ジョイメカファイト
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ジャンル | 対戦型格闘ゲーム |
対応機種 | ファミリーコンピュータ |
開発元 | 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1~2人 |
メディア | カセット |
発売日 | 1993年5月21日 |
『ジョイメカファイト』は任天堂より発売されたファミリーコンピュータ用の対戦型格闘ゲーム。1993年5月21日に発売された(日本のみ)。
ゲーム市場がファミコンからスーパーファミコンに代替わりしつつあった当時、ファミコンのハードの性能を最大限に生かした本作品は、ファミコン末期の傑作の一つとして数えられている。
発売・開発のクレジットは任天堂であるが、出発点は任天堂ではない(詳細fix-me)。多機種への移植や、他作品へのキャラクター出演などを切望しているファンは少なくないが、権利関係がやや微妙なために難しいとみられる。ただし、当時参加していたプログラマの江渡浩一郎が著作権譲渡のための押印が押されていない覚書らしき書類を所持している。(はてなダイアリーの日記)
目次 |
[編集] あらすじ
ある所に、ロボット研究者のリトル・イーモン博士とイワン・ワルナッチ博士がいた。ところがある日、ワルナッチは研究所の7体の戦闘用ロボットとともに姿を消してしまう。その後、ワルナッチはTV放送を通じて全世界に宣戦布告、世界侵略に乗り出す。
イーモンは最後の望みをかけ、カンサイへ修行に出ていたお笑いロボットの『スカポン』を研究所に呼び戻し、戦闘用ロボットに改造するのだった。
[編集] ゲーム内容
プレイヤーが味方ロボット(イーロボ)を操作し、敵ロボット(ワルロボ)を倒す対戦型格闘ゲーム。対戦型格闘というジャンル自体がまだ新鮮であった当時としては、「格闘ゲームの一つ」と言うよりは「ストリートファイターIIの影響を受けて作られたゲーム」と言うことが出来る。しかし、それまでの格闘ゲームになかった斬新な点も含まれ、現在の格闘ゲームに多少なりとも影響を与えている。
クエストモード(一人プレイ)では、1ステージにつき8体(最初のステージのみ7体)のワルロボが存在し、この7体を倒すとボス戦となり、ボスを倒せばステージクリア。計4ステージをクリアすればゲームエンド。
イーロボは合計8体で、どのイーロボでどのワルロボと戦うかは自由に選択できる。
最初のステージではイーロボは1体(スカポン)のみであり、ワルロボを倒すごとに各ワルロボがイーロボへと再改造され使用可能となる演出がされている。なお、最初のステージをプレイできるのはゲーム初プレイ時のみで、一度クリアした後は2ステージ目以降のステージしかプレイできない。(ちなみにオプション画面からゲームデータをリセットすることができる)
ステージボスを倒した後に、各ワルロボを倒した最後の1撃の映像が順にプレイバックされる演出がある。これのために、なるべく格好良い倒し方を狙ったり、決め技を統一したりといったユーザーこだわりの遊び方が生まれた。
[編集] 対戦時のルール
対戦は1対1。両キャラクターはヒットポイントメータ(いわゆる体力ゲージ)1本とハート2つを持つ。相手の攻撃を受けるとヒットポイントメータが減少、ゼロになると『ダウン』を取られ、ハートが1つ減り、メータが全回復する。このとき、相手をダウンさせた方のキャラクターはメータが少し回復する。どちらかのハートが0になると対戦終了。
短時間に連続してダメージ(メータ半分程度)を食らうと、キャラクターの頭部が地面に落ちてしばらく操作不能になる。(ストIIでいうぴより)
[編集] 必殺技
各キャラクターは「パンチ」「強パンチ」「キック」「足払い」「ジャンプ」「ガード」といった基本動作に加えて、4つ(一部例外あり)の必殺技を持っていて、コマンド入力によって必殺技を出すことができる。なおこのゲームのコマンドにはナナメ入力は無く、他の格ゲーとは異なりファミコンの十字キーでも必殺技を出しやすい仕様となっている。 また、ナナメ入力をすることで2つ分のキーを押したと認識されるので、逆にコマンドの省略をする事も可能である。
