正常化
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正常化(せいじょうか)とは、異常とされる現状を、正常な状態に戻すこと。政治や思想などの問題では、何をもって正常とするかでしばしば対立が起こる。
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[編集] 国会における正常化
国会で審議が止まった状態から復帰すること。与党の強行採決や醜聞、野党の審議拒否などが「異常」の主な原因となる。
[編集] 外交における正常化
- 日中国交正常化
- 日朝国交正常化
[編集] 教育における正常化
戦後教育を「異常」とする立場から、「正常化」が主張される。保守・右翼が主とされる。中西輝政編『教育正常化への道 英国教育調査報告』(2005年、PHP研究所)など。対等な異論ではなく、全否定すべき存在と認識しているために「正常化」の語を使うと言える。従って、「異常」とされた側からは弾圧と批判されるケースが多い。
中西の編著は自由民主党、民主党議員がイギリスのサッチャー政権の教育政策を範として渡英した「英国教育調査団」の報告をまとめたものだが、現首相の安倍晋三も調査団に名を連ねていた。安倍政権が教育基本法改正を強行したのは、教育正常化の強い意欲があったからとされる。
具体的な内容としては、次が挙げられる。
- 愛国心を教育すること
- 国旗・国歌を尊重すること
- 「自虐的」な教育基本法の改正、歴史教科書の是正など
- 部落解放同盟や日教組など、「反日」とされる組織の無力化。公務員、特に教職員の労働争議及び政治的行為(政権に敵対する行為に限定されている点に注意)の完全な禁止
- ジェンダーフリーなどの過激な性教育を禁止する
[編集] その他の「正常化」事例
- 2006年2月、国際捕鯨委員会で、日本など捕鯨解禁派の諸国が「IWC(国際捕鯨委員会)正常化会合」を開催。捕鯨禁止派と激しく対立し、まともな議論さえできない現状を「異常」と認識し、捕鯨再開に向け対話を呼びかけたたもの。しかし、アメリカ合衆国など捕鯨禁止派は解禁派による買収などを理由に大半がボイコットした(あるいは双方による第三国の買収合戦になっているとも)。
- 日本銀行によるゼロ金利政策の解除を主張する論者は、「金利の正常化」と表現した。
- 異常事態に際し現状を把握できず、日常的文脈で解釈してしまうことを災害心理学で「正常化の偏見」と呼ぶ。「自分だけは大丈夫」という心理もこの一種とされる。
- チェチェン紛争において、ロシア側は自国の意に沿った形での解決を正常化と表現している。端的に言えばチェチェンの独立を認めないということであり、独立派とは真っ向から対立する。