グラディエーター
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グラディエーター Gladiator |
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監督 | リドリー・スコット |
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製作総指揮 | ローリー・マクドナルド ウォルター・F・パークス |
製作 | デヴィッド・H・フランゾーニ ブランコ・ラスティグ ダグラス・ウィック |
脚本 | デヴィッド・フランゾーニ ジョン・ローガン ウィリアム・ニコルソン |
出演者 | ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリヴァー・リード リチャード・ハリス |
音楽 | ハンス・ジマー |
撮影 | ジョン・マシソン |
編集 | ピエトロ・スカリア |
配給 | ドリームワークス ユニバーサル映画 |
公開 | 2000年5月5日 2000年6月17日 |
上映時間 | 155分(劇場公開版) 172分(完全版) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
制作費 | $103,000,000 |
興行収入 | $187,000,000 $270,000,000(米国外) $457,000,000(総計) |
allcinema | |
キネマ旬報DB | |
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IMDb | |
『グラディエーター』(Gladiator)は2000年公開のアメリカ映画。制作会社はドリームワークスで、監督はリドリー・スコット。デヴィッド・フランゾーニは自らの原案を元に制作と脚本も兼任した。主演はラッセル・クロウ。第73回アカデミー賞作品賞並びに第58回ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門作品賞受賞作品。アクション映画・歴史映画。
目次 |
[編集] 概要
コンピュータ・グラフィックスを多用した制作と、世界的な規模で行われた宣伝には、当時としては破格の1億4500万ドルが費やされ公開前から注目を浴びていたが、アメリカ国内だけで約1億8700万ドル、また全世界で4億5700万ドルの興行収入を記録した。さらにアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、MTVムービー・アワードなど、同年度の賞レースで圧倒的な強さを発揮した。しかし一部の歴史学者からは、時代考証などの点で疑問を呈する者が少なくなかった。にもかかわらず、主人公の英雄的行為や迫力に満ちた戦闘シーンが観衆から絶大な支持を受けたこと、更に関連したスタッフ及びキャストに数多くの映画賞や賞賛を獲得したことが『トロイ』、『アレキサンダー』、『キングダム・オブ・ヘブン』といった大規模な歴史映画の続発を齎した。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 筋書き
[編集] プロローグ
舞台は帝政期ローマ。五賢帝の1人マルクス・アウレリウスは帝国拡張の最後の仕上げとしてゲルマニア遠征の地にあった。
北方軍団の長、マキシマスはゲルマン人の族長に降伏勧告をするが、戻ってきたのは、斬首され胴体のみの使者を体に括り付けられた馬であった。マキシマスはもはや和平が適わぬ事を悟り、全軍に攻撃を命ずる。カタパルトや火矢の援護射撃を受けた統制の取れた重装歩兵、敵の背後に回り急勾配をものともせず駆け下りる騎兵、これらの連携によりローマ軍は鮮やかな勝利を収める。巧みな用兵でローマ軍に勝利をもたらし、かつ士卒の絶大な信頼を得ているマキシマスに対しアウレリウスは頼もしさを感じた。だが、それに引き換え、戦場に到着してもまず兵士達を労うのではなく雄ウシの生贄を神に捧げる事を申し出る皇子コンモドゥスに対しやるせない思いを感じ、帝国の将来を息子に託す事の不可を確信するのであった。
[編集] 大逆
