ファンタジスタ
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ファンタジスタ(イタリア語: Fantasista)は、サッカー用語。明確な定義はないが、イタリアのサッカー界ではプレーの「閃き」や「創造性」を讃える意味でファンタジー(Fantasy)という言葉が用いられる(英語の「イマジネーション」と類義語)。そこから、シュートやパス、ドリブル等において誰もが予測できないような芸術的なプレーで観客を魅了する選手をファンタジスタと呼ぶ伝統がある。
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[編集] 概要
イタリア人選手のファンタジスタは古くはジャンニ・リベラ、近年ではロベルト・バッジョやジャンフランコ・ゾラ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティなどがいる。国外選手としてはルイ・コスタ、リバウド、アルバロ・レコバがいる。
イタリアのサッカーはカテナチオと呼ばれる守備戦術以来、ゴールを奪うことよりも守備を最重視する傾向があり、攻撃はカウンター・アタックが主体であった。少人数で敵陣に切り込む際、数的不利な状況を閃きで一変させチャンスを創出するのがファンタジスタの仕事である。勝敗の結果や勤勉な守備能力が問われる中でファンタジスタには一定の自由が与えられ、プレーの創造性をチームへ還元する役割を担った。云わば「特例の存在」であり、攻撃の中心となる花形選手であるが、守備戦術上2人以上が共存することはタブーとされた。代表チームではジャンニ・リベラとサンドロ・マッツォーラの関係に始まり、1990年代以降はバッジョ、ゾラとロベルト・マンチーニ、バッジョとデル・ピエロ、デル・ピエロとトッティなど、ファンの期待とは裏腹に同時にピッチに立つ事が限られるケースが多かった。
[編集] 近年の傾向
日本では1990年代にセリエAの衛星中継が始まってからメディア用語として多用されるようになった。その意味も拡大解釈され、イタリア内外に関わらず優れた指令塔やトップ下の選手など、「創造的な才能を持つ攻撃的選手」を総じてファンタジスタと呼ぶ習慣が定着している。
戦術面ではプレッシングの進化により創造性を発揮する余裕が失われ、守備的貢献度の低いファンタジスタが冷遇される傾向が見られた。一時期は不要論も問われたが、ジネディーヌ・ジダンやトッティのようなプレッシングに耐えられる身体的屈強さを持つ新時代のファンタジスタの登場により、その価値が再び見直されている。
[編集] 世界でファンタジスタと言われている選手の一例
- パブロ・アイマール
- アントニオ・カッサーノ
- ヨハン・クライフ
- デヤン・サビチェビッチ
- ジーコ
- ジネディーヌ・ジダン
- ジュセッペ・ジャンニーニ
- ドラガン・ストイコビッチ
- ジャンフランコ・ゾラ
- アレッサンドロ・デル・ピエロ
- フランチェスコ・トッティ
- ゲオルゲ・ハジ
- ロベルト・バッジョ
- ミシェル・プラティニ
- ロベルト・プロシネチキ
- デニス・ベルカンプ
- ディエゴ・マラドーナ
- ロベルト・マンチーニ
- リベリーノ
- ジャンニ・リベラ
- マニュエル・ルイ・コスタ
- リバウド
- アルバロ・レコバ
- ロナウジーニョ
[編集] 日本におけるファンタジスタに相当する例
[編集] その他
- ファンタジスタ (漫画) - 草場道輝作のサッカー漫画。
- FANTASISTA - 日本の芸能人女子フットサルチーム。
- Fantasista (広島ホームテレビ) - 広島ホームテレビのサッカー番組。
また、プロ野球ファンの間では、「誰もが予測できないような」ありえないエラーを犯したり凄まじい炎上を見せるような選手に対して、皮肉を込めてファンタジスタと呼ぶことがしばしばある。