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新約聖書 - Wikipedia

新約聖書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新約聖書しんやくせいしょギリシア語:Καινή Διαθήκη、ラテン語:Novum Testamentum)は紀元1世紀から2世紀にかけてキリスト教徒たちによって書かれた文書で、『旧約聖書』とならぶキリスト教の聖典。また、イスラム教でもその一部(福音書)が啓典とされている。『新約聖書』には27の書が含まれるが、それらはイエス・キリストの生涯とことば(福音と呼ばれる)、初代教会の歴史(『使徒言行録』)、初代教会の指導者たちによって書かれた手紙(書簡)、黙示文学(『ヨハネの黙示録』)からなっている。「旧約聖書」・「新約聖書」の「旧」「新」という言い方を避けるため、『旧約聖書』を「ヘブライ語聖書」、『新約聖書』を「ギリシア語聖書」と呼ぶこともある。

目次

[編集] 『新約聖書』の内容

『新約聖書』の各書はすべてイエス・キリストとその教えに従うものたちの書であるが、それぞれ著者、成立時期、成立場所などが異なっている。そもそも初めから「新約聖書」をつくろうとして書かれたのではなく、目的や著者がばらばらな書物が集められ、まとめられて「新約聖書」が成立した。同じように多くの書物の集合体である旧約聖書と比べると、成立期間(全書物のうちで最初のものが書かれてからすべてがまとまるまでの期間)が短いということがいえる。現代の学者たちの説によれば、『新約聖書』の書物の執筆時期は紀元32年から90年ごろで、それらの書物が『新約聖書』としてまとめられたのは150年から225年ごろの間であるとみなされている。

以下は『新約聖書』27書と伝承による著者(実際の著者とは限らない)のリストである。なお各書の呼称は中立的なものとするため、現代の日本キリスト教においてもっとも広く用いられている『新共同訳聖書』における表記を用い、それ以外の呼称や略称も併記しておく。

[編集] 福音書

イエスの生涯、死と復活の記録

[編集] 伝承上の福音書の著者

伝承では『マタイ福音書』はアルフェオの子で、税吏であった使徒マタイによって書かれたとされている。『マルコ福音書』はペトロの同行者であったマルコがペトロの話をまとめたものであるという。『ルカ福音書』はパウロの協力者であった医師ルカによって書かれたとされ、『ヨハネ福音書』はイエスに「最も愛された弟子」と呼ばれたゼベダイの子ヨハネが著者であるとされてきた。このような伝承にはなんら現実的な証左はなく、近代以降の批判的聖書研究によって伝承が著者を示すものではないことが明らかになった。『聖書』におさめられた各書は最初の著者だけでなく、後代の人々によって加筆修正されていることもわかっている。加筆部分としてもっとも有名なものは『マルコ福音書』の末尾と『ヨハネ福音書』の「姦淫の女」のくだりである。

『新約聖書』は多くの著者によって書かれた書物の集合体である。伝承ではそのほとんどが使徒自身あるいは使徒の同伴者(マルコやルカ)によって書かれたと伝えられてきた。たとえばパピアスは140年ごろ、「長老によれば、ペトロの通訳であったマルコはキリストについて彼から聞いたことを順序的には正確ではないものの、忠実に書き取った。」と書いたという。(エウセビオスが『教会史』の中で、このように引用している。)さらにエウセビオスの引用によればエイレナイオスは180年ごろ、「パウロの同伴者であったルカはパウロの語った福音を記録した。その後に使徒ヨハネがエフェソスで福音書を記した」と記しているという。

[編集] 歴史書

イエスの死後の初代教会の歴史

[編集] 書簡

書簡にはさまざまな内容のものが含まれている。それらからは初期のキリスト教思想がどのように発展していったかをうかがい知ることができる。書簡の中には著者の名前が書かれているものもあるが、それらが本当の著者だというわけではない。近代以降の聖書研究によって、多くの書簡が著者とされる人物の名を借りた偽作であることが明らかになった。

