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PC-9800シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

PC-9800シリーズ日本電気(以下NEC)が開発及び販売を行った、独自アーキテクチャパーソナルコンピュータの製品群である。同社の代表的な製品であり、98(キューハチ/キュッパチ)などと略称されることもある。また、エプソンが発売した互換機も含まれる。

目次

[編集] 概要

各社専用にカスタマイズされたマイクロソフト社のBASICをベースにした時代の終盤から、MS-DOS時代を経て、Microsoft Windowsの本格的な普及期まで約15年間にわたってNECのパソコンの主力商品として製造販売が続けられた。本稿ではPC-9821シリーズを除いて述べる。

主力となるデスクトップ型のほか、モニタ一体型のCシリーズ、モニタに液晶プラズマディスプレイを使用して小型化したラップトップ型のL/Tシリーズ、さらに小型化したノートパソコン98NOTE」も多数、発売されていた。

[編集] 略称

狭義には「PC-9801○○」や「PC-9821○○」[1]の2つの型名をもった本体モデルを指すが、公式には「PC-98○○」のような互換性が若干下がる派生品も含んでおり、一般的には「98」「98シリーズ」などと通称されることが多い。PC-9800、PC-9821シリーズを表すあらゆる通称のうち、PC98、PC-98という略称に関しては、ソフトウェア販売店等から浸透した可能性が高い。当時の家電量販店や、ソフトウェア専売店、とりわけゲームソフト販売店で用いられていた在庫管理データベースはカード型を採用しており、在庫入力時の機種毎の識別符号に略称を使用した例が多かった。また当時のパソコンソフトにはバーコードが付いていない物も少なく無く、これらの略称とソフトの識別符号を含めて印刷したバーコードをソフトウェアのパッケージに直接貼り付けて販売するという形態をとっていた小売業者が多かった。このため、MSX2等正式名称が元々短いものは別にして、機種の識別符号には出来る限り短いものが採用され、記号を含めたアルファベット4文字以内で表現される事が多かった。当時普及していた各機種における略称の例では、X68000→X68k、PC-9801→PC98、PC-8801→PC88、スーパーファミコン→SFC等の略称があり、何れも4文字以内となっているのはこのためである。これに習い、これらの機種を表す際に同様の略称を用いる周辺機器メーカーも増えていった。しかしながら現在はWindows 98の実行に推奨されるコンピュータという意味で「PC98」という単語が使われる場合もある事から、これを区別する意味でNEC PC-9800シリーズ、PC-9821シリーズの略称にハイフン(-)を含めた「PC-98」を使用する人もいる。

[編集] 歴史

PC-9800シリーズ(PC-9821シリーズ以外)は採用したCPU・グラフィックコントローラにより、大きく4つの世代に分けることができる。

  1. 8086CPU・GDC搭載機の世代 - PC-8800シリーズの資産を継承し、16ビット時代の地歩を築いた。
  2. V30CPU・GRCG搭載機の世代 - 標準的なハードウェア仕様が確立され、圧倒的なシェアを獲得した。
  3. 80286/80386CPU・EGC搭載機の世代 - MS-DOSの浸透と共に、爛熟期・絶頂期を迎えた。
  4. FELLOW以降・486CPU搭載の世代 - Windows時代の乗り切りを図ったが、ついに終焉を迎えた。

以下、各世代の機種と変遷を概観する。

[編集] 初期の8086・GDCのみ搭載モデル、FDD内蔵への歩み

1982年発売の初代機「PC-9801」[2]CPU8086 5MHz、割り込みコントローラにi8259Aのカスケード接続、DMAコントローラにi8237を使用するなど、インテルの8086ファミリチップを採用したため、IBM PCに似た構成となったが、8ビットのXTバスを搭載したIBM PCと異なり、筐体を開けずに抜き差し出来る16ビットのCバス[3]を採用した。

また、高速な日本語表示のために漢字テキストVRAMを搭載していた[4]。グラフィック画面は640ドット×400ドット8色、1画面。後のモデルでは2画面となった。テキスト画面・グラフィック画面ともに、ハードウェア縦スクロールが可能だった。

これらの高精細かつ高速なグラフィック処理のために、自社製の専用のコントローラGDC (Graphic Display Controller μPD7220) を2個、テキスト用とグラフィック用に採用した。GDCは直線・円弧などグラフィック図形の描画機能をもつ一方、テキスト画面にPC-8000シリーズと同様のキャラクタグラフィックモードが残るなど、PC-8000シリーズ/PC-8800シリーズとのある程度の互換性を考慮してあった。

その他、PC-8800シリーズのN88-BASICと互換性を持つN88-BASIC(86)を自社開発し、ROMで搭載していた。

なお、PC-8800シリーズのキーボードは、メインCPUのI/Oにパラレル接続されており、I/O命令で直接リアルタイムスキャンすることが可能なため、ゲームなどでこの手法が多用されていた。一方、PC-9801のものはマイコンを内蔵したシリアル接続タイプで、ハードウェア的には直接読み取ることはできなかったが、BASICプログラムの移植性を考慮し、BASIC上からはPC-8800と同様にI/O命令で読めるようにエミュレーションされていた[5]。このような点からも、いかにPC-8800シリーズとの互換性確保に腐心していたかをうかがい知ることができる。

初代機以降、CPUを8MHzに高速化し、漢字ROMを搭載したPC-9801E、5インチ2DDフロッピーディスクドライブを本体に内蔵したPC-9801F(FDD内蔵を強調しての命名)が発売された。

PC-9801E 1983年
8インチ、5インチ2D FDD I/F搭載
PC-9801F 1983年
5インチ2DDドライブ内蔵、5インチ2D FDD I/F搭載

富士通のFM-16β対抗のため急遽2HDフロッピーディスクドライブとマウスインターフェイスボードを搭載したPC-9801M(1MBドライブであることを強調した命名とされる)も登場した。

PC-9801M 1984年
5インチ2HDドライブ内蔵、5インチ2D FDD I/F、マウス I/F搭載

PC-9800シリーズのフロッピーディスクは、5インチ2Dのインテリジェントタイプを除き、DMAを使用して、CPUの動作と並列してファイル操作が出来た。

なお、PC-9800シリーズはその後の機能拡張でも、互換性を大前提に、メモリやI/Oへアドレスを割り付けていった。その結果、VRAMのように同じ装置でも割り当てられたアドレスが飛び飛びになるものがあったほか、初代機の部品数削減の名残で一部のI/Oアドレスが一見無意味にデコードされていない、またユーザー用に予約されている箇所が極端に少ない、という状態になってしまった。

