ピアノソナタ第20番 (シューベルト)
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フランツ・シューベルトが作曲したピアノソナタ第20番(ピアノソナタだい20ばん)イ長調 D.959は作曲者最晩年のピアノソナタ3部作のひとつである。
19番が暗い情熱、21番が静寂な歌謡風の曲想であるのに対して、本作は暖かで明朗な響きを特徴としている。作者のピアノソナタは未完のものが多く、断片的に美しい展開がされているものの形式的に完成されたのは少ない。本作は初期のイ短調ソナタの楽章を引用するなど創意も多く、特に終楽章は平明である。シューベルトはソナタのような構造的作品を作曲するのは不得手であったといえ、未完で放置するというのは作曲者なりの創作態度といえる。
[編集] 解説
4楽章構成の作品。第1楽章はアレグロの活発な導入部を持つが、ベートーヴェン的な中間部の激しい展開を避け、歌謡的旋律を盛り込んでいる。
第2楽章は嬰ヘ短調の寂しい曲想。中間に幻想的な激しい展開があり、前楽章との均衡をとっている。最後にベートーヴェンの運命の動機に似た後打音があり、強い影響が表れている。
第3楽章はイ長調のスケルツォ。技巧的な部分が多い。中間部はニ長調。右手左手の交差が妙技を見せる。
第4楽章は第2番のソナタイ短調(中間楽章)からの引用主題を活用したアレグレットで歌謡風の曲。長大なソナタ形式で省略がないため「イ長調の大ソナタ」と通称されるとおりである。終結にはカデンツァを設けて演奏技術を披露させている。
シューベルト作品は(ソナタ形式作品の場合)未完のものの方が高い評価を受けており、本作が完成作として未完のそれと優劣があるか否かは実演によって考察される。作者がこの完成作を生涯最後の作としている事情は究明されるべきである。未完成作品に一定の創作意義を感じていた作者が作品を完成させた上に、本来奏者の自由に委ねられるカデンツァまで遺しているからである。