魔神転生
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『魔神転生』(まじんてんせい)は、アトラスの『女神転生』シリーズから派生したシミュレーションRPGシリーズ。現時点で3作が発売されている。
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[編集] 魔神転生
ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | スーパーファミコン (SFC) Win(i-revo) |
発売元 | アトラス |
人数 | 1人 |
メディア | バックアップ搭載12MbROM |
発売日 | SFC…1994年1月28日 Win…2006年3月14日 |
価格 | SFC…9,800円(税別) Win…1,785円 |
デバイス | スーパーファミコンマウス対応 |
『魔神転生』(まじんてんせい)は、1994年1月28日に発売されたスーパーファミコン用ソフト。また、2006年3月14日からはi-revoにてWindows用のレンタルおよびダウンロード販売が開始されている。
[編集] ゲームシステム
ターン制のシミュレーションRPG。最初に味方が行動し(プレイヤーターン)、味方が行動し終わったら敵のターンに移り変わる(エネミーターン)。基本的に人間ユニットが倒されると敗北、敵を全滅あるいはボスを倒せばステージクリアという勝利条件になっている。
- 悪魔
- 悪魔は大きく分けると、合体のみで出現する種族、会話できる種族、敵専用種族の3つに分類される。したがって戦闘で出現する種族は後者の2種族である。敵専用種族は会話ができないうえに合体でも出現しない。
- 敵ユニットは赤色で表示される。会話できる種族は中立で出現することがあり、その場合黄色で表示される(ちなみに主人公を含む味方ユニットは青色)。戦闘マップに中立ユニットがいる場合、中立ユニットのターンがある(ニュートラルターン)。中立ユニットはしばしば敵ユニットから攻撃対象となる。
- 悪魔には固定のレベルのほかに8段階の戦闘クラスがある。経験値がたまるとクラスアップし、戦闘時の能力が上昇する。しかしパラメーターに変化はない(敵ユニットもクラスアップする)。
- 仲魔システム
- 会話できる種族は、会話によって主人公の仲魔(ナカマ)にすることができる。主人公の持つコンピュータで「はなす」コマンドを入力すると、隣接する敵悪魔と会話を行うことが出来、上手くいけば味方にすることができる。ただし、敵ユニットが会話に応じてくれるかどうかは確率であり、月齢が新月(NEW MOON)の時に80%の確率で応じてくれるが、月齢が大きくなるごとに10%ずつ減っていき、満月(FULL MOON)の時は0%となって会話にならない。これに対し、中立ユニットは満月時でも月齢に関係なく会話できる。
- 女神転生シリーズでは1種類の悪魔は1体しか仲魔にできないが、本作では同じ種族の悪魔を複数仲魔にすることも可能。例えば主人公は初期状態で1体のオルトロスと2体のピクシーを仲魔にしている。
- 主人公だけでなく、ヒロインも魔法「サバトマ」で召喚できる。
- 仲間を召喚するさいにマッカが必要であり、また仲魔を1マス移動させるごとにCP(抗体ポイント)分のマグネタイトが消費される。
- 悪魔合体
- シナリオを進めると主人公は「邪教の館」で悪魔合体の技法を学ぶ。このため戦闘マップ上で複数の悪魔ユニットを重ね合わせることで悪魔を合体させ、新たな悪魔を作り出すことができる。全体マップ上では「邪教の館」にて合体させることができる。
- 一部の上位悪魔はイベントで仲間になった後に合体可能となる。
- まれに敵同士が合体し、別の悪魔になることもある。
- 特技
- 仲魔のうち、合体のみで出現する悪魔に限りクラスアップすると1~2の特技を習得する。特技は一度使用すると次の満月まで使用できなくなるが、特技による攻撃は魔法系、物理系を問わず反撃を受けない。合体による継承が可能なので、多数の特技を集めた仲魔をつくると戦闘で有利になる。
- その他
- 戦闘マップにある魔法陣「ジェネレーター」から敵ユニットが出現する。出現を止めるには味方ユニットをジェネレーターの上に移動させる必要がある。
- ヒロインの魔法「トラエスト」あるいはアイテム「えんまくだん」で戦闘マップから脱出できる。トラエストで脱出した場合、マッカを半分落としてしまう。
[編集] ストーリー