[編集] パウロ書簡

詳細はパウロ書簡参照。

パウロ書簡とは使徒パウロの手紙(もしくはパウロのものとされてきた手紙)の総称である。牧会書簡だけでなく、いくつかのパウロ書簡は単にパウロの名を借りただけのものであることがわかっている(そのようなものは「疑似パウロ書簡」などと呼ばれる。)。

[編集] 公同書簡

詳細は公同書簡参照

公同書簡とは特定の共同体や個人にあてられたものではなく、より広い対象にあてて書かれた書簡という意味である。各々の書物には伝承の著者たちがいるが、近代以降の批判的研究はそれらが単に使徒の権威を利用するために著者名としてその名を冠したことを明らかにした。

[編集] 黙示文学

[編集] 新約聖書外典

上記の27書以外にも新約聖書の正典には含まれない文書群があり、外典と呼ばれる。時期や地域によってはそれらが正典に含まれていたこともある。

[編集] 言語

イエス・キリストと弟子たちによって用いられていた言葉はアラム語であった。しかし『新約聖書』のほとんどの書は「コイネー」と呼ばれる一世紀のローマ帝国内で広く用いられた口語的なギリシア語で書かれている(「アチケー(アッティカ擬古文体)」と呼ばれたエリートや学者たちが使った古典ギリシア語は用いられていない)。

その後、早い時期にラテン語シリア語コプト語などに翻訳されて多くの人々の間へと広まっていた。ある教父たちは『マタイ福音書』のオリジナルはアラム語であり、ヘブライ書もヘブライ語版がオリジナルであったと伝えているが、現代の聖書学ではその説を支持する学者はきわめて少数である。

一般的に『新約聖書』のギリシア語は拙いものであり、洗練されていない。(特に『マルコ福音書』と『ヨハネ黙示録』において顕著。)ただ、『ルカ福音書』、『ヨハネ福音書』、および『ルカ福音書』と同じ著者によるとみられる『使徒言行録』のギリシア語は他の書と比べるとやや優れているといえる。

[編集] 『新約聖書』という名称

「新約聖書」という名称はギリシア語の「カイネー・ディアテーケー」(Καινή Διαθήκη)あるいはラテン語の「ノーヴム・テスタメントゥム」(Novum Testamentum)という言葉の訳であるが、もとはヘブライ語に由来している。「カイネー・ディアテーケー」という言葉はすでにセプトゥアギンタのエレミヤ書31:31に見ることができるが、ヘブライ語では「ベリット・ハダシャー」(ברית חדשה)である。

新約すなわち新しい約束という呼び方は、はじめイエス・キリストによって神との契約が更新されたと考えた初代教会の人々によって用いられた。二世紀のテルトゥリアヌスやラクタンティウスは神との新しい契約を示した書物の集合として「新約聖書」という言葉を用いている。ラテン教父のテルトゥリアヌスは初めてラテン語の「ノーヴム・テスタメントゥム」という言葉を用いている。たとえば『マルキオン反駁』3巻14では「これは神の言葉としてうけとられるべき二つの契約、すなわち律法と福音である。」といっている。

5世紀のラテン語訳聖書(『ヴルガータ』)では『コリントの信徒への手紙二』3章で「新しい契約」(Novum Testamentum)という言葉が使われている。

[編集] 聖書学の批判研究

近代以降の聖書学は、『聖書の文献学本文批判研究によって『聖書のオリジナルの姿を見いだそうと努めてきた。

[編集] 共観福音書とQ資料

福音書の資料と相互の参照関係が重要課題である。

現在、多数の研究者の見解は『マルコ伝』が最初に書かれ、『マルコ伝』と他の資料(後述のQ資料)をもとに『マタイ伝』と『ルカ伝が書かれ、『ヨハネ伝』が最後に書かれたという説である。


