アルビン・トフラー
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アルビン・トフラー(Alvin Toffler、1928年10月3日 - )は、アメリカの評論家、作家、未来学者。1949年、ニューヨーク大学卒業。「デジタル革命」、「コミュニケーション革命」、「組織革命」、「技術的特異点」に関する業績で知られている。かつてフォーチュン誌のアソシエイトエディターを勤め、初期の仕事はテクノロジーと(情報の過負荷状態などによる)その影響に関するものだった。その後、彼は社会の変化と相互作用に興味を移していく。彼のその後の関心事は21世紀の軍事技術、兵器や技術の増殖、資本主義の増大する力となっていった。
妻のハイジ・トフラーも作家であり未来学者である。トフラー夫妻は、ともにアメリカ国防大学教授、国際連合女性開発基金米国委員会の共同議長を務めている。
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[編集] 思想
トフラーは言う。「社会には、年配者を世話する人々が必要で、彼らはどのように同情し、どのように正直であるべきかを知っていなければならない。社会には、病院で作業する人々が必要である。社会には、単なる認識だけではないすべての種類のスキルが必要である。それらは感情的であり、それらは愛情である。データとコンピュータだけでは社会は実現しない」
トフラーは、著書『第三の波』の中で、「波」の概念に基づいて三種類の社会を描いた。そして、それぞれの波は古い社会と文化を脇へと押しやる、とした。
- 第一の波は農業革命の後の社会であり、それ以前の狩猟採集社会の文化を置換した。
- 第二の波は産業革命であり、社会の主な構成要素は、核家族、工場型の教育システム、企業である。トフラーは次のように書いている。「第二の波の社会は産業社会であり、大量生産、大量流通、大量教育、マスメディア、大量のレクリエーション、大衆娯楽、大量破壊兵器などに基づくものである。それらを標準化と中央集権、集中化、同期化などで結合し、官僚制と呼ばれる組織のスタイルで仕上げをする」
- 第三の波は脱産業社会である。トフラーは1950年代末にはこれを言いはじめ、多くの国が第二の波から第三の波に乗り換えつつあるとした。彼は、それを説明する造語をたくさん作り、他の人々が発明した情報化時代のような造語にも言及した。
この脱工業化社会の中では、ライフスタイル(「サブカルト」)は様々である。「アドホクラシー」(例えば流体のように変化するウィキペディアコミュニティのようなもの)は迅速に変化に適応する。情報は物理的資源の大部分を代替することでき、緩やかに関係している労働者(proletarian の代わりに cognitarian と呼ぶ)に供される主要な材料となる。「マスカスタマイゼーション」は安価で個性のある製品をある特定のニッチに対して提供する(ジャストインタイム生産システムを参照)。生産者(プロデューサー)と消費者(コンシューマー)のギャップは技術によって埋められる。「プロシューマー(prosumer: 生産に関わる消費者、トフラーの造語)」は自身のニーズを満たすことができる(オープンソース、フリーランス、組み立てキットを参照)。
1960年代以来ずっと、人々は新しい技術のインパクトと社会的変化を理解しようとしている。トフラーの著作は科学や経済や社会秩序の限界を超えて有意義であった。テクノ音楽の名付け親ホアン・アトキンスは、自身が創造を助けた音楽ジャンルに「テクノ」と名づけるに際して、トフラーの『未来の衝撃』に出てくる「テクノレベル」という造語からインスパイアされたという。
トフラーの業績と思想は、他の未来学と同様の批判(未来を予測することはほとんど不可能だ)を受けてきたが、1990年代にはニュート・ギングリッチはトフラーを公然と賞賛した。
[編集] 主な著書
記載した年は原著の発行年。
- 『未来の衝撃』Future Shock (1970年)
- 『エコスパズム』The Eco-Spasm Report (1975年)
- 『第三の波』The Third Wave (1980年)
- 『大変動』Previews & Premises (1983年)
- 『パワーシフト:21世紀へと変容する知識と富と暴力』w:Powershift: Knowledge, Wealth and Violence at the Edge of the 21st Century (1990年)
- 『戦争と平和』War and Anti-War (1995年)
- 『富の未来』Revolutionary Wealth (2006年)
[編集] 関連書籍
- 『衝撃波を乗り切れ』The Shockwave Rider (1975年) は、ジョン・ブラナーが『未来の衝撃』にインスパイアされて書いたSF小説である。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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