またPC/AT互換機同様、CPUにアドレスバス幅が20ビットのCPUを採用したために、メイン・メモリ空間は最大でも640KBで区切られてしまう設計[6]となっている。この時代にはそれが問題となることはなかったが、ソフトウェアが肥大化したMS-DOSの全盛期には、日本語入力システムなどのデバイスドライバを常駐させた後の少ないフリーエリアのやりくり、特に起動に500K~600Kバイト程度のエリアを必要とするアプリケーションのための領域確保にユーザーは苦労することになった[7]

[編集] V30とGRCGの搭載、完全2HD化、3.5インチFDD搭載モデルの発売

この世代の機種は、CPUにNEC自身が開発した8086の上位互換高速CPUである V30を採用した。また、グラフィック機能が大きく強化され、従来のデジタルRGB8色1画面から、4096色中16色同時発色のアナログRGB2画面となった(一部モデルではオプション)。この表現力を生かすため、VRAM各プレーン同時書き込み制御に対応したグラフィック処理プロセッサGRCG (Graphic Charger) が追加された。また、キーボードにNFER(無変換)キーが追加された。

この頃から登場した3.5インチFDD搭載のモデルは、多くのモデルではホビーユースを意識して、5.25インチモデルよりも小型の筐体で、標準でFM音源を搭載した。

PC-9801U 1985年
3.5インチ2DD FDD を初搭載。V30を搭載した最初の98でもある[8]
PC-9801VF 1985年
5インチ2DD FDD を搭載
PC-9801VM 1985年
5インチ2HD/2DD自動切換え型 FDD を搭載
PC-9801UV 1986年
3.5インチ2HD/2DD自動切換え型 FDD を搭載
PC-9801CV 1988年
カラーCRT一体型モデル

これらの機種のうち、PC-9801VMは、「V30・アナログRGB2画面・5インチ2HD」というこれ以降のPC-9800シリーズの標準的な仕様を確立することとなり、以後多くの市販ソフトに「PC-9801VM以降対応」との表示がされた。 また、3.5インチFDDモデルではPC-9801UVがこの役割を果たし、「PC-9801VM/UV以降」という表示も多く見られた。

[編集] 80286/80386とEGCの搭載

80286 / i386の登場により、PC-9800シリーズにもこれらのCPUを採用した高性能機が登場した。この際、V30のハードウェアや命令拡張部分がi80286等と非互換な部分が存在したため、依存していたごく一部のソフトウェアが動作するようにV30も合わせて搭載し、切り替えて使えるようになっていた。 また、i80286搭載に伴いCバスのアドレス線を24ビットに拡張する仕様変更が行われているが、これはスロット右上のスイッチを拡張ボード右奥のバーが押下しない限り有効とならない。

PC-9801VX 1986年
PC-9801UX 1987年

この世代以降、GRCG上位互換のEGC (Enhanced Graphic Charger) と呼ばれる、VRAM各プレーン同時制御を読み出しにも対応させて高速化を実現した新グラフィック処理プロセッサが追加されている。また、GDCのクロックモードを従来の2.5MHzから5MHzに選択することができるようになった[9]

PC-9801RA/RS/RX 1988年
PC-9801ES/EX 1989年

この世代から、筐体のデザインと本体色が変更され、アイボリーブラウンの組み合わせから、ブルーグレーになっている。また、キーボードにはvf・1~vf・5キーが追加された。この頃のキーボードは非常に出来が良く、21世紀になった今でも変換コネクタ経由でPC/AT互換機で使用しているユーザがいる程である。なお、vf キーの追加は OS/2 のユーザーインターフェースが PC/AT 101 キーボードの F1~F12 を前提としていたため、その仕様に合わせるべく行われたとする説がある。

また、この世代では東芝J-3100シリーズに対抗すべく開発が進められていたラップトップ用カスタムLSIが完成したのを受けて搭載されており、これにより前世代より機能強化しつつ筐体寸法のダウンサイジングが実現している。

[編集] デスクトップ完全互換ラップトップ機の完成

1986年に衝撃的なデビューを飾り、欧米で「King of Laptop」と絶賛されたラップトップ型PC/XT・AT互換機である東芝T-3100シリーズの日本版であるJ-3100シリーズの出現は、新規市場の開拓であったが故にNECには直接対抗する手段が存在せず、16ビットパソコンの国内市場を事実上完全制覇しデスクトップマシンのみを前提として開発を進めてきた同社に大きな衝撃を与えた。

そこで対抗策として、同社はPC-98LTとしてひとまず既存技術で実装可能な機能のみを搭載したPC-9800シリーズ下位互換機を発売して時間を稼ぎ、その間にPC-9800シリーズとしての固有機能を集積したチップセットを開発し、デスクトップPC-9801との完全互換を実現したマシンを追加投入する、という2段構えの戦略を採った。

この間にエプソンはチップセットの開発でNECに先んじていたことが功を奏して、PC-286LとしてV30搭載のPC-9801UV互換のラップトップ機をいち早く市場に投入し好評を博したが、本家NECによる同等品は、NEC府中・玉川両事業所が総力を挙げて開発していたチップセットの完成が遅れたことから、J-3100の市場投入から約1年遅れでの出荷開始となった。

PC-9801LV 1988年

これは従来より市場で求められていたものだけに大ヒットを飛ばしたが、先行するJ-3100シリーズと同様に高速CPUを搭載する上位モデルの提供が強く求められ、まずインテル80386SXとV30を搭載するLSが同年秋に市場投入され、これに続いてLVとLSの中間に位置する低コストハイパフォーマンスモデルとして80286とV30を搭載するLXが翌年に順次出荷開始された。

PC-9801LS 1988年
PC-9801LX 1989年

これらの各モデルはいずれもディスプレイを内蔵していたが、LVはEFLバックライト付き青液晶(8階調)、LSはJ-3100同様のプラズマ(15階調)、最後のLXがEFLバックライト付き白黒液晶(8階調)およびSTNカラー液晶(LX5Cのみ)、とまるで市場の反応を試すように多種多様なパネルが使用された。

また、既存ソフトウェア資産の継承のために必要であることから、ラップトップ機であるにもかかわらず、フロッピーディスクドライブが各2基ずつ標準搭載されていたのもこのシリーズの大きな特徴の一つであった。

LVはバッテリ駆動が可能であったが、LS・LXではできなかった。

なお、このラップトップ機シリーズは同じく1989年に更なる衝撃を伴って市場に投入された東芝の歴史的傑作、J-3100SS001「ダイナブック」によって事実上、可搬機としての命脈を断たれたが、省スペースデスクトップ機としてのこの種のパソコンの市場ニーズは法人を中心に根強く存在したことから、クラムシェル型ラップトップ機としての性質を残したまま、キーボードの本体からの分離機能や汎用拡張スロットの標準搭載など、省スペースデスクトップ機にシフトした実装を行った機種が翌年になって出荷され、以後これを基本にPC-H98、PC-9821の両シリーズにも省スペースデスクトップに特化した液晶ディスプレイ内蔵モデルが細々と継承されることとなった。

