ハタ (魚類)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
?ハタ亜科 | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() Nassau grouper Epinephelus striatus |
||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||
|
ハタ(羽太、英名:Grouper)とは、スズキ目ハタ科ハタ亜科 Epinephelinae に属する魚の総称。ハタ亜科はマハタ亜科とよぶ場合もある。
[編集] 概要
バラハタ、クエ、タマカイ、アカハタ、ユカタハタなど、26 属約190 種が知られる大きなグループである。
すべてが海水魚で、熱帯から温帯の浅い海に広く分布し、ほとんどの種類は岩礁やサンゴ礁に生息するが、マングローブなどの汽水域に侵入する種類や、水深200m 以深の深海まで生息する種類もいる。
成魚の大きさは全長10cm そこそこの種類から、全長2m を超える大型種まで様々である。多くの種類が雌性先熟の性転換を行うので、大きく成長した個体のほとんどはオスである。
形態上の特徴としては、口が大きくて、下あごが上あごより前に突き出ること、体に対する頭とひれの割合が大きいこと、体の断面は下がふくらんだ楕円形であることなどが挙げられる。体色は種類や成長段階によって非常に多彩で、赤、橙、黄、青、灰色などの鮮やかな色が、水玉模様、大小の斑点、しま模様など様々に配されている。
単独で生活し、ほとんどの種類は海底近くをあまり離れずに生活するが、中にはバラハタのように底から離れて泳ぐものもいる。
食性は肉食性で、他の魚類や甲殻類、頭足類などを大きな口で捕食し、時には自分の体の半分ほどもある獲物にも貪欲に襲いかかる。水族館などで飼育する場合も、飼育自体はわりと簡単だが、たまに「野性を発揮」して同居魚の数が減るのが難点となる。
繁殖は夏におこなわれる。親は卵を保護せず、卵はプランクトンとなって海中を浮遊しながら発生する。ふ化した稚魚は海岸のごく浅い場所にもやってくるが、成長するにつれ深場へ移動する。
大型で色彩も美しく、食用でも美味な種類が多いので、観賞魚や高級食材として利用される。ハタ類のことを南西諸島では「ミーバイ」と呼ぶが、これは「味が良い」という意味がある。ただし食用の際はシガトキシンなどのシガテラ毒を体内に蓄積するバラハタなどもいるので注意が必要である。
[編集] おもな種類
アカハタ Epinephelus fasciatus
- 全長40cm ほど。和名のとおり全身が赤く、濃い赤褐色の横しまが5本あるが、背びれの棘条(とげ)の先が黒いことで近似種と区別できる。周囲が白っぽい環境では体色も白っぽくなる。南日本以南の太平洋とインド洋の熱帯域に分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。地域によってはアカゴロと呼ぶ。正月料理になる地域もある。
キジハタ Epinephelus akaara
- 全長30cmほど。全身に瞳孔より大きい橙色の斑点がある。本州以南から台湾まで分布し、浅い海の岩礁域に生息する。高級食材として人気が高い。地域によってはワタガシとも呼ぶ。浅い海に設置されたテトラポッドの間によく生息しており、比較的釣りやすい魚でもある。
クエ Epinephelus bruneus
- 全長1mを超える大型種。体に6本の黒っぽい横しまがあるが、頭部のしま模様は口に向かって斜めに走る。幼魚は模様がはっきりするが、成魚になると模様が不明瞭になる。西日本から南シナ海まで分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。高級食材として扱われ、釣りの対象魚としても人気が高い。
タマカイ Epinephelus lanceolatus
- 最大で全長2.7m・体重400kgの記録がある大型種。各ひれが黄色で、黒い斑点がひれの軟条に沿ってたくさん並ぶ。南日本以南の太平洋とインド洋の熱帯域に分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。
マハタ Epinephelus septemfasciatus
- 全長1mほどになる大型種。体に7本の黒い横しまがあり、尾びれの先が白い。クエとよく似ているが、体がやや寸詰まりなことなどで区別する。よく似たマハタモドキ Epinephelus octofasciatusという魚もいるが、尾の先が白くないことで区別する。西日本から南シナ海まで分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。
ユカタハタ Cephalopholis miniata
- 全長40cmほど。全身が朱色-赤色で、瞳孔より小さい青い斑点がたくさんある。南日本以南の太平洋とインド洋の熱帯域に分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。
バラハタ Variola louti
- 全長80cmほど。尾びれの上下端が長く伸び、胸びれ・背びれ・尻びれ・尾びれの端が黄色なのが特徴である。和名のとおり成魚の全身は赤いが、褐色の個体もいる。太平洋とインド洋に分布し、サンゴ礁の外礁斜面に生息する。体内にシガトキシンという毒を蓄えるので、食用にすると中毒を起こす場合があり、注意が必要である。
ツルグエ Liopropoma latifasciatum
- 全長15cmほどの小型種。体色は橙色で、口先から目を通り、尾まで黒い縦帯がある。西日本から台湾にかけて分布し、やや深い岩礁域に生息する。