ピアノソナタ第21番 (シューベルト)
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フランツ・シューベルトが作曲したピアノソナタ第21番変ロ長調D960は、1828年に作曲された。この曲は作曲者晩年のピアノソナタ3部作(ハ短調、イ長調、本作)の最後を締めくくるるだけでなく、作曲者の生涯最後のピアノソナタであるという点において、非常に重要な作品である。
[編集] 概要
- 第1楽章 Molto moderato
跳躍は少ないが、シューベルトらしい歌謡的な第1主題に始まる。瞑想するような低音のトリルの後、突如変ト長調によって主題の旋律が歌われ、曲はゆっくりと進行していく。第2主題はゆっくり行進するような嬰ヘ短調の二重奏によって開始され、イ長調、ロ短調、ニ短調を経て、変ロ長調に回帰し、やがてヘ長調の深く考え込むようなコデッタに至る。再び低音のトリルによって提示部が反復された後、展開部が嬰ハ短調で開始されるが様々な転調を繰り返し、トリルが連続する瞑想的な部分に至る。敢えてここに激しい昂揚をさせない点にベートーベニアーナに終わらないシューベルトらしさがある。再現部は一切省略なく形式通り。長大作品でピアノ独奏には負担が大きい。
- 第2楽章 Andante sostenuto
嬰ハ短調 室内楽的(弦楽3重奏)な主題が提示される。中間部ではイ長調の暖かな低音の響き。
- 第3楽章 Scherzo,Allegro vivace con delicatezza
変ロ長調。優美な曲想で転調しながら主題が繰り返される。トリオは変ロ短調に変わり短いながら陰鬱な感情を見せている。
- 第4楽章 Allegro ma non troppo
変ロ長調。全曲の規模に比して小規模な曲となっている。Allegro ma non troppoで開始しPrestoで終結するのはベートーヴェンの熱情ソナタと同一である。ソナタ形式に忠実であるが歌謡風の美しい第二主題を聴衆に表演しながら冗長大作にしないために如何するか、奏者の力量が問われている。
[編集] 評価
概してベートーベン以降のピアノソナタは構造的に複雑になり、古典的なソナタ形式から離れた作品が多い。その中でシューベルトのソナタは音楽史の上からは初期ロマン派に属し、シューベルト自身にもベートーベンの影響が強いことから、忠実なソナタ形式を守っている。しかし、歌心ある旋律を多く取り入れていることに対しては、冗長で退屈であると評する者もいる[要出典]。