1990年代末より起こった民族紛争は世界規模に発展した。それから数十年後の202X年。NIEDER TOKYO D-03地区に住む少年の元に謎のメッセージと共に「悪魔召喚プログラム」が送られてくる。時を同じくして出現した無数の悪魔たち…。少年はCOMPに召喚プログラムをインストールし、悪魔との戦いへと身を投じて行く。
[編集] 登場人物
- 主人公(デフォルト名なし)
- パソコン通信によって、偶然、「悪魔召喚プログラム」を手に入れた少年。亡き父はコンピュータエンジニアだった。17歳。
- ヒロイン(デフォルト名なし)
- 人体実験が行われているという、佐田研究所で出会った少女。
- エティエンヌ・アルフォンス・ラ・フレーシュ
- 天才と呼ばれる少年。単身で悪魔を倒そうとしていて、主人公にもアドバイスをくれる。
- 南一輝
- 自衛隊の一等陸佐。悪魔討伐部隊の指揮をしている。
[編集] 評価
悪魔デザインは同じCGの使い回しが目立つ。しかし戦闘画面、特に悪魔、背景の美しさは、SFC時代の真・女神転生シリーズのどのゲームよりも抜きん出ている。
魔神転生では悪魔にも経験値が入るが、これはこれまでのシリーズになかった特徴である。クラスアップしてもパラメーターに変化はないが、仲魔が何らかの形で成長するという流れを作った最初のゲームである。
エンディングは3種類に分岐するが、いわゆるグッドエンディングへのハードルはかなり高い。また、ストーリーそのものも本家である女神転生シリーズに比べると極めてダークであり、評価は分かれるが、その難易度の高さやシナリオのダークさに引かれる熱狂的なファンも数は少ないが存在する。
[編集] 魔神転生II SPIRAL NEMESIS
ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | スーパーファミコン (SFC)、Win(i-revo) |
発売元 | アトラス |
人数 | 1人 |
メディア | バックアップ搭載24MbROM |
発売日 | SFC…1995年2月19日 Win…2006年5月11日 |
価格 | SFC…11,800円(税別) Win…1,785円 |
『魔神転生II SPIRAL NEMESIS』(まじんてんせい2 スパイラルネメシス)は、1995年2月19日に発売されたスーパーファミコン用ソフト。「魔神転生」同様に2006年5月11日からi-revoにてWindows用のレンタルおよびダウンロード販売が開始されている。
[編集] ストーリー
物語の舞台は1995年の東京。突如未来から来た男により、東京は悪魔に支配される。1年後、悪魔と戦う組織「パルチザン」のメンバーになった主人公らは、悪魔らと戦うことに。
[編集] 登場人物
- 武内ナオキ(タケウチ ナオキ)
- 主人公。大学院生。両親は科学者で非常に研究熱心なため、家になかなか帰ってこない。その影響で科学者不信であるが、両親の仕事柄上、コンピュータには強い。緊急回線で両親の事故死を伝えられ、その真相を究明するために、カオル率いるパルチザンに身を投じることに。「悪魔召喚プログラムDIO」(以下DIOと表記する)を使うことが出来る。
- 橘薫(タチバナ カオル)
- パルチザンのリーダー。非常に負けず嫌いな性格。両親は小さい頃に離婚し、父親に引き取られる。しかし、父親は仕事も家庭も省みなかったため、高校卒業後は父親の花屋の経営を引き受けている。DIOを使うことは出来ないが、攻撃魔法を使うことができる。
- 菊地智晴(キクチ トモハル)
- パルチザンメンバー。悪魔軍団侵攻時、カオルに命を助けられ、以後カオルと行動を共にする。カオルとともにパルチザンを結成し、悪魔と戦うかたわら行方不明になった妹を探している。大学では高校まで続けていたバスケを辞めて、遊んでいたため留年している。ナオキと同じく、DIOを使うことが出来る。初期能力値では速さが高い。
- 菊地彩耶(キクチ アヤ)
- 菊地智晴の妹。大学生で、天真爛漫という言葉がぴったりの女の子。たまたま遊びに行ったところで悪魔の侵攻により、家に帰れなくなる。DIOを使うことは出来ないが、回復魔法を覚えていく。攻撃魔法も覚えるが、カオルほど強い魔法は覚えない。
- 荻原将清(オギワラ マサキヨ)
- 悪魔軍団のリーダー。冷静かつ頭が切れるが、そのためには手段を選ばない。なぜ、東京を制圧したのかその目的は不明。場合によっては仲間になることがあり、DIOを使うことができる。
- カレン・ブリュン・ローズ
- ナオキにDIOを託した謎の女性。場合によっては仲間になることがあり、DIOを使うことができる。
[編集] ゲームシステム
女神転生シリーズの流れを汲んでいるので、ステータスの能力値は同じく、強さ、体力等からなっている。レベルアップしたら、能力値を任意に振っていく。悪魔の召喚はもちろん、悪魔との会話もできる。