まず、『マタイ』、『マルコ』、『ルカ』には共通する内容が多いため「共観福音書」と呼ばれる。一方、『ヨハネ福音書』は共観福音書とは異なる視点からイエスを描き出し、独自のエピソードや言葉を盛り込んでいる。共観福音書がなぜ共通点が多いのか、共観福音書は互いをどのように参照したのかという問題をまず解決することが著者を特定するための第一歩となる。そもそも福音書は一人の人間、イエスを実際に知る四人によって執筆されたものなのか?あるいは個人によって書かれたものがグループによって補完されたのか?『福音書』は短期あるいは長期に書かれたのか?などといった問題から考えることになる。

現代の聖書研究でもっとも広く支持されている仮説は「二資料仮説」である。それは『マタイ』と『ルカ』が『マルコ』および『Q資料』と呼ばれるイエスの言葉資料をもとに書かれたという見方である。Q資料のQとはドイツ語のQuelle(クベレ)すなわち「資料」を意味している。Q資料がどんなものであったのかというのは議論はいまだに決着を見ていない。多くの学者たちはQ資料という単独の資料があったと考え、少数の学者たちはQ資料というのは複数の文書資料と口伝資料の集大成であると考えている。ただ、あくまでQ資料の存在は仮説にすぎず、その存在を疑うものもあり、資料そのものについてもよくわからないため、その著者にいたっては何も情報がない。

ある人々は語録の形式を取る外典『トマスによる福音書』がQ資料である(あるいはQ資料に近い)と考えている。

[編集] 書簡その他

現代の聖書学者たちはパウロの七つの書簡(後述)を除いて、『新約聖書の諸書が使徒の手で書かれたとは考えていない。近代的な『聖書研究が始まった18世紀以前のキリスト教では(『ヘブライ人への手紙』の著者がパウロであるということを除いては)著者の伝承に関してまったく疑義がもたれていなかった。ただ、現代の聖書学者でもシェーウィン・ホワイト(A. N. Sherwin-White)、F.F.ブルース(F.F. Bruce)、ジョン・ウェンハム(John Wenham)、ゲーリー・ヘーバーマス(Gary Habermas)などは、新約聖書に書かれていることや伝承は決して根拠のないものではないため、比較的信頼しうるのではないかという立場に立っている。特にジョン・ロビンソン(John A.T. Robinson)にいたっては『新約聖書の成立は現代の定説よりも早く、著者に関する伝承もすべて真正であるというきわめて特異な立場に立っている。

現代の学者たちによっても真正であると認められるパウロの七書簡とは、『ローマの信徒への手紙』、『コリントの信徒への手紙一』、『コリントの信徒への手紙二』、『ガラテヤの信徒への手紙』、『フィリピの信徒への手紙』、『テサロニケの信徒への手紙一』、そして『フィレモンへの手紙』である。『テサロニケの信徒への手紙二』、『コロサイの信徒への手紙』、『エフェソの信徒への手紙』に関しては今でも意見が分かれている。『テモテへの手紙一』、『テモテへの手紙二』と『テトスへの手紙』は、原理主義的な神学者たちは真正であると考えている。現代では『ヘブライ人への手紙』がパウロのものであると考える学者はまずいない。『ヘブライ書の著者の問題は実に3世紀から議論されていた。

パウロ書簡以外の書物の著者の問題についても結論は得られていない。また四福音書の「著者」はもともと伝承に由来するものである。福音書と手紙を含むヨハネ書簡に関しては初代教会の中にあった「ヨハネ教団」ともいうべきグループに由来するということで意見が一致している。『ヨハネの黙示録』が「ヨハネ教団」に由来するものかどうかは意見の一致を見ていない。

[編集] 外典

大方の聖書学者たちは外典の著者の真正についても疑義を示している。たとえば『ナグ・ハマディ写本におさめられた『トマスによる福音書』、『フィリポによる福音書』などがあるが、それらはオリジナルではなく写本である。学者たちはそれらの原本は2世紀周辺に書かれ、その名前がついている使徒による著作ではないと考えている。

