ザ・グレート・カブキ
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米良 明久(めら あきひさ、1948年9月8日 - )は、日本のプロレスラー、レフェリーである。但しプロレスラーとしてはセミリタイア状態である。宮崎県延岡市出身。レスラーとしてのキャリアにおいて、ザ・グレート・カブキのリングネームでアメリカでもその名が知られたレスラーである。東洋の神秘の異名も同リングネームに関連して持つ。ペイントレスラーの元祖。
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[編集] 経歴
生まれは宮崎県だが、中学2年のとき愛知県知立市に移っている。学生時代は水泳選手として活躍した。1964年に日本プロレスに入団。同年10月31日に山本小鉄戦で高千穂明久のリングネームでプロレスデビュー。1970年からアメリカ遠征に出るも、日本プロレス崩壊の危機に際して1972年に帰国。
日本プロレスが崩壊した1973年に全日本プロレスへ移籍。1977年、「世界オープンタッグ選手権」に高千穂明久として出場した。その後オーストラリア、アメリカと海外遠征を多く経験する。
アメリカ遠征中の1981年、アメリカ人のマネージャー、ゲーリー・ハートのアイデアで、歌舞伎役者をモチーフにした、東洋系を前面に押し出したペイントレスラーにギミック変更。同時にザ・グレート・カブキのリングネームを用いだす。なお、このリングネームを名乗るのは米良で2人目であったが、後の米良の活躍によりこのリングネームは米良の代名詞となる。
ヌンチャクを操り、毒霧を吹く東洋系のヒールキャラクターが受けて、アメリカ各地の団体に登場した後1983年に帰国。帰国後もカブキのギミックのまま全日本プロレスに登場し、アメリカでの活躍もあって人気を得る。人気はジャイアント馬場やジャンボ鶴田に引けを取らなかったものの、リング上の格は2人の後に甘んじ、ギャラの面においてもカブキにとっては決して満足のいく扱いではなかったという。
1990年7月30日に全日本プロレスを退団。この前日にはジャンボ鶴田と組んで世界タッグ王座を獲得している。
全日本プロレス退団後はSWSに入団。選手兼ブッカーとして活動する。SWS崩壊後はWARに所属するも数多くの団体に登場するようになる。新日本プロレスにも登場するようになり、平成維震軍の一員となった。
新日に参戦中の1993年にグレート・ムタとの「親子対決」(IWGPヘビー級選手権試合)が実現した。ムタの猛攻に額を割られカブキは大流血となったが、血管が切れてしまい額から文字通りぴゅーっと勢いよく噴き出す血を倒れているムタの体に上からかけるおぞましい技を見せ、客を震え上がらせるとともに息子であるムタに格の違いを見せ付けた。マサ斉藤は「口からは毒霧、額からは血が……」と語った。ムタには負けたもののカブキは試合後腹の底から震えるような声で「ムータ~~!!」と叫び「Mysoooon! I kill you son of a bitch...」とマイクで続けた。当然この試合はテレビ中継は中止である。
1994年には、一度だけWWFに登場。ロイヤルランブルのランブル戦に出場した。
1997年からはIWA・JAPAN所属となる。1998年に現役引退を表明。引退に際して武藤敬司が「パパと一緒に試合がしたい」とコメントした。これは武藤のWCW時代のリングネーム「グレート・ムタ」はギミック上カブキの息子であったことによる。そして同年8月8日の新日本プロレス大阪ドーム大会ではザ・グレート・カブキとグレート・ムタの「親子タッグ」が実現している。
1998年に引退した後は、東京飯田橋にて「串焼き ちゃんこ かぶき」を経営する傍ら、IWA・JAPANにてレフェリーを務め、折を見て試合にも出場するセミリタイア状態となっている。
[編集] リングネーム
米良が用いたことがあるリングネーム
- 高千穂明久
- タイガーマスク(韓国遠征時)
- ヨシノサト(アメリカ修行中に利用)
- デビル・サト(アメリカ修行中に利用)
- ザ・グレート・カブキ(アメリカ遠征中の1981年に。以降現在も使用中)
[編集] 得意技・ファイトスタイル
- 毒霧
- 米良が使ったことにより、アメリカで活躍する日本人怪奇派レスラーの定番技となった。
- トラース・キック
- アッパー・ブロー
派手な外見とは裏腹に、試合では決して技を多用せず、間で勝負するレスラーだったといえる。マニアはむしろその点を評価していた。
[編集] タイトル履歴
- 全日本プロレス
- NWA テキサス世界タッグ王座 : 1回(&Chang Chung)
- NWA 中部大西洋TV王座 : 1回
- NWA 西部タッグ王座 : 1回(&Ricky Romero)
- NWA 中部タッグ王座 : 2回(&Pak Song、Killer Karl Kox)
- NWA "Beat the Champ"TV王座 : 1回
- NWA オーストラリアタッグ王座 : 1回(&グレート東条)
- WCCW
- WCCW アメリカヘビー級王座 : 1回
- WCCW テキサスブラスナックル王座 : 2回
- WCCW TV王座 : 1回
- FCW
- NWA フロリダタッグ王座 : 2回(&マサ斎藤)
- NWA フロリダUSタッグ王座 : 2回(&マサ斎藤)
- その他
- 中南部ルイジアナヘビー級王座 : 1回
- 中部アメリカヘビー級王座 : 1回
- UNヘビー級王座 : 1回