いすゞ・ウィザード
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いすゞ・ウィザード (WIZARD) はかつていすゞ自動車が製造していたSUV型の自動車。車名の由来は英語で魔法使い。いすゞが日本国内で販売した乗用車系の独立車種としては最後に投入された車となった。
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いすゞ・ウィザード | |
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製造期間 | 1998年 – 2004年 |
ボディタイプ | 5ドア ステーションワゴン型SUV |
エンジン | 4JX1型 直4 3.0L 145PS 4JG2型 直4 3.1L 135PS 6VD1型 V6 3.2L 215PS |
全長 | 4490mm |
全幅 | 1785mm |
全高 | 1740mm |
車両重量 | 1740kg |
先代 | ミューウィザード |
後継 | なし |
姉妹車、OEM | ホンダ・パスポート |
車台が共通の車種 | いすゞ・ミュー いすゞ・アクシオム |
同クラスの車種 | トヨタ・ハイラックスサーフ 日産・テラノ |
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目次 |
[編集] 概要
1998年に実施されたいすゞ・ミューのフルモデルチェンジの際に、それまでミューの5ドアバージョンとして存在していたミュー・ウィザードを独立させて誕生した。
ラインナップは、1998年6月に発売された4WDのウィザードと、2000年2月に駆動方式をFR化したウィザードアライブの2種が存在した。搭載エンジンはいすゞが新たに開発した直噴4JX1型コモンレール式ディーゼルエンジンである。ビッグホーンが搭載する4JX1型ディーゼルエンジンのインタークーラーを省略した形式で、出力は若干低い。
[編集] 歴史
[編集] 初代・UCS69GW
ウィザードの歴史は1995年のミュー・ウィザードにさかのぼる。それまでのいすゞSUVにはミュー、ビッグホーンの2つのラインナップが存在し、その間を補完する形で登場したのがミュー・ウィザードである。当時、アメリカで人気を博していたいすゞ・ロデオを国内むけに改良し、ミュー・ウィザードとして販売した。 ミュー・ウィザードの開発に当り、他社のクロスカントリー系SUVの多くがロングボディ・4ドアを投入しており、ロデオ投入から約4年ものタイムラグがあったため、迅速な市場投入が求められた。そこで当時社長直属のプロジェクトとして立ち上げられた「ZIPカープロジェクト」により、各セクションから専任スタッフを集め少数精鋭の開発体制が組まれた。同時期にエルフUTの企画が同じZIPカープロジェクトで立ち上げられた他、1997年に発売されたスペシャリティSUVビークロスも同プロジェクトから量産化されている。 開発するに当り、ロデオからエンジンとサスペンションを大幅に変更された。 北米仕様のロデオとの違いは…
- エンジン
ロデオ:ガソリン(GM製V6) → ミュー・ウィザード:ディーゼルターボ(4JG1)
- サスペンション(リアのみ)
ロデオ:リーフスプリング → ミュー・ウィザード:4リンクコイルリジット
エンジンとサスペンションが変更された背景には、当時国内市場でディーゼルエンジンが主流であったこと、サスペンションに関しては乗り心地を重視しリアサスペンションを変更された。 ミューの姉妹種であるが、外観は同社の国内版ピックアップトラックであるロデオに近い。ちなみに、サイドウインカーがオレンジなのはアメリカ向けの名残である。それれまでの直噴4JB1 2.8Lディーゼルターボから、環境に配慮した4JG2 3.1L過流式ディーゼルターボエンジン(インタークーラーなし)を搭載した。プラットフォームの多くをビッグホーンからの流用(ビッグホーンのロングボディーのフレーム上にロデオのボディーを搭載)、内外装はミュー、 インパネ周りをビークロスと共用した部分も多い。トランスミッションは4ATのみであった。
1997年春、ミュー・ウィザードマイナーチェンジ実施。
- 主な改良点は・・・
- エンジンの電子制御化による出力、トルクの向上
- アルミホイールのデザイン変更
[編集] 2代目・UES25/73FW
