ハシボソミズナギドリ
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ハシボソミズナギドリ | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Puffinus tenuirostris | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Short-tailed Shearwater |
ハシボソミズナギドリ(嘴細水薙鳥:学名Puffinus tenuirostris)とは、ミズナギドリ目ミズナギドリ科に分類される鳥類の一種。
[編集] 形態
からだは全身黒褐色。体長は40cmほどだが長い翼を開いた翼開長は1m近くになり、アホウドリを半分以下に小さくしたような体形である。
[編集] 生態
繁殖地はオーストラリア南部にちらばる小島で、毎年9月~10月ごろ同じオスとメスが同じ巣穴で産卵する。ヒナがふ化すると親鳥はヒナにオキアミを与えるため、オーストラリアの南の海へ連日採餌に出て行くようになる。
巣穴の中でえさを多量に与えられたヒナは親鳥より太る。ヒナが十分大きくなると親鳥は太ったヒナを置き去りにして北半球への長い渡りに出発する。残ったヒナは体と胃に蓄えた脂肪分で生き延び、大人の羽に換羽した後に巣穴を出て親鳥の後を追う。
なお、オーストラリアでは巣穴に置き去りにされた時期のヒナを「マトンバード Mutton Bird」とよび、食用のほか胃の内容物を製剤にも使うという。ただし捕獲数は制限され、繁殖地はどこも厳重に保護されている。
日本近海では5月~8月頃に親鳥と若鳥が大群をなして現れる。大群は魚やイカ、オキアミなどをさがして洋上を移動し、中にはベーリング海を越えた北極海まで渡る群れもある。繁殖しない若鳥は通年日本近海で見ることができるが、繁殖を控えた親鳥は北アメリカ沿岸を南下した後、太平洋を横切って繁殖地へ戻る。
その渡りのルートをたどると約32000kmとなり、太平洋の北西半分に頭の大きな「8」の字が描ける。えさの発生にあわせての北半球と南半球にまたがる渡りは鳥類屈指のスケールとして知られる。