K DUB SHINE
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K DUB SHINE(ケーダブシャイン、本名:各務 貢太(かがみ こうた)、1969年5月8日-)は、東京都渋谷区富ヶ谷出身のヒップホップMC、作詞家。ヒップホップグループ、キングギドラのMC及びリーダー、Radio Aktive ProjectのMCを担当。名前のKは本名のイニシャルK.Kから来ている。この名前に定着する以前は、「MC SHINE」や「サムライマー」と名乗っていた。
渋谷区立松涛中学卒業、開成高等学校卒業?(「第三会議室」で「(開成は)ギリギリ…」と本人が発言。合格最低点ギリギリで落ちたのか、ギリギリ受かったのかは不明。その時の本人の様子や物言いから、前者だと思われる。また中学時代は四谷大塚に通っていた)。テンプル大学中退(当時同大学にはEAST ENDのGAKU-MCも通っており、この時点で知り合いになる)。
愛称は「コッタ」「コッチャン」。別名は「ビッグコッタ」「渋谷のドン」「最後の皇帝」「K二乗」「Mr.Atomic Bomb」等多数。また、「日本のCHUCK D」との呼び声もある。
所属レーベルはアトミックボム・レコーズ。所属事務所はアトミックボム・プロダクションズ。1997年、アルバム「現在時刻」でソロデビュー。
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[編集] 概要
日本語の歌詞と韻(ライム)にこだわったラップスタイルが特徴。現在の日本語ラップにおける韻の踏み方を確立したMCである。日本及び日本人としての誇りを訴えかける歌が多く、歌詞やインタビューなどで日本語・英語交じりのラップスタイルのラッパーを度々批判している。低音の脱力的なフロウ(歌いかた)が特徴だがそれ故、フロウが未熟という評価を受けることがある。児童虐待、シングルマザー、麻薬、国家などの話題を積極的にとりあげる社会派ラッパーとして知られる。
[編集] 人物
幼少の頃は病弱で入退院を繰り返しており小学生になるまで生きられないかもしれないと言われていたという。このような体験から命の大切さを人一倍感じているようである。家庭の貧しさゆえ、小学校高学年の頃からグレ始め、渋谷の裏通りをうろつくようになった。現在も渋谷センター街の奥に存在する「Rビル」に溜まっていた事から「アールズ」というチームを結成し、チーマーだったという話もある。しかしヒップホップに出会い前向きに生きる事に目覚める。高校生の頃から8年間アメリカに留学していた。ちなみに母子家庭出身で、六畳一間のアパートで共に暮らしてきた母親への感謝を人一倍感じているようで、「今なら」という曲は母親への感謝を歌ったものである。ちなみに彼は批判するラッパーの曲も一度は聴いている。
RHYMESTERの宇多丸からはよく「天然」と言われているが、アトミックボム・レコーズの中で一番天然なのは実はDJ OASISという説が有力である。宇多丸と共演している「第三会議室」では下ネタに過敏に反応するなど、普段のイメージからは考えられない姿を垣間見る事ができる。
第三会議室ではサーヤのファンと発言している。食玩やフィギュアを収集するなどオタク方面にも造詣が深い。宇多丸に「コッチャンはエヴァとか好きなんですか?」と訊かれ、「綾波レイだけ」と答え、「ホンモノじゃねーか!」とつっこまれる一幕があった。
日本語での歌詞にこだわり、英語交じりのラップスタイルに批判的であるが、本人は高校時代にアメリカに留学しており、英語も流暢に話すことができる。RHYMESTERの宇多丸が知人のアメリカ人から聞いた話によると、「日本人のラッパーにも英語が話せる人はいるが、K DUB SHINEが一番ちゃんとした英語を話す」とのこと。
また、本人は家系をたどると清和天皇の末裔である発言しているが、苗字のみで調べたため実際に家系がつながっているかどうかは定かではない。しかしながら、清和天皇の子孫は現在200万人いるといわれていることから彼もそのうちの一人である可能性を完全に否定することも出来ない。
[編集] 略歴
- アメリカ西海岸のオークランドにてZEEBRA、DJ OASISと共にキングギドラを結成。自らトータル・コンセプトをまとめ活動を開始。ライミング、メッセージ性、社会意識の高さ、ライヴパフォーマンスが話題を呼ぶ。T.A.K THE RHHHYMEへのインタビューでは、これより以前にK DUB SHINE、T.A.K THE RHYMEHEAD、ZEEBRAのメンバーでキングギドラの原型があったとある。
- 06月 RHYMESTERのアルバム『EGOTOPIA』収録の「口からでまかせ」にKING GIDDRAとして参加。