[編集] 先行コンセプトカー「145X」
1997年の第32回東京モーターショウで現行(最終型)が145Xとして出品された。このクルマが2代目ウィザードの先行コンセプトカーとして発表された。ちなみに「145X」とは、開発コードの名称であり、145=UES系の全体開発コードの数字を表し、X=ロングボディの単独コードを表す。(姉妹車種のミューはY) コンセプトカーでは、外観をゴールドのボディカラーでまとい、内装には本革やシルバー等の装飾が施されたが、その多くは市販車に生かされるとはなかった。
[編集] 初期型1998年~2000年
1998年5月、国内販売が開始された。フルモデルチェンジに伴い、ミューの姉妹グレードから独立した車種となり、スポーティーさと実用性の双方を兼ね備えたコストパフォーマンスに優れたSUVとして位置づけられた。フルモデルチェンジでは、プラットフォームやエンジンを一新した。
【プラットフォーム】
プラットフォームでは、先代がUBSビッグホーンと共通のシャーシを使用していたのに対して、UES型では専用のシャーシを開発した。このシャーシの特徴としては、従来のロングボディやショートボディだけではなく、ピックアップトラックへの流用を考慮して3分割フレームとした。ボディの長さ、用途別による強度対応を柔軟に行える点が挙げられる。(後にタイで生産されるD-MAXのシャーシにも流用されているが、大幅に改良されている。)また軽量化にも対応しており、従来比で100kg以上の軽量化がされている。実はこのプラットフォーム、開発当初モノコック化も検討されていたため、その際の技術が軽量化につながったとも言われている。サスペンションはフロントは従来どおりトーションバー式のダブルウィッシュボーンだが、リアは5リンクコイル式リジットに変更された。リアサスペンションの変更は、燃料タンクの位置変更(リアデフ後方から中央)とスペアタイヤの床下設置に対応したものである。
【エンジン】
- ガソリンエンジン 3,200ccV6 6VD1 出力:215ps/5600rpm トルク:30.0kg・m/3200rpm(ビークロスの6VD1型からエキゾーストマニホールドの等長化を実施)
- ディーゼルエンジン 3,000cc 4JX1 出力:145ps/3600rpm トルク:30.0kg・m/2000rpm(UBS73ビッグホーンからインタークーラー未装着)
エンジンを一新し、いすゞが新たに開発した4JX1型コモンレール式ディーゼル(Dd)ターボ(インタークーラーなし)を搭載し、燃費の向上、環境負荷の低減を両立させた。出力においても前モデルより排気量が0.1L減少したにもかかわらず、+20PSと飛躍的に向上した。
【デザイン】
欧州のスタジオ(IEE=いすゞヨーロッパエンジニアリング)と藤沢工場デザイン部の競作。チーフデザイナーは3代目ジェミニを担当した中村史郎氏。「質実恒健」をキーワードに、プレーンでシンプルなデザインを目指した。特に細部のグラフィックデザインの仕上がりに対して評価が高いものの、全体的にインパクトに欠け、ライバルである日産テラノに近い骨格デザインのため、先代のようなインパクトやスタイリッシュさに欠けるきらいがある。
【グレード】
- ガソリン車 TYPE-X(ATのみ)
- ディーゼル車 TYPE-X(AT/MT) TYPE-S(AT)
また初期モデルにおける、追加車種及び特別仕様車は次のとおりである。
- K2エディション(TYPE-Xベース)
- エアロカスタム(TYPE-Xベース)
- G-LMITED(欧州向けワイドフェンダー装着)
- 2WD仕様追加
また2WD追加時に、ガソリン車のアルミホイールを15インチから16インチに変更された。
[編集] マイナーチェンジ型2000年~2002年
【LS-LIMITED】
1999年秋の東京モーターショウでは、前回モーターショウに引き続いて、マイナーチェンジ車をコンセプトカーLSE-LIMITEDとして先行発表。ボディカラー、ホイール、内装のデコレーションを除き、デザインはそのまま市販車に生かされていた。
【概要】
2000年5月マイナーチェンジ実施。内外装のデザインを大幅に変更し、質感を大幅に向上されるとともに、グレードの整理、新技術の投入を積極的に実施した。
【エンジン】
ディーゼルエンジンは変更なし。ガソリンエンジンは、電子制御スロットルの採用、イオンセンシングの採用、良低排出ガスの適応が実施された。
【サスペンション】