PC-9801T 1990年
PC-H98T 1990年

[編集] ホビーユースへの進出

従来、デスクトップモデルでは3.5インチFDDモデルは小型で拡張性が低くFM音源を搭載したホビー指向、5インチFDDモデルは大型で拡張性の高いビジネス指向という住み分けを行っていたが、DA/DS/DXからは原則的に全ての機種にFM音源を搭載するようになった。また、互換性維持の為に残されていたV30や、ディップスイッチ、マウスポート割り込み変更ジャンパスイッチも削除され、代わりにVM相当の速度で動作するモードとソフトウェアディップスイッチ(現在のBIOS設定画面のようなもの)が追加され、内蔵DMACの性能向上が行われた。

PC-9801DA/DS/DX 1990年

この頃、8ビット機市場の衰退により、ホビーユースでPC-9800シリーズを所有するユーザーが急増した。しかし、PC-9800シリーズにはアクションゲーム向きの描画機能などは備わっていないため、発売されたゲームはRPGシミュレーションゲームアダルトゲームが中心であった。

PC-9801UR/UF 1991年
CPUはV30HL
PC-9801US 1992年
CPUは80386SX/16MHz。
3.5インチ、5インチモデルを統合後も小型筐体機の需要も根強く、ノート型機をベースにしたUR/UFが販売された。初のIDE(ノート用の2.5インチHDDパック)を搭載できるトップパソコン型PC-9800。URはRAMをフロッピーディスク互換の装置として利用するRAMドライブ(デバイスドライバで実現してあるため、ドライバを流用すれば他の機種でも利用可能)を通常のフロッピーディスク1台の他に装備するモデルで、UFは通常のFDDを2台装備するモデルとなる
PC-9801FA/FS/FX 1992年
大型筐体を持つ機種はユーザによる拡張が前提であるため、そのアクセサビリティ強化のためファイルスロットや筐体を開けずにCPU交換やメモリ増設が行える前面アクセス方式を備えたFA/FS/FXが発売された。Fはファイルスロットを意味すると思われる。FAはi486SXを搭載した最初のPC-9801。FXはPC-FXとの関係はない

[編集] 486DXの搭載と、MS-DOS・MS-Windows3.1からWindows95の時代へ

1990年代に入り、Windows 3.0/3.1の登場と、安価なPC/AT互換機の本格的な日本上陸という大きなムーブメントが起こり(後述)、これに対処するためNECはハイエンドのPC-9821シリーズ(愛称は98MATE)を投入した。 そのためPC-9800シリーズは、MS-DOSベースの市場向け、またPC/AT互換機との価格対抗のための廉価版として傍流に位置づけられ、98FELLOWと言う愛称がつけられた。デザインや色もPC-9821に準じた丸みを帯びた形状とアイボリーに変更となっている。

価格低下のために、FM音源や増設用FDD端子の削除、拡張スロット数の削減、専用HDDユニットから汎用IDEへの変更、ファイルスロットから5インチベイへの変更等が行われているが、最も影響を受けたのがキーボードであろう。今までのメカニカルスイッチ式からメンブレンタイプの安価な物に変更になっているが、入力性能に強く影響を及ぼすNキーロールオーバー機能は死守されていた。

この価格低下と9821シリーズへの移行は、それまでの(高価な)既存機のユーザーに、衝撃をもたらした。既存機の性能を少しでも上げようと、286/386CPUをサイリックスなどのピン配置が386と同等の486互換CPUに交換するためのボードが流行した。CPUソケットを使用した機種の多いPC-9800シリーズならではの現象だったが(ただし、PC-9801USのユーザーがかなり多かった為、フラットパッケージ使用のi386SXマシン用Cyrix4x86CPUユニットも発売された)、しかしこれらは動作が不安定な上に、486機と比較すると大した速さにはならなかった。 またPC-9821移行の直前に出たPC-9801FAは、高価な割には売れており、しかもクロックが8MHz系統の486SX-16MHzという仕様のため、CPUを486DX2などに交換しても性能が大して向上せず、多くの98FAユーザーが涙を飲んだ[10]

PC-9801BX/BA 1993年
CPUは486SX-20MHz/486DX2-40MHzが搭載された。それぞれ、それぞれ内蔵ドライブ構成の相違から、/U2(3.5FDD*2)/U6(3.5FDD*1+HDD=80M)/M2(5.25FDD×2の3種に仕様が分けられていた
PC-9801BX2/BS2/BA2 1994年
CPUは486SX-25MHz/486SX-33MHz/486DX2-66MHzが搭載され、これらの機種もそれぞれ内蔵ドライブ構成の相違から、/U2(3.5FDD*2)/U7(3.5FDD*1+HDD=210M)/M2(5.25FDD×2)というサブモデル名が存在する
HDD搭載モデルはFDDが1基搭載であるが、この機種から前面パネルの一部を交換でき、オプションで2つに増設することも可能であった。また、FDDの下にファイルベイが追加されている
このモデルより汎用SIMMが利用可能となり14.6M制限が撤廃されたほか、パラレル端子がハーフピッチに、マウスの端子が丸型に変更されるなど、PC-9800シリーズ過渡期のモデルといえる。なお5インチFDD内蔵モデルはこの機種が最後となった

長らく続いたPC-9801シリーズも、Windows95と同時に発売されたPC-9821の廉価版のValueStarシリーズが販売された時点でその使命を終えた。

PC-9801BX3/BA3 1995年
定価が10万円を切る低価格(98,000円)で発売された初の98。486SX-33MHz(BA3は486DX2-66MHz)を搭載し、上位モデルにWindows3.1をプリインストールしたものもあった
PC-9801BX4 1995年
グラフィックアクセラレータを内蔵したPC-9801型番の最終モデル。PC-9801型番だがPC-9821Xe10と共通の部品を使用し、PC-9821相当の性能を持つ。486機であるが、末期にはPentium ODP63MHzをCPUとして搭載するモデルも存在した

その後の動向については後述する。

[編集] ソフトウェア資産

自社開発のN88-BASIC(86)をROMで搭載し、同社の8ビットパソコンPC-8800シリーズと言語レベルで高い互換性を持つ。また、当時としては強力な日本語処理機能を持ち、さらにNEC自身が積極的にソフトウェア開発の支援を行なったため、多数のPC-9800シリーズ専用アプリケーションが登場した。