いくつかのキャラクターの必殺技は、操作説明には無いコマンド入力による、間合い、軌道、威力などが異なるバリエーションを持つ。こういった隠し技を見つけることもユーザーら間での楽しみの一つであった。
[編集] ゲーム難易度
クエストモードの難易度にはノーマルとハードがあり、ハードをクリアすると、新たにスペシャルというモードがプレイできるようになる。スペシャルモードでは敵キャラクターも隠し技を使ってくるなど明らかにCPUの思考パターンが変わっていて、より難しくなっている。
ハードをクリアすると、二人対戦モードでボス以外のワルロボを使用可能になる。スペシャルをクリアすると、ボスキャラクターも使用可能になる。
[編集] ギミック
このゲームの最大の特徴は、キャラクターの表現方法である。ファミリーコンピュータの性能では、新鋭ハードのように『ストリートファイターII』のような大型のキャラクターをアニメーションさせることは不可能であった。『ジョイメカファイト』では、頭部や胴体、手足といった体のパーツが分離したロボットという設定によって大型キャラクターを表現している。
それぞれの分離したパーツ(スプライト)を動かし、アニメーションさせるという手法によって、ファミコンでありながら、それまでの対戦型格闘ゲームにはなかった滑らかな動きをキャラクターに与え、他ハードのゲームに見劣りしないものにさせている。また、各パーツが分離しているために、各キャラクターのに要する絵数も少なく、合計36体という豊富なキャラクター数を実現させている。
[編集] マニュアル(チュートリアル)
『ジョイメカファイト』のもう一つの特徴として、マニュアルというチュートリアルモードの存在が挙げられる。キャラクター選択画面で使用キャラクターを選択した後に「マニュアル」という項目を選択すると、操作練習のための画面に入る。
このモードはソウサモードとデモモードに分かれる。
ソウサモードは対戦画面に似ているが、敵キャラクターは攻撃してこず、また体力などの制限も無いため、プレイヤーは自キャラクターの操作の練習に専念できる。また、各技(基本技・必殺技含む)が相手にヒットした場合に与えるダメージのポイントを知ることが出来る。(ちなみに敵キャラをⅡコントローラーで操作できる。)
デモモードでは必殺技の出し方(コマンド入力)を解説と操作デモ付きで確認できる。
画面上部にはコントローラの絵が表示され、自分の入力操作が確認できるようになっている。
現在でこそ(家庭用)対戦型格闘ゲームでの練習モードはあたりまえであるが、ジョイメカファイトが最初である。子供ユーザーがまだ対戦型格闘ゲームの操作に不慣れであると踏んでの試みであろう。任天堂らしい発想である。
なお任天堂は後にもアクションゲームの『星のカービィ スーパーデラックス』でゲーム開始時にチュートリアルを設けている。
[編集] キャラクター
キャラクターは総勢36体。ただし、ラストステージの8体はイーロボの強化版(若干異なる)のようなキャラクターであるため、バリエーションとしては28と数えることが出来る。
各キャラクターにはそれぞれ個性がある。必殺技の一つ一つに分けてみれば類似したものも多く、「個性がありそうで個性が無い」と評されることもあるが、キャラクターとしてみた場合には使い勝手が異なり、バリエーション豊かである。
キャラクターは全てロボットであり、身体の各パーツは分離している。基本的に頭部、体、右手、左手、右手、右足の6パーツからなるが、キャラによってはビット、アーム、膝パットのようなパーツが付属する。
デザイン的にも、近ごろのロボットアクションゲームなどにありがちな、安易に大河原邦男やカトキハジメ的なデザインに嵌るといった現象もなく、独特の世界観を出している。
[編集] ステージ1(イーロボ)
スカポン以外は一度倒して仲間にする必要がある。一度クリアーすれば、戦闘イベントは無くなっている。
- スカポン
- 主人公。最初から使用可能。お笑いロボットを戦闘用に改造されている。
- 楕円を組み合わせたようなフォルムに、目が点(1ドット)のシンプルなデザイン。ピンク色をしている。
- 歩行速度が遅いが、強パンチの間合いが広く、遠距離技も多い。
