ラテン文字
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ラテン文字 | ||
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類型: | アルファベット | |
言語: | フランス語、イタリア語、英語等 | |
時期: | 紀元前7世紀から現在 | |
親の文字体系: | エトルリア文字 フェニキア文字 ギリシア文字 ラテン文字 |
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姉妹の文字体系: | キリル文字 コプト文字 ルーン文字 |
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ISO 15924 コード: | Latn | |
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ラテン文字(ラテンもじ;Latin alphabet)は、ローマ文字、ローマ字(Roman alphabet)とも言い、フランス語、イタリア語、ドイツ語、英語など多くの言語で使用される表音文字である。これを並べることで単語を表記し、単語を区切って並べることで文章を構成する。
ラテン文字はアルファベットの一種であるが、日本語においては専らラテン文字を指して「アルファベット」という呼称を用いるという混同が見られる。また、日本にとっての英語の影響力の大きさを反映して英字という呼び方もなされる(英字新聞等)。
目次 |
[編集] 成立
紀元前 7 世紀に、フェニキア文字やギリシア文字を元にするエトルリア文字を基に創られた。もととなったエトルリア 26 文字のうち 21 字をローマが採用した。初期のラテン文字は A, B, C (/k/ と /g/ の両方を表した), D, E, F, Z (ギリシア文字の Ζ), H, I (/i/ と /j/ を表した), K, L, M, N, O, P, Q, R (長い間Pのように書かれた), S, T, V (/u/, /w/ を表した), X。後に Z が除かれ、この位置には新しく C から分化した G が入った。その後、紀元前 1 世紀にギリシア文字ΥとΖが末位に加えられ、長らくこの 23 字が使われた。元来は大文字だけが使われたが、中世になって筆記を容易にするため小文字が使用されるようになった。1300 年頃、母音 /u/ と半母音 /w/ を書き分けるために V から W が作られた。同じく 16 世紀に母音 /i/ と半母音 /j/ を書き分けるために I と J が分かれた。最後に V と U の書き分けが確立したのは 18 世紀になってからである。
[編集] 歴史
本来は古代ローマの公用語であるラテン語を表記するための文字であったが、カトリック世界の拡大とともに広がって、ラテン語の口語ともいえる俗ラテン語から変化したイタリア語、スペイン語、フランス語などのロマンス諸語だけではなく、ゲルマン諸語、ケルト諸語や一部のスラヴ諸語などヨーロッパの多くの言語に用いられるようになった。更に近代の欧州の文明的優位から、トルコ語やベトナム語など非ヨーロッパ・非カトリックの国々の言語にも採用されている。特に元々文字を持っていなかった言語での採用は多い。文字帝國主義ではないかという批判もある。
[編集] ラテン文字基本26字の一覧(大文字/小文字)
英語は、基本26字のすべてを使い、またそのほかの文字や記号を付した文字を(外来語をのぞき)使わない言語である。
A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | U | V | W | X | Y | Z |
a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | l | m | n | o | p | q | r | s | t | u | v | w | x | y | z |
[編集] 上記に加えて使われる文字の例
アキュート アクセント |
グレイヴ アクセント |
サーカム フレックス |
ウムラウト/トレマ | ||||||||||||||||||
Á | É | Í | Ó | Ú | Ý | À | È | Ì | Ò | Ù | Â | Ê | Î | Ô | Û | Ä | Ë | Ï | Ö | Ü | Ÿ |
á | é | í | ó | ú | ý | à | è | ì | ò | ù | â | ê | î | ô | û | ä | ë | ï | ö | ü | ÿ |
セディーユ | ティルデ | オゴネク | 合字 | ルーン文字 | ||||||||||
Ç | Ş | à | Õ | Ñ | Ą | Ę | Į | Ų | Æ | Œ | Ø | IJ | Þ | |
ç | ş | ã | õ | ñ | ą | ę | į | ų | æ | œ | ø | ij | ß | Þ |
ウムラウト・セディーユなどは詳しくはダイアクリティカルマークを参照のこと
各国での利用状況を含めた全ての文字の一覧はラテン文字一覧を参照のこと
[編集] ラテン文字とともに使われる記号の例
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