箱根登山鉄道モハ2形電車
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箱根登山鉄道モハ2形電車(はこねとざんてつどうもは2がたでんしゃ)は、箱根登山鉄道が保有する直流電車である。
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[編集] 概要
元々は箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道が、1927年(昭和2年)に日本車輌製造で製造した木造ボギー車チキ2形(チキ8~10)と、1935年(昭和10年)に小田原駅~箱根湯本駅間の開通時に川崎車輛(現・川崎重工業)で製造されたチキ111,112(のちモハに称号変更)の5両から成る。車体が全く異なるにも関わらず同形式のチキ2形としたのは、前者の新造時にスイスより輸入したシュリーレン社の製板台枠台車と、ブラウンボベリ社製の主電動機にはスペアとして2両分があったため、これを用いたことに由来する。
なおチキ111,112と全く同じ車体に日本製の電装品と台車(チキ2形のものを参考にしたという)を使って製造されたチキ113~115を、箱根登山鉄道ではチキ3形と称した。
モハ1形と同様にモハ8~10も1955年(昭和30年)から1957年(昭和32年)にかけて、モハ111~115に準じた新造車体に更新されモハ108~110となった。ただしドア間の座席をクロスシートにしたため、座席と窓の位置が合うように窓の大きさを変更したことから、ドア間の窓が6枚になっている(モハ1形と、モハ111~115は5枚)。
下回りが老朽化したことから1985年(昭和60年)から1990年(平成2年)にかけて5両とも下回りを交換、カルダン駆動化されている。しかし車体の老朽化が激しかった戦前製造組のモハ111,112は1991年(平成3年)に廃車された。
その後モハ3形も廃車されたが、モハ108~110は2001年(平成13年)から2002年(平成14年)に大掛かりな更新が行われた。室内の木部はデコラ貼りになり、車体の側面板を貼り替え、客用ドアをステンレス製無塗装(モハ108のみ旧塗装化の際には塗装している)のものに交換するなど、かつてのイメージを残しつつも大きく近代化されている。
なお、現在も両運転台構造である。
製造はモハ108、109が東急車輛製造、モハ110が東洋工機である。
[編集] 運用
箱根登山鉄道鉄道線の箱根湯本駅~強羅駅間で使用される。両運転台車であるが、2000年(平成12年)12月のダイヤ改正で単行運用が廃止されたため、2両編成で運用されるか、またはモハ1形2両編成と連結し、3両編成で運行されることもある。
従来は、小田原駅~箱根湯本駅間でも使用されていたが、2006年(平成18年)3月18日改正より営業運転で箱根湯本駅以東に乗り入れることがなくなった。ただし、鉄道線の車両基地への入出庫の関係で入生田駅~箱根湯本駅間は回送運転で走行する。
[編集] 車両諸元
- 車体 半鋼製 2軸ボギー電車 片側2扉
- 全長 14,660mm
- 全幅 2,590mm
- 全高 3,990mm
- 制御装置 単位スイッチ手動加速式抵抗制御(直列5段、並列4段、発電ブレーキ9段)
- 駆動方式 中空軸撓み接手 平行カルダン
- 制動方式 電磁SME-D(発電制動併用非常管併設電磁弁付三管式直通空気制動)
- 座席 セミクロスシート
- 車体塗装 小田急電鉄ロマンスカー3000形 (SE) ・3100形 (NSE) に準じた塗色である。ただし、モハ108のみ昭和20年代の旧塗装となっている。この旧塗装は1997年(平成9年)7月に廃車されたモハ3形114号車にも施されていた。
[編集] 在籍車両
- 2007年(平成19年)現在は108,109,110の計3両が在籍している。
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