また、非常に多くのOSが移植されており、NEC自身により、MS-DOS、CP/M-86、OS/2 1.x/2.11/Warp V3/Warp Connect/Warp 4、Windows 1.x/2.x/3.x、Windows 95/98/98SE、Windows NT/2000、PC-UXが、サードパーティにより、UNIX SVR4が、ユーザコミュニティにより、386BSDFreeBSDNetBSDLinux、FreeDOSがそれぞれ移植されている(PC-UNIXの中では、FreeBSDが比較的早くから実用的に動いていたためユーザを増やし、その影響で今日でも日本ではPC-UNIXユーザに占めるBSD系のユーザの割合が多い)。

ホビーユースにおいても多数のゲームソフトが発売され、日本独自のパソコンゲーム文化の形成に大きく影響した。

これらの圧倒的なソフトウェア資産を背景に、日本国内市場においては一時期はほぼ寡占状態に近く使われていた。

N88-BASIC、MS-DOSなどには、純正の日本語入力システムが付属していた。時代が下るにつれてかな漢字変換能力が向上し、それにつれて名称がNECDIC(単文節変換)、NECREN(連文節変換)、NECAI(AI変換)などと変わっていった。 また、サードパーティ製の日本語入力システムも、主にワープロソフトに付属する形で普及した。代表的なものにATOK、VJE-β、松茸WXシリーズなどがある。

[編集] 型番

[編集] 本体の型番

PC-9800シリーズでは、ソフトウェアの互換性をアピールする意味もあって、コンピュータ本体の型番には一貫してPC-9801xxnn(xxはアルファベット、nnは数字)という名称が用いられた。アルファベット1文字目はシリーズ名、2文字目は初期はFDD、後期はCPUのグレードを、数字1文字目はFDD数若しくは搭載HDDを、2文字目はリビジョンを示す。

なお、PC-9821シリーズの型番もPC-9801シリーズと同じくアルファベット2文字での付番を継承しているが、PC-9801では2文字とも大文字であるのに対し、PC-9821では2文字目が小文字であるという違いがある(例:PC-9801RA21 / PC-9821Ra20)。

[編集] 周辺機器、拡張ボードの型番

純正の周辺機器、汎用拡張ボードには、他のPCシリーズ同様、PC-98nn(nnは数字)という型番が与えられた。

  • PC-9831: 5インチFDD装置
  • PC-98H31/32/33/34: 外付けHDD装置
  • PC-9861: RS-232C拡張インターフェイス
  • PC-9871/K: マウスセット
  • PC-9881: 8インチFDD装置

PC-9801U発売以降、番号の不足や型番から製品が区別しにくい等の理由で、プリンタはPC-PRnnn、HDDはPC-HDnnnn、FDDはPC-FDnnn、CD-ROMはPC-CDnn、光磁気ディスクドライブはPC-ODnnnのような命名基準に改訂されている。

汎用拡張ボードにはPC-9801-nny(nnは数字yは英字)という型番が与えられた。PC-9801-を省略してnnボードと呼ばれることが多かった。

  • PC-9801-01: 第1水準漢字ROMボード
  • PC-9801-03: CMTインターフェイス
  • PC-9801-26/K: FM音源ボード(PC-8801mkIISR相当)
  • PC-9801-29/K/N: GP-IBインターフェイス
  • PC-9801-32: PC-UX用V60CPUボード
  • PC-9801-55/L/U: SCSI ホストアダプタ
  • PC-9801-61/R/U: 増設RAMサブボード
  • PC-9801-73: FM音源ボード(PC-98GS相当)
  • PC-9801-86: FM音源ボード(PC-9821相当)
  • PC-9801-91: フルカラーウィンドウアクセラレータB
  • PC-9801-92: SCSI ホストアダプタ
  • PC-9801-100: SCSI ホストアダプタ(Adaptec AHA-1030P OEM)
  • PC-9801-107: B4680インターフェイスEC
  • PC-9801-108: B4680インターフェイスET
  • PC-9801-118: FM音源ボード(SB16相当)

各機種専用のオプションは、PC-9801yy-nn (yyは機種名、nnは数字)という型番が与えられた。

  • PC-9801DA-01: 増設RAMボード
  • PC-9801U-02: 16色グラフィックボード

[編集] PC-98シリーズ

少数ながら「PC-98yy」(yyはアルファベット)という名称を持つシリーズも存在する。これらはアーキテクチャの改変を伴う実験的なモデルであるが、初期に企画されたものはPC-98の名を持つものの、その互換性の無さがネックとなり失敗に終わったものが多い。

また、外見上もPC-9801シリーズとは区別がつけられており、RA/RS/RX世代以降の機種では前面のスリット部分が濃いブルーグレーに塗装されている。

[編集] 高解像度(ハイレゾ)系

ハイレゾ(1120×750 16色、24dotフォント)表示を持つCAD向きの機種。ハイレゾモードでは、マウスI/Fの割り込み番号やテキストVRAMの開始アドレスやVRAMのアドレスがノーマルモードとは異なるが、アクセス方式は変わり無いためテキスト版のソフトウェアやワープロ等はかなりの数が移植された。

この系列はPC-H98シリーズへと発展し、後のPC-9821 A-mateで互換動作ボードが販売されるなど数少ない成功例である(が、個々の商品が成功したとは言い難い)。

なお「ハイレゾ」とは高解像度の意味である「ハイ・レゾリューション(High Resolution)」の略称だが、PC-9800シリーズ・PC-H98シリーズによって広まった呼称である為、日本では「ハイレゾ(ハイレゾリューション)=PC-98のハイレゾモード」という図式が出来上がってしまっている。

PC-98XA 1985年
98シリーズ初のi80286機。当時最高水準の解像度を誇ったが、他のPC-9800シリーズが備えるノーマルモード(640×400) 表示を備えていないため、ソフトウェア、周辺機器の互換性が低い
PC-98XL 1986年
XAにノーマルモード機能も持たせ(起動時切り替え)、他のPC-9800シリーズとの互換性を高めたもの。以降ハイレゾ機はノーマルモードを兼ね備えたものとなる
PC-98XL2 1987年
エックスエルダブルと読む。XLのCPUをi386[11]にし、メモリバスを32ビット化したもの。PC/AT互換機のISAバス対応拡張カードのような筐体前後方向に長いライザーボードの形態でCPUボードやメモリボード、あるいはグラフィックボードを搭載しており、PC-98xxシリーズでは一番筐体が大きい。余談ながら、98シリーズ最大の筐体は、SV-H98 model60であり、最高の価格のダブルレコードを保持している
PC-98RL 1989年
XL²を高速・コンパクト化したもの。同時期のPC-9801RA/RS/RXと同様、ノーマルモードに関わるチップセットはラップトップ機用として開発されたものが流用されており、これによりメモリとCPUのライザーボードは廃止され、2段重ねのマザーボードに実装される形式となった。

[編集] 小型化

ラップトップタイプの初代機で、GVRAMが1枚に削減された上にテキストVRAMも削除されている。互換性の低さと直後にPC-9801互換のラップトップが発売されたため、一部のワープロが移植されたのみにとどまる。主に、ラックタワー系機器のコンソールとして活用される事が多かった。後記のFC-98シリーズの小型版としても使用された。

