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ハイメディック (HIMEDIC)は、トヨタ自動車が発売している高規格救急車である。
国産車初となる高規格救急車で、競争入札を経て数多くの消防本部に納入された。現在、日本国内の高規格救急車の市場においてトップの車種である。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1992-1997年) UZH132S・138S
HIMEDIC(初代) |
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製造期間 |
1992年5月 – 1997年5月 |
ボディタイプ |
4ドア1.5ボックス(改造車) |
エンジン |
1UZ-FE型 V型8気筒 4カムDOHC 3968cc 220PS |
全長 |
5345mm |
全幅 |
1810mm |
全高 |
2490mm |
車両重量 |
2880kg(2WD) |
- 1992年5月 - 国産初の高規格救急車として発売された。1991年の救急救命士法制定から186日目の出来事であった。
- 車両が小型な上にエンジンのパワーが強力なことから数多くの自治体に導入された。1994年には4WDモデルも設定され、雪国や山間地域にも大量に導入された。
- 歴代モデルのデザインポイントでもある楕円形で前面に張り出した警光灯は初代からのものである。
- 計器に関してはデジタルメーターが設定された。初期型には設定されていないが、簡易救助器具を格納するボックスは途中から標準装備で設定された。
- 初代はハイエースロングをベースに改造。車体を115mm拡幅、エンジンはハイエースには本来設定のない、初代セルシオ用のV型8気筒4.0リッターのエンジンが搭載された。
- ハイエース及びトヨタ救急車は数回フェイスリフトが行われているが、ハイメディックは2代目に移行するまで初期型のままであった。
- 現在は多くの車両が第一線から退いており、予備車への降格や廃車にされていたり、消防学校で実習用に使われたり、民間に払い下げられて劇用車としてテレビドラマや映画に登場することが多い。
[編集] 2代目(1997年-2006年) VCH32S・38S
HIMEDIC(2代目) |
製造期間 |
1997年5月 – 2006年4月 |
ボディタイプ |
4ドア1.5ボックス(改造車) |
エンジン |
5VZ-FE型 V型6気筒 4カムDOHC 3378cc 180PS |
全長 |
5610mm |
全幅 |
1800mm |
全高 |
2490mm |
車両重量 |
2260kg(2WD)/2390kg(4WD) |
- ギャラリーの解説
- 東京消防庁の車両は平成14年度に配備されたハイメディックである。同庁管内は道幅が狭い箇所や交通渋滞が多いことから、標準装備されている4WSが走行時に役立つことが多い。
- 船橋市消防局の車両は、2005年に配備された4WD・LED警光灯仕様である。
[編集] 概要
- 1997年5月8日 - 初のフルモデルチェンジを実施。コストのかかりすぎた初代の反省から、コストダウンによる利益率のアップと、やはり初代のフィードバックから、使いやすさの向上を図った2代目が登場した。
グランビアのボディーとホイールベースを延長した専用設計のシャーシとされた。
- 内装もグランビアから流用されたものの、マニュアルエアコンやカーナビゲーションのモニターを設置するDINスペースが下側にあるなどと劣る点も見られた。ステアリングは当初2本スポークだったが、途中の小改良で4本スポークになった。
- シフトレバーはコラムシフトになり、前後左右のウォークスルーが可能になった。パーキングブレーキは初代同様レバー式。
- 特徴な装備として4WSが装備され、狭い路地における車体の取り回し性能が向上した。
- 2002年5月 - マイナーチェンジにより、救急車初の良-低排出ガス車の認定を受ける。
- 2004年8月 - 輝度不足からこれまで実現が難しいと言われたフロント・リアのLED方式の警光灯を小糸製作所と共同開発。同時にオプション装備に追加。
- 2005年3月28日 - 規制に適合するため、ヘッドランプレベリング機構(マニュアル)とフォグランプが標準装備された。
- 少数派ながら、フロントバンパーにエアロパーツを装備した車両も見受けられる。(例:秋田市消防本部など)
[編集] 3代目(2006年-) TRH221S・226S
HIMEDIC(3代目) |
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製造期間 |
2006年4月 – |
ボディタイプ |
5ドア1.5ボックス(改造車) |
エンジン |
2TR-FE型 直列4気筒 DOHC 2693cc 151PS |
全長 |
5600mm (リアステップを含む) |
全幅 |
1880mm |
全高 |
2490mm |
室内高 |
1850mm |
荷室長 |
3560mm |
荷室幅 |
1730mm |
- 2006年4月27日 - フルモデルチェンジを実施。
- ハイエース200系スーパーロングがベースとなり、初代と同様のキャブオーバースタイルに戻った。これにより、サイズは2代目に比べ全幅は80mm拡大し、全長は10mm減少した(なお、全幅は歴代モデルで一番大きい、全高は変わらず)。エンジンの排気量や出力・トルクなどは2代目に比べて減少した。なお、車輌の販売価格は2代目に比べ約300万円減少した。
- 救急自動車初の2列目の両側スライドドア化(運転席側は救助器具、バッテリー、酸素ボンベ、工具、ゴミ箱保管場所のため搭乗口ではない)と手洗い器具の位置を見直すことにより、広い患者室が実現した。患者室の室内幅ではパラメディックに劣るものの、室内長はパラメディックを上回っている。また、これにより8人乗りが実現している(2代目は7人乗り)。
- 患者室に関しては、従来モデルでは収納場所がバラバラだったバックボードとスクープストレッチャーを同時に収納できるボックスを装備。患者室のシートカラーにオレンジとなった。(初代・2代目の患者室のシートカラーはグリーン)
- 救急自動車(高規格・2B含む)初の「国土交通大臣認定平成17年基準排出ガス50%低減レベル車」の基準を取得した。このほか、ステアリング&ブレーキペダル後退低減機構や最近のトヨタ車に多く設定されつつあるWILコンセプトシートを採用し、環境面や安全面においては2代目よりも大幅に向上している。
- シフトレバーはインパネシフトに、パーキングブレーキはステッキ式になり、2代目より大幅に進化した。
- 2代目のモデル末期からオプション設定された、LED方式の警光灯を全車に標準装備している。
[編集] 艤装・製造・販売