ダイハツ・アトレー
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アトレー(Atrai)はダイハツ工業の自動車。1BOXワゴンのジャンルに入る。
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[編集] 概要
もともとはハイゼットの派生車種として1981年に誕生した。後に独立した別車種となっているが現在も車体はハイゼットとほぼ共通である。
発売グレードは長らく4人乗りの軽自動車だけだったが、2000年には7人乗り1300ccの乗用車タイプ、アトレー7が登場し、1500cc以下の7人乗り乗用車としてはスバル・ドミンゴ以来のものだった。一時期、トヨタ自動車にもスパーキーとしてOEM供給もされていたが、2004年で生産終了した。
アトレーシリーズはハイゼットシリーズと共に群馬県前橋のダイハツ車体(唯一の関東圏工場)で生産されていたが、現在は前橋工場を完全閉鎖し、アトレーシリーズは、大分の新工場で生産を継続している。初代S65系の半数とアトレー7は本社池田工場で生産されていた。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1981-1986年)
初代ダイハツ・アトレー | |
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製造期間 | 1981年 – 1986年 |
ボディタイプ | 5ドア バンロールーフ 5ドア バンハイルーフ 5ドア バンハイルーフサンルーフ |
エンジン | AB20型 0.55L 直2 29ps/4.4kgm AB55型 0.55L 直2ターボ 39ps/5.9kgm |
駆動方式 | FR パートタイム4WD |
主なグレード | E G L |
先代 | ダイハツ・ハイゼット カスタムEX |
- 形式は2WD車:S65V、4WD車:S66V
- 1981年登場。
- 当時はハイゼット・アトレーの名で発売されたが途中でアトレーになる。サンルーフを軽1BOXで初装備した。
- フルファブリックシート、カーペット敷きのフロアなど貨物登録だが乗用ユースを主体としている。積載重量はLが200kg積でリアサスペンションは2枚リーフにするなど乗り心地を重視している。
- エンジンはハイゼットと同じAB20型を使用していた。
- ボディスタイルはハイルーフを基本としているが、Eにはロールーフモデルが用意されて、平床と低床のバリエーションがある。
- 登場時のグレードは E、L、Lサンルーフ
- 1982年4WD車追加。
- 4WD車にはメーカーオプションで交流発電機または電動ウインチが用意されていた。4WD車はパートタイム方式を採用し副変速機装備を装備しLSDのオプションも用意されていた。
- グレード構成はE、L、Lサンルーフ
- 1983年2WDに5MTが追加、2WDおよび4WDに軽1BOX初のターボ車追加
- 外装はフロントグリルがNAがホワイト、ターボがシルバーを採用しハイゼットとの差別化が行なわれた。
- 2WD車のリアフロアは平床のままで高かったが、2段フロアとなり足元フロアの高さが低床と同じ位置となった。ロールーフ仕様が廃止された。
- リアシートがヘッドレスト付でクッションサイズが厚いシートへ変更され、オプションにエアコンが追加され快適性がアップしている。
- 12インチホイール装着車両にはフロントディスクブレーキがオプション設定されている。
- 4WD車にはフリーホイールハブを採用し燃費改善してる。
- ターボエンジンにはインタークーラーは装備されていない。
- グレード構成はE、L、Lサンルーフ、LX、LXサンルーフ、LXターボ、LXターボサンルーフ
- 1984年4WDに5MTが追加
- 4WD車のリアフロアは平床のままで高かったが、2段フロアとなり足元フロアの高さが低床と同じ位置となった。
- ELR式シートベルトがオプションで選択可能となった。
- グレード構成はG、LX、LXサンルーフ、LXターボ、LXターボサンルーフ
- 1985年AT車追加。
- グレード構成はG、LX、LXサンルーフ、LXターボ、LXターボサンルーフ、AT
