獄門島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
![]() |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
獄門島(ごくもんとう)は、横溝正史原作の長編推理小説、及び、それを原作とした映画・テレビドラマ作品である。1947年1月から1948年10月までの計17回、雑誌「宝石」に掲載された。2005年12月現在までに、映画2作品・テレビドラマ4作品が制作されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
終戦から1年経った昭和21年9月下旬。金田一耕助は、引き揚げ船内で死んだ戦友・鬼頭千万太(きとう ちまた)より託された遺書を届けるために瀬戸内海に浮かぶ彼の故郷・獄門島へと向かった。そこは封建的な古い因習の残る孤島で、島の漁師たちの元締めである鬼頭家の本家・本鬼頭と分家・分鬼頭が対立していた。金田一には、彼が息絶える前に残したある言葉が気に掛かって仕方がなかった。
「俺が生きて帰らなければ、3人の妹達が殺される…。」
金田一が島を訪れ遺書を届けたその日を境に、その島で凄惨な連続殺人事件が次々と巻き起こり始める・・・。
[編集] 主な登場人物
- 金田一耕助 (私立探偵)
- 磯川常次郎 (岡山県警警部)
[編集] 「本鬼頭」関係者
- 鬼頭千万太 (きとう ちまた・本家の長男)
- 月代 (千万太の妹)
- 雪枝 (千万太の妹)
- 花子 (千万太の妹)
- 一 (ひとし・千万太の従兄弟)
- 早苗 (一の妹)
- 嘉右衛門 (かえもん・千万太らの祖父。故人)
- 与三松 (よさまつ・千万太らの父)
- お勝 (嘉右衛門の妾)
- 竹蔵 (潮つくり)
[編集] 「分鬼頭」関係者
- 儀兵衛 (分鬼頭の当主)
- 志保 (儀兵衛の後妻)
- 鵜飼章三 (復員軍人)
[編集] 島の住人
- 了然 (りょうねん・千光寺の和尚)
- 荒木真喜平 (村長)
- 村瀬幸庵 (漢方医)
- 了沢 (りょうたく・千光寺の典座)
- 清水 (駐在)
- 清公 (床屋)
[編集] 参考
[編集] 解説
この作品のヒロイン鬼頭早苗は、金田一耕助が生涯愛した女性の一人として知られる。
金田一は獄門島を離れる際、早苗に「島を出て一緒に東京へ行きませんか」とプロポーズとも取れる言葉を掛けている。しかし、早苗は島に残る決意を固めており、金田一は振られてしまうという結果に終わっている。
発表当初より高い評価を受けた本作は、後の本格推理派作家などに大きな影響を与えている。横溝作品の中でも「見立て殺人」ものとして高い人気がある。
また、この事件の謎を解くのに極めて重要な鍵として、俳句用語である「季違い」と、「気違い」の聞き間違いというものがあるが、最近のテレビ放送においては過度の自主規制が行われているため、下記の1970年代製作のドラマや映画が後年テレビ放送された際、「キチガイ」という音声が消されたり「ピー音」がかぶせられたりして、原作未読の視聴者にとっては何故金田一が謎を解けたのか、訳の分からない展開となってしまった事がある(DVD等ではオリジナルのまま収録されている)。近年のドラマ化作品では、謎解きを原作と異なる形にすることでキーワードが登場しないように改変されている。
[編集] 映像化リスト
[編集] 映画
- 『獄門島』『獄門島・解明篇』(1949年公開、東横映画)※この作品では、「獄門島」の読み仮名は「ごくもんじま」となっている。
