ジュブナイルポルノ
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ジュブナイルポルノ(Juvenile porno)とは、男女間もしくは同性間、さらに人外なものとの性描写を含む、特にアニメ・マンガ調のイラストを使用した非常に娯楽性の高い小説であり、官能小説の一ジャンルである。
目次 |
[編集] 特徴・特色
すべて当てはまるものではないが、通常の官能小説との違いとして(≒一般的な傾向として)
- 比較的平易な言葉で書かれている。
- 表紙、挿絵にアニメやマンガ調のイラストが多用される。挿絵を手掛ける者の多くは成人コミックの漫画家かアダルトゲームの原画担当者である。
- ただしコミックやゲームと違い成年指定が付けられる事は無い
- 現代の学校から、時代劇、ファンタジー、SF世界など舞台を選ばない。
- 登場人物の年齢は10代である場合が多く、高くとも20代半ばぐらいまでが限度であることがほとんどである。
- 人間以外の存在が登場する場合がある。例えば天使や悪魔(特に淫魔)、アンドロイド(セクサロイド)、触手を持つモンスター、妖怪など。
- 登場人物がなんらかの特殊能力や超能力等を持つ場合がある。(性交や性的興奮を通じて発動するものである場合も多い)
- 装丁がアニメ・マンガ調でカラフルな色使いなものが多い。
- ライトノベル調や萌え系のものでは、通常の官能小説より性的な場面のページ比率が低いものが多い。(凌辱ものはこの限りではない)
- ライトノベル調がさらに強調されると、場合によっては性的描写こそあるものの、いわゆる『前戯』段階で終わってしまい、肝心の行為そのものが無いものさえある。
- 文庫オリジナル作品については、アダルトゲームとの競合があるため、特にアダルトアニメ化については行われる率は非常に低い。(ジュブナイルポルノ及び官能小説原作のオリジナルビデオ映画作品は少数ながらも存在する)
などが挙げられる。さらに通常の官能小説の多くは文庫で発売されるが、文庫での刊行点数が増えているとはいえ、かなりの割合が新書で発売されることも特徴である。
このうちいくつかの特徴は、女性向けで美少年同士の性愛を描いたボーイズラブと極めて類似しているが、混同されることは少ない。ただし、ジュブナイルポルノでも極めて稀にバイセクシャル的な描写が行われる事はある。
また、販売面についても特徴的な要素が存在する。作品の多くがライトノベルの様式を踏襲しているが、売り上げ面の他、見た目がライトノベルと大差無いことから内容がポルノである事を理解されないまま手にとられてしまう懸念などから取り扱いを躊躇している店舗が多く、ライトノベルレーベルと比較すると取り扱う店舗が実質的には半数以下と言われている(大手書店チェーンでも取り扱いが無い所が珍しくない)。取り扱い店舗数が少なければ必然的に販売部数も少なくなるため、ヒット作に恵まれにくい体質が多くのレーベルで恒常化している。
その上、上述した様に、文庫オリジナル作品についてはアダルトゲームとの競合がある為にアダルトアニメなどのメディアミックス効果への期待はあまりできないなど、レーベル経営に際しての課題は非常に多い。この為、結局はヒット作不足のためレーベル活動そのものが短命に終わったり、アダルトゲームとのメディアミックス作品に限定するなど、早期に活動規模を縮小してゆくレーベルも珍しいものではない。
[編集] ジュブナイルポルノと他メディア
[編集] ジュブナイルポルノとアダルトアニメ
アダルトアニメの小説版として出版されたものがジュブナイルポルノというジャンルそのものの起源である。具体的には、1980年代中頃以降1993年頃までの間、アダルトアニメ「くりいむレモン」シリーズなどのノベライズを中心に刊行した富士見書房の『富士見美少女文庫』がこのジャンルのはしりとされている。
1990年代には、ジュブナイルポルノのレーベルが次々と創刊され、これらを原作としたアダルトアニメが製作されていた時期もあったが、一方ではアダルトゲームを原作としたものが登場し、2000年頃にはこれが販売・レンタルいずれも市場のほとんどを占める様になり、一時期、ジュブナイルポルノ原作のアダルトアニメ作品はほとんど見られなくなっていた。
しかし、最近ではヒットしたアダルトゲームについてはアダルトアニメ化を巡る競合が激しくなり、また、プレイステーション2などのコンシューマゲーム機およびUHFアニメへの展開を目論んで、メーカーがアダルトアニメ化そのものを拒否するなど、人気アダルトゲーム原作のアダルトアニメ化が難しい状況も見られている。また、アダルトゲーム原作作品については視聴層からも『内容がソフト過ぎる』『Hシーンが少なすぎる』という不満が目立っていた。これらの事から、著作権使用料がゲームと比較して安価でまたゲームよりもハードな展開が多いジュブナイルポルノがアダルトアニメ化される事が、近年わずかではあるが再び見られる様になってきた。ただし、ライトノベルの様に、ジュブナイルポルノのレーベル運営に際してアニメ化に関わるメディアミックスが大きな影響力を持つような状況は見られていない。
