東急車輛製造
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東急車輛製造株式会社（とうきゅうしゃりょうせいぞうかぶしきがいしゃ、英称:Tokyu car corporation）は、東京急行電鉄が全株式を保有する車両製造会社。神奈川県横浜市金沢区大川（本社・横浜製作所）と和歌山県紀の川市（和歌山製作所）、群馬県邑楽郡邑楽町（群馬製作所）および埼玉県羽生市（羽生製作所）に工場を持つ。
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[編集] 歴史と概要
第二次世界大戦終戦後、東京急行電鉄は横浜市金沢区の旧海軍工廠跡地に東急横浜製作所を開設し、車両製造・修理改造事業を開始した。東京急行電鉄向けの車両だけでなく、日本国有鉄道/JR、各私鉄・公営企業向けに新幹線、在来線電車、ディーゼルカー、客車などを供給し、日本国外への輸出実績もある。下記の製造車両実績の通り、東急車輛製の車両を使っていない関東の鉄道事業者はないといっても過言ではないほどである。
特に早くからアメリカ合衆国バッド社（現・ボンバルディア）との技術提携によって、ステンレス車両の製造を開始し、さらにボーイング社の有限要素法解析を取り入れた、軽量ステンレス車体の開発等の先進的な技術をいち早く取り入れた点が特筆できる。東日本旅客鉄道（JR東日本）などとの共同開発による、VVVFインバータ制御も取り入れた軽量ステンレス通勤形電車は、従来の電車に比べて約40%の電力で運行できる省エネルギー車両である。また、JR東日本に対して車両製造の技術供与を行い、新津車両製作所の開設に協力を行った。
また、鉄道/海上用コンテナ、タンクローリー・などの特装車、二段式及び多段式立体駐車場（1992年には販売実績業界第一位）、分岐器、横取り装置をはじめとする軌道関連部品の製造も行っている。
和歌山製作所は、2003年（平成15年）に大阪製作所（堺市に所在）を移転したものであり、元々は旧・帝國車輛工業（前身は梅鉢車輛で、戦前の一時期は京成電鉄の資本下だった）を合併したものであって、今では鉄道車両の製造は行っておらず、トラックコンテナ、特装車、分岐器の製造専門工場になっている。
なお、東急車輛での鉄道車両の新規製造車両第一号は、1950年（昭和25年）の東京急行電鉄玉川線用のデハ80形85号である。
[編集] 沿革
- 1946年（昭和21年）6月 - 東急興業（株）横浜製作所において東京急行電鉄の車両の戦災復旧を主体に操業開始
- 1948年（昭和23年）8月 - （株）東急横浜製作所を設立。資本金2,500万円。初の新造車は東京急行電鉄玉川線80形85号車
- 1949年（昭和24年）9月 - 国鉄から湘南形電車、貨車の新造を受注
- 1950年（昭和25年）9月 - 米軍Y.E.Dと各種トレーラの整備契約締結、3000両のトレーラ・建設機械の整備を開始
- 1953年（昭和28年）2月 - 東急車輛製造（株）に社名変更
- 1959年（昭和34年）7月 - 東京証券取引所に株式上場
- 1964年（昭和39年）6月 - 東邦特殊自動車工業（株）を合併、大宮工場（埼玉製作所）とする
- 1966年（昭和41年）11月 - 国鉄から新幹線製作許可メーカーに指定される
- 1967年（昭和42年）4月 - 立体駐車装置の開発・販売開始
- 1968年（昭和43年）2月 - 大阪証券取引所に株式上場
- 1968年（昭和43年）3月 - 帝國車輛工業（株）を吸収合併、同社大阪工場（大阪製作所）に
- 1969年（昭和44年）1月 - 本社工場（現：横浜製作所）で海上コンテナの量産を開始
- 1970年（昭和45年）6月 - 大阪工場（大阪製作所）で海上コンテナの量産を開始
- 1972年（昭和47年）11月 - 海上コンテナ生産5万個達成、スチールコンテナ生産量世界一となる
- 1988年（昭和63年）4月 - オールステンレス車両生産2000両達成
- 1990年（平成2年）10月 - 新造旅客車両生産10000両達成
- 1992年（平成4年） - 二段及び多段式立体駐車装置の販売で業界1位となる
- 1993年（平成5年）6月 - 羽生工場完成
- 1994年（平成6年）6月 - 大規模機械式立体駐車場設備（ＴＩＰ）第1号機受注
- 1996年（平成8年）10月 - 秋田新幹線「こまち」用E3系車両納入
- 1997年（平成9年）8月 - 長野新幹線「あさま」用E2系車両納入
- 1999年（平成11年）10月 - 群馬製作所完成（埼玉製作所閉鎖）
- 2002年（平成14年）10月 - 株式交換により東京急行電鉄の完全子会社となる（同時に上場廃止）