PC-98LT 1987年
ラップトップPCで、V50CPU(8MHz)。グラフィックVRAMが単色分のみでテキスト画面と共用、と他のPC-9800シリーズと表示系の互換性が(差異を少なくする努力は見られるものの)とても低い。ROMでMS-DOSを内蔵
PC-98HA 1990年
LT互換だがさらにハンディサイズまで小型化、CPUをV50(10MHz)にし、アプリケーションソフトをROMに搭載したもの。ファイル装置は内蔵S-RAM、メモリカードのみ。カードでMS-Works を搭載可能。この機種は専用ソフトをメモリカード形式で供給すれば電源オンと同時にソフトを起動可能で、ディスク形式のメディアを特に必要としないという仕様が評価されて、とある生命保険会社のセールスマン/レディ用携帯端末として大量納入された(NECらしからぬ本体色(赤)の設定と、丸みを帯びたその筐体デザインは、セールスレディが持ち運び使用することが前提にあった為である)ことが知られている。
カードスロットは、後のPCカード規格の前身である初期のJEIDA規格であった

[編集] PC-8800シリーズ互換

起動時のスイッチ切り替えでPC-8800シリーズとの互換性を持たせた機種。PC-8801からの移行ユーザの取り込みを目指したが、DOは機能の不足で、DOは互換性に問題はないものの時期を逸したために、商業的には失敗に終わった。

PC-98DO 1989年
PC-8801MH相当とPC-9801VM21相当のモードスイッチによる切り替え機能を持つ(内部的には一枚の基板になっている)。88モードは拡張バス・コネクタがない上に、サウンドボード2相当の音源が搭載されておらず、ATARI規格ジョイスティックやRS-232Cも使用不可能(プリンタは使用可能)で、98モードにはEGC、増設用FDD端子が無く拡張スロットが1つなので、本体だけではHDDと拡張メモリ(EMSバンクメモリ)の併用が出来ないと言う非常に使い勝手の悪い機械であったため、結局は双方のユーザから敬遠されてしまった
PC-98DO 1990年
CPUにV33A 16MHz、EGC、サウンドボード2相当音源(98モードでもPCM以外は86ボード同様の手順で使用可能)、増設用FDD端子を搭載し、HDD内蔵可能、98NOTE用の増設EMSメモリカードスロットを文字通り内蔵することで、当時のPC-8801、PC-9801の標準的なソフトウェアを動かすに足る仕様を備えていた。(80286以上用のプロテクトメモリやソフト、拡張カードは使用できない。)
また、マウス変換コネクタ PC-98DO/P-11 をマウスコネクタに装着することで、98モードでもATARI規格のジョイスティックを使用できる。この機能は後のPC-9821やA-mate、CanBeシリーズに引き継がれている。
しかし、発売時点で既に、PC-9801DXや80286 16MHzを搭載したEPSON PC-98互換機が同価格帯で販売されていたために乗り換えユーザの大半はそちらを購入し、併用する事を選択した

[編集] マルチメディア指向

オーサリングを目的とするマルチメディア指向の実験機。Windows3.0 + 独自マルチメディア環境がプリインストールされていた。ハードウェアによる高機能のグラフィックとサウンドを搭載。マルチメディア部分の仕様は後のPC-9821とは異なっているが、一部の機能はMS-DOS用のドライバ・ソフト間で互換性が図られている。PC-9801シリーズのアーキテクチャに追加する形で機能拡張しており、ハード、ソフトとも互換性の問題は特にない。もっとも、丁寧に作り込み過ぎた為か、PC-H98シリーズに匹敵するほど価格が高く設定された結果、ビジネスとしては失敗に終わっており、その反省がPC-9821(初代)誕生の原動力となった。

PC-98GS 1991年
CD-ROM内蔵(内蔵無モデルもあり)、フルカラー表示や複数プレーン表示、PCM + FMサウンド機能、DSPによる音響効果。オプションでビデオ処理機能。オーサリングソフトの非常に秀逸なデモが添付されていた。
ちなみに本機のオプションであったビデオ処理機能をCバスボード化したPC-9801-72、標準搭載のDSPを含むサウンド機能を抜き出したPC-9801-73という2枚の拡張ボードにより、通常のPC-9801シリーズでもグラフィック以外は本機と同等のマルチメディア拡張が可能であったが、こちらも非常に高価であったため、普及せずに終わっている
なお、この機種は開発スタートがかなり早かったらしく、CPUとして386SXだけでなくV30も搭載しており、PC-9801ESがその基本となったと推測される。一方で、同時期に富士通が「FM-TOWNS」でPC-9800のホビーユースシェアを食い荒らした時期であったため、その対抗機であったとする都市伝説もあったが、実際にはマイクロソフト社が同じ 1991 年に発表した MPC(Multimedia PC)規格 1.0 に呼応した市場テストモデルとしての性格が強いと考えられる。

[編集] PC-H98シリーズ

ハイレゾ系PC-98シリーズの後継として、32ビット高速バスNESAを搭載した上位モデル「PC-H98」(エイチきゅうはち)が存在する。このモデルは、通称「ハイパー98」シリーズとも呼ばれ、AGDC、E²GC、32ビット転送が可能なDMAC搭載、256色表示、16MB以上のメモリ実装が可能、ハイレゾモードのノンインターレース化、専用ケーブル採用による、ディスプレイへのキーボード接続と電源の連動、NESA対応拡張ボード上にインテリジェントコントローラを搭載することによるプラグアンドプレイ相当の機能の実現、Windows上でのノーマルモードでハイレゾの解像度を使用可能とする、等といった様々な改良や機能追加がなされ、高品質な部品の採用、大出力の電源、縦置き使用を考慮して底面まで塗装された筐体、徹底的なノイズ対策等々、バブル時代特有の贅沢な作りとなっており、主にCAD等の使用を目的としていた事もありセットで100万円を軽く超える価格設定になっていた。また、本機をベースとしたPCサーバSV-H98シリーズや産業用のFC-H98シリーズも販売されていた。

本流のPC-9801シリーズとの互換性は世間で言われているように低いものでは無く、NESAのレベルトリガ割り込みによるINTの共有を行わず、C-BUSボードのリソース登録を確実に行えば、NESAのボードを使用していても市販ゲームはもとよりFreeBSD(98)等も全く問題なく動作する。

