江ノ島電鉄1000形電車
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1000形電車(1000がたでんしゃ)は、江ノ島電鉄に在籍する電車。1979年(昭和54年)12月3日より営業運転を開始した。
1980年(昭和55年)鉄道友の会ブルーリボン賞受賞車両である[1]。
1979年~1987年(昭和62年)にかけて東急車輛製造で2両編成6本(12両)が製造されたが、落成時期ごとに仕様が異なっているため、本稿では形式の付番ごとに解説する。
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[編集] 1000形
- 営業運転開始日:1979年(昭和54年)12月3日
- 在籍数:2両編成2本(4両) 1001-1051 1002-1052
- 特徴:最初に登場したグループで非冷房で登場した。吊り掛け駆動方式が採用されたが、これは小型車、急曲線対応の台車でのカルダン駆動方式採用実績がなかったためである。ブレーキシステムは電気指令式である。1001編成は1985年(昭和60年)に、1002編成は1986年(昭和61年)に冷房装置が搭載された。前照灯は丸形である。
- リニューアル:1001編成は2003年(平成15年)に施工され、車椅子スペース、ドアチャイムや音声合成式の車内自動放送装置が設置された。1002編成は2004年(平成16年)に同様のリニューアルが施工され、塗装と社紋を20形と同一のものに改め、同年12月28日より営業運転に復帰した。後述する1100形・1200形・1500形についてものちに自動放送装置が設置されており、さらに英語放送も追加された。
2006年(平成18年)4月からは1001編成が「S.K.I.P号」(Shonan,Kamakura,Information,Promotionの意)として、漫画家の西岸良平を起用し、沿線の名所を描いたラッピングを施されて運転されている。このラッピングは、西岸が鉄道ファンであると同時に、双葉社の「まんがタウン」誌に西岸が連載している漫画『鎌倉ものがたり』のファンが江ノ島電鉄の社員にいたこともあって、実現したものである。
[編集] 1100形
- 営業運転開始日:1981年(昭和56年)12月20日
- 在籍数:2両編成1本(2両) 1101-1151
- 特徴:冷房準備工事で落成し、翌年の1982年(昭和57年)に江ノ電初の冷房装置搭載車両となった。また、社名が「江ノ島鎌倉観光」時代の最後に製造された車両でもある。
- 2005年(平成17年)2月~12月にかけて、当時放映されていたNHK大河ドラマ「義経」のラッピングが施された。
[編集] 1200形
- 営業運転開始日:1983年(昭和58年)12月19日
- 在籍数:2両編成1本(2両) 1201-1251
- 特徴:江ノ電初の落成当初から冷房装置を搭載した車両である。このグループから、前照灯が角形とされた。この編成は長年に渡って明治製菓の商品「カール」の広告車両だったが、2004年に1502編成に変更され一般塗装に戻った。日本の1,067mm軌間の鉄道線では、最後となる完全新造の吊り掛け駆動方式(バー・サスペンション方式)の電車である。ちなみに、ノーズ・サスペンション方式では1978年(昭和53年)製の遠州鉄道モハ30形25号が最後であり、日本の普通鉄道最後の完全新造の吊り掛け電車は1990年(平成2年)製造の近畿日本鉄道北勢線(現・三岐鉄道北勢線)用の277形(762mm軌間)である。
[編集] 1500形
- 営業運転開始日:1986年(昭和61年)4月23日(1501編成)、1987年(昭和62年)12月10日(1502編成)
- 在籍数:2両編成2本(4両) 1501-1551 1502-1552
- 特徴:急曲線対応の台車においてもカルダン駆動方式が採用できるめどが立ったことで登場した江ノ電初の新性能車両である。同時に弱め界磁制御も導入され、マスコンハンドルの段数が3段から4段に増えた。主制御器の制御段数は直列11段、並列8段、弱め界磁2段、発電制動19段である。主電動機は東洋電機製造製TDK8005-A形が採用された。出力は端子電圧300V時50kWである。歯車比は82:13=1:6.31と低速域の加速力を重視した数値である。起動加速度は2.0km/h/s、減速度は常用3.5km/h/s、非常時4.0km/h/sである。登場からしばらくは「サンライン・カラー」と称されるクリームに赤とオレンジの帯を巻いた塗装だったが、その後1000形の標準色である緑の帯に変更された。
- 現在1501編成はリニューアル工事を受け1002編成と同様の新塗装とされ、1502編成は1201編成に代わって明治製菓の全面広告電車として運用されている。
[編集] 脚注
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