フィジカル・グラフィティ
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フィジカル・グラフィティ | ||
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レッド・ツェッペリン の アルバム | ||
リリース | 1975年2月24日 | |
録音 | 1973年11月 - 1974年 ヘッドリィ・グランジ, ハンプシャーほか |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 85分15秒 | |
レーベル | スワンソング・レコード Swan Song SSK89400 |
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プロデュース | ジミー・ペイジ | |
レビュー | ||
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レッド・ツェッペリン 年表 | ||
聖なる館 (1973年) |
フィジカル・グラフィティ (1975年) |
プレゼンス (1976年) |
フィジカル・グラフィティ(Physical Graffiti)は、イギリスのロックグループレッド・ツェッペリンの第6作アルバム。2枚組。1975年(昭和50年)2月24日発売。プロデューサーはジミー・ペイジ。レコーディング・エンジニアはキース・ハーウッドほか。
目次 |
[編集] 経緯
1973年、レッド・ツェッペリンは狂熱的なアメリカツアーを終えて帰国、映画「永遠の詩」の追加撮影などを行なった後、11月から新作録音のためにロニー・レインの車載スタジオとともにヘッドリィ・グランジに入った。しかしこのセッションはまもなく中断される。対外的にはジョン・ポール・ジョーンズの病気のためと説明されたが、後年、ツアーに嫌気の差したジョーンズが、ウィンチェスター大聖堂の聖歌隊指揮者になるために脱退を考えたことが明らかにされた。ピーター・グラントの忠告によって休暇を取った後に、気を取り直したジョーンズを迎えて、年末からセッションが再開された。
[編集] 録音
録音作業の多くはヘッドリィ・グランジで行われ、ロンドンのオリンピック・スタジオで追加作業が行なわれた。こうして得られた8曲分の素材を編集してみると、通常のアルバム1枚には収録できないことが判明した。そこで過去のアルバムに収録されなかった7曲分の素材も合わせて2枚組にすることとなり、キース・ハーウッドによってオリンピック・スタジオでミックスダウンされた。
[編集] 題名
「フィジカル・グラフィティ」という題名はペイジが考案した。アルバム1枚制作するのに、どれほど肉体的な労力が費やされているかということを表現したかったのだという。
[編集] ジャケット
ジャケットは厚紙の外箱と2枚の内袋とで構成されている。外箱にはニューヨークセントマークス69番地に実在するアパートが大きく印刷され、くりぬかれたアパートの窓から内袋が見える仕掛けになっている。内袋の両面にはそれぞれレッド・ツェッペリンのメンバーのプライベート・ショットなどがちりばめられ、入れ方を変えるごとに窓から見える絵も変化するという趣向である。
[編集] 収録曲
(LPレコードの表記をもととする)
Side A
- カスタード・パイ (Custard Pie / Page & Plant)
- 流浪の民 (The Rover / Page & Plant)
- 「聖なる館」のアウトテイク
- 死にかけて (In My Time of Dying / Bohnam, Jones, Page & Plant)
Side B
- 聖なる館 (Houses of the Holy / Page & Plant)
- 「聖なる館」のアウトテイク
- トランプルド・アンダー・フット (Trampled under Foot / Jones, Page & Plant)
- カシミール (Kashmir / Bonham, Page & Plant)
Side C
- イン・ザ・ライト (In the Light / Jones, Page & Plant)
- ブロン・イ・アー (Bron-Y-Aur / Jimmy Page)
- 「レッド・ツェッペリン III」のアウトテイク
- ダウン・バイ・ザ・シーサイド (Down by the Seaside / Page & Plant)
- 「レッド・ツェッペリン IV」のアウトテイク
- テン・イヤーズ・ゴーン (Ten Years Gone / Page & Plant)
Side D
- 夜間飛行 (Night Flight /Jones, Page & Plant)
- 「レッド・ツェッペリン IV」のアウトテイク
- ワントン・ソング (The Wanton Song / Page & Plant)
- ブギー・ウィズ・ステュー (Boogie with Stu / Bonham, Jones, Page, Plant, Ian Stewart & Mrs.Valens)
- 「レッド・ツェッペリン IV」のアウトテイク
- 黒い田舎の女 (Black Country Woman / Page & Plant)
- 「聖なる館」のアウトテイク
- シック・アゲイン (Sick Again / Page & Plant)
参考にしたのではないかと思われる曲。
- A-1はブッカ・ホワイト「Shake 'Em on Down」を踏まえている。
- A-3はトラディショナル。歌詞はブラインド・ウィリー・ジョンソンに基づく。
- D-3はリッチー・ヴァレンスの曲をヒントにしているためヴァレンス未亡人もクレジットされたが、未亡人側から著作権は全面的にこちらにあるとクレームをつけられてしまった。
ちなみにD-4・BLACK COUNTRY WOMANは「黒い(BLACK)田舎の女(COUNTRY WOMAN)」ではなく、「ど田舎(BLACK COUNTRY)の女(WOMAN)」とするのが正しいと思われる。冒頭の雑談は、偶然通った飛行機のノイズ音とエンジニア、ペイジ、プラントの会話が入ってしまったもので、飛行機のノイズの後、「ねえ、ジミー、飛行機の音(録音に)はいっちゃいましたよ」とエンジニアが言い、プラントが「いいよ、ほっとけ(Nah, Leave it)」と返している。
また「夜間飛行」は故ジェフ・バックリィのお気に入りとして知られており、たびたび彼によってカバーされている。
[編集] チャート・アクション
録音は1974年半ばに完成していたが、ジャケットデザインに手間取ったこと、および同年、彼らの独自レーベル「スワン・ソング」の設立がありそちらに手を取られたことなどが重なって、発売は1975年2月24日までずれ込んだ。アメリカの各チャートでは3位に初登場。翌週には首位を獲得し、6週間その位置を守った。1975年は歴史的な観客動員のツアーを成功させたこともあり、ツェッペリンの全アルバムがチャートに返り咲くという異変も起こった。イギリスでも首位を獲得している。
[編集] 影響と評価
2枚組のボリュームを生かして多様な録音成果を詰め込んだこのアルバムは、まさにレッド・ツェッペリンのピークとも言うべき作品となった。従来、彼らを酷評してきた音楽評論家たちもこのクオリティ、そして恐るべきセールスを見ては、白旗を掲げるしかなかったのである。イギリスの「メロディ・メーカー」誌は「総体としてのロックそのものがここにある」と絶賛した。この評語こそ、このアルバムの価値を過不足なく言い表した言葉だと思われる。
レッド・ツェッペリン |
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ジョン・ボーナム - ジョン・ポール・ジョーンズ - ジミー・ペイジ - ロバート・プラント |
オリジナルアルバム: レッド・ツェッペリン I - II - III - ![]() |
その他のアルバム: ボックスセット - ボックスセット2 - リマスターズ - BBCライヴ - 伝説のライヴ |
映像: レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ - レッド・ツェッペリン DVD |
楽曲: 「限りなき戦い」-「天国への階段」-「カシミール」 |
関連事項: ピーター・グラント - スワンソング・レコード |