- 07月 V.A.のアルバム『THE BEST OF JAPANESE HIP HOP vol.2』にSAGA OF K.G.(キングギドラ)の「未確認飛行物体接近中」が収録される。
- 12月 キングギドラとしてインディーズアルバム『空からの力』を発表しレコードデビュー。ヒップホップ史上に残る名盤であるとの名声を得る。
- 04月 キングギドラとしてミニアルバム『影』をリリース。
- 10月 SUPER STUPIDのアルバム『WHAT A HELL'S GOING ON?』に収録の「BULLETS OF TRUTH」にKING GIDDRAとして参加。
- この年、キングギドラとしての活動を停止。ソロ活動を開始する。
- エイベックス内cutting edgeよりソロアルバム『現在時刻』を発売しメジャーデビュー。同時期にDJ OASISらと共にアトミックボム・プロダクションズを設立。
- MISIAの「陽のあたる場所」に客演しヒップホップファン以外からも知られ始める。
- 法務省主催の「社会を明るくする運動~HIP HOPを見て聴いて若者を語る~」に若者と大人を繋ぐ存在として参加。HIPHOPをほとんど聞かないような参加層の前でラップを披露。HIPHOPと社会との関係性を語り、若者と社会(大人)、双方の歩み寄りを訴えた。
ちなみに主催した政治家と友人であり、昔は一緒に悪い事をした仲でもある。
- 児童虐待を批判したミニアルバム『SAVE THE CHILDREN』を発表。様々なメディアから注目される。
- キングギドラを再結成し「UNSTOPPABLE」、「F.F.B.」を発売。オリコンチャート初登場5位(F.F.B.)、6位(UNSTOPPABLE)のダブルチャートインを果たした。また、ミュージックステーションなどのテレビ番組にも出演し一気に知名度を上げる。シングル「911(Remix)」、「ジェネレーションネクスト」もオリコンチャート初登場6位(911(Remix))、9位(ジェネレーションネクスト)に、アルバム『最終兵器』はオリコン初登場3位にランクインを果たす。また、『最終兵器』収録曲の「公開処刑」ではK DUB SHINEがKICK THE CAN CREW、RIP SLYME、レコードレーベル・Def Jam Japanを痛烈に批判(dis)、ZEEBRAはKjを批判し話題を呼ぶ。同年、交流のある窪塚洋介が主演し薗田賢次が監督を務めた映画「凶気の桜」で音楽監督を担当。
- ベストアルバム、「世界遺産-THE BEST OF K DUB SHINE- 1996→2002」をリリースする。その後ソニーミュージックに移籍しシングル「オレはオレ」をリリース。
- 自身4枚目のソロアルバム『理由』を発売。収録曲中では自身の生い立ちが赤裸々に語られている収録曲「渋谷のドン」では2ちゃんねるについての歌詞を書いている。同年、DEV LARGEとのネットを介したビーフが話題になった(詳細は後述)。
- 1月にミニアルバム「ほんとあの頃が Original MIX TAPE」をリリースする予定だったが中止に。
- 11月2日に「理由 SPECIAL EDITION」をリリース。
- 3月9日「iTunes Music Store」「着うた」「着うたフル」でシングル「いつもの」をリリースする。
当初は2月下旬から「iTunes Music Store」「着うた」「着うたフル」で配信する予定だったがなんらかの事情で配信延期になった。
- 8月からアトミックボム・プロダクション主催の「DANGEROUS」を開始する。ゲストDJとしてDJ KAORIが参加した。
- さらに8月30日からミニアルバム「自己表現」を「iTunes Music Store」のみで先行リリースされた。配信開始当日でヒップホップジャンルアルバムダウンロードランキング1位になった。(総合は最高5位)
- 9月「DANGEROUS vol.2」開催。ゲストDJはDJ MASTERKEYが参加。
- 10月「DANGEROUS vol.3」開催。ゲストDJはDJ YUTAKA、DJ MUROが参加。さらに今回はゲストMCとしてUBGからUZIが参加。
- 25日、CD版「自己表現」をリリース。すでに配信されている5曲+ボーナストラック1曲(「世界の中心で愛を叫ぶ」収録)。この作品で品番が「SRCL-」から「ABRL-」に変わりさらにインターネットショッピング、アマゾンではインディペンデントレーベルと表記されているためソニーミュージックから離れたとみられる(ソニーは自社アーティストの楽曲配信をi tunes music storeでは一切していない)。
- 11月「DANGEROUS vol.4」開催。
- 12月 「DANGEROUS vol.5」開催。