[編集] 聖書研究の課題

聖書研究、特に福音書や史的イエスの研究においては研究者の視点が大きな意味が持つ。すなわち、ある個人の経験や宗教的信条、信念といったものがそのまま研究に投影されるのである。たとえば福音書の研究についていうなら、歴史的なアプローチはもちろん、ユダヤ教からの視点、フェミニストからの視点、プロテスタントから、あるいはカトリックからの視点、社会科学的な視点などさまざまな立場からの研究が行われる。「史的イエス」に関する過去二十五年間の研究を見るだけでもさまざまなものがあり、互いに矛盾しあうものすらある。しかしこのような幅の広さにはある個人のイエスに関する見方の限界を打ち破る力があるし、そのような見解の違いによる議論が、多くの実りを生んできたことも事実である。

[編集] 成立時期

[編集] 伝承

伝承によれば、もっとも早い時期に書かれたのはパウロの手紙であり、最後に書かれたのは使徒ヨハネの書いたヨハネ文書であるという。使徒ヨハネは長命し、100年ごろ死んだという伝承があるが、史的裏づけはなにもない。エイレナイオス185年に「マタイ福音書とマルコ福音書はペトロがパウロがローマに滞在中に書かれた」というが、それに従うと60年ごろになる。ルカはそれよりわずかに後に書かれたという。現代においてこのような見方を支持するのは原理主義的な聖書研究者たちである。

[編集] 聖書学の推定

現代の多くの聖書学者たちはいくつかの書簡を除けば新約文書の成立時期に関しては意見の一致を見ている。たとえば福音書の成立時期でもっとも広く受け入れられているのは、65年ごろに最初の福音書『マルコ書』が成立し、『マタイ』が70年から85年にかけて成立、『ルカ』は80年から95年の間という説である。

新約文書の中でもっとも早く書かれたとされるのはパウロの『テサロニケの信徒への手紙一』で51年ごろと考えられる。また、少数意見ではあるが、ガラテヤ書に関しては49年という説もある)。使徒の名を冠した公同書簡については70年から150年の間に成立したと見られている。新約文書でもっとも遅く書かれたのは『ペトロの手紙二』であろう。

少数意見だが、ジョン・ロビンソン(John A. T. Robinson)は『新約聖書の成立をめぐって』(Redating the New Testament、1976年)の中で、新約文書はすべて紀元70年以前に成立したという説を唱える。その根拠はマタイ24:15-21およびルカ23:28-31にイエスによるエルサレム神殿崩壊の預言が行われているが、その結果が書かれていないこととしている。一方、多数説は、この二つの記事は、両福音書が神殿崩壊ののちに書かれたことを反映していると考えている。

1830年代、ドイツ・チュービンゲン学派の研究者たちは新約聖書が3世紀後半に書かれたという説をとなえたが、現代までに発見された最古の写本の断片は125年までさかのぼれる上、95年に書かれたローマのクレメンスの書簡には『新約聖書に含まれる10の書物から引用していることで否定された。さらに120年にポリュカルポスは聖書の16の書物から引用している。これらの引用が微妙に異なっていることから、新約文書は原版があって何度も改訂が行われたことで現代に伝わる形になったことが推測される。

[編集] 新約聖書正典の成立

詳細は正典の項参照

[編集] 正典以前

『新約聖書』は初めから現在のような正典として登場したわけではなかった。すでに教父たちの文書によって、教会内で正典的に読まれる文書群には一定の振幅があったことは知られていたが、20世紀のナグ・ハマディ写本の発見などにより、初代教会の時代では、使徒の手紙や様々な福音書や黙示録など、現在聖書に含まれるよりはるかに多くの文書が作成されていたことがわかってきた。