余談ながら、特定I/Oポートを叩いた際の一定時間のウェイト挿入や、アナログパレット設定値の読み出し機能は本機種から搭載が始まっている。

PC-H98model60/70 1990年
80386DX搭載。98シリーズ初のキャッシュメモリを標準搭載
PC-H98model100 1990年
98シリーズ初の486DX搭載。販売価格215万円が有名
PC-H98Smodel8 1991年
i486マシンをPC-9801DAの10万円高でリリースする事を目標に開発されたPC-H98からハイレゾモードを外した機種。そのためディスプレイコネクタは通常の2列D-sub15pinを採用している
PC-H98model80/90 1991年
i486SX搭載。Windows3.0での運用を重視し、標準で256色表示が可能となっている
PC-H98model105 1992年
98シリーズ初のi486DX2を搭載。PC-9801FAに準じたファイルスロットや前面アクセス方式を備える

[編集] 98Pen

通常はキーボードを使わず、液晶モニタ上をスタイラスペンを用いて操作する形態の、ノートパソコンサイズの小型パソコン。PC-9821シリーズ世代に発売されたが、当時の技術では、マルチメディア志向までカバーできる液晶モニタの開発が困難なことや、きょう体の小型化の阻害になる事などから、PC-9801の形式に位置づけられた。

PC-9801P 1993年
MS-DOSのペン入力対応版である日本語PenDOS2.0、Windows3.1のペン入力対応版である日本語Windows for Pen1.1、そしてGO社の開発したPenPoint2.0を搭載した3モデルが発売された。しかし、前者2種はペンパソコンOSとしての完成度の低さから、後者はアプリケーション資産がほとんどないことから、ハードウェア技術の稚拙さも相まって商業的には完全に失敗した

なお、この形態のパソコンは後に三菱電機COMPAQも挑戦しているが、いずれもひとつの流れにはなることなく終わっている。

[編集] FC-9800/FC-H98/FC-9821シリーズ

PC-9800/PC-H98/FC-9821シリーズのハードウェアを防塵・防振・防爆対応にすることで、使用環境に制約の多い工場でも使用できるように再設計されたモデル。 安全性と信頼性を確保するために、機種ごとに「設置可能条件」が定められている。

型番のFCとは、「ファクトリーコンピュータ」の略である。産業用・工業用に設計されたモデルのため、事務所や一般家庭向け機種が販売されるパソコンショップでは取り扱われず、ファクトリーオートメーション工作機械の中核部分として組み込んだ形で販売された。

本体を19インチラックに取り付けることができることや、拡張ボードのスロットやRS-232Cポートの数が一般のPC-9800シリーズに比べて多いことも特色である。最終モデルとなったFC-9821Xにおいては7本、その他のモデルでは主に6スロットを設けている

システム構築を行う側にとっては、中身が一般に販売されているPC-9800シリーズと同等のため、ハードウェア部分を独自に開発する負担がないこと、ソフトウェアの開発も使い慣れているPC-9800シリーズ対応OS・言語で行えるため、短納期・低コスト・保守の容易さが実現した。

納入して利用する側としても、PC-9800シリーズの操作方法がそのまま利用できるため学習の手間が省けること、カラー・高解像度の見やすい画面であること、PC-9801用ソフトがそのまま動作するためCADデータの編集から製品の加工が一元化できること、他企業とのCADデータ授受が行いやすいことなどが好評となった。

PC-9800シリーズを基にしたFC-9800シリーズも、現在は生産が終了している。2002年より、PC-98NXシリーズを基にしたFCシリーズが新たに登場している。

[編集] OP-98シリーズ

1991年に登場した、NECオフコン3100シリーズのOSが乗るシリーズで、PC-H98系のソフトウェアの実行が可能。「オーピーキューハチ、エヌイーシー」というテレビコマーシャルも流れたが一般ルートでは販売されず、売れ行きは良くなかったといわれている。

[編集] RC-9801

1991年に登場した、ノートパソコンに無線機能を備えた機種。「テレターミナル」という専用のホストに無線で繋ぐことで、パソコン通信をすることができた。今でいうモバイル通信機能を備えたパソコンのはしりといえる。このシリーズは、1機種しか発売されなかった。

[編集] 98互換機の登場

前述のように、PC-9800シリーズのソフトウェア資産は圧倒的であり、NEC自身が投入したものも含め、別アーキテクチャのコンピュータは苦戦を強いられた。

セイコーエプソンは98互換機、EPSON PCシリーズを開発したが、初代機PC-286に対しては、NECが互換BASICおよびBIOS著作権侵害を訴え、発売延期の後にBASICを外し、修正されたBIOSを搭載して再発売するという波乱もあった。その後もNECは自社開発のDISK-BASICやMS-DOSに自社製ハードウェアであるか確認する処理を付け加えるなどした(通称:EPSONチェック)が、セイコーエプソンではそれを解除するパッチ(SIP)を供給し、サードパーティー機器の互換性検証を行い情報提供するなどして、地道にシェアを伸ばして行った。その後、AT互換機が普及するにつれて劣勢となってきた頃、NECはこのエプソンチェックを取り除くようになった。

このNECとエプソンの訴訟合戦を見て、PC-9800シリーズ互換機を計画していた他社が、AXに流れたという経緯もある。また、NEC最大のライバルである富士通は独自のFMRシリーズを貫き、それをベースとしたホビーユース向けFM TOWNSを発売する。

エプソン以外にも、プロサイドがPC/ATとPC-9800のデュアル互換機を販売したり、シャープMZ-2861がソフトウェアエミュレーションによりPC-9800シリーズ用のソフトを動作させるなどのユニークな試みもあったが、定着には至らなかった。

[編集] サードパーティー機器

前項の如く、互換機の販売には否定的であったNECであるが、周辺機器や拡張カード、特に純正品互換周辺機器の開発、販売には協力的で、非常に多くの製品が多くのメーカから販売されていた。特に、純正メモリにおいてはNECがサードパーティ製品の購入を積極的に推薦しているのではないかとユーザに思わせるような価格設定であった。

[編集] 55ボード問題

サードパーティー機器と互換性に関する話としてよくやり玉に上げられるのが55ボード問題である。

これは、PC-9801-55 SCSIホストアダプタ、及び、その相当品を内蔵する機種は、接続されているHDDが自社製のものであるか否かを判定するため、SCSIベンダIDの「NEC」という文字列を参照するチェックを行い、該当しないHDDが接続されていた場合その存在を無視、若しくはハングアップして起動しないと言う動作を指す。

この機器チェックは、黎明期にSCSIを導入したことに起因する。

PC-9801-50/PC-9801-55ボードが発売された当時、SCSIの規格は今で言う所のSCSI-1であり、CCS (Common Command Set)す ら確定されていなかった。しかも、当時のNECが製造していたSCSI-HDDはSASI時代の仕様を引き継いでおり、SCSIのModeSenceコマンドに対して返す総セクタ数の値に代替セクタを含まず、しかも代替セクタ数を取得パラメータから逆算で算出可能な総ブロック数を返すReadCapacityコマンドにも対応していなかった[12]