- 監督:松田定次、脚本:比佐芳武
- 出演:
- 片岡千恵蔵(金田一・嘉右衛門)
- 大友柳太朗(磯川警部)
- 三宅邦子(早苗)
- 千石規子(月代)
- 朝雲照代(雪枝)
- 谷間小百合(花子)
- 進藤英太郎(儀兵衛)
- 島田照夫(与三松)
- 月宮乙女(お志保)
- 沼田曜一(千万太)
- 斎藤達雄(了然)
- 大西三郎(了沢)
- 水原洋一(黒沼正平)
- 上代勇吉(竹蔵)
- 戸上城太郎(貝塚三吾)
- 沢村国太郎(幸庵)
- 高松錦之助(荒木村長)
- 椿三四郎(赤星善吉)
- 小杉勇(清水巡査)
- 喜多川千鶴(白木静子)
- 他
- 『獄門島』(1977年8月27日公開、東宝)※この作品では、犯人を原作とは別の人物に変更している。
- 監督:市川崑、脚本:久里子亭(日高真也+市川崑)
- 出演:
- 石坂浩二(金田一)、
- 加藤武(等々力警部)、
- 大原麗子(早苗)、
- 司葉子(勝野)、
- 太地喜和子(巴)、
- ピーター(鵜飼)、
- 浅野ゆう子(月代)、
- 中村七枝子(雪枝)、
- 一ノ瀬康子(花子)、草笛光子(お小夜)、内藤武敏(与三松)、武田洋和(千万太)、大滝秀治(儀兵衛)、上條恒彦(清水巡査)、松村達雄(幸庵)、稲葉義男(荒木村長)、小林昭二(竹蔵)、辻萬長(阪東刑事)、坂口良子(お七)、三木のり平(床屋の清十郎)、東野英治郎(嘉右衛門)、佐分利信(了然)、池田秀一(了沢)、荻野目慶子(少女時代の勝野)、三谷昇(復員服姿の男)、他
[編集] テレビドラマ
- 監督:斎藤光正、脚本:石松愛弘、出演:古谷一行(金田一)、有島一郎(磯川警部)、島村佳江(早苗)、梶原恵(月代)、立枝歩(雪枝)、萩奈穂美(花子)、滝沢修(嘉右衛門)、浜木綿子(お志保)、富田仲次郎(儀兵衛)、角野卓造(千万太)、仲谷昇(与三松)、葉山葉子(お小夜)、中村翫右衛門(了然)、河原崎国太郎(荒木村長)、金子信雄(幸庵)、三善英史(鵜飼)、江幡高志(竹蔵)。三遊亭若円遊(清公)、河原崎長一郎(清水巡査)、他
- 『獄門島』(1990年9月28日、フジテレビ)
- 演出:福本義人、脚本:岸田理生、出演:片岡鶴太郎(金田一)、遥くらら(早苗)、高橋由美子(雪枝)、持田真樹(花子)、岡田真澄(儀兵衛)、二宮さよ子(お志保)、渕野俊太(千万太)、フランキー堺(了然)、左右田一平(荒木村長)、今福将雄(幸庵)、尚舞(鵜飼)、坂西良太(竹蔵)、南野陽子(お小夜)、菅田俊(清水巡査)、潮健児(復員兵)、他
- 月曜ドラマスペシャル 金田一耕助シリーズ『獄門島』(1997年5月5日、東京放送)
- 演出:関本郁夫、脚本:和久田正明、出演:古谷一行(金田一)、秋吉久美子(早苗)、櫻井淳子(月代)、沢木蘭野(雪枝)、木内美穂(花子)、金田龍之介(嘉右衛門)、うえだ峻(与三松)、安藤一人(千万太)、絵沢萌子(お小夜)、宮下順子(志保)、名古屋章(了然)、織本順吉(幸庵)、北村総一朗(荒木村長)、丹古母鬼馬二(竹蔵)、藤木直人(鵜飼)、趙方豪(復員詐欺師)、光石研(清水巡査)、谷啓(河合警部)、他
- 金田一耕助ファイルII『獄門島』(2003年10月26日、テレビ東京)
- 演出:吉田啓一郎、脚本:西岡琢也、出演:上川隆也(金田一)、高島礼子(早苗)、三倉茉奈・佳奈(月代・雪枝・花子)、笑福亭松之助(嘉右衛門)、原田貴和子(志保)、神山繁(了然)、鶴田忍(荒木村長)、寺田農(幸庵)、川村陽介(鵜飼)、田村友里(お小夜)、金田明夫(清水巡査)、他