これらの文書は礼拝や信仰教育に用いられた。最初の数百年間には、ある文書が正統か非正統かは大規模な教会会議ではなく少人数グループの集会で決定されたと推定される。信仰グループにより思想が異なり、聖典はグループごとに異なっていたことだろう。このように初期の三つの世紀ではまだ「新約聖書」は確定しておらず、様々な観点から書かれた多数の文書が乱立していたと推測される。

その中で2世紀までには、マタイ以下の四福音書とパウロの書簡集が有力視されていったが、他の書物の優劣は未確定であった。2世紀のエイレナイオステルトゥリアヌスは、四福音書と13のパウロ書簡を含むいくつかの使徒書簡を、霊感によって書かれたものでヘブライ語の書物(『旧約聖書』)と同じ価値を持つとした。それ以外の書物は尊重されてはいたが、一般には『聖書』と同じ権威をもつとは考えられておらず、ゆっくりと正典群からは排除されていった。

[編集] 正典化の動き

新約聖書正典の確定作業は、シノペのマルキオンの「正典」選択作業に始まる。彼は旧約聖書を排除し、ルカ福音書と三つのパウロ書簡のみを「正典」とした。ところがマルキオンに従ったものは多くはなく、さらに彼自身も異端として排除されてしまう。同時期に古代教会内でも何を正典化の議論が本格化したと推定される。200年頃には「ムラトリ断片」といわれる正典リストが作成された。このムラトリ断片の正典表は、現代の新約聖書とほぼ同じであるが、現在では外典である『ソロモンの知恵』と『ペトロの黙示録』が文書が含まれる。

現代の『新約聖書』の文書と一致する文書表がはじめて現れるのはアレクサンドリアの司教アタナシオス367年の書簡である。この手紙の中に書かれた書簡群が新約聖書正典として一応の確定を見たのは397年の第3回カルタゴ教会会議においてであった。しかしこの会議においても『ヤコブの手紙』と『ヨハネの黙示録』の扱いについては決着しなかった。時期が飛んで16世紀、宗教改革者マルティン・ルターはあらためて『ヤコブの手紙』、『ユダの手紙』、『ヘブライ人への手紙』、『ヨハネの黙示録』の扱いについて議論を提起した(が、最終的に新約聖書から排除することにはならなかった。)現代でもドイツ語のルター聖書はこれらの書物を最後にまとめているのはその名残である。このような宗教改革者の動きを受けたカトリック教会はトリエント公会議において何が正典かということを再確認している。

[編集] 『新約聖書』のテキスト

『新約聖書』のギリシア語テキストは多くの写字生によって書き写され、後世に伝わった。写本は古代では巻物(スクロール)の形をとっていたが、やがてコデックス(冊子本)の形式が主流となった。『新約聖書』のギリシア語テキストと一言で言っても多くの異同を含むものが多数あり、それら研究・分類するといくつかのタイプに分けることができる。このようなタイプを「型」といい、おおむね下のようなカテゴリーに分ける。

アレクサンドリア型
現代ではもっとも原文に忠実であると考えられているのがこのアレクサンドリア型である。アレクサンドリア型ではほとんどの文章が簡潔で飾り気がない。特に有名なものとしてヴァティカン写本シナイ写本、ボードマー・パピルスなどがある。
西方型
西方型は文章がより装飾的で長くなっていることに特徴がある。たとえば西方型の『使徒言行録』は他のタイプのものと比べると一割近く長い。ベザ写本、クラロモンタヌス写本、ワシントン写本、古ラテン語聖書などがそれにあたり、マルキオン、タティアノス、エイレナイオステルトゥリアヌス、キュプリアノスらの新約聖書の引用もこの型である。
カイサリア型
カイサリア型はアレクサンドリア型と西方型の混合であるとみられる。チェスター・ビーティー・パピルスやエウセビオス、エルサレムのキュリロスの引用に見られる。
ビザンティン型
中世以降に、アンシアル書体で小文字で書かれたもので、護教的な後代の付加が多い。混合型ともよばれ、アレクサンドリア写本がこれにあたる。エラスムスが新約聖書のギリシア語批判版テキストを作成する際にこれを用いたため、そこから英訳した欽定訳聖書にも大きな影響を与えることになった。

現代の『新約聖書の翻訳は、徹底した比較・研究によって再現されたより原文に近いテキストを用いて行われる。もっとも信頼性の高いテキストとされているギリシア語批判版聖書は、校訂者の名前をとって「ネストレ・アーラント」と呼ばれている。

[編集] 聖書の日本語訳

日本へ最初に『新約聖書』がもたらされたのは16世紀のことである。中国の唐代に『漢訳聖書』があったことは確かであり、これが日本にも伝わったという説もあるが裏づけとなる事実はない。ルイス・フロイスは、その著『日本史』の中で、フランシスコ・ザビエルが、来日の際に、『聖書』と注釈書を携えていたと記している。

日本語への最初の翻訳もキリシタン時代になされた。同時代の西洋人の証言は、邦訳聖書』の存在を伝えている。しかし残念ながら『聖書』の完訳はおろか、一文書の完訳さえ現存しない。そしてまた、今日伝わる『聖書』の邦訳とされるものはその全てが『聖書』の翻訳というより聖句の翻訳というべきものである。例えば、現存最古の『聖書』の邦訳は、エヴォラ図書館(ポルトガル)の古屏風の下張りから見つかったものでこれは『コヘレトの言葉』(3章7節)や『イザヤ書』(1章11節)等、いくかの章節が記されているもののこれはアレッサンドロ・ヴァリニャーノの編纂による『日本のカテキズモ』の訳稿であるという。

明治以降、キリスト教が認可されたことで宣教師の来日と信徒の増加により、『聖書』の日本語訳が進められた。以降、日本だけでなく世界各地でカトリック教会とプロテスタント教会など教派によって独自の『聖書』を用いてきたが、20世紀後半になって世界的にエキュメニズムの流れが進み、カトリックとプロテスタントの共同での『聖書』翻訳作業が行われるようになった。日本でもこの動きを受けて諸教派を代表する聖書学者たちが結集し、1978年に『新約聖書』のみであるが、『共同訳聖書』の発行が行われた。この共同訳に対する意見をもとに、1987年に『新約』・『旧約』を含む『新共同訳聖書』が発行された。現在、日本のキリスト教会においてもっとも広く用いられているのがこの『新共同訳聖書』である。

これまでに発行された日本語『聖書』は多数あるが、日本聖書協会によるものとして「明治訳(新約のみ)」、「大正改訳」、「口語訳」、「共同訳」(新約のみ)、「新共同訳聖書」がある。他にあるグループによって訳されたものとして、フランシスコ会聖書研究所による「フランシスコ会訳」、新改訳聖書刊行会による「新改訳」、いのちのことば社による「リビングバイブル」、大貫隆小林稔らによる「岩波訳聖書」(岩波委員会訳)、エホバの証人による「新世界訳」がある。新約聖書のみのものとして詳訳聖書刊行会による「詳訳聖書」、日本福音書房による「回復訳」、「キリスト新聞社訳」などがある。

さらに個人による翻訳としては旧約・新約両方あるものはフェデリコ・バルバロ神父による「バルバロ訳」、尾山令仁牧師による「現代訳」があり、旧約のみのものとしては「関根正雄訳」がある。新約のみのものとしては、正教会で用いられる「ニコライ訳」、「前田護郎訳」、「柳生直行訳」、「ラゲ訳」、「岩隈直訳」、「新契約聖書」(永井直治訳)、「本田哲郎訳」、「塚本虎二訳」(福音書と使徒行伝のみ)などがある。

また、岩手県の気仙方言に翻訳された、山浦玄嗣医師による「ケセン語訳聖書」や、大阪弁訳聖書推進委員会によって大阪弁に翻訳された「コテコテ大阪弁訳聖書」といったものも存在する。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

Wikimedia Commons
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