紗那村
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紗那村(しゃなむら、ロシア語地名、クリリスクКурильск)は、北方諸島の一つ択捉島の中部に位置し、戦前から現在まで一貫してこの島の中心地としての機能をはたしている都市。1945年8月、ソビエト連邦軍に侵攻され、ソビエト連邦の崩壊後は、それを継承したロシア連邦が現在も占領・実効支配している。ロシア連邦の行政区画によれば、サハリン州クリリスク管区に属する。択捉島の領有を主張している日本の行政区画によれば、北海道根室支庁紗那郡に属する。
[編集] 概要
1923年、紗那村、有萌(ありもえ)村(ロシア語地名、ルイバキ Рыбаки)、別飛(べっとび)村(ロシア語地名、レイドヴォРейдово)が合併し、二級町村として成立。択捉島の中心都市で、村役場や紗那警察署などがあった。戦前最後の国勢調査(1940年)における人口は、1,426人。ソ連崩壊直前の1989年には、紗那村の村域に5,157人がいた。2006年の人口は、3,634人である。
漁業資源が豊富なこの海域の漁業活動の中心地となっており、村が面するナヨカ湾(ロシア語地名、キトブイ湾 Зал Китовый)には、外国からの船も含む大型の漁船が補給のため来訪する。 紗那の中心市街から北東約14kmの別飛には、いま択捉島の産業を支えているギデロストロイ社の大規模な水産加工工場が立地している。西南に隣接する留別村(ロシア語地名、ピオネールПионер)には道路が通じているが、舗装はされておらず砂利道である。留別村に向かう道路は、その先、島唯一の空港で、ロシア軍基地と共用の天寧飛行場まで通じており整備がなされている。北東に隣接する蘂取村(ロシア語地名、スラブノイェСлавное)はソ連崩壊前後に廃村となり、ロシアが設定した自然保護区域に属していることもあって、GoogleMaps一般の通行に供しうる整備された道路は廃道となった。
海路により、南樺太(サハリン)の大泊(コルサコフ)港と週2便の船で結ばれている。また、2006年から始まった「クリル開発計画」では、紗那村に1,500m級の民間飛行場を建設することとなっており、完成すれば、島の住民の悩みであるユジノサハリンスクへの定期便の欠航率が劇的に低下して物資や観光客の輸送に利便性が大幅に向上することが期待されている。
村のすぐ北には、「択捉富士」とも称される名山、散布山(ちりっぷ、標高1585m。ロシア語地名、ボクダン・フメルニツキー火山вик. Богдан Хмелничкий)がそびえている。ただし、登山道は無い。