[編集] 2代目(1986-1994年)
2代目ダイハツ・アトレー | |
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製造期間 | 1986年 – 1993年 |
ボディタイプ | 5ドア バンハイルーフ 5ドア バンハイルーフサンルーフ |
エンジン | EB60型 0.55L 30ps/4.5kg EB70型ターボ 0.55L 46ps/6.5kg EB71型ターボ 0.55L 52ps/7.2kg EF-ES型 0.66L 直3 42ps/5.6kg EF-GS型 0.66L 直3 SOHC12バルブ 42ps/5.7kg(1992年以降のAT車用) EF-XS型ターボ 0.66L 直3 61ps/8.7kg EF-TS型EFIターボ 0.66L 直3 64ps/8.8kg |
駆動方式 | FR パートタイム4WD オールタイム4WD |
主なグレード | G GX LX ターボXX クルーズ |
- 形式は2WD,550cc:S80V、4WD,550cc:S81V、2WD,660cc:S82V、4WD,660cc:S83V
- 1986年登場。
- エンジンは2気筒AB型エンジンから1985年にミラ、クオーレで採用されたEB型をアトレー用に変更して搭載している。660cc化された際にはEB型をベースにしたEF型に変更された。
- エンジンルームは先代からの継続でフロントシート下に搭載されているが、ラジエターをシート下からバンパー裏へ移動しエンジンが前寄りとなった事でリア足元のエンジン張り出しを少なくしている。
- 4WDは副変速機付きのパートタイム4WDを採用した。パートタイム4WDはオートフリーホイールハブを採用し利便性を向上した。
- ボディデザインはスタイル重視で流麗なスタイルを採用している。リアウィンドウは小型車を含めた1BOXで初の下降式を採用、窓の上下幅を広げており室内の開放感は高かったが、スタイルが弱点となり室内は先代より狭くなっている。
- ガラスサンルーフのコスミックルーフ、フロントガラスサンルーフを装備した車両もある。大型のガラスサンルーフは軽1BOXで初めて採用された。後に電動スライド化される。
- グレード構成はG、GX、LX、LXターボ、EXターボ
- 1987年オールタイム4WDのSXターボ登場
- オールタイム4WDはセンターデフ付きパートタイム4WDで副変速機機能は無いがセンターデフロック機能を有している。現在この4WDシステムは2WD化機能を省いてテリオスキッド、ビーゴに装備されている。
- グレード構成はG、GX、LX、LXターボ、EXターボ、SXターボ
- 特別装備グレードにティンパニ、ティンパニターボ
- 1988年異型ヘッドランプを採用。4MTモデルが消滅。MT車は全て5MTとなる。
- グレード構成はGX、LX、LXターボ、EXターボ、SXターボ
- 1989年電動オープンのガラスサンルーフを装備したターボFXが登場。スポーティグレードのターボXXが登場
- フロントバンパーデザイン、ハンドルデザインが変更される。
- グレード構成はGX、LX、ターボLX、ターボEX、ターボFX、ターボXX
- 1990年660cc新規格化。特別装備グレードにデッキバン追加。
- グレード構成はGX、LX、ターボLX、ターボEX、ターボFX、ターボXX
- グレード構成はGX、LX、ターボLX、ターボEX、ターボFX、ターボXX
- 特別装備グレードにクルーズ、クルーズターボ、スーパークルーズがあった。カラードバンパーなどを装備し通常グレードよりも安い為、販売の主力はクルーズ系に移行した。
- 1992年4WDのノンターボ車にAT車追加。
- 350kg積載可能グレードだったGXが消滅し全車200kg積載へ統一された。
- 特別装備グレードがカタログモデルへ昇格しグレード構成が整理された。
- グレード構成はLX、クルーズ、クルーズターボ、クルーズリミテッド、ターボXX、スーパークルーズ
[編集] 3代目(1994-1998年)
3代目 | |
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製造期間 | 1994年 – 1998年 |
