ドンキーコング
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ジャンル | アクションゲーム |
対応機種 | アーケード[AC] ゲーム&ウオッチ[GW] ファミリーコンピュータ[FC] ディスクシステム[FCD] ゲームボーイアドバンス[GBA] |
開発元 | 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1人・2人 |
メディア | [FC]192Kbitカセット [FCD]ディスクカード(片面) [GBA]カセット |
発売日 | [AC]1981年 [GW]1982年6月3日 [FC]1983年7月15日 [FCD]1988年4月8日 [GBA]2004年2月14日 |
『ドンキーコング』(Donkey Kong) は、1981年に任天堂から発売されたアーケードゲームである。1982年にはゲーム&ウオッチ マルチスクリーン、1983年にはファミリーコンピュータにそれぞれ移植され、キラーソフトとして高い人気を誇った。
『ドンキーコングJr.』や『ドンキーコング3』といった続編も制作され、さらにスーパードンキーコングシリーズへつながっていく。
目次 |
[編集] ゲーム概要
任天堂の代表的なゲームキャラクターであるマリオ(当時は『Mr.VideoGame』と呼ばれていた)が最初に登場したゲームであり、マリオを操作してドンキーコングによるタルや火の粉、おじゃま虫などの妨害を避けながらドンキーコングにさらわれた恋人のレディを助ける一画面固定アクションゲームである。
スーパーマリオブラザーズを手がけた宮本茂の制作で、キャラクターデザインも彼が手がけている。任天堂米国法人で余ったアーケード筐体の流用を目的として作られたゲームで、企画段階での原案は「ポパイのビア樽攻撃ゲーム」だったと言われている。宮本は製作の際、キャラクターをそのまま使おうと思っていたらしいが、版権の問題で使えなかったため、マリオやドンキーといったオリジナルのキャラクターを自らデザインした。そしてさらわれたオリーブをポパイが助けに行くという原作の構図を活かして作られたのが『ドンキーコング』である。しかしこの当時はマリオの名前は決まってなかった。マリオという名前で登場したのは続編の『ドンキーコングJr.』から。ちなみに、マリオは赤いシャツに青いオーバーオールというファッションが一般的だが、この当時は青いシャツに赤いオーバーオールと、色が逆だった。
面構成は、25mから始まり、順に50m、75m、100mとなっており、これらの4つの面をクリアしてレベルクリアとなる。いわゆる4面ループ制。ただしこれは日本国内版の場合であり、海外版では多少異なる。レベルが上がるほど障害物などの速度が上がっていき、特にレベル4以降の75mに出現するジャッキの動きを見切るのは至難の技。各面は、制限時間内にレディのもとにたどり着けば面クリア。ただし、最終面である100mのみ、計8か所ある黄色のボルトを抜けばレディの救助に成功してレベルクリアとなる。なお、制限時間は、初期は4000で1秒経過ごとに100減り、面クリア時にそのままボーナス点として与えられる。レベルがあがるごとに制限時間が1000増え、最高9000まで増えるのだが、プログラムのバグ(オーバーフローしてしまう)により、レベル23は400(つまり4秒)しかない。25m(一部製品は不可)、50mおよび75mまでは4秒でクリアできることを確認しているが、100mを4秒でクリアすることは事実上不可能である。なお、パックマンでパーフェクトゲームを達成したビリー・ミッチェルは、ドンキーコングのレベル23に到達したことでも知られている。
当時としては画期的な一画面固定型アクションゲームで、タルや敵をジャンプで避けるマリオのアクションはこの当時から発揮されていた。ファミコン版では容量の問題で、アーケード版でのベルトコンベアー面(50m)が削除されてしまったが、タルを飛び越えるスリルや、ちょっとした段差でも落ちればミスになってしまう緊張感は十二分に再現されており、ファミコンの能力を最大限に証明した1作といえよう。シンプルなステージの繰り返しであった従来のゲームに対し、キャラクター性とストーリ性を持たせた点でも、優れた作品であることがわかる。
ちなみに開発当時、ゲームの名称としては『ドンキーコング』以外に『ファニーコング(Funny Kong)』『ステューピッドコング(Stupid Kong)』が候補として挙げられていた。このうち『ドンキーコング』を正式名称に選んだのは、当時の任天堂本社の貿易部輸出部長だとされる。(NHKスペシャル『新・電子立国』での荒川實の発言による)
[編集] シリーズ一覧
- ドンキーコング (GW/FC・1983年07月15日)
- ドンキーコングJr (GW/FC・1983年07月15日)
- ドンキーコングII (GW)
- ドンキーコングJrの算数遊び (FC・1983年12月12日)
- ドンキーコングの音楽遊び (FC・未発売)
- ドンキーコング3 (GW/FC・1984年07月04日)
- ドンキーコングホッケー (GW)
- マリオvs.ドンキーコング (GBA・2004年6月10日)※本作のみ2代目ドンキーコングが主役。
(注:2代目シリーズ (ドンキーコングカントリー編)・ドンキーコンガシリーズに関してはそれぞれスーパードンキーコング、ドンキーコンガを参照。)