- 隠し技のバリエーションが全キャラ中で最も多い。「ローリングスカ」のバリエーションのうちの1種はスカポンが輝く演出つきで、ゲーム中3位の威力。(最強はスカポカーンの同種技だが、輝く演出は無い)
- 必殺技の「コンナンイラヘン」は一見すると性能が悪く、皮肉の効いた名前だが、出がかりの威力は申し分ない。
- ホノオ
- 名前どおり、炎をモチーフにしたデザイン。
- 突進技、飛び道具などバランスが取れていて使い勝手が良い。
- タイガー
- キックボクサーのようなデザイン。膝パットがある。移動速度の遅さを空中戦用の技でカバーするタイプ。
- 「ダッシュアッパー」は間合いの取り方が独特で、外すと大きな隙が生まれる。その分威力は高い。
- ネオ
- 最新のコンピュータロボットという設定。頭上に光の玉が2つ浮いている新世代的なデザイン。
- 接近・中距離戦を得意とし、遠距離もこなすオールラウンダー。アッパーのバリエーションが多彩。
- ゲームToHeartに登場するメイドロボのマルチのような耳が付いている。(なおゲーム発売はToHeartよりジョイメカの方が先である。)
- センジュ
- 頭上にドリルがある。
- 通常攻撃のスキルは高いが、反面、技の使い勝手が悪く、バランスは良くない。
- サスケ
- 忍者をモチーフにしたデザイン。
- 歩行速度が速い。だが、比較的に攻撃力は低い。
- 投げ技の間合いが圧倒的に広い。特にジャンプ中の「クウチュウナゲ」は、ほとんど画面一杯に間合いがある。
- アイ
- 名前どおり、大きな一つ目を持つデザイン。トリッキーな攻撃法を持つ。
- ヒットポイントを消費する無敵技「アイアストロン」を持つ。体当たり攻撃をしてくる相手に使いたくなるが、相手の必殺技発動による無敵時間や当り判定などによっては押し負けるのでそれほど無敵ではない。相手がジャンプしたら着地点あたりで待ち構える、といった使用法になる。
- ジャイアント
- 岩のような頭をしている。
- 歩行速度が遅いが、攻撃の威力が全体的に高い。特に投げ技の変化版は強力。
- 「ダッシュストレート」が足の遅さをカバーしている。
[編集] ステージ2
ステージ2以降は倒しても仲間に出来ない。
- ザコ
- 必殺技が全てタメ技で当たれば強力だが、発動モーションも長くかえって弱点になっている。変化版はさらに前進するが、やはり非常に使いにくい。
- 歩行速度だけは速いので、間合いをつかめるかが全て。練習モードの実験台に登場する。
- ボコボコ
- 必殺技の使い勝手が良いが、威力はとても低い。さらに気絶耐久値は、スーパーザコと並び最弱で、どちらかというとザコよりも弱い。。
- ジオ
- ネオ、ネイが戦闘用になったような姿。同じような技が多いが、空中からの必殺技も存在する。
- バランスは良いのだが攻撃力に欠け、必殺技は少々癖の有る動きをする。
- ガラック
- 蟹のような変則的な姿をしている。
- 攻撃力は低いが、実は難易度こそ高いもののハメ技が存在する。
- オールド
- 名前どおり、土木作業車のような、旧世代的ロボットなデザイン。必殺技は4つのパターン攻撃だが投げ技は存在しない。
- 人型ロボットに至る途中に建設機械があるという設定は、ガンダムやパトレイバーなどを意識したと思われる。
- ジボル
- 背が低く、アームが長い変則的な姿。移動はかなりノロいが、攻撃力が高い。
- 別名、初心者キラー。
- ジェル
- 一定時間、姿が消える(画面に表示されなくなる)「ドロロンパ」という技を持つ。対人戦では効果があるが、対CPU戦でドロロンパを使っても全く無意味。
- スケーター
- 2つのホイールが付いている。
- 移動技が多い。
[編集] ステージ3
- レジェンド
- 鎧のようなデザイン。
- クセが少なく、リーチも長く操作しやすい。
- 名前を意識してか、必殺技の演出がいちいち派手気味。
- トルネードエナジーには、変なバグが存在する。
- ホバー
- 両足がバーニアになったデザイン。
- 空中に浮いているので、一部の技(足払いなど)を食らいにくい。
- ジャンプ攻撃をもつが、必殺技が3種類しかない。
- また、一種のハメ技が簡単である(間合いを取ってジャンプ技→その連続→相手が麻痺→復帰までアッパー→間合いを取る)。