このため、NECは自社製SCSI-HDDを使用する限り、正しい容量情報を取得するにはModeSenceコマンドをHDDに対して発行してCHSデータを取得する他無かったのであるが、他社製SCSI-HDDの大半はこのコマンドに対して代替セクタを含めたセクタ数を返してくる仕様であったため、同じ方法で容量取得を行った場合、ディスクの論理破壊が発生する危険があった。55ボードのベンダチェックは本来その危険を未然に防止する目的で実装されたものであり、それゆえこの問題に無関係のMOやCD-ROM、スキャナといったHDD以外のデバイスIDを持つ機器についてはチェックは行われていない。事実、NEC純正の3.5インチMOドライブは松下電器のものをOEMで採用しており、ベンダIDも変更されていない。

この後、CCSが制定された際にもModeSenceコマンドは厳密に規定されず、その為この段階では互換性維持の観点からチェックが外されることは無かった。

この措置は最終的に、SCSI-2が策定された際にModeSenceでHDDのCHSとして代替セクタ数を含めた値を返すようになり、またReadCapacityコマンドの実装も正式に規定された事から、NECが生産するSCSI-HDDもこれに準拠するように変更[13]されてその意義を失った。そこでNECはまずベンダチェックを行って初期のNEC製HDDであるかどうかを判定してから55ボード互換動作をするか、それともセクタ長512byte、8ヘッド、32セクタとパラメータを決め打ちして(これが92互換ボード上での「8GBの壁」の主因である)ReadCapacityコマンドを用いる、標準的な容量取得方法を採るかを自動切換えする、PC-H98-B12・PC-9801-92 SCSIホストアダプタをリリースした。

これらの純正SCSI-2対応ボード登場までは、サードパーティーメーカー各社はこのチェックを回避するため、独自のディスクパラメータを採用する自社製のより高性能、高機能なSCSIホストアダプタとHDDを抱き合わせて販売するか、さもなくばNECのHDDを使用していた。これについてはサードパーティ各社がPC-9801-92登場後、自社製ホストアダプタが採用していたディスクパラメータとNECの新パラメータの両互換性を備える新ホストアダプタを、「マルチベンダ対応」と称して販売する事で対処している。なお、このマルチベンダ対応機能は自社製品のみならず同業他社のホストアダプタのパラメータにも対応するのが通例で、この機能の登場後は、Windows NT 4.0以降でPC-9801-55系のパラメータが事実上排除されたこともあってPC-9800シリーズ用SCSI HDDのディスクパラメータはPC-9801-92のものに急速に収斂して行くこととなった。

また、MOドライブ黎明期においては、MO非対応のMS-DOS5.0以前で使用する際、MOドライブをHDDとみなして接続する使用形態があった。そのため、富士通など一部のメーカー製MOドライブには、スイッチを切り替えるとHDDのデバイスタイプを返し、また55ボード問題を回避するため、例えば「NECITSU」などにベンダIDを変更してSCSI-1のNECベンダユニークコマンド互換モードで動作する機能を実装して販売されていた[14]

もっとも、MS-DOS 3.xにおいても以前から販売されていた純正5.25インチMOとの互換モード[15]での利用は可能であり、普及期が前述のPC-9801-92 SCSIホストアダプタの販売時期とも重なっていたため、ベンダID変更機能が本当に必要であったのかは疑問が残る。

このチェックがかかっていた時代に主に利用されていたOSはMS-DOSとその上で動作するWindows1.x~3.xであり、BIOSレベルでの互換性さえあれば問題なく動作したため、抱き合わせで販売されていたSCSIホストアダプタの価格も非常に安価であった事もあり殆どのユーザにとっては全く影響がなかった筈であるのに不必要に喧伝され過ぎていた嫌いがある。この当時はベンダにより異なったジオメトリが採用されていたため、ベンダ間の互換性の無さの方がユーザにとっては切実な問題であり、NECのHDDを採用したドライブユニットを購入するのが実は一番楽にデータの移行が可能であると言う皮肉な事態が発生していた。

とはいえ、起動後はBIOSを使用しないOS/2やWindows NT等を使用していた少数のユーザにとってはドライバが供給されないことは深刻な問題であり、純正品互換と騙ってBIOS互換製品を販売していたサードパーティーメーカー各社が自社製SCSIホストアダプタの当該OS用ドライバを供給しなかった事の方がより問題であった。この問題については、ユーザー数が極端に少なかったOS/2[16]はともかく、Windows NTについては確かにサードパーティ各社の対応に不満が出るのも致し方ない状況であったが、PC-9800シリーズ用NT系OSは実装上PC-9801-55/-92互換パラメータでの動作が前提となっており、仮にパラメータの異なる旧ホストアダプタのためにドライバを書くとすると、プログラミングと検証、それにサポートに新型ホストアダプタを開発するのに匹敵する巨額のコストが発生したため、サードパーティ各社にその対処を求めるのは酷というものであろう。前述のマルチベンダ対応機能にはそのアフターケアという意味合いも含まれており、事実、緑電子のようにサポートの手間が増えるのを嫌って、旧ホストアダプタユーザーに対しWindows NTに対応する新ホストアダプタ(マルチベンダ対応)への格安料金での有償アップグレードサービスを行っていた例も見られたのである。

余談ではあるが、これから数年後NECが生産するSCSI-HDDのベンダ名が「nEC」から「NEC」に戻った時、逆方向の互換性問題が発生したのだが、その時点ではIDEのHDDが主流となっていたためあまり知られていない。

[編集] モデムとの通信速度

PC-9800シリーズのCPUのクロック周波数は、機種によって5/10MHz系のもの(5MHz、10MHz、12MHz、20MHzなど)と8MHz系のもの(8MHz、16MHz)が存在し、この系統によってRS-232Cの通信速度の設定が異なっていた。 どちらでも仕様上サポートされているのは9600bpsまでであり、これを超える速度を設定しようとすると、5/10MHz系では19200bps、38400bpsという一般的な速度になるのに対して、8MHz系では20800bps、41600bpsという半端な速度になってしまっていた。

モデムが高速化して、パソコンとの間の通信速度が9600bps以上になると、5/10MHz系の機種では問題なく通信速度の設定ができるのに対して、8MHz系の機種ではモデムが対応している一般的な速度に設定できないため低速通信を強いられる、という問題が表面化した。 この問題に対処するため、サードパーティから高速対応のRS-232C拡張ボードが発売された[17]。また、国産のモデムでは、8MHz系で設定可能な半端な速度に対応するものが増えた。

ちなみに、PC-9821シリーズでは通信系統のクロック供給が5/10MHz系に統一された上で、最初期の機種を除いてOSからの設定が115200bpsまでに強化されている。また、互換機のEPSON PCではCPUのクロックとは別に通信系統には5/10MHz系のクロックが供給されている。