エンジン | EF-NS型 直3 EF-ES型 直3 EF-GS型 直3 EF-ZS型 直3 EF-TS型 直3ターボ 64ps/8.8kg EF-RS型 直3ターボ 64ps/10.0kgm |
駆動方式 | FR パートタイム4WD マルチセレクト4WD |
主なグレード | LX MX SR リバーノ スーパークルーズ RT クラシック |
- 形式は2WD:S120V、4WD:S130V
- 1994年登場。
- 先代モデルのスタイル重視から車内の広さ重視へシフトしている。内装は乗用車と遜色ないレベルまで向上している。
- 片側スライドドアの「リバーノ」が追加される。スポーティグレードのSRにABSを標準装備。リバーノシリーズに後席シートベルトを標準装備。
- エンジンはNAとターボエンジンを用意しボディは5ドアと4ドアのリバーノで幅広いユーザーを対象としている。
- 4WDモデルはSR、またはターボでABS装備時は2WD、4WD切替可能なセンターデフ入りマルチセレクト4WD、他はパートタイム4WDを採用した。
- トランスミッションは全グレードで5MTを採用し、一部のグレード以外は3ATを採用した。5MTはアウトプットリダクション方式を採用している。
- 安全対策としてダイハツ軽自動車で初採用となるABSがSRとRTターボ系に標準装備され、一部のグレードでオプション設定。リアシートベルトがリバーノ系に標準装備、全グレードでオプション設定されている。ブレーキはABS装備モデルで8インチブースターを採用し強化され、全車LSPVの装備により積載状況のブレーキ圧コントロール機能を持っている。ABSはダイハツ軽で初採用である。
- リバーノシリーズにはリアシートスライド機能とリアシートベルトを装備しリアシートの快適性と安全性をアピールしていた。リアシートスライドは左右交互にスライドし、商用車として荷室スペースを確保するようになっている。
- ハイゼットと大きく異なる点はリアサスペンションがリーフリジットから3リンクコイル式に改められた事である。これにより形式がハイゼットのS100系とアトレーのS120系に大別されている。
- グレード構成はLX、MX、MXターボ、SR、リバーノ、リバーノツインコスミックルーフ、リバーノターボ
- 1996年、全グレードでAT車選択可能となる。RTシリーズ追加。NAエンジンがツインカムエンジンとなる。
- グレード構成はMX、MXターボ、RT、RTターボ、リバーノ、リバーノツインコスミックルーフ、リバーノターボ
- 1997年1月、ターボエンジンがツインカムエンジンとなる。
- 一部のシリーズは特別装備グレードへ統合。軽自動車初のアクティブスポイラーを一部グレードに装備した。
- グレード構成は天晴、天晴ターボ、RTリミテッド、RTリミテッドターボ、リバーノ天晴、リバーノツインコスミックルーフ、リバーノターボ
- 1997年10月、クラシックシリーズ追加、リバーノターボ消滅
- グレード構成は天晴、天晴ターボ、RTリミテッド、RTリミテッドターボ、リバーノ天晴、リバーノツインコスミックルーフ、クラシック、クラシックターボ
[編集] 4代目(1999-2005年)
4代目 | |
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製造期間 | 1999年 – 2005年 |
ボディタイプ | 5ドア バンロールーフ 5ドア バンハイルーフ 5ドア バンハイルーフサンルーフ 5ドア ワゴンロールーフ 5ドア ワゴンハイルーフ 5ドア ワゴンハイルーフサンルーフ |
エンジン | EF-VE型 0.66L 直3 48ps/6.5kg EF-DET型 0.66LK 直3ターボ 64ps/10.2kg |
駆動方式 | FR パートタイム4WD フルタイム4WD |
主なグレード | CL カスタム エアロダウンビレット |
- 形式は2WD,4ナンバー:S220V、4WD,4ナンバー:S230V、2WD,5ナンバー:S220G、4WD,5ナンバー:S230G
- 1999年1月登場。
- グレード構成は CL、カスタム、カスタムターボ。