初期型で不満の多かった操縦性を向上。主に欧州仕様のサスペンションと同じセッティングを実施。スタビライザー径の変更や、ショックアブソーバーの減衰力変更を実施した。 また上級グレードLSE及びLSには、電子制御セミアクティブサスペンションを採用。スカイフック理論を応用し、「スポーツ」と「コンフォート」の2通りをスイッチにより切り替えができる。このシステムを使用することにより、ノーズダイブの減少させ、ロールを抑える効果があると言われている。
【駆動系】
4WD車のLSE及びLSにTOD(トルクオンデマンド)を採用。また駆動の切り替えをレバー方式からダイアル方式に変更。
【グレード】
名称の変更と、上級グレードの追加を実施
- LSE(新設:LSにサンルーフ、本革シート、セミアクサス標準)
- LS(TYPE-Xより名称変更。4WD車はTOD追加。セミアクサスはオプション扱い)
- S(TYPE-Sより名称変更。5MT設定)
【デザイン】
- マルチリフレクターランプ採用
- フロントグリル、バンパーデザイン変更
- テールランプ変更
コストパフォーマンスの充実を図った意欲的なモデルへと変化、フロントマスクの変更でアメリカ市場で好まれるタフなイメージが強調された。
2001年5月マイナーチェンジ実施。北米のイヤーモデルにあわせた形の小変更。リアドアにツイーターを追加、8スピーカーとなる。水没対策パワーウインドウの追加、 UVカットガラスをフロントガラスに装備、エアバックの意匠一部変更など。国内で販売されたウィザードとしては最終モデルとなり、販売台数は特に少ない。
[編集] 生産拠点
生産拠点は当時富士重工業との合弁であった、アメリカのSIA(スバル・オブ・インディアナ・オートモーティブ)で生産し国内で整備販売した。
[編集] 海外展開
オペル、ホールデンのブランドでもFronteraの名称で販売された。北米での販売名は「ロデオ」。
2002年のいすゞ自動車SUV撤退を受け、日本国内での販売を終了。その後、2004年までアメリカで生産が続けられた。2005年春頃まで、フロントマスクをホール6にしたマイナーチェンジモデルが販売されていたが、同年アメリカでの販売も終了。
[編集] その他
本来、北米市場を想定して設計されたため、藤沢工場で生産されたビッグホーン、ビークロスなどと比べると良くも悪くも「外車」である。やはりアメリカ製という点で日本車とは明らかに雰囲気が違う。また、シフトレバーの位置が遠く、MT車のクラッチの踏み込みが深すぎるなど、日本人の体格的に合わない部分も見られる。国内販売された多くがマイナーチェンジ前で、後期型はかなり少ない。いすゞのSUV撤退時には在庫車が50万から80万円引きで売りに出されていた。 また国内で販売された5MT車は約800台足らずである。5MT車はフライホイールの交換という比較的大掛かりなリコールの対象ともなった。ビッグホーンとの差別化を図るためインタークーラーの搭載は最後まで無かったが、ディーゼルに関して言えばエンジンの電子制御化、ATの電子制御化もずいぶん遅く、こと、ATの電子制御化においてはビッグホーンに搭載されてから遅れること実に三年、2001年のことであった。(ガソリン車については2000年のマイチェン時にエンジン&AT共に電制化済である)総じて、立場上ビックホーンより格下と言われるが、車重が200Kg程度軽量であり、他車を含め、車高も低く、トータルバランスとしては内容では決して引けを取っていない。
ウィザード・ロデオと酷似した中国・陸風汽車製LandWind(中国名:陸風)がドイツのADAC(Allgemeiner Deutscher Automobil-Club、ドイツ自動車連盟)で星0個という史上最悪の安全性を露呈し、思わぬところで脚光を浴びる結果となった。陸風汽車は親会社は江鈴汽車で、いすゞ(中国名:慶鈴五十鈴)とはエルフで提携しつつ、資本はフォードと言うややこしい関係である。この陸風(LandWind)もディーゼルエンジンはいすゞ製、ガソリンエンジンは三菱製であるが、エンジン以外はいわゆるチャイニーズコピーであり、ウィザード・ロデオとは全くの別物である。参考までに挙げるとロデオ・ウィザードのアメリカNCAPにおける安全性は前面が星3から4,側面が星4から5(最高)となっている。
[編集] 外部リンク
- いすゞミュージアム(生産車の歴史等を紹介)
- VehiCROSS007/175 + WIZARD