マルクス帝は帝国の現状を危ぶみ、かつ自分の余命が先長くない事を悟っていた。帝国を立て直すには帝政を廃止し政治を本来の共和制に戻す以外にないと考えていた。そして、それが実現するまで全ての権限をマキシマスに託そうとし、これを宣言するために皇子コンモドゥス、皇女のルッシラ、元老院議員のガイアス、ファルコを前線に招いたのであった。だが、マキシマスはこの申し出を辞退し、かつ問われた戦いの恩賞として、故郷への一時帰還の許しを申し出るのみであった。このようなマキシマスの態度に対しマルクスは益々信頼の思いを深める事になっていった。しかしながらコンモドゥスは父よりこの意向を聞くと、父がこの事を議員たちの前で宣言する前に父を弑してしまった。姉のルッシラはこの事実を察するが保身のため弟への忠誠を誓う。
コンモドゥスはマキシマスにも自分への忠誠を求めるが、彼は皇帝の死の真実を悟りこれを拒否する。彼はこれを自分への反逆と解しマキシマスの処刑を近衛兵に命じる。だが、マキシマスは刑吏を倒し、追っ手が故郷に着く前に妻と子を救おうと急ぐが、たどり着いた先では無残に焼かれて吊るされた妻と子を目にする事になる。
[編集] 剣奴
その後ローマ市民権を剥奪されたマキシマスは奴隷商人により剣闘士としてラニスタ(引退した剣闘士)のプロキシモに売られる。最初は頑なに剣闘士になる事を拒むマキシマスであったが、生きるために戦いに臨むようジュバの説得を受ける。やがて地方のコロセウムでイスパーニャの名で剣闘試合を行うようになった彼は卓越した剣技で敵を倒し続けた。しかしながら鮮やか過ぎるやり方をプロキシモ(自身が元剣闘士でマルクス帝により木剣を授けられ自由身分に開放された過去を持つ)は喜ばず、自由になりたければ自分のように観衆を喜ばす術を会得せよと忠告する。
[編集] ローマへ
その一方、帝位に就いたコンモドゥスはローマに凱旋将軍さながら帰郷するが、市民の反応は冷たいものであった[1]。この状況を打開するために彼は先帝の禁止したローマでの剣闘試合を復活させ、結果的にその事によって民衆の支持を得る事に成功する。
噂を聞きつけ一旗上げようと剣闘士を引き連れてローマに乗り込んだプロキシモであったが、あてがわれたのは、一方的な殺戮を受けることが前提の試合であった。彼はそのような試合に選りすぐりの剣闘士を出場させる事は出来ないと興行師のカシウスに抗議するが受け入れられなかった。
試合は第二次ポエニ戦争のザマの戦いを模したもので、ハンニバル率いるカルタゴ軍を演じるプロキシモの剣闘士達は、スキピオ・アフリカヌス軍団を演じるチャリオットに乗った女性剣闘士達に射られ全滅するはずであった。
ところが、剣闘士達を即座にまとめ上げ、密集隊形で攻撃を受け止め、相手を混乱させ反撃するマキシマスの戦術が功を奏し結果は予想を反し、プロキシモ側の完全勝利となった。
コンモドゥスは顔面を覆う兜を被り競技場にいるイスパーニャと呼ばれている男がマキシマスである事は知る由もなく、彼の卓越した指揮力と武勇を賞賛し、自ら闘技場へ降りて行き称えようとした。しかし、皇帝から声を掛けられたイスパーニャは不敵にも皇帝に背を向け競技場を立ち去ろうとした。コンモドゥスはこれに怒り、名乗りを上げるように声を荒げた。それに対しゆっくりとマスクを外して振り返り名を名乗るマキシマスの姿を見て彼は声も上げる事も出来なかった。剣闘士の生殺与奪は皇帝の手の中にあったが、喝采と共に親指を立てた拳を上向きに振る(これは剣闘士の助命を求めるサインである)民衆の歓声が沸き起こり、彼をその場で殺す事は諦めざるを得なかった。
皇帝といえども民衆の声に逆らう事は出来なかったのである。それを追うように民衆の歓喜が競技場を鳴り響いた。
[編集] 陰謀
だが、コンモドゥスはマキシマスを殺す事を諦めた訳ではなかった。しかし、民衆の人気の高いマキシマスを殺すには暗殺という手段を用いる事は出来ず、あくまでも民衆の目の前で彼らの納得行く形でそれを行う必要があった。
そこで彼は一計を案じた。それは既に引退していた伝説の剣闘士ガイアを再び呼び戻し、マキシマスと戦わせる事であった。同時に競技場には恐るべき仕掛けが隠されていた。それは闘技場の下に獰猛な虎を隠し、ガイアとの戦いの最中にそれをマキシマスに対し飛び掛らせる事であった。マキシマスはガイアと虎の両方を相手に戦わなければならなったのである。戦いはガイア側に有利に運んだが、マキシマスは飛び掛かる虎をグラディウスで貫き倒し、ガイアの斧を以て彼を倒したのであった。親指を立てた拳を下に向けガイアに止めをさす事を求める民衆の声に応え、コンモドゥスはマキシマスにガイアを殺すように命じるが、マキシマスは斧を放り投げる事でそれを拒否したのであった。だが民衆は彼の態度を寛大さの表れと解し、更なる賞賛の声を彼に向けた。