- 1998年10月から施行された軽自動車の規格変更に合わせ、ミラ、オプティに遅れて登場した。
- ボディデザインはイタルデザインが担当し軽1BOXとは思えない流麗なスタイルを持っている。
- フロントタイヤが前方に移動したセミキャブデザインを採用し標準のCL系と、アメリカンスタイルのカスタムの2グレード体勢となる。
カスタムシリーズはロールーフにルーフレールを採用し、ロールーフは初代アトレーの初期モデル以来17年ぶりの採用だった。ロールーフのスタイルが人気となり、納車待ち3ヶ月になるなどCMを一時中止する人気があった。CLはハイルーフを採用し先代リバーノ譲りのリアシートスライド(交互スライド)、電動サンルーフのオプションがあった。全車ABSが標準装備されていた。
- 4月に5ナンバー(乗用車)登録の「アトレーワゴン」が登場する(現在は乗用モデルのみ)。
- グレードは CL、カスタム、カスタムターボ。
- 乗用登録ということでリアシートにスライド機能を追加しリアシートが広く180mmのスライドはライバルを圧倒した。貨物モデルとの価格差は無かったが、リアシートスライド、リアシートベルトが装備される代わりにABSがオプション扱いとなっていた。
- 2000年1月CLターボ追加、カスタムターボに電動サンルーフが追加
- カスタムターボサンルーフは初のATのみのグレードとなる。
- 6月にエアロダウンビレットシリーズ追加。
- 2000年末に4ナンバー車はCL以外消滅。
- グレード構成はエアロダウンビレットターボ、カスタムターボ、カスタムターボサンルーフ、CLターボ、エアロダウンビレット、カスタム、CL、CL(4ナンバー)
- 2001年CLターボはツーリングターボとなる。
- アトレーをベースに1300ccエンジン搭載、7人乗りのアトレー7が登場した。
- 2001年末に4ナンバーのアトレーは生産終了。以降はアトレースローパーなど福祉仕様以外はアトレーワゴンのみとなる。
- 2002年ツーリングターボがロールーフ化、
- カスタムターボとエアロダウンビレットターボは4ATのみとなる。NAのエアロダウンビレットは消滅。
- 初代アトレーより搭載されていた交流発電機のオプション設定が消滅した。
- エンジンは排ガス規制に対応したものとなりカタログ上のスペックは若干向上している。しかし体感ではパワーダウンしている。
- 2003年マイナーチェンジで装備面の見直しが行なわれ値下げが実施された。
- カスタムターボではフォグランプ、ツーリングターボではリアスポイラー、アルミホイールなど装備面が省かれている。
- 2004年末に最終マイナーチェンジ
- 5MTが消滅しATのみの展開となる。
- サンルーフの装着オプションが消滅した。他社軽1BOXのサンルーフも既に消滅していた事から、軽1BOXで初採用及び最後までサンルーフを装備していたのがアトレーであった。
[編集] 5代目(2005年-)
5代目 | |
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製造期間 | 2005年 – |
ボディタイプ | 5ドア バンハイルーフ 5ドア ワゴンハイルーフ |
エンジン | EF-VE型 0.66L 直3 53ps/6.5kg EF-DET型 0.66L 直3ターボ 64ps/10.5kg |
駆動方式 | FF フルタイム4WD |
主なグレード | カスタムターボ カスタムターボRS |
- 形式は2WD:S320G、4WD:S330G
- 2005年登場(ハイゼットカーゴは2004年)。
- エアロパーツ装着のターボ車のみのラインアップとなり、軽1BOX車で初のディスチャージヘッドランプが上位グレードに標準装備された。ハイルーフのみのラインナップで荷室はユースフルホールやナットなどアレンジ可能になっている。
- 2006年 ブラックエディションシリーズが追加
- 内装とインパネがブラック化されておりスポーティさを強調している。
[編集] 車名の由来
フランス語で「魅力的な」という意味のATTRAIの造語
[編集] CM
[編集] CMキャラクター
- 3代目
- 安達祐実(リバーノ)
- 4代目
- 5代目