- 前作同様、味方ユニットは青色、敵ユニットは赤色で表示される。中立ユニットは無くなった。主人公ユニットが倒れると敗北となる点は変わらない。また新たに味方、敵ともに戦略的拠点があって、そのポイントを制圧することが勝利条件となっているが、逆に制圧されると敗北となる。
- 会話では、最もレベルの高いメインキャラのレベルが全体共通のレベルとして適用されるので(全体レベル)、それ以内であれば、自分よりもレベルの高い相手と会話ができる。
- さらにこの作品では同種族同士の会話が可能となった。(例えば、妖精は妖精と、妖鬼は妖鬼と、といったぐあいにである)
- 基本的には一回攻撃だが、攻撃対象との速さの差が大きいと二回攻撃できるようになっている。
- 攻撃には相性があり、それによって与えるダメージが変化する。(たとえば機械系の悪魔は電撃系の魔法に弱いなど)。またユニットの間にも相性があり、それに応じてダメージが変化する(獣系の悪魔は飛行系の悪魔に対して200%の相性なのでおおむね有利に戦闘できるが、陸上系の悪魔に対しては50%の相性なので戦闘が不利になる)
- 主人公がどのような選択肢を選んだかによって、ルートは5パターンに分かれる。最初にオギワラとの会話でロウ、カオス、ニュートラルの3つルートに分かれ、その後ロウとカオスの二つのルートはベイツとの会話でさらにライトとダークに分かれる。またルートによっては、マップ終了後にイベントが発生し、強い悪魔が仲魔となってくれたり、強力な武器・防具がもらえることがある。
- ジェネレーターの破壊が可能となった。メインキャラをジェネレーターの上に移動させると破壊が選択できる。
- ステージ2以降、仲間集めのためのマップが1つずつ用意されている。勝利条件がないため、1度入ると脱出しなければならない。
- 「えんまくだん」を用いなくても戦闘マップからの脱出が可能となったが、「えんまくだん」を用いない場合、持っているマッカを半分落としてしまう。
[編集] 仲魔
- DIOを使える主人公ユニットが最終的には3人になるため、それに応じてストックできる仲魔の数も増加する。1ファイルにつき15体の仲魔を持てるので、最大3ファイル45体の仲魔をストックできる。
- 下位種族の仲魔は各ファイルに1体ずつ(計3体)ストックできるが、一部の上位種族の悪魔は1体しか持つことができない。
- 仲魔は人間ユニットと同様に、成長することができる。前作での戦闘クラスは「ランク」となり、経験値が100たまるごとにランクアップし、ステータスが上昇する。すぐに成長が止まる悪魔もいれば、なかなか成長が止まらない悪魔もいる。まれに最高ランクのユニットが敵として出現するマップがあり、苦戦を強いられることがある。こうした高ランクの悪魔を仲魔にすると、ランクが0に戻ってしまう。
- CPが廃止となり、召喚のさいにマッカの代わりにマグネタイトが必要となった。
- 前作の特技は「エキストラ」と名称が変わり、種類も大幅に増えた。前作と同様に一度使うと次の満月まで使用できない。ただしエキストラ「リバイバル」を用いると次のターンから使えるようになる。前作では限られた種族しか習得しなかったが、仲間となるほぼ全ての悪魔が1~3のエキストラを習得できるようになった。合体による継承も可能。
- 以下は特殊なエキストラ。
- マインドキャッチ - 全体レベル以下の場合、月齢、属性を問わず、会話無しで無条件で仲間にできる。
- ワンスモア - 行動済みの味方ユニット1体を行動可能にする。
- リバイバル - 使用したエキストラの回復。
- リターン - 離れた場所からコンピュータに戻る。
- ダブルゲット - 経験値2倍。
[編集] 評価
シナリオやシステムは多数のユーザーから支持される良い出来ではあったが、コンピューターの思考時間がかなりかかってしまい、コンピューターが1ターンを終わらせるだけで10分ほど掛かってしまう為に評価が低くなってしまった。
また、ゲームの最初は難易度が高いが、しかし終盤になると強い武器が簡単に手に入ったり、ダメージの算出方法が単純でわかりやすく、それがより大味なゲームバランスに拍車をかけている。具体的には 攻撃力-防御力=ダメージとなっており、また相性によってはダメージが半減したり、2倍になったりする。また、仲魔ユニットの成長にはかなりムラがあり、成長がすぐ止まる仲魔がいる反面、成長が止まらず恐ろしく強くなる仲魔もおり、どの悪魔を仲魔にするか、あるいは仲魔をどの程度、成長させるかにより難易度がかなり異なる。仲魔の中には、成長させると尋常ではない強さになる物がおり、ゲームバランスが崩れてしまう場合もある(実際、仲魔の中には、成長させるとラスボスよりも、はるかに強くなってしまう物もいる)。
