ミシュラン
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ミシュラン(Michelin)は、世界で初めてラジアルタイヤを製品化した、フランスのタイヤメーカーである。現在も世界トップのシェアを維持する。また同社の発行する、いわゆる「三つ星」評価付きの旅行ガイドブック『レッドガイド』を指す場合も多い。
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[編集] データ
- 創業:1889年
- 従業員数:約14万人
- 臨時代表社主:ミシェル・ロリエ(前代表社主:エドワール・ミシュラン急死のため)
- 本社所在地:クレルモン=フェラン市(フランス、オーヴェルニュ地域圏・ピュイ=ド=ドーム県)
[編集] 概要
[編集] 世界最大のタイヤ会社
アンドレ・ミシュラン、エドワール・ミシュラン兄弟によって1889年に設立された。日本を含め世界中幅広い国や地域で自動車、トラック・バス、建設機械・農業機械、オートバイ、飛行機、自転車などのタイヤを製造・販売し、F1やWRC、MotoGPなどのモータースポーツ用タイヤとしても大きなシェアを持つ。また、スペースシャトルやコンコルドのタイヤにもミシュランのものが使われている。
かつて、自社の製品への自負のあまり「自動車はタイヤの一部品に過ぎない」とまで豪語した。なお、F1グランプリへのタイヤの提供に関して、2008年からのワンメイク化を受けて2006年シーズン限り(ワンメイク化より1年前倒し)での撤退を発表し、2007年からはライバルのブリヂストンが全チームに供給する。
[編集] マルチブランド戦略
ヨーロッパではクレベールやストミールオルスチン、アメリカではBFグッドリッチや、ユニロイヤルなど、数十のブランドを傘下に収め、各営業地域において最適なブランドを選定、展開する「マルチブランド戦略」を推し進めている。 日本では繊維業界とも手を組み、白洋社とホテルなどに向けた「Michelin」、カフェなどをターゲットにした「BIBENDUM」でサービスユニフォームを展開している。
[編集] ビバンダム(BIBENDUM)について
通称「ビブ」マスコットのビバンダムは、世界で最も古いトレードマークの一つとして有名で、ミシュランを語る上ではずせない存在の一つでもある。あのお化けのような格好は、実は彼自身がタイヤで出来ている為であり、昔は車のタイヤがパンクした現場で身の一部を供しているという、まるでアンパンマンの一幕のようなイラストが使われた広告もあったようである。また、彼の体の「タイヤ」の幅も、昔に比べ広くなっているのは、時代と共にタイヤの幅が広くなったことに由来するとされる。
そもそも彼のモデル自体が、高く積まれたタイヤであり、1864年にミシュラン兄弟が「これに手足を付けたらタイヤ人間になるだろう」というユーモアから生まれ、1898年に『今こそすべてを飲み込む時(Nunc est bibendum)』というキャッチコピーが入った看板に描かれデビュー、「グラスに注がれたガラス片や釘を飲み干すタイヤ男」として注目をさらった(元の看板ではビールを飲む男だった)。しかし、この時まだ彼には名前が付いていなかった。数ヶ月後にティエリーというレーシングドライバーがアンドレ・ミシュランを見かけた際に「おや?ビバンダムじゃないか」と声をかけたのが、このタイヤ男『ビバンダム』の名前の由来とされている。
なおこのビバンダムの容姿は、日本でも漬け物などによく利用される「チョロギ」に酷似している。
このビバンダムの容姿から名前が付けられた「ミシュランタイヤ症候群」という疾患が存在する。常染色体優性遺伝の疾患で、腕や体などの皮膚にリング状の溝ができ、折り目が付いてしまうのが特徴である。[1]
[編集] レッドガイドブック(ギドミシュラン/ミシュランガイド)について
ギド・ミシュランも参照のこと
地図や観光案内書『レッドガイド』の発行でも有名である。観光案内書は国別に発行され、その名の通り赤い表紙で、都市ごとに名所・ホテル・レストランの案内が載せられる。ホテルやレストランには、身分を隠して行き、自費で食べたり泊まったりするという独自調査による格付け(レストラン格付けマークは*であるため、星と呼ばれる)を行い、最高ランクは3つ星である。
その起源は、創設者のミシュラン兄弟が、いち早くモータリーゼーションの時代が到来することを確信し、同社の製品の宣伝のためをかねて、ドライブする際に有益な情報をユーザーに提供するためのガイドブック作ることを思いつく。そして1900年のパリ万博と同じ年に35,000部を発行し、無料で配布したのが始まりである。現在では毎年制作されており、その都度ごとの店の評価を更新している。
2005年には、ベネルクス版(ベルギー、ルクセンブルグ、オランダの3カ国収録)で開店していないレストランを評価した記事を発行したことが判明し回収する騒ぎとなった。2005年11月4日には初のヨーロッパ圏外版であるニューヨーク版を発売した。2007年11月には東京版が発売される予定であり、アジアとしては初となる。これにより、日本は22カ国目の対象となる。
また、ミシュランガイドに載ることは、ホテル、レストラン業界としては名誉なことであり、さらに星の数が増えるほど世間的に評判も高くなり、無名店から有名店へと成長することもありうる。逆に星が減るともちろん評価も下がり、客足が遠のく可能性もあるため、ミシュランガイドが出る時期はその業界の人々にとっては非常につらい時期でもあり、評価が原因で自殺者が出た事例もある。また、ミシュランガイドの調査員はすべて秘匿とされているが、有名店や話題店などではそれとおぼしい人物をマークすることもある。
これに因んで、同様の評価付き観光ガイドブックやランク付け方式が「ミシュラン」と称される場合がある。
[編集] 社主の水死
2006年5月26日に、1999年より社主兼最高経営責任者をつとめるエドワール・ミシュランが、フランス北西部のブルターニュ半島沖で釣りボートで航行中に遭難し水死体で発見された。マネージング・パートナーであるミシェル・ロリエが当面代表社主を引き継ぐこととなる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- http://www.michelin.co.jp/ (日本語)
- http://www.michelin.com/ (世界ポータル、英語)