- シェンロン
- スター
- 姿は他キャラと同じような人型だが、やや小柄。
- ホバーより使い勝手の良いジャンプ攻撃をもつが、やはり必殺技が3種類しかない。
- ゴーストン
- ステージ2のボス、ラーの亡霊ロボット。幽霊をモチーフにしたデザイン。頭部、体の回りを光る玉(ラーより少ない4つのビット)が回っている変則的な姿。
- 独特の動きをする通常攻撃は強力。必殺技のバリエーションも豊富で、攻撃の間合いが広い。かなりの強敵。
- ギガント
- 攻撃が強力で、相手から受けるダメージも少なく設定されている。
- 歩行速度が遅い。
- ジオーン
- ボコボコとジオを合成させたという設定で、二つのキャラをあわせたような特徴。
- やはり攻撃力が低く、同期の中ではかなり弱い印象。
- スーパーザコ
- ザコとは違い、標準的な必殺技を持つキャラ。
- スピードにさらなる磨きがかかり、必殺技の出が早い上、移動速度は全キャラ中最速。
- 打たれ弱く、連続攻撃を受けるとすぐに気絶してしまう。
[編集] ステージ4
イーロボと良く似たキャラが登場。歩行速度や技の威力など全体的に強化されている。同タイプのイーロボで勝負を挑む場合、自分より「強い」相手と戦うことになる。対人戦ではハンデとしても使える。
- カエン
- ホノオの強化型。スピードがあるため使い勝手がさらに向上している。
- レオ
- タイガーの強化型。
- ネイ
- ネオの強化型。ネイカイテンアッパーのバリエーションは、ゲーム中2位の威力を持つ。
- アシュラ
- センジュの強化型だが、技が一部異なる。空中技の代わりに対空用の迎撃技が存在する。
- センジュと同様、相手から受けるダメージが少ない。
- ハンゾー
- サスケの強化型。
- ジャンプ中の空中投げ、「カスミオトシ」はほぼ無敵。しかし、サスケと同様にジャンプ後からしばらくたたないと発動しない。
- ワイ
- アイの強化型だが、「アイアストロン」に相当する技は持たず、多段式の迎撃技が備わった。
- ガイアン
- ジャイアントの強化型。
- スカポカーン
- スカポンの強化型。「ローリングポカーン」のバリエーション技はゲーム中最強の威力を誇る。
- スカポンの「コンナンイラヘン」に相当する技を持たず、代わりに、多段式の迎撃技(ストリートファイター
- で言うところの百烈キック)を持つ。
[編集] ボス
各ステージのワルロボを全て倒すと出現。
- ダチョーン
- ステージ1のボス。
- 名前の通り、ダチョウをモチーフにした変則的な姿。
- 接近戦に特化しており、唯一の移動技である「ワイルドダッシュ」にすがるプレイヤーも多い。
- ラー
- ステージ2のボス。
- 頭部と体の周りを囲む6つのアーム(うち1つが足)という変則的な姿。
- 攻撃範囲の広さは随一。相手から受けるダメージが低く設定されている。
- ガーボーグ
- ステージ3のボス。
- 足が1本の変則的な姿。
- 必殺技の間合いが広く、威力も高い。特に主力である「メタトルネード」は威力、機動力、判定ともに申し分ない高性能だが、外せば隙が大きい。
- ホウオウ
- ステージ4のボス。(最終ボス)
- ボスキャラの中では唯一の人型。
- 頭部は、素顔の上に仮面をつけているようなデザイン。
- ラスボスに相応しく高性能で、全ての技の威力が高めに設定されている。無敵時間も長め。
- 飛び道具「ホウオウキャノン」は、ゲーム中唯一の誘導弾になっている。
- 必殺技を出す前のモーションが若干長く、そこが隙になっている。
[編集] 裏技・小ネタ
- 対戦モード(MANvsMAN、MANvsCOM、COMvsCOMのいずれでも可能)を選択するとき、A・B・スタート・セレクトの全ボタンを押しっぱなしにすると、ランダム対戦となる。クエストモードで難易度スペシャルをクリアしていなくても36体全て登場する。
- 難易度スペシャルのクリア後のスタッフロール時にA・B・スタート・セレクトの全ボタンを押しっぱなしにすると、演出が変わる。
- ソウサモード時はザコをIIコンで操作できる。
- タイトルロゴ画面でセレクトボタンとBボタンを同時に押すとコンフィグ画面に入る。ここではサウンドテストとセーブデータの消去ができる。