マイコトキシン
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マイコトキシン (mycotoxin) とは、カビの二次代謝産物として産生される毒の総称である。ヒトや家畜などに対して 急性もしくは慢性の生理的あるいは病理的障害を与える。現在、100種類以上のマイコトキシンが報告されており、アスペルギルス、ペニシリウム、フザリウムの3属によるものがほとんどである。Mycotoxin という単語は「菌の」という意味の接頭語である "myco-" と、「毒」の意味である "toxin" からなる言葉。
[編集] 代表的なマイコトキシン
- オクラトキシンA、B
- アスペルギルス・オクラセウス (Aspergillus ochraceus) やペニシリウム・ビリディカータム (Penicillium viridicatum) などのカビにより生成される。腎毒性及び肝毒性を持つ。
- シトリニン
- ペニシリウム・シトリナム (Penicillium citrinum) やペニシリウム・ビリディカータム (P. viridicatum) などのカビにより生成され、腎細尿管上皮変性を引き起こす。黄変米の毒成分のひとつ。
- トリコテセン系マイコトキシン
- ゼアラレノン、フモニシン、ブテノライド他
- 上記のフザリウム属が他に生成するマイコトキシン。ゼアラレノンは内分泌撹乱作用を持ち、家畜に不妊、流産、外陰部肥大を引き起こす。
- ルテオスカイリン、ステリグマトシスチン
- アスペルギルス・ベルシコロルなど (Aspergillus versicolor) によって生成される。ルテオスカイリンは肝毒性、ステリグマトシスチンは発癌性を持つ。
- シクロクロロチン
- ペニシリウム・イスランディクム (Penicillium islandicum) などによって生成され、出血を伴う肝細胞の壊死を引き起こす。黄変米の毒成分のひとつ。
- ルブラトキシン
- ペニシリウム・ルブルム (Penicillium rubrum) などによって生成される。肝毒性を持つ。
- ペニシリン酸
- ペニシリウム・ベロッコサム (P. verrucosum) などによって生成される。
- シクロピアゾン酸
- アフラトキシン生産菌によって生産される。
- 麦角アルカロイド
- Claviceps purpuraeなどによって生成され、跛行、乾性壊死、豚の無乳症を引き起こす。
- スポリデスミン
- Pithomyces chartarumなどによって生成され、光線過敏症を引き起こす。
- ロリトレム
- Neotyphodium lolliなどによって生成され、痙攣などの神経症状を引き起こす。
[編集] 関連項目
- 黄変米
- 赤かび病
- 七面鳥X病
- ライグラススタッガー
- 白質脳軟化症
[編集] 外部リンク
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