アフラトキシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アフラトキシン (aflatoxin) とは、カビ毒(マイコトキシン)の一種。熱帯から亜熱帯地域にかけて生息するアスペルギルス・フラバス Aspergillus flavus などのカビにより生成される。1960年に、イギリスで七面鳥が大量死した際の分析中に発見された。人に対する急性中毒の例としては、1974年にインドで肝炎のために106名という多くの人が死亡した事件やケニアでの急性中毒事件などがある。
防疫所の検査や自治体の衛生研究所などのモニタリング調査により監視が行われているが、食卓に上る料理の食材の多くを輸入に頼る日本では、摂取を避けて通ることができない毒とされる。なお、これまでアフラトキシンが検出されたものはすべて輸入食品であり、国産品からは検出されていない。
目次 |
[編集] 毒性
アフラトキシンは地上最強の天然発癌物質であり、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる(詳細はIARC発がん性リスク一覧参照)。主に、肝細胞癌を引き起こす原因物質として知られている。アフラトキシンは少なくとも13種類(代表的なものは B1、B2、G1、G2、M1 の5種類)に分かれるが、毒性はB1が最も強い。発癌機構として、アフラトキシンは肝臓の代謝酵素シトクロムP450によって活性化され、それがDNAと結合して付加体を形成する。付加体は、DNAの変異や複製阻害を引き起こし、癌化のイニシエーターとなることが報告されている。
[編集] 基準
日本では、アフラトキシンB1 について1971年よりピーナッツ含有食品に 10 ppbという基準が定められ、以降全ての食品に適用される。なお、アメリカの基準は 20 ppb と各国の評価や規制値はまちまちであるが、各国で厳しい基準が敷かれていることには変わりはない。
[編集] 基準超過検出事例
- 1997年-2000年 イランから輸入されたピスタチオから検出
- 2002年 ペルーから輸入されたナッツから検出
- 2004年 ベトナムから輸入された米(政府保管米)から検出
- 2005年 中国から輸入されたそば粉から検出
このほかピーナッツを代表するナッツ類、ナツメグなどの香辛料からは、基準値以下のアフラトキシンがしばしば検出される。