グロス・モーン国立公園
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グロス・モーン国立公園 |
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フィヨルド湖、ウェスタンブルックポンド | |
(英名) | Gros Morne National Park |
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(仏名) | Parc national du Gros-Morne |
面積 | 1805km2 |
登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | 自然遺産(7), (8) |
登録年 | 1987年 |
拡張年 | |
IUCN分類 | 国立公園 (II) |
備考 | 大陸移動の痕跡、氷河侵食による景観 |
公式サイト | ユネスコ本部(英語) |
グロス・モーン国立公園(Gros Morne National Park)はカナダの大西洋側のニューファンドランド島にある国立公園で、プレートテクトニクスなど地球科学の歴史が見られること、および風景が非常に美しいことから、ユネスコ世界遺産(自然遺産)に指定された[1]。1,805平方kmにおよぶ広さは、アトランティック・カナダでは2番目に広い国立公園である(トーンガット山脈のトーンガット山脈国立公園の9,600平方kmに次ぐ)。
国立公園の名はニューファンドランド島で二番目に高い山であるグロス・モーン山(標高806m)からとった。山名はフランス語から来ており、「孤立した大きな山」、あるいは文字通り「大きく憂鬱な(山)」となる。グロス・モーンは、北米大陸の東岸に伸びるアパラチア山系の延長線上にありニューファンドランド島の西岸に横たわるロングレンジ山脈の一部をなす。この山脈は古生代前期のカレドニア造山運動の名残りである。
目次 |
[編集] 地質学
この地区の岩石の構造は、北米の造山運動や大陸移動の専門家であるカナダ人地質学者ハロルド・ウィリアムズ(Harold Williams)により多くが明らかになった。ここではプレートテクトニクスにより海洋地殻が沈み込んだことにより、地表に海洋地殻のほかマントル起源の岩石がむき出しになっている。さらにオルドヴィス紀に海底の堆積物から形成された岩石や、先カンブリア時代の花崗岩、古生代の火成岩も見られる。
この地域にある大きな湖、ウェスタン・ブルック・ポンド(Western Brook Pond)は直近の氷河期である2万5千年前から1万年前にかけて氷河の侵食で形成されたフィヨルドである。この付近を覆っていた氷床が解けた後、氷床の重みで沈んでいた陸塊が隆起し、フィヨルドから海への出口が閉ざされて淡水湖となってしまった。長さ30kmにわたる狭い湖は淡水で満たされ、世界の湖の中でもその水質は非常に純粋である。またこの湖には、北アメリカ大陸東部で最も高い滝、ピッシング・メア・フォールズ(Pissing Mare Falls)が注ぎ込んでいる。
トラウトリバー(Trout River)の町とウッディーポイント(Woody Point)の町の間に広がる台地、テーブルランズはニューファンドランド島でも珍しい不毛の砂漠のような場所だが、これは数億年前にプレート衝突によって地下から地上へ噴出したマントル起源の岩盤、カンラン岩がむき出しになってテーブルランズを構成しているためである。カンラン岩は植物類が生育するのに必要な養分を欠き、このため荒地になっている。カンラン岩はカルシウムが非常に少なくマグネシウムが非常に多く、重金属が多く含まれ植物には毒となる。カンラン岩は鉄分も多く、このためサビ色が岩全体についている。風雨に晒された表層部の下では、カンラン岩は深緑色になっている。
[編集] 生態系
海岸線沿いは、強い海風や嵐のために萎縮してねじれてしまったトウヒやバルサムモミ(balsam fir、モミの一種)の森になっている。
生物はオオヤマネコ、アメリカグマ、トナカイ、ホッキョクウサギ、テン、および外来生物で生息数が増大しているヘラジカなどがいる。沖にはシノリガモなどウミガモの仲間やクジラなどが住んでいる。