石川県金沢ニ至ル鉄道」で、建設着手は太平洋戦争前の1935年であった。戦時中は一時工事が中断したが、1952年に再開、1956年に漸く谷汲口まで開業、1958年には神海まで延伸された。
沿線はもともと人口があまり多くなく、人の流れも大垣ではなく岐阜に向かっていた（後に高校の学区が設定され、沿線の大半で大垣の県立普通科への進学ができなくなったためこの傾向は強まった）ため、本巣に誘致された住友セメント（現・住友大阪セメント）の工場から積み出されるセメント輸送が当初から頼みの綱であった。この傾向は平野部で宅地化が進んでからも変わっていない。
1980年に国鉄再建法が公布されると、旅客輸送密度の小さい盲腸線であった樽見線は第1次特定地方交通線に選定され、廃止対象となってしまった。
沿線では、通学輸送と貨物輸送を確保する観点から第三セクター方式での路線存続を選択し、大垣市に本社を置く貨物専業の西濃鉄道や住友セメントを主な株主として樽見鉄道が設立され、1984年に転換された。転換後は、列車増発などの積極策が奏功し、順調な滑り出しとなった。この好調さを受け、工事が70%まで進捗していた神海～樽見間の工事が1986年に再開され、1989年に延長開業を成し遂げている。
- 1956年3月20日 【開業】樽見線 大垣～谷汲口（21.7km。貨物営業は大垣～美濃本巣（16.3km）） 【駅新設】東大垣、十九条、美江寺、本巣北方、糸貫、美濃本巣、谷汲口
- 1958年1月15日 【駅新設】木知原
- 1958年4月29日 【延伸開業】谷汲口～美濃神海（2.3km） 【貨物営業開始】美濃本巣～美濃神海（7.7km） 【駅新設】美濃神海
- 1960年2月15日 【駅新設】横屋
- 1974年10月1日 【貨物営業廃止】美濃本巣～美濃神海（-7.7km）
- 1981年9月18日 第1次特定地方交通線として廃止承認。
- 1984年10月6日 【転換】樽見鉄道 大垣～神海（23.6km（改キロ）） 【駅名改称】本巣北方→北方真桑、美濃本巣→本巣、美濃神海→神海
- 1988年11月1日 大垣～本巣間がタブレット閉塞から自動閉塞になる。
- 1989年3月25日 【延伸開業・全通】神海～樽見（10.9km） 【駅新設】高科、鍋原、日当、高尾、水鳥、樽見
- 1989年7月12日 本巣～神海間がタブレット閉塞から自動閉塞になる。
- 2002年4月1日 【駅新設】織部
- 2006年4月21日 【駅新設】モレラ岐阜
- 2006年4月30日 【貨物営業廃止】大垣～本巣（-16.2km、貨物列車の運転は3月28日まで）
[編集] 駅一覧
大垣駅 - 東大垣駅 - 横屋駅 - 十九条駅 - 美江寺駅 - 北方真桑駅 - *モレラ岐阜駅 - 糸貫駅 - 本巣駅 - *織部駅 - 木知原駅 - 谷汲口駅 - 神海駅 - *高科駅 - *鍋原駅 - *日当駅 - *高尾駅 - *水鳥駅 - *樽見駅
- *印は転換時（後）に設置された新駅
