ウリエル
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ウリエル(Uriel, אוּרִיאֵל 「我が光は神(el)」, ティベリア式ヘブライ語 Ûrîʾēl;ウーリーエール)は旧約聖書や新約聖書の外典・偽典である『エノク書』や『ペトロの黙示録』などに登場する天使で、アウリエルとも呼ばれる。
ウリエルはミカエル、ラファエル、ガブリエル等とともに四大天使に数えられ、最も有力な天使であった。名の意味は「神の光」で、これは「神の炎・火」に由来する。
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[編集] ウリエルの持つ様々な役割
ウリエルも他の天使達と同様、様々な役割を担っているが、それら全てを司る訳ではなく、神学者や後に書かれた外典、宗派などによって、様々なウリエル像が生まれたと考えるのが妥当だろう。
[編集] タルタロス(地獄)の支配者
『ペトロの黙示録』ではウリエルは懺悔の天使で罪人(この場合、神に背いた者を示す)を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火にかけると言われ、法に厳しい無慈悲・無情な存在で、地獄の罪人達を散々苦しめていると言う。 また、最後の審判の時には、地獄の門の閂を折り、地上に投げつけて陰府(よみ)の門を開き、すべての魂を審判の席に座らせる役目も持っているという。 このように地獄の支配者という面から、火山に結び付けられ、炎の属性を持ちながら、地の属性を与えられた(下記参照)といわれる。また、上記のように、極めて厳格な性格を持つため雷と恐怖を司る天使と同一視されることもある。
[編集] 智天使(ケルビム・Cherubim)としてのウリエル
ウリエルは熾天使(セラフィム・Seraphim)とも智天使ともいわれるが、智天使としてのウリエルは、焔の剣をもってエデンの園の門を守る天使とされる。ウリエルの象徴として「焔の剣・盾」が挙げられる(下記参照)のはそのためだろう。
[編集] 熾天使(セラフィム・Seraphim)としてのウリエル
ウリエルは熾天使指揮官の1人であるともいわれる。
[編集] 大天使(アークエンジェル・Archangel)としてのウリエル
[編集] =一般的な大天使ウリエル=
大天使はキリスト教・イスラム教で7人とされているが、そのうち3人は異なっている。 しかし、残りのミカエル(ミカール)、ラファエル(アズリエル)、ガブリエル(ジブリール)、ウリエル(イスラフィール)の4人は一致している。 彼等は天使の9階級の中で8番目の軍団でありながら、最も大きな権威と権力を持つ。 これは、より高位で神に近い天使ほど、より霊的で非物質的な存在になり、低位な天使であれば、物質世界に近づくことが出来るという、ユダヤにおける、宇宙の階層性に基づいたものだといえる。 つまり、より人間達に関わる機会の多い天使はより物質世界に近づくため低位な階級を持っているのである。
[編集] =『エノク書』におけるウリエル=
エノクはウリエルを7人の大天使の長であるとした。
[編集] =大天使と四大天使についての注意点=
大天使とは、天使の9階級における8番目の軍団のことを示すが、四大天使の『大天使』は大いなる天使の意である。
[編集] 太陽の統率者
ウリエルはミルトンの失楽園で太陽の統率者と呼ばれ、太陽の運行を司る天使として登場する。また『エノク書』では、天における全ての発光体と地上の運行、気象を司る天使とされている。
[編集] 予言と解釈を司る天使
『第2エズラ記』において、ウリエルはヘブライ(ユダヤ)の預言者、エズラが見た幻視の意味を説明する。また、ノアに大洪水が迫っていることを報らせたのも、預言の天使の帽子をかぶったウリエルだったという。
[編集] ウリエルの担うその他の役割
- ウリエルは『ヨセフの祈り』の中ではヤコブと格闘した天使とされている。
- 彼は作家にインスピレーションを与える存在で、そのため本と巻物が象徴(下記参照)とされている。
[編集] ウリエルの堕天
ウリエルは724年のローマ教会会議においてザカリアス教皇に「聖人と偽って地上を歩いた」として堕天使の烙印を押された。これは民間で加熱しすぎた天使信仰を押さえるために、聖書正典に名前が語られるミカエル、ラファエル、ガブリエル以外の天使を否定し、堕天させたものである。その後、教会の処置は寛容になり、ウリエルは復権するが、それは天使としてではなく、聖人としてのものとなった。聖ウリエル(聖人としてのウリエル)の象徴は「開いた手の上に乗せられた炎」である。
[編集] 天使から人間へ成った初めての者
ウリエルは『ヨセフの祈り』の中で『わたしは人間達の中で暮らすため地上におり、ヤコブという名で呼ばれる』という奇妙な言葉を述べている。メタトロンなど人間から天使へ成った者はいるが、その中でもウリエルは記録の中では初めての者であると解釈できる。
[編集] ウリエルの称号などの表
称号 | 神の炎 |
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役職 | 太陽の運行と人の魂の守護者 |
シンボル | 焔の剣・盾、又は、本、巻物 |
エレメント | 地 |
方位 | 北 |
霊力 | 感受 |
美徳 | 堅忍 |