雷撃機
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雷撃機(らいげきき)とは、軍用機の一種。魚雷による対艦攻撃に特化した飛行機。
対艦ミサイルの開発までは、魚雷は航空機による艦船攻撃の重要な一手段だった。第一次世界大戦でも一部使用例があるが、本格的に運用されたのは第二次世界大戦である。第二次世界大戦後は対艦ミサイルの登場により使われなくなり、現在は全く存在しない。
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[編集] 第二次世界大戦で使用された雷撃機
爆撃機が魚雷を積んだ例もあるが、各国で雷撃専用機が運用された。
[編集] アメリカ合衆国
アメリカ海軍は魚雷で艦船の撃破を目的とした機種を雷撃爆撃機(トーピード・ボンバー)と呼称した。
TBは雷撃・爆撃を行える機体であることを意味する符号で、DやFは開発・生産を行った会社の符号である。Dはダグラス社、Fはグラマン社を意味する(会社符号は採用当初頭文字でつけられていたが、納入する会社が増えた為に頭文字が被る事例が出たため途中から適当なアルファベットを割り当てられた)。なお、この符号はアメリカ海軍の機体のみに冠せられた。
AD-1は第二次世界大戦に間に合わず、朝鮮戦争以降で使用された。魚雷をミサイルに搭載し換えたものの、A-6 イントルーダーやF/A-18 ホーネットは艦上攻撃機という流れの上にある機体である。
[編集] 日本
日本海軍では「急降下爆撃の能力を持たない爆撃機、すなわち雷撃可能な爆撃機を「攻撃機」と呼称した。重い魚雷を搭載可能な上に急降下爆撃が可能な強度を持った機体を持つ航空機はエンジン出力の関係から第二次世界大戦後期までは作ることができなかったため、急降下爆撃を任務とした機体と雷撃及び水平爆撃を任務とした機体に分かれることになり、前者を「爆撃機」、後者を「攻撃機」と呼んでいた。
九六式陸上攻撃機と一式陸上攻撃機は大型爆撃機であるとともに雷撃機として開発された。急降下爆撃できない大型機ゆえ、「攻撃機」に分類された。また、台湾沖航空戦以降は、陸軍の四式重爆撃機「飛龍」の一部が、いくつかの部隊(飛行第7戦隊、飛行第98戦隊など)において、海軍の航空魚雷を搭載し、海軍の指揮下に入って雷撃機として使用された(海軍では、雷撃機型の四式重爆撃機「飛龍」のことを、「靖国」と呼んだ)。また、同じく太平洋戦争後期には、双発の陸上爆撃機「銀河」も、雷撃機として使用された例がある。
[編集] ドイツ
- Ju 87を空母搭載用に雷撃機に改造(実際には使用せず)
- Ju 88Ju 88、He 111、Do 217などの水平爆撃機の一部が雷装可能
[編集] イギリス
- ブラックバーン シャーク
- フェアリー ソードフィッシュ
- フェアリー アルバコア
- フェアリー バラクーダ
イギリス海軍は搭載機数が限られてしまう航空母艦の艦載機の効率を良くするため、戦闘機に雷撃機の機能を付加した戦闘雷撃機を開発配備した。
アメリカ同様、これらの延長線上にジェット機・ミサイル世代のブラックバーン バッカニアがある。