マテリアル・パズル

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『マテリアル・パズル』（Material Puzzle）は、土塚理弘の漫画作品。スクウェア・エニックス（旧：エニックス）発行の少年向け漫画雑誌「月刊少年ガンガン」にて、2002年2月号より連載されている。略称は『MP』『マテパ』等。

[編集] 概要

100余年前、ある惨劇により不老不死となり、同じ体に魂を共にすることとなった主人公の魔法使い達3人が、旅をし、仲間を得て、惨劇を起こした主との闘いに身を投じていくバトルファンタジー。ギャグありシリアスありバトルありのバラエティーに富んだ作品。基本的には1誌に2話単位で掲載する形式をとっている。単行本は2007年3月現在、18巻まで発行。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] あらすじ

辺境の村に住まう少年、御風は村を襲った「とんでもない」脅威から村を救ってもらうため、はるか東の絶壁にすむという『不老不死の三人の魔法使い』を訪ねる。そこで出会った魔法使いの一人、アクアに実力を認められ共に村へと向かうが、その途中、不死であるはずのアクアは、些細なきっかけから突然死んでしまう。

すると死んだアクアの体は瞬く間に全く別の人物、ティトォへと「存在変換」する。彼らは1つの身体に3つの魂を共有し、死ぬたびに魂が入れ替わることで、生き永らえ続ける存在であった。

彼らは自分達を罪人と呼び、大地を滅ぼさんとする「女神」を倒し、自分らが犯した罪を償うために、100年以上の時を生き続け、そして死に続けていると語る。

程なくして、「女神」の配下を名乗る者がティトォの前に現れる。ここに不老不死の罪人達と女神との、大地の存在を賭けた戦いが、遥かなる時を越えて始まったのであった。

[編集] 作品の特徴

本作品は独自の世界観と、マテリアル・パズルという魔法の存在、ローテーションのように入れ替わる主人公が最大の特徴。主人公が入れ替わる（存在変換する）たびに、戦力や役目、話の流れ方などが頻繁に変化する。

登場キャラクターは多いが、それぞれが独特の個性を持ち、読者に強烈なインパクトを与える為、脇役キャラも非常に力強い。無闇に大量のキャラを出しているように見えて、その実全てのキャラにそれぞれの生き様と物語の中での役がある。

また、作者の連載作品の1つである『清村くんと杉小路くんと』時代の名残からか、戦闘中にコマの端に動物がいる、シリアスな場面でギャグが入るといったシーンがちりばめられている。

コアなファンが多い一方、作者の画力の低さ（それを作者の特徴とするファンもおり、一概には言えないが）や、シリアスな展開から突然のギャグの挿入など雰囲気的に一貫していない部分などにより敬遠する者も多い。その分上述のキャラメイクや戦闘描写、話の運びや先の読めない展開など画力以外の技術は優秀である。

[編集] 魔法～マテリアル・パズル～

あらゆる存在に（物質、自然、肉体、果ては言葉や感情にすら）宿るとされる「魔力マテリアル・パワー」をパズルのように分解／再構築し、全く別の物質（炎から氷等）、あるいは様々な超常的な力を生み出す手法を「マテリアル・パズル」と呼び、本作の世界で魔法として登場する。魔法とは言っても、一人の魔法使いが多種多様な魔法を操れるわけではなく、その点で、少年漫画の定番の一つである、いわゆる「能力バトル」の「能力」の意味合いが強い。

習得には以下の方法がある。

修行で自ら編み出す／アクア、ティトォ

千人に一人の才能ある人間が、数十年修行して成功するかどうか、という程の非常に難度の高い手段。

魔法器具を使う／全ての三十指と三大神器、グリン(穿印)

複雑な魔法の構築を自動で行ってくれる魔法器具（魔法アイテム、魔法具とも）を持つことで、素質や高い魔力の持ち主であれば魔法を使えるようになる。魔法器具は魔法ごとに様々な形をとり、またそれぞれ使い手の間には相性があるため、誰もがどの魔法器具でも使えるというわけではない。なおグリ・ムリ・アが三十指に与えた魔法器具の場合、使用者が死亡するとその魔法器具も崩壊する。

生まれつき使える／グリン(ゴッドマシン)、バレット、リゼル

生まれながらに魔法の構築方法を潜在的に身につけている例。潜在的のため、意識的に制御できない場合も。

他にも、魔法が使える生物の肉を喰らったことでその魔法を受け継いだ例（シャルロック）がある。

作中の時代では魔法の力はほぼ失われており、人々の間では、魔法使いは特別な存在と見られている。

[編集] 魔法一覧

魔法の詳細は、各登場人物の使用魔法の項を参照。

属性	魔法名	概要	使用者	魔法器具
壊	スパイシードロップ	飴玉に破壊エネルギーを込める	アクア	必要なし
活	活力の炎ホワイトホワイトフレア	生物を回復／強化する	ティトォ	必要なし
魂	極楽連鞭	他者の魂を操作する。交信／破壊も可	アダラパタ	携帯電話型の端末
水	ブルーリングス	水を支配し操る	阿白	指輪
羽	エンゼルフェザー	物体に羽をつけて飛ばす	リュシカ	羽飾り
鍵	マスターキィ	あらゆるものを開閉する	クライム	鍵
渦	叫星魔渦	引力や斥力の渦を作り出す	ガシャロ	腕輪
熱	パイナップルフラッシュ	自分のテンションを熱に変換	ドルチル	腰につけた球
霊	霊磁砲	発動に24時間かかるが対象を一撃必殺	黒魔	十字架
拳	三獅村祭	拳に魔力を込め三種の拳撃を放つ	ジール・ボーイ	右手甲の三つの飾り
氷	夜叉水晶	炎を氷に変える	月丸	耳飾り?
映	修羅万華鏡	何かに映る像を作り変え、幻を見せる	太陽丸	耳飾り?
血	真紅虎龍牙	禁断五大魔のひとつ血を操る?	ブライクブロイド	杖?
歌	ヘルキルデスベル	禁断五大魔のひとつ魔法の歌や音による精神破壊	舞響大天	鐘?
仔	マザー	禁断五大魔のひとつ空間を支配する?	クゥ	?
皮	ディシーヴワールド	ガムでつくった偽りの外見を被せる	メイプルソン	ハンカチ
雷	穿印	雷を伴うハンマーの一撃。"点精印"を超高速追尾	グリン	ハンマー
時	ゴッドマシン	禁断五大魔のひとつ時の流れを移動するが、過去に遡ると…	グリン	必要なし
凄	超覇導天武刻輪連懺吼	なんか凄いらしい	カイザート	額の飾り
光	アデルバ	光を吸収して攻撃。受けた傷も光を浴びれば瞬時に回復 "真の名"の判明により性質変化	夜馬	杖
光	ムーンアデルバ	アデルバの真の名。月の光を力の源とする	夜馬	杖
蛇	妖老裸骨蛇	肉体の一部を蛇に変える	影鬼	ヘッドギア
弾	ウィンクルディレクター	物体を弾丸のように飛ばす	ボブリッツ	口中の球
土	土人形メテオン	土を操り人形を形成	メルチナ	カード
笑	シャイニングベイスン	笑った者にタライを落とす	ピィゲル	耳飾り?
鏡	怨身万華鏡	カメラで写した相手に自分へのダメージを移す