- 盟友DJ OASISとともにユニットRadio Aktive Projectを結成。11月22日にシングルを予定していたが12月13日に延期。タイトルは「そりゃぁないよ」。30日収録のSugar Hill StreetにてBeefがあるとされていたZEEBRAと共演する。
- 1月 「DANGEROUS vol.6」開催。
現在はsony musicからBBMCに移籍
[編集] 他のラッパーとの関係
[編集] DEV LARGEとのビーフ
2004年、BUDDHA BRANDのDEV LARGEがK DUB SHINEをdis(disrespectの略で批判する、侮辱する、貶すの意)した曲、「ULTIMATE LOVE SONG」がとあるサイトにアップされ、一気にビーフ(揉め事、喧嘩、曲やメディアを使った貶し合い)に発展した。
内容は、K DUB SHINEの新作「理由」の収録曲である「来たぜ」の中でBUDDHA BRANDのMCを挑発する歌詞や、以前からK DUB SHINE達が英語を多用する、所謂、バイリンガル・ラップを批判していた(DEV LARGE達は英語を多用するバイリンガル・ラッパーである)ことへの反発などであった。そして何者かがこのサイトの事を2ちゃんねるに書き込み、ネット上で大きな話題を呼ぶ。
当初は、「本当にDEV LARGEが作った曲か?」「偽者だ!」などの声があったが後にDEV LARGEがラジオでこの曲をかけ、本人によるものである事が発覚した。曲中に、アンサーソングを作れといった内容の歌詞があったことや、ネット上でアンサーを期待する声が多かったこともあってか、10日後にK DUB SHINEがアンサーソング「1 THREE SOME」を同じくネット上で発表。すかさず、DEV LARGEが「前略ケイダブ様」を発表し、ビーフは終了した。しかし第三会議室などを見る限り両人の仲は今だ険悪なようである。KDUBはフロウ(歌いかた)が未熟という声もあり、DEV LARGEもそういうラッパーに対して苦言を呈したことがある。両者の違いが改めて明確になった事件といえる。
なお、各曲は、K DUB SHINEの「1 THREE SOME」がDJ MASAKI「BEST OF K DUB SHINE(Blendz Version)」に、DEV LARGEの「ULTIMATE LOVE SONG」と「前略ケイダブ様」が刃頭のミックステープ「現場デ炸裂」に収録(「前略ケイダブ様」は「前略、ケイダブ様お元気ですか?pt.2」として)されている。また「ULTIMATE LOVE SONG」はI-DeAの「self-expression」に「Ultimate Love Song(Letter) feat. MONEV MILS & 漢」としても収録されている。
[編集] ZEEBRAとのスタイルの違い
キングギドラのメンバーであるZEEBRAとは、アングラ志向寄りのK DUBとオープンなZEEBRAというヒップホップに対する価値観の違いから不仲とされている(ヒップホップ雑誌のインタビューでも両者共に価値観は違うと認めている)。現在、キングギドラは活動停止状態で解散はしていないが、2006年にRadio Aktive ProjectをDJ OASISと結成した。第三会議室で会話の弾みからではあるが、ZEEBRAを「元相棒」と発言したり、「(俺が死んだとして)ZEEBRAは(葬式に)来ない」と話したこともある。
しかし、Radio Aktive ProjectがZEEBRAが司会をしている番組「シュガーヒルストリート」に出演し、2007年1月11日(12日)に放送された。このときに撮られた写真がDJ OASISのブログに掲載されており、K DUB SHINEがDJ OASISとZEEBRAと肩を組んでいる写真や話をしている写真が掲載されている。さらに1月の「DANGEROUS」ではZEEBRA、K DUB SHINE、DJ OASISそしてRHYMESTERの宇多丸四人で写っている写真も公開された。後日の第三会議室の公開収録の際に、この事に話が及んだが「お芝居」とK DUBは語っており、実際の所は不明である。 2006年12月30日に撮られたもの2007年1月12日に撮られたもの
[編集] 売れ線ラッパー、ポップなラッパーに対して
所謂セルアウトラッパーを極端に嫌う。キングギドラ「公開処刑」にはKICK THE CAN CREW、RIP SLYMEをdisするリリックが存在する(その後、この2グループとは和解したようである)。また、『理由』収録の「なんでそんなに」ではSOUL'd OUTやこの頃頻出していたR&B気取りの女性歌手ら(特にSOULHEADやSUITE CHICではないかとの見解が強い)を批判している。
あくまでも個人的価値観に依拠する志向であるため、賛否両論の評価を受けている。
