トヨタ・チェイサー
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チェイサー(CHASER)は、かつてトヨタ自動車が生産していた中型の高級乗用車で、マークII/クレスタの姉妹車である。
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[編集] 概要
ボディやエンジンは上記の2車と基本的に共通している。ノーマルグレード名は「アバンテ(Avante)」で、スポーツグレードは80系までは「GT」、90系からは「ツアラー(TOURER)」である。生産は1977年から2001年(MX40型~JZX100型)。のちにクレスタと統合してヴェロッサとなった。 アーケードゲーム湾岸ミッドナイトではJZX100のチェイサーツアラーVが登場している。
[編集] 歴史
[編集] 初代(X40系)1977年 - 1980年
- 1977年6月登場。コロナ・マークIIのトヨタオート店向けの姉妹車として、なおかつ同クラスの人気車種だったスカイラインの対抗馬として開発されたため、マークIIよりも若いユーザーを狙ったものであった。歴代唯一の2ドアハードトップも存在した。
- キャッチコピーは「美しい野性」。CMキャラクターに俳優の草刈正雄(初代~2代目前期まで)を起用した。
- 1978年9月マイナーチェンジ。ラジオアンテナはリヤウインド内蔵式に変更。オプションで衝撃吸収ウレタンバンパーを設定した。
[編集] 2代目(X60系)1980年 - 1984年
- 1980年10月登場。ビスタ店向けに開発されたクレスタも加わりマークII3兄弟と呼ばれるようになった。
- 2ドアハードトップは消滅し、4ドアセダンと4ドアハードトップのみとなる。この代から最高級グレードとして、ハーダーサスペンション・ミシュランタイヤなどが奢られた「アバンテ」を設定するなど、先代からスポーティー路線を昇華させた。デザイン面でマークIIとの大きな差別化が初めて図られているが、フロント・リアのデザインが違う以外はマークIIと全く同一であった。
- 前期型のキャッチコピーは「いま、高級車もフットワークだ」。
- TVドラマ「太陽にほえろ!」の劇中車では前期型の「セダン・アバンテ」のワインレッドが使用された。1981年2月~10月
- 1982年8月 マイナーチェンジ。マークII・クレスタと共にツインカム24車を設定する。このマイナーチェンジから2年間、CMキャラクターに車好きで有名な俳優の夏木陽介を起用し、カタログにも登場した。
[編集] 3代目(X70系)1984年 - 1988年
- 1984年8月登場。「アバンテ」はこの代からラグジュアリー系グレードとなり、同時に4ドアハードトップのみの展開となる。イメージキャラクターにジャン=マイケル・ヴィンセントを起用した。
- エクステリアは姉妹車のマークII/クレスタに比べややスポーティーなものだったが、マークIIやクレスタと同様の内装の豪華さも特徴であった(ツインカム24のシートは3車共通)。
- 1985年10月、マークII/クレスタと共にGTツインターボ搭載車が登場している。チェイサーのみに「GTツインターボS」という5MTのみの廉価グレードが存在したが、1986年8月のマイナーチェンジで廃止された。
- 1987年、トヨタオート多摩(現:ネッツトヨタ多摩)がチェイサーをオープンカーに改造した「チェイサーコンバーチブルTAMA」を発売したが、価格は450万円(アバンテHTツインカム24がベース)とかなり高価だった(同時にAE86トレノにもコンバーチブルを設定)。
- キャッチコピーは前期型が「TOYOTA GT-SALOON」「野望、マキシマム」後期型が「TOYOTAの最高級GTサルーン」「高性能フォーマル。」であった。
[編集] 4代目(X80系)1988年 - 1992年
- 1988年8月登場。斜め格子のフロントグリルや横一文字のリアコンビレーションランプを採用した、スタイリッシュな4ドアハードトップとして登場した。姉妹車のマークII/クレスタと共に大ヒットし、現在の道路でも見かけることが多い車のひとつである。
- 先代までスポーティーさを売りにしていたチェイサーだが、前期型でのリアスタイルを中心に見せる落ち着いた構成のCMや、「Who?」(私の足を止めたのは誰?)「トヨタのいちばん新しい高級車 THE CHASER」のキャッチコピーなど、この代から一転して上品さをアピールするようになる。