- 2003年（平成15年）10月 - 和歌山製作所完成（大阪製作所閉鎖）
[編集] 鉄道車輌
車両の製作をJR東日本新津車両製作所に委託したものが一部含まれる。
- 東京急行電鉄 3800形以降の全系式
- 横浜高速鉄道 Y000系、Y500系
- 新幹線：0系電車、100系、200系、E2系、E3系、E926形(East-i)など
- 日本国有鉄道（在来線）
- 東日本旅客鉄道（JR東日本）（在来線） - 横浜市に立地しているためJR東日本向けの車両を多く製造する。
- 特急形車両
- 普通列車向け車両
- その他JR各社（在来線）
- 京浜急行電鉄 新1000形、2100形、600形、1500形、2000形、800形、1000形、700形など。
- 京成電鉄 3500形、3600形、3700形、3000形、AE100形など
- 北総鉄道（旧・北総開発鉄道） 7000形、7300形、7500形
- 京急は横浜製作所と直接、京成、北総は京急、都営浅草線を介して同一のレール幅で路線が繋がっている。このため新形式でなければ自力での出場、回送が行われる。又他社製の車両も台車の履き替えのために一旦東急車輛に入場する必要がある。
- 新京成電鉄 モハ250形、サハ550形
- 小田急電鉄 ロマンスカー以外製造
- 京王電鉄 （旧・京王帝都電鉄）1000系、3000系、6000系、7000系、8000系、9000系など
- 東武鉄道（近年は新車製造での取引はなし） 100系、200系、8000系、9000系・9050系、10000系・10030系、20000系・20050系・20070系、30000系、キハ2000形など
- 西武鉄道（近年は新車製造での取引はなし）新101系、2000系、3000系、4000系、6000系 9000系VVVFインバータ制御改造工事など
- 相模鉄道 2100系、3000系、5100系、9000系、10000系など
- 横浜新都市交通 1000形
- 南海電気鉄道 コ11・21形、 7000系・7100系の一部を除く全車
- 大阪府都市開発（泉北高速鉄道）（現在は取引なし） 100系、3000系、5000系
- 福岡市交通局 1000系（第17編成｛1985年製造｝のみ）
- 阪堺電気軌道 モ601形、モ701形
- 江ノ島電鉄 300形、500形、1000形、2000形、10形、20形、新500形など
- 伊豆箱根鉄道 3000系、5000系、7000系
- 伊豆急行 100系、2100系、元東急8000系
- 静岡鉄道 1000系
- 帝都高速度交通営団（現・東京地下鉄）500、2000形～05系までの電車
- 東京都交通局 10-000形、10-300形、5000形
- 横浜市交通局 1000形、2000形、3000N形
- 札幌市交通局 A830形（その後名古屋鉄道モ870形）
- 加越能鉄道加越線キハ120形（その後鹿島鉄道キハ430形）
- ゆりかもめ 7000系
- 大阪市交通局 30系、10系、20系、新20系など
- アイルランド国鉄 EMU・DMU
- シンガポール地下鉄 (SMRT)
- 台湾鉄路管理局 DR2800・DR2900・DR3000・DR3100各気動車（東部幹線向け）
- 鉄道総合技術研究所 軌間可変試験電車
- 天津地下鉄
など
[編集] 鉄道車両以外の製品
- 台車 鉄道車両用台車の生産は東急横浜製作所時代から行っており、形式は横浜製作所の英字頭文字を取ってYSであったが、東急車輛製造に商号変更後の形式はTSとなった。親会社である東京急行電鉄の電車は全て東急車輛製のTS台車を装着している他、京王電鉄の現有車両も全てTS台車である。 東急車輛製の台車を装着する主な鉄道車両は、 など
- 分岐器および部品
- コンテナ（鉄道コンテナ、タンクコンテナ、冷凍･冷蔵コンテナ、物流機器）
- 特殊自動車（トレーラ、タンクローリ、ダンプトラック、バントラック。環境整備車両、各種作業車、ヤードキャリア）
- 立体駐車装置（大規模機械式立体駐車装置、機械式立体駐車装置、自走式駐車装置、タワー式駐車装置）
- 開発製品（メカトロニクス製品、環境システム製品）
など
[編集] 東急車輛グループ
- 京浜鋼板工業株式会社
- 東急車輛サービス株式会社
- テイエス興業株式会社
- 東急パーキングシステムズ株式会社
- 東急車輛設計株式会社
[編集] 参考文献
- 土岐實光, 電車を創る, 交友社, 雑誌06460-12
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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