Radio Aktive Projectの「そりゃあないよ」では、PVにおいてそれらしきグループをパロディーして殴ったり縄で縛ったりしていたため、ファンの間でm-floに対するDisではないかとする見方が強まった。その後m-flo loves Crystal Kay - Love Don't Cryがリリースされると、「誰がリアルとか言い合ってる、グチなら書き込め2ちゃんねる」などの歌詞や、この曲のPVでの色の使い方が「そりゃあないよ」のPVのそれと似通っていたため、これがアンサーであると解釈した一部のファンにより双方のBlogが炎上する事態にまで発展。さらにDJ Oasisの名を語りVerbalのブログに書き込みをした人物がいたためOasisがブログで激怒。Verbalは自身のBlogにてアンサー説を否定した。
[編集] 交友関係
派閥的な対立は殆どせず、上記の対立関係にあるラッパーと友好的なミュージシャン(RIP SLYMEやKICK THE CAN CREWの兄貴分であり、DEV LARGEとも親交を持つ宇多丸など)でも交流を持つ事が多い。盟友・DJ OASISの他、第三会議室で共演している宇多丸が在籍するRHYMESTER、DABO、童子-T、DJ MASTERKEYらと俳優では窪塚洋介とも親交を持っている。
[編集] 作品
[編集] CDシングル
- 禁じられた遊び(カッティング・エッジ/エイベックス) 廃盤
- 天国と地獄(アトミック・プロダクションズ) 2000年6月25日発売。
- オレはオレ(アトミックボム・レコーズ/ソニー・ミュージックレコーズ) 2003年11月27日発売。 *レーベルゲートCD2
- 今なら(アトミックボム・レコーズ/ソニー・ミュージックレコーズ) 2004年2月4日発売。 *レーベルゲートCD2
- 正真正銘(アトミックボム・レコーズ/ソニー・ミュージックレコーズ) 2004年4月28日発売。 *レーベルゲートCD2
[編集] CDミニアルバム
- 説明不要(カッティング・エッジ/エイベックス) 1998年12月23日発売。
- SAVE THE CHILDREN(カッティング・エッジ/エイベックス) 2001年9月19日発売。
- 自己表現(アトミックボムレコーズ/BBMC)2006年10月25日発売。
[編集] CDアルバム
- 現在時刻(カッティング・エッジ/エイベックス) 1997年12月10日発売。2003年12月3日再発。
- 生きる(カッティング・エッジ/エイベックス) 2000年12月13日発売。2003年12月3日再発。
- 世界遺産 -THE BEST OF K DUB SHINE- 1996→2002(アトミックボム/avex trax) 2003年1月29日発売。 *CCCD
- 理由(アトミックボム・レコーズ/ソニー・ミュージックレコーズ) 2004年7月14日発売 *レーベルゲートCD2
- 理由 SPECIAL EDITION(アトミックボム・レコーズ/ソニー・ミュージックレコーズ)2005年11月2日発売
[編集] iTunes Store
- いつもの(SINGLE)(アトミックボムレコーズ) 2006年3月9日配信開始(先行リリース) ¥200
- 自己表現(MINI ALBUM)(アトミックボムレコーズ)2006年8月30日配信開始(先行リリース) ¥800
[編集] ミックスCD
- 世界遺産 THE BEST OF K DUB SHINE MIX CD+DVD Mixed by DJ OASIS(アトミックボム/avex trax) 2003年9月18日発売。 *CCCD
- BASEMENT BLEND 2004 -K DUB SHINE- Mixed by WOTC(?/?)2004年発売。
- THE KING OF TOKYO Mixed by DJ HIGH-D(?/?)2004年発売。
- BEST OF K DUB SHINE(Blendz Version) Mixed by DJ MASAKI(CREAM RECORDS/?)2004年11月1日発売。
- BEST OF K DUB SHINE Pt.2 BIG KOTTA RETURNS Mixed by DJ MASAKI(CREAM RECORDS/?)2006年10月18日発売。
[編集] 外部リンク
- THE KING OF TOKYO - 公式サイト
- Sony Music Online Japan : K DUB SHINE - ソニー・ミュージックによる紹介ページ
- + Brain Storm Ver 2.0 + - ファンサイト
- DEV LARGE VS K-DUB SHINE まとめサイト - DEV LARGEとのビーフについて
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