[編集] クレイジーコング
アーケード版ドンキーコングの、一応許諾品であるクローンで、いわばバージョン違い。ファルコンというメーカーが製造している。日本物産の『クレイジークライマー』の基板を流用しているため、オリジナルとは違う部分が多い。たとえばマリオがジャンプする時の音が「ホヤッ」というかけ声になっており、これはそのクレイジークライマーでゴリラが攻撃するときの声である。このことから、ファルコンは日本物産と同一会社ではないかと思われる。
これは任天堂に話を通す前から製造していた事後承諾品であったからであるらしい。北米以外の海外で販売することを許可された契約だったが、そのとき北米での生産期間に穴が開いたために、これが流通してしまい、結果的に違法出荷となった。
また、純然たるバッドコピー品も数多く存在し、クレージーコングの場合はタイトルもそのままでファルコンの社名を消してコピーしたものが出回った。さらに「モンキードンキー」「ビッグコング」などさまざまなコピー品があるが、どれも「ドンキーコング」ではなくあくまで「クレイジーコング」のコピーである。
いずれも大量に出回ったため、これをオリジナルと思った人、またこれしか見たことない人も多かった。また、同年には『クレイジーコングPARTII』が登場した。
[編集] 他のゲームとの関連性
- マリオがタルをつぶすときにつかうハンマーは、ファミコンソフト『レッキングクルー』で壁壊しに使われている他、以降のマリオシリーズにおいて武器として使用される事がある。また、大乱闘スマッシュブラザーズでも攻撃アイテムとして登場する。(但し、出展はスマッシュブラザーズオリジナルとなっている)
- リフト面でのリフトや敵キャラのファイヤー、ピョンピョン飛んで落ちていくジャッキなども、役割を変えてスーパーマリオブラザーズシリーズでも使われている。
[編集] 裏技
25mの端から横に飛ぶと次のステージへ進めるバグはあまりにも有名。しかし、この技が販売会社に知れると、次の出荷分にはそれができないような対策を講じたため、国内版の後期版や海外版ではそれが不可能になった。この変更により、この版におけるレベル23の25mをクリアすることは絶対にできなくなっている。
なお、ファミコン版では25mの最下段右の階段を下りると最上段に移動できたり、75mの最下段を歩くことができる。
[編集] 池上通信機裁判
アーケード版『ドンキーコング』のプログラミングを委託された池上通信機は、1983年、著作権侵害を理由に任天堂に対する賠償請求を東京地裁に申し立てた。池上通信機に無断での、任天堂によるドンキーコング基板の複製に対する契約不履行が、著作権侵害の理由であった。
ゲームデザイン本体は任天堂社員によるものである事と、契約履行後の池上通信機の請求権不在を理由に、任天堂はこの請求を斥けた。
この裁判は判決が下されないまま、両者の和解で決着した。
[編集] キングコング裁判
1982年には米大手映画会社のユニバーサル映画(当時はMCA傘下)が、『ドンキーコング』が当時同社が版権を保有していた(と主張していたが実際は異なる。詳しくは後述)映画『キングコング』のキャラクターの著作権を侵害しているとして損害賠償を求める訴訟を起こした。
これに対し任天堂の米国法人であるNintendo of America(NOA)は逆に「ユニバーサル映画が同訴訟を提起したことは『ドンキーコング』の名誉を毀損した」として反訴を起こし真っ向から対決。そして裁判の過程において、元々ユニバーサル映画はオリジナルの『キングコング』(1933年版)に関する版権を取得せずにリメイク版の『キングコング』(1976年版)を制作していたことが判明したため、「そもそもユニバーサル映画は『キングコング』に関する版権など保有していない」ということでユニバーサル映画側の訴えは却下されてしまう。
最終的に上記の事情に加え「『ドンキーコング』と『キングコング』は全くの別物である」という任天堂の主張が認められた結果、1986年に任天堂はユニバーサル映画から約160万ドルの損害賠償を勝ち取った。
この裁判ではハワード・リンカーン率いるNOA法務部の活躍が光り、以後米国のゲーム業界における任天堂及びNOAの発言力を高めることにつながっている。
[編集] 関連項目
- テトリスDS(一部にこのゲーム画面、音楽が使われている)
- スーパーマリオRPG(ドソキーユングという瓜二つのキャラが登場する)
[編集] 外部リンク
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ドンキーコング | DK - DKJr - DK3 - DKGB |
スーパードンキーコング | SDK - SDK2 - SDK3 - DK64 |
マリオvs. | マリオvs.ドンキーコング - マリオvs.ドンキーコング2 |
レース | レーシング - レーシングDS - たるジェットレース |
その他 | コンガ - ジャングルビート - ぶらぶらドンキー - ぶらぶらドンキーDS |
メディアミックス | アニメ - カードゲーム - 漫画 |
キャラクター | 初代ドンキー - ドンキーJr - 2代目ドンキー -ディディー - ディクシー - キングクルール - スタンリー |
関連項目 | コングファミリー - アニマルフレンド |