機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム
漫画
作者	飯田馬之介
出版社	角川書店
掲載誌	ガンダムエース
発表期間	2003年6月号 - 2006年6月号
巻数	全4巻
■テンプレート使用方法 ■ノート

『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』（きどうせんしガンダム そらのイシュタム）は、矢立肇/富野由悠季原案、飯田馬之介の漫画。漫画雑誌「ガンダムエース」に連載されていた。単行本全4巻が刊行されている。

---

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

---

目次 1 概要 2 登場人物 2.1 地球連邦軍 2.2 ジオン公国軍

[編集] 概要

一年戦争初頭、ブリティッシュ作戦についてのストーリー。アニメ版機動戦士ガンダムのオープニングで衝撃的なシーンとなっているスペースコロニー落着は、ガンダム世界の象徴的なシーンとして有名であるが、この作戦の詳細についてはほとんど語られたことがなかった。その空白部を描いている。

サイド2に進むジオン公国軍のムサイを追跡していたマゼランは、宣戦布告と同時に先制攻撃をうけ、アイランド・イフィッシュ内に不時着。しかし、彼らの見たものは毒ガスによって住民が全滅した風景だった。やがて、ジオン軍の狙いがコロニーを地球に落着させる作戦だということに気付き、艦の装備にあった核爆弾でコロニーを破砕しようとする。

それに対して、偶然このコロニーに紛れ込んでしまったザク小隊が、コロニーを制圧していた友軍に口封じを命じられ死闘を演じる。

作者である飯田氏はOVA作品機動戦士ガンダム 第08MS小隊の後期の監督を勤めた。それに関連してか設定上「アイランド・イフィッシュ」出身であり、毒ガス攻撃に巻き込まれたシロー・アマダが作品中盤で登場する。 画風が「風の谷のナウシカ」に似ているという指摘があるが、それは氏が宮崎駿氏の下にいたことがあるからである。

画風に似合わずストーリーは緊迫感のある白兵戦が主になっており、さまざまなところに垣間見える軍事的知識と、オリジナルストーリーの設定との整合性にはうならされることも多い。

表題の中の「イシュタム」とはマヤ神話に登場する死の女神の名前である。

ブリティッシュ作戦に使われたサイド2・1バンチの「アイランド・イフィッシュ」は、3つに分解して地球に落着したがその理由もこの作品で明らかにされる(ただし、従来の設定、および「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では、大気圏突入後に分解したということになっているが、この作品では大気圏突入前に3つに分解しそれぞれが突入したということになっている)。

[編集] 登場人物

[編集] 地球連邦軍

ナダ・チノミ

連邦軍中尉。マゼラン級戦艦トータチス兵器部所属。サイド3出身だが、ジオニストの父親に対する反発から、地球連邦軍の士官学校に入った変り種。主席で卒業した、優秀な軍人である。ジャブローにすむ妻子の命を守るために、コロニー落とし阻止に奮戦する。この作品の主人公の一人。

イライザ・オロマ

連邦軍中佐。トータチス艦長。奇襲を受け、艦と多くのクルーを失いながらも、「アイランド・イフィッシュ」内部にて、乏しい残存戦力でジオンに抵抗する。指揮、戦闘能力ともに優れた女傑である。また洞察力も高く、ジオンの目的がコロニー落としによるジャブロー攻撃だと早く気づいた。

ケイモス・サト

連邦軍曹長。トータチス兵器部所属。ナダの部下である女性軍人。

フュゼ

連邦軍少佐。トータチス副長。

シロー・アマダ

連邦軍仕官候補生。サイド2出身で、休暇中にジオンの作戦に巻き込まれる。「アイランド・イフィッシュ」に潜入したナダ達と合流し、シローも作戦に参加する。機動戦士ガンダム 第08MS小隊の主人公。

[編集] ジオン公国軍

エリザ・ヘブン

ジオン軍伍長。ムサイ級巡洋艦チェール所属ストレット小隊所属のMSパイロット。ザクIに搭乗。大きい胸とふくらはぎまで届く長い金髪の持ち主。アステロイドベルト出身だったが不幸な事故により家族を失い、連邦政府からの重税に耐え切れずジオン公国に身柄を買われる。その後パイロットとなる。エリザの姿をみたナダは彼女のことを「イシュタム」と呼んだが、それ以来ナダとエリザの二人はライバルとなり、コロニー落としをめぐって死闘を繰り広げる事になる。この作品の主人公の一人。

ストレット

ジオン軍少尉。ストレット小隊の隊長。ザクIに搭乗。同性愛者であり、そのことを公言している。部下であるエリザを含め、誰に対しても敬語で話すが、本質は冷徹な軍人であり、シビアな現実主義者である。