スロヴィオ
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スロヴィオ Slovio/Словио |
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話される国 | 世界中 |
地域 | - |
話者数 | 不明 |
順位 | 100位以内になし |
言語系統 | 人工言語(スラブ語派) スロヴィオ |
公的地位 | |
公用語 | 無し |
統制機関 | - |
言語コード | |
ISO 639-1 | - |
ISO 639-2 | art |
ISO/DIS 639-3 | - |
SIL | - |
言語のシンボル | |
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汎スラヴ旗 | |
スロヴィオ(СловиоもしくはSlovio)は、スロヴァキア出身の言語学者マルク・フツコが考案した人工言語である。
目次 |
[編集] 概要
スロヴィオは、スラヴ諸語を話す人々同士、またはスラヴ諸語話者と非スラヴ諸語話者とのコミュニケーションを円滑にするための補助言語として作られ、2001年、インターネット上で公開された。 創案者のフツコは、スロヴィオは世界でおよそ4億人の人々に使用されるであろうと考えたが、現在のところは正確な調査がなされていないこともあり、どの程度の人々が使用しているかは不明である。
「スロヴィオ」という名称は、スラヴ祖語のslovo(「語」、「単語」)に由来している。現在でも各スラヴ諸語ではこれとよく似た語を使用している(ロシア語слово、ポーランド語słowo、チェコ語slovoなど)。
[編集] アルファベット
表記にはラテン文字もしくはキリル文字が用いられる。ダイアクリティカルマークは使用しない。発音方法は、スロヴィオ独自のつづりを除いてはエスペラントとだいたい似ている。「x」を用いて2文字で1音を表すつづりがいくつか存在する。
表の発音上の注意にある単語は、特に注意のない場合は英語のものである。
-
ラテン キリル IPA 発音上の注意 A a А а a B b Б б b C c Ц ц ʦ rats の ts Cx cx Ч ч ʧ china の ch D d Д д d E e Е е e F f Ф ф f G g Г г ɡ good の g Gx gx ДЖ дж ʤ George の g H h Х х hまたはx hotel の h I i И и i J j Й й j yes の y K k К к k L l Л л l M m М м m N n Н н n O o О о o P p П п p R r Р р r スペイン語、ロシア語などの巻き舌の r S s С с s suit の s Sx sx Ш ш ʃ, ʂ shoot の sh T t Т т t U u У у u V v В в v Z z З з z zoo の z Zx zx Ж ж ʒ, ʐ leisure の s
そのほか、
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ラテン キリル IPA 発音上の注意 Hq hq h hotel の h Hx hx x スペイン語 Juan の j X x Кс кс ks box の x (ks) Wx wx Щ щ ʃʧ wish-chest の shtsh (「シュチュ」) Q q ʲ 軟音記号(注)
(注) キリル文字の ь に相当し、例えば「nq」とつづられた場合は、スペイン語の ñ や英語の canyon のように発音する。
ai や oi, io など母音が連続した場合、英語のように「ai=エ」「ie=イー」のように発音せず、二重母音としてそれぞれしっかりと発音する。
[編集] アクセント
アクセントは、単語の最後から2番目の音節に置く(次末アクセント)ことが推奨されているが、そのほかの場所に置くこともできる。
[編集] 文法
スロヴィオの文法規則はエスペラントのものと類似する部分がある。
例:
- 名詞は女性名詞、男性名詞などの性カテゴリーを持たず、屈折(格変化)もしない。
- 形容詞も名詞に従って性カテゴリーを持たず、複数形もない。
接辞は語の意味を変える、もしくは意味を付け足す役割を果たす。例えば、語の後に接尾辞-juをつけることで、同じような意味を持った形容詞を作ることができる。
- morie (名詞) 「海」
- morju (形容詞) 「海の」
語順は、たいていのスラヴ系言語同様にかなり自由であり、名詞を修飾する形容詞の位置も前後どちらでも構わない。
- trava zelenju 「緑色の草」
- zelenju trava 「緑色の草」
[編集] 語彙
スロヴィオの語彙は、その90%ほどがロシア語起源のものであるが、ラテン語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語から取り入れたものもある。 創案者のフツコは、スロヴィオの語彙のほとんどがスラヴ諸語起源であるため、スラヴ諸語話者は特に学習しなくともスロヴィオを理解することができる、と主張している。しかし、西スラヴ諸語話者や南スラヴ諸語話者にとってはそれほど受け入れやすいものではないという批判もある。たとえば、sobak「犬」、tper「今」、pecxen「肝臓」はロシア語のсобака, теперь, печенкаにとてもよく似ているが、南、西スラヴ諸語では異なる語根が用いられている。そのため、同じ意味を持つ別の語根が使用されることもある。
- 例: pes「犬」 (ポーランド語では pies )
2006年現在、スロヴィオの辞書には4万弱の単語が収録されている。
- dom 「家」
- sobak 「犬」
- kot 「猫」
- sad 「庭、庭園」
- zdrav 「こんにちは」
- ruk 「手」
- to 「これ」
- interesju 「面白い、興味深い」
- so 「~と一緒に」
- nikto 「誰も~ない」
- samuo 「ひとりで」
- krasju 「美しい」
- da: 「あなた」
- ja 「私」
- mesiac: 「(暦の)月」
[編集] 文例
- キリル文字
Словио ес новйу межународйу йазика ктор разумийут чтирсто милион лудис на целойу земла. Учийте Словио тпер! - ラテン文字
Slovio es novju mezxunarodju jazika ktor razumijut cxtirsto milion ludis na celoju zemla. Ucxijte Slovio tper! - 日本語訳
スロヴィオは、世界で4億人の人々が理解する新しい国際言語です。今すぐスロヴィオを勉強しましょう!
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Slovio オフィシャルサイト (英語、スロヴィオ)
- スロヴィオ-英語辞典
- スロヴィオとスラヴ系言語の単語対照表