[編集] PC-9800/9821シリーズの終焉

1990年PC/AT互換機上でソフトウェアのみで日本語処理を実現するIBM DOS J4.0/V、通称DOS/Vが登場し、コストパフォーマンスに優れたPC/AT互換機の本格的な日本市場上陸が始まった。1991年には、日本語版のWindows 3.0が登場し、MS-DOSからWindowsへ、ソフトウェア環境の移行が始まった。Windows上では、PC/AT互換機もPC-9800シリーズも基本的に同じソフトウェアが利用できるため、ソフトウェア資産を背景としたPC-9800シリーズの牙城を揺るがすこととなった。また、ビデオカードの交換で簡単に画面表示能力を向上できるPC/AT互換機と異なり、PC-9800シリーズは基本的に画面表示回路が作りつけであったため、Windowsに求められる高解像度画面を提供する上で不利な立場にあった。

このような流れの中、PC-9800シリーズはPC/AT互換機に対抗しWindowsへ対応するため、PC/AT互換機と同等の画面表示モードを備えたPC-9821シリーズを投入。 販売数そのものは順調に増大していたが、PC/AT互換機の販売はこれを上回る勢いで拡大し、PC-9800/9821シリーズは次第にシェアを落としていった。 これは、パーソナルコンピュータとWindowsの爆発的な普及により、従来とのハードウェア・ソフトウェア互換性を必要とするユーザが相対的に少数派となったためである。

さらにこの頃、CPU・チップセット・ビデオチップ・拡張バスなど、PCを構成する各種の要素技術が急激に高度化したが、それらのほとんどがPC/AT互換アーキテクチャを前提としていたことから、PC-9800/9821シリーズに採用する上でさまざまな困難に直面することとなった。 またWindowsの移植においても、Windows 3.1の時代にはFMRシリーズ / FM TOWNSなど他社独自アーキテクチャ機も存在していたのに対し、Windows 95の時代にはPC-9800/9821以外はほぼPC/AT互換アーキテクチャに収斂したため、NECにはWindowsや各種ドライバの移植コストが重くのしかかることとなった(なお、PC-9800/9821に対応しているWindowsは、Windows 2000 / 98SE までで、Windows Me / XPは対応していない)。 このようにして、独自アーキテクチャの維持に次第に限界が見えてきた。

1997年10月、NEC製のPC/AT互換機といえる[18]PC97規格準拠マシンであるPC98-NXシリーズが発表され、一般市場におけるPC-9800/9821シリーズは事実上その使命を終えた。

しかし実際は、多くの制御機器等でPC-9800シリーズが使用されており、これらの資産をPC/AT互換機等に移行するにはユーザー側に莫大なコスト増を強いるため、CバスやMS-DOSなどの資産を継承する必要に迫られた(建設用の計算ソフトなどでも、開発経費節減のためPC-9800シリーズと抱き合わせ販売されていた)。このため、その後も一部機種を継続販売していたが、2003年9月30日をもって受注終了となった。最終モデルは「PC-9821Ra43」「PC-9821Nr300」。

しかしながら、2006年2月現在でもなお、サードパーティによるPC-9800互換機(ロムウィン社98BASEシリーズ[1]、エルミック・ウェスコム社iNHERITORシリーズ[2]など)が製造・販売されている。またFreeBSDでは、2006年12月現在も最新の安定版(6.1-RELEASE)においてPC-9801シリーズのサポートが継続されている。

[編集] 累計出荷台数の推移

(PC-9800互換機は含まない)

  • 1982年11月 - 1万台
  • 1983年3月末 - 4.5万台
  • 1987年3月 - 100万台突破
  • 1989年2月 - 200万台突破
  • 1990年5月 - 300万台突破
  • 1991年3月 - 400万台突破
  • 1992年1月 - 500万台突破
  • 1994年6月 - 800万台突破
  • 1995年6月末 - 1000万台突破
  • 1996年12月4日 - 1500万台突破
  • 1998年9月25日 - 2000万台突破

[編集] 脚注

  1. ^ 1992年下半期に発売され、以降主流となった通称PC-9821シリーズ
  2. ^ シリーズ名と区別するため「初代」「無印」「ヌル(ヌルストリングの略)」とも呼ばれる。
  3. ^ この名称はPC-H98時代に新たに採用された32ビットバス(Eバス)との区別の必要が生じ命名された。
  4. ^ ただし、漢字フォントROMはオプションとされていた。
  5. ^ I/Oアドレスは異なるが、ビットの配置は合わせてあった
  6. ^ I/OポートやVRAMの割付を見直したハイレゾモードでは、最大768KBのメイン・メモリ空間が確保される。
  7. ^ リアルモード対応OS上でのメモリ空間拡張の方法としてI/Oバンク方式EMSXMSなどが提唱されたが、根本的な解決はWindowsの普及を待つこととなった
  8. ^ グラフィックVRAMは初代機と同様に1画面分のみ実装していた(増設不可)。
  9. ^ ただし5MHzの場合は200ラインでの表示ができなくなる。なお、ソフトからの強制変更も一応可能である。
  10. ^ もっとも、PC-9801DA等の旧機種にサードパーティ製のCPUボードと各種拡張ボードを併用するなどして、Windows95/98をインストールした者もいた。また後年には、386機とFAと初期のFellow用に、Am5x86-133MHzを実装したCPUボード上に14.6M以上のSIMMを直接させるようにしたハイパーメモリCPUという製品がメルコから発売されており、これを使用するとCPU周りに関してはPentium75MHz並みの速度にはなった。
  11. ^ 仮想86モード使用不可能な初期リリース版が搭載されていた。
  12. ^ いずれもSCSI-1の段階ではベンダユニークコマンドとして取り扱われていたため、NECのこの仕様も許容されていた
  13. ^ これに伴いNEC製SCSI-HDDはベンダ名を「nEC」に変更してコマンドの対応状況を判別可能としている。
  14. ^ ちなみにこの対応についてはNECも許容しており、それゆえ55ボードのBIOSではベンダIDの先頭3文字以外をベンダチェックの判定対象から外していた。
  15. ^ 1メディア4ドライブを1メディア1ドライブとして認識させる。
  16. ^ 但しICMの様に対応ドライバを提供したメーカーもわずかながら存在した。
  17. ^ PC-9800シリーズのRS-232CはPC-9821AnまでFIFOバッファが搭載されておらず、高速通信ではとりこぼしの恐れが大きかったため、5/10MHz系の機種であってもこのようなボードは有用であり、草の根BBSなどで重宝された。
  18. ^ ただしNECはそのようには呼ばないし、DOS/Vの動作も保証していない。

[編集] 関連記事

[編集] 外部リンク

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