ヒューマニズム
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ヒューマニズム(英:humanism)という概念は、歴史的な変遷を経て多義的に用いられている。ルネサンス期における「人文主義」においては、善や真理の根拠を、神でなく理性的な人間の中にみいだそうとした。その延長上として「人間中心主義」と訳出する場合があるが、この「人間」とは西欧近代的な価値観に基づく理性的な人間であり、彼らが非理性的とみなすアジア・アフリカの人間に対しては敬意が払われることはなかった。こうした点から、歴史的・哲学的にはいわゆる「人道主義」や「博愛主義」とは明確に区別され、むしろ理性中心主義・西欧中心主義に通じる概念である。
[編集] 概念
「フマニタス(羅:Humanitas)」という概念は、既に古代ローマ帝国の時代より存在しており、この頃においては、ローマ市民が学ぶべき教養として理解されていた。これが中世においては、大学で教授される自由学科(教養学科)へと受け継がれた。こうした古典の研究は人文学研究 (Studia humanitatis) と呼ばれ、その研究者は人文主義者(ユマニスト、ヒューマニスト)と呼ばれた。
古典古代(ギリシア・ローマ)への関心が高まるルネサンス期になると、14世紀イタリアのペトラルカ以降、スコラ学的なキリスト教倫理の論理体系に対抗して、中世以前のギリシア・ローマの文物、詩歌、哲学を愛好することを通じて、理性的な人間の中に倫理の源泉を見いだそうとする動きが生じた。この点で、神中心のカトリックに対する人間中心主義とも言われるが、論理体系・視座において新たな姿勢を打ち出しただけで、キリスト教そのものを否定したわけではないし、必ずしもカトリックとの対立を伴ったわけではなかった。古典を研究し、教養ある人士の生き方、生活様式が人文主義者(ユマニスト)の身上とされた。
[編集] 人道主義・博愛主義
人道主義・博愛主義を指してヒューマニズムと言う場合もあるが、英語では人道主義を「humanism」と区別して「humanitarianism」で表すのが一般的である。今日の日本ではむしろこの意味でヒューマニズムが用いられることが多いが、上記のように歴史的・哲学的文脈での人文主義者の主張は、戦争反対とか、弱者に優しくしようといった発想と直ちに重なるものではない。
[編集] 関連項目
- 人道
- 世俗的ヒューマニズム
- 人道的介入
- ピコ・デラ・ミランデラ
- 新人文主義
- アンチ・ヒューマニズム
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