カエンタケ
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カエンタケ(火炎茸または火焔茸、学名Podostroma cornu-damae)は、ニクザキン目ニクザキン科ツノタケ属に属するキノコの一種で、子嚢菌である。
日本および中国でみられる。梅雨から初夏にかけて広葉樹林に自生する。子実体は赤く(中は白色)、手の平もしくは炎状、または棒状となる。真っ赤な色と炎のような形からその名がついた。
長いこと食毒不明であったが、1990年代になって中毒・死亡事故が発生したことから猛毒菌であることが判明した。致死量はわずか10gと極めて強力である。
症状としては嘔吐・下痢・めまい・手足のしびれ・呼吸困難・言語障害が摂取後数分~十数分で現れ、全身の皮膚のびらんなどが起こり、最終的には肝不全・腎不全・呼吸器不全などを引き起こして非常に高い確率で死に至る。回復後も、小脳の萎縮、脱毛、言語・運動障害など、後遺症が残ることが多い。
いくつかの中毒例では、食用キノコのベニナギナタタケ(Clavulinopsis miyabeana)と間違えて誤食している。ベニナギナタタケは細い棒状で、肉質が柔らかく無味なのに対し、カエンタケは硬い肉質で味は苦い。
毒成分としては、マイコトキシンとして知られているトリコテセン類(ロリジンE、ベルカリンJ、サトラトキシンH類の計6種類)[1]が検出されている。これらの毒は皮膚刺激性が強いため、カエンタケの汁を皮膚に付けるべきではない。
なお、カエンタケの毒性はその強さゆえにネット上では一部都市伝説と化しているようである。
- キノコを触っただけで皮膚がただれる
- 子実体の汁を触らない限りは問題はないと考えられる。
- エボラ出血熱のように体中から出血して死ぬ
- 多臓器不全を起こすのは事実だが、これまでの中毒例で上記のような例は報告されていない。
[編集] 参考文献
- ^ Saikawa Y.; Okamoto H.; Inui T.; Makabe M.; Okuno T.; Suda T.; Hashimoto K.; Nakata M. "Toxic principles of a poisonous mushroom Podostroma cornu-damae". Tetrahedron, Volume 57, Number 39, 24 September 2001, pp. 8277-8281(5)
[編集] 外部リンク
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