- 1989年8月には3000cc(7M-GE)車(3.0アバンテG)が追加される。従来からの4輪ESC(ABS)の他にTRCも標準で装着された。
- 1990年8月、マイナーチェンジ。マークII・クレスタ同様に2500cc(1JZ-GE)車が追加される。キャッチコピーは「新しいあこがれ」。
- ちなみに、前期型のCMでは女性の後ろ姿のみが映っていたが、後期型のCMになると顔を含めた全面を映している。
[編集] 5代目(X90系)1992年 - 1996年
- 1992年10月登場。全車3ナンバーとなる。スポーツモデルがGTからツアラーに改称される。CMキャラクターには小説家の村上龍が起用された。キャッチコピーは「セビロと、ルージュと、ニューチェイサー」。
- 1995年運転席エアバッグが標準装備される。
[編集] 6代目(X100系)1996年 - 2001年
- 1996年9月登場。マークII/クレスタそれぞれに独自のキャラクターが与えられ、その中でチェイサーは最もスポーティーなキャラクターを持つ。オーバーハングを短縮し、丸目4灯ヘッドランプが与えられた攻撃的なスタイリングが特徴である。なお、この丸目4灯ヘッドランプがBMW・3シリーズのそれと似ているという声もあった。
- トヨタの広報資料によると、「走る・曲がる・止まる、その全てにトヨタの最新技術を結集し、操る楽しさと品格を実感できる走り、世界トップレベルの安全性、高級セダンの新たな潮流を生み出す事を念頭に最高峰のイノベーティブセダンとして開発されたもの」となっている。また、ディスチャージヘッドランプは日本ではこの100系(ツアラー・ルラーン)から採用されている。100系となったチェイサーは進化を極め、世界レベルの性能を持ったモデルとなっていた。
- キャッチコピーは「TheStrong.CHASER 強い高級車に乗ろう。」「ハイテンション・スポーツサルーン」。イメージリーダーにターボエンジン1JZ-GTE型搭載グレード「ツアラーV」を掲げ、CMではCGで動く鮫とチェイサーのイメージを重ね合わせた。
- 100系チェイサーは3兄弟中、スポーツグレードの「ツアラー」が最も売れたモデルで、ターボ(1JZ-GTE型エンジン)搭載グレード「ツアラーV」の5速マニュアルトランスミッション車は売り上げ全体の3割近くを上げる事もあった。100系ではチェイサーのみ1800cc直列4気筒ハイメカツインカムである4S-FE型エンジンがラインアップされていた。また、メーカー完成特装車としてエクステリアを中心にTRD(トヨタテクノクラフト・トヨタの特装部門)のエアロパーツなどを架装した「TRDスポーツ」モデルも存在する。なおラグジュアリーグレードの「アバンテ」も従来通り設定された。
- 1998年8月 マイナーチェンジ。ツアラー・アバンテ共にリアテールランプがスモーク化され、丸目4灯となったことでよりスポーティーイメージを高めた。同時に2.0(1G-FE)車もVVT-iが採用され、動力性能の向上が図られた。キャッチコピーは「The NewStrong.さらに強い高級車へ」。
- 2000年10月、姉妹車種であるマークIIのフルモデルチェンジに伴い、生産終了。後継車種はヴェロッサ。
- 全日本ツーリングカー選手権 (JTCC) への参戦もあり若いユーザーからの支持も受け、幅広いユーザーを獲得しやっと表舞台に出てきた感があったが、次期モデルは開発されず、JZX110系マークIIが発売されてからもしばらくは100系のまま販売されていた(全日本ツーリングカー選手権参戦車両のエンジンは、ラインアップに存在しない2000cc直列4気筒の3S-GE型を搭載していた)。
- CMでは前期型・後期型を通して、スティーヴィー・サラスの曲をBGMに使用していた。デビュー時には「Moving Through Sound(ムーヴィング・スルー・サウンド)」「Cover Me in Noise(カヴァー・ミー・イン・ノイズ)」が、マイナーチェンジ時には「Kickback(キックバック)」が使用された。
[編集] 車名の由来
英語で「追跡者」という意味。対抗車種であったスカイラインを「追いかける」という意味も含まれているという説もあるが、定かではない。