競技場に降りてきたコンモドゥスはマキシマスに対し、辛辣に彼の妻と息子の死に様をあげつらい彼を挑発して見せた。民衆の前で自分に歯向かわせ、それを口実に衛兵に彼を殺させる事を図るための罠である。しかし、この死に様とした内容は実際には起こりえない内容であった事から、コンモドゥスの発言は挑発であると冷静なマキシマスは聞き分けた。挑発にも乗らずコンモドゥスを「陛下」と敬称で呼び、しかし彼の栄光が長くは続かないであろう事も伝え、静かに目礼し競技場を後にするのであった。
[編集] 反乱
マキシマスと再会したルッシラは元老院内部の反コモドゥス派を手引きし、謀反の計画をねる。しかし陰謀は事前に漏れてしまい、反乱勢力は一網打尽にされた。捕らえられたマキシマスは剣闘士として皇帝と最期の一騎打ちを挑む。試合前にコモドゥスは密かにマキシマスと面会し、背中に深い傷を負わせるハンディを与えた。試合が始まり傷で意識が遠のくマキシマスをコモドゥスは容赦なく痛めつけるが、何とか勝利しコモドゥスを倒す。だが、既にマキシマスの体力は限界に達していた。彼は牢獄に捕らわれている仲間を釈放するようかつての部下に命じると力無く倒れる。かけよるルッシラは「命を捧げるだけの価値があるローマ」を創らねばならないと大衆に呼びかける。そしてマキシマスの死体は皆の手で埋葬される。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- マキシマス:ラッセル・クロウ
- コモドゥス(皇子):ホアキン・フェニックス [3]
- ルッシラ(皇女):コニー・ニールセン
- プロキシモ(ラニスタ):オリヴァー・リード
- マルクス・アウレリウス:リチャード・ハリス
- ジュバ(剣闘士でマキシマスの友人):ジャイモン・ハンスゥ
- クゥイントス(マキシマスの副官):トーマス・アラナ
- ハーゲン(ゲルマン人の剣闘士):ラルフ・モエラー
- グラックス(元老院議員):デレク・ジャコビ
- ガイアス(元老院議員):ジョン・シュラプネル
- ファルコ(元老院議員):デービット・スコフィールド
- ルシアス(ルッシラの息子で皇位継承権保持者):スペンサー・トリート・クラーク
- カシウス(ローマの興行師):デービッド・ヘミングス
- キケロ(マキシマスの執事):トミー・フラナガン
- 奴隷商人:オミッド・ジャリリ
- 書記・ジョン:クウィン
- ガイア(伝説の剣闘士):
※しかし実在のモデルが存在するのはマルクス・アウレリウス、コモドゥス、ルッシラのみ。
[編集] 受賞/ノミネート
[編集] 第73回アカデミー賞
- 受賞・・・作品賞/主演男優賞/衣装デザイン賞/視覚効果賞/音響賞
- ノミネート・・・監督賞/助演男優賞/脚本賞/撮影賞/作曲賞/美術賞/編集賞
[編集] 第58回ゴールデン・グローブ賞
- 作品賞・・・ドラマ部門作品賞/音楽賞
- ノミネート・・・ドラマ部門男優賞/助演男優賞/監督賞
[編集] 第54回英国アカデミー賞
- 受賞・・・ドラマ部門作品賞/撮影賞/プロダクションデザイン賞/編集賞/観客賞
- ノミネート・・・主演男優賞/助演男優賞/監督賞/脚本賞/作曲賞/衣装デザイン賞/音響賞 ほか
[編集] 第6回放送映画批評家協会賞
- 作品賞/主演男優賞/撮影賞/美術賞
[編集] 第10回MTVムービー・アワード
- 受賞・・・作品賞
- ノミネート・・・男優賞/アクション・シーン賞/格闘シーン賞/悪役賞/セリフ賞
[編集] その他
- 第63回ヨーロッパ映画賞 インターナショナル作品賞 ノミネート
- 第24回日本アカデミー賞 優秀外国作品賞
- 第74回キネマ旬報ベスト・テン 外国語映画部門第8位
[編集] 関連項目
[編集] 関連サイト
1981: 炎のランナー | 1982: ガンジー | 1983: 愛と追憶の日々 | 1984: アマデウス | 1985: 愛と哀しみの果て | |