シナリオは5つに分岐し、エンディングは5種類。ただし、どのルートを選んでも、ダークな展開を避けることは出来ない。また、グッドエンディング以外のエンディングの場合、どうしようもない矛盾が生じたり、解決されない謎が残るようになっている。しかし、一応、全ての謎(問題)が解決する、いわゆるグッドエンディングに辿り着いたとしても、単純なハッピーエンドとはならない(考えようによっては、いわゆるグッドエンディングがもっともダークな結末であるとも言える)。ただし、エンディングに、ちょっとしたサプライズ演出があり、ゲーム後の印象はそれほど暗い物ではない。またこのサプライズ演出は次作の輪舞曲だけでなく、本編の女神転生シリーズにも流用されている。
シナリオは賛否両論ではあるが、音楽、グラフィックは非常に高い評価を受けている。また、熱狂的なファンがおり(基本的に、最後までプレイした人の評価は高い)、プレイステーション2以降の機種での移植を希望しているサイトも見受けられる。
[編集] RONDE -輪舞曲-
ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | セガサターン (SS) |
開発元 | マルチメディア インテリジェンス トランスファー |
発売元 | アトラス |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM2枚組 |
発売日 | 1997年10月30日 |
価格 | 6,800円(税別) |
対象年齢 | 全年齢(セガのレーティング) |
『RONDE -輪舞曲-』(ロンド)は1997年10月30日に発売されたセガサターン用ソフト。キャラクターデザインは柳澤一明。
同年の11月13日に同じセガサターンで発売された『デビルサマナー ソウルハッカーズ』をアトラスのメインスタッフが開発していたため、本作はアトラスのスタッフではなく、『ラストバイブルシリーズ』や『デビルチルドレンシリーズ』の企画開発を手掛けるマルチメディア インテリジェンス トランスファー社が開発した。
[編集] 評価
32ビット機であるセガサターンで初めて発売される『魔神転生』シリーズの新作としてかなり注目を集めていたのだが、発売前に1面だけがプレイできる体験版が大量に配布された際、未完成としか思えないポリゴンモデル、戦闘シーンでの素人の演技としか思えない掛け声という散々な出来であったためクソゲーとして認知されてしまい、多数のプレイヤーが予約をキャンセルする事態となった。
もっとも、ポリゴンやゲームシステムなどの不具合は別とすれば、シナリオの完成度が高く、一般に言われているほど出来の悪いゲームではない。シナリオは極めてダークで、3種類のエンディングに分岐するが、グッドエンディングも含めて、極めてダークなエンディングとなっている。魔神転生IIで取り入れられたサプライズ演出は今作でも取り入れられているのだが、シナリオそのものがあまりにダークなため、魔神転生IIに比べると今一つ効果を上げていない。ポリゴンやゲームシステムなどの不具合か、ダークすぎるシナリオが共感を得なかったのかは不明だが、これ以降、『魔神転生』シリーズの新作は作られていない。ただし、同シリーズのコアなファンからはシリーズ再開を望む声が、現在も少ないながらも強くある。
[編集] コミック版
スクウェア・エニックス(当時 エニックス)の漫画雑誌「月刊Gファンタジー」から同名のコミック(著:上田信舟)が発売されている。 または、角川書店 のゲーム雑誌「マル勝スーパーファミコン」でも連載(1994年~1995年)されていたが、こちらの方(著:冬凪れく)は単行本化はされていない。
[編集] 外部リンク
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Digital Devil Story | 女神転生I - 女神転生II (旧約) |
真・女神転生シリーズ | 真・I - 真・II - if... - NINE - 真・III (マニアクス) |
デビルサマナー | デビサマ - ハッカーズ - ライドウ |
ペルソナ | 女神異聞録 - P2 罪、罰 - P3 FES |
各種シリーズ | ラストバイブル - 魔神転生 - デビルチルドレン - DDS AT |
モバイル版 | if...ハザマ編 - 20XX - Jack - ピンボール - ペルソナ異空編 - DDS AT S - 東京鎮魂歌 |
PC版 | 日本テレネット版 - 偽典 - IMAGINE |
関連項目 | 原作小説 - TRPG - TCG - 悪魔召喚録 |