[編集] ジュブナイルポルノとアダルトゲーム
ジュブナイルポルノではアダルトゲームのノベライズ版が出版されることも多く、専門のレーベルもある。これらはジュブナイルポルノとは区別すべきという考えもあるが、現在このジュブナイルポルノで活躍している作家や、表紙・挿絵を書くイラストレータの多くは、成人向けゲームも活動範囲としている。これは主な購買層がかなり一致している事と、ゲームのノベライズの場合、作品や雰囲気に一貫性を持たせるため、ゲームのシナリオライター及びイラストレータがそのままノベライズ作品を担当するパターンが少なくないためである。
[編集] ジュブナイルポルノと他ジャンルの小説など
ジュブナイルポルノについては、ライトノベルを本来の活動範囲としている作家がペンネームを変えて執筆しているケースがある。これは非ポルノの小説側が、ポルノで使われているペンネームを使われることを嫌うという傾向があるためで、ゾーニングでポルノと非ポルノを分けるという観点から有効であるため、作家側が自主的に変更を行っている者もある。中には公然の秘密としてファンの間には広くしられているケースなどもある。しかし、そうではなくレーベルイメージなどを維持する目的で、強い立場の出版社側が強制しているケースもある。
またイラストレーターについても、同様のことがいえる。しかしイラストレーターは作家ほど、ポルノと非ポルノの間でペンネームを使い分けるという慣習がなく、特に元々のデビューが成人向けコミックでその後に少年誌などに活動の軸足を移している漫画家を中心として、ペンネームも変えずにライトノベルとジュブナイルポルノの双方で挿絵を描いている者が少なからず存在する。しかし、ここでも強い立場の出版社側が強制し、ペンネームを変えさせている事実がある。
これは、少年層が表紙などの絵柄や、作家、イラストレータ名だけを見て内容を理解せずにジュブナイルポルノを購入してしまうケースがあるなどという理由付けが行われているが、本来これは別の対策で解決されるべきものであり、ペンネームを変えさせるなどといった「解決する可能性がある」といった対策だけを行ってよしとすべき問題ではない。そして、この場合でも一人の人間を特定する「名前」というものを変更させる理由にはあたらないと思われる。
ペンネームを強い立場を利用し強制的に変えさせると言うことは、氏名公示権の観点から見て許されるべきことではないが、悪しき慣習として定着している現状がある。そのため、自らのページで同一人物であるということを公表している作家もいるが、現状ではそういったことすら秘匿させるよう圧力を加えているケースが多々あるようだ。
こういった問題から、ジュブナイルポルノ出身作家が一般作で登場することは希のようにみえている。しかし、実際にはジャンルの垣根を越えて活躍する作家も多いと思われる。また、近年、雑破業、清水マリコなど、同一ペンネームで通す作家も出ており、今後盛んになっていくと思われる。
[編集] 類義語
ジュブナイルポルノを指すほかの言葉としては、それぞれ発売されているレーベルに由来すると思われる
- 美少女小説
- 二次元小説
のほか
- ライトポルノ
- ライトHノベル
などがある。
[編集] ジュブナイルポルノを発売しているレーベル・シリーズ
- フランス書院
- 美少女文庫
- ナポレオン文庫(事実上の廃刊状態)
- ナポレオンXXノベルズ(事実上の廃刊状態)
- ゲームノベルズ龍馬(成人向けゲームを原作にしたもの中心 事実上の廃刊状態)
- 二見書房 マドンナ社
- マドンナメイト文庫
- 二見ブルーベリーシリーズ
- キルタイムコミュニケーション
- 青心社
- 青心社文庫
- 注:発売をプラザが担当したものがある。
- 青心社文庫
- オークス出版
- 新次元デュアルノベルズ
- パラダイム
- パラダイムノベルズ(成人向けゲームを原作にしたもの中心)
- キャンディーセレクト(2004年7月以降発行停止)
- イーグルパブリッシング
- パンプキンノベルズ(成人向けゲームを原作にしたもの中心)
- パンプキンオリジナル
- ハーベスト出版
- ハーベストノベルズ(成人向けゲームを原作にしたもの中心)
- ケイエスエス(下記softgarageに事実上の事業委譲)
- ケイエスエスノベルズ(成人向けゲームを原作にしたもの中心)(下記ソフガレノベルズに事実上移行)
- softgarage
- ソフガレノベルズ(成人向けゲームを原作にしたもの中心)
- ソフトマジック(出版社倒産)
- すい~とPノベル
- すい~とPゴールド
- 辰巳出版
- ネオノベルズ(事実上の廃刊状態)
- コアマガジン
- コアノベルズ(事実上の廃刊状態)
- ホットミルクノベルズ(事実上の廃刊状態)