パニール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パニール(panīr - ヒンディー語: पनीर, ウルドゥー語・ダリー語・ペルシア語: پنیر )とは、インド、パキスタン、アフガニスタン、イランなどの地域で一般的に使われるチーズのこと。および、そのチーズを主材料に作られた料理名。
目次 |
[編集] 各国における特徴
- インド、パキスタン、アフガニスタンでは、乳(乳脂肪分の多い水牛乳が多い。他、牛乳など)を温め、レモンまたはライムの汁など酸性の液体でタンパク質および脂肪分を凝固させて乳精から分離したものをチェーナー (Chhena, ヒンディー語:छेना) と呼び、練って菓子(ラスグッラーなど)などに用いる。このチェーナーを押し固めたものがパニールである。外見は豆腐に似ている。
- インドでは、パニールを食べやすい大きさに切ってから油で表面を揚げて料理に加える。ホウレンソウの煮込みにパニールを加えたパーラク・パニール(pālak panīr、ヒンディー語: पालक पनीर、ウルドゥー語:پالک پنیر)やグリーンピースにパニールを加えたマタル・パニール(mattar panīr、ヒンディー語:मटर पनीर、ウルドゥー語:مٹر پنیر)が有名。数あるインド料理の種類のうち、パニールは特にムグライ料理[1]やパンジャービー料理(Punjabi Cuisine)[2]で特に多く用いられる。
- アフガニスタンでは、球状に固めたパニールをパニーレ・ホム (پنیر خم / panīr-e khom) と呼び、固める前に塩を加えたパニールはパニーレ・ショウル (پنیر شور / panīr-e shour) と呼ぶ。アフガニスタンでは、パニールを料理に使うよりも干しぶどうと一緒に間食として食べることが多く、この組み合わせをキシュミシュ・パニール (قشمش پنیر / qishmish panīr) と呼ぶ。
- イランでは、牛乳や山羊の乳から作るフェタチーズに似た製法のチーズのことをパニールと呼ぶ。ナンとパニールに二十日大根、青葱、コリアンダー、クレソン、タラゴン、ミント、バジルなどのハーブや生野菜を取り合わせたものは、イランの食卓には欠かせない[3]。食べ方は、ナンにパニールをのばしてから野菜やハーブをのせて食べる。
[編集] 脚注
- ^ ムガル帝国の宮廷料理を起源に持ち、主にレストランや祝い事の席で供されることが多い。
- ^ もともとパンジャーブ地方の郷土料理に端を発するが、パンジャーブ出身者の移住にともない、インド各地および国外に広まった。ギーやクリームを多用した濃厚な味わいが特徴。前述のムグライ料理と合わせ、北インド料理レストランのメニューの主流を占めている。
- ^ この事を端的に例えて、「ナーノ・パニーロ・サブズィー・ホルダン (نان و پنیر و سبزی خوردن / Nān-o panīr-o Sabzī Khordan) 」という言葉もある。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- Batmanglij, Najmieh. New Food of Life. Mage, Washington D. C., 2001.
- Devi, Yamuna. Lord Krishna's Cuisine. Dutton, New York, 1987.
- Saberi, Helen. Afghan Food and Cookery. Hippocrene, New York, 2000.