クォーク
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クォーク(quark)とは、ハドロンを構成する素粒子である。
クォークという名称は、モデルの提唱者の一人マレー・ゲルマンにより、ジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』中の鳥の鳴き声「quark」から取って付けられた。これを「クオーク」と表記する人もいるが、学術用語集物理学編によれば「クォーク」が正しい。
クォークモデルが確立するまではハドロン(強い相互作用を行う粒子)が素粒子と考えられていた。しかし、新たなハドロンの発見が続くにつれ、それより小さい構造を仮定せざるを得なくなった。現在では、ハドロンは、クォークという6種類の素粒子から構成されるものとして考えられている。しかし、我々が生活する通常の温度・密度ではハドロンの中にクォークは閉じ込められており、単独で取り出すことは不可能であるとされる。
[編集] 概要
実験によるとそれ以上の内部構造があることを示唆する有意な結果が無いため、現在、レプトンとクォークが素粒子であるとされている。
1対ずつ3つの階層に分類され、それぞれ「アップ、ダウン」、「チャーム、ストレンジ」、「トップ、ボトム」と名付けられている。また、「色荷(カラー)」と呼ばれる量子数を持ち、他の粒子同様逆の電荷を持つ反クォークが存在する。バリオン(重粒子)はクォーク3個、メソン(中間子)はクォークと反クォークの2個で構成される。例えば、陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個、中性子はアップクォーク1個とダウンクォーク2個、マイナスの電荷を持ったK中間子はストレンジクォーク1個と反アップクォーク1個からなる。
これまでは、ハドロンは上記のようにクォーク2個または3個の組み合わせでしか見つかっていなかったが、理論予測されていた5個の組み合わせからなる新ハドロンペンタクォークが最近発見された。また、NASAの発表によると、中性子星とブラックホールの中間段階に、クォークが裸の状態で存在する「クォーク星」と呼ぶべきものが発見されたとのことである。
[編集] 一覧
世代(フレーバー) | 名前 | 記号 | 電荷 | 静止質量(単位:MeV) |
---|---|---|---|---|
第1世代 | アップ | u | +2/3 | 1.5 から 4.5 [1] |
ダウン | d | -1/3 | 5 から 8.5 [1] | |
第2世代 | チャーム(センタ) | c | +2/3 | 1000 から 1400 |
ストレンジ(サイドウェイ) | s | -1/3 | 80 から 155 | |
第3世代 | トップ(トゥルース) | t | +2/3 | 169300 から 173500 |
ボトム(ビューティ) | b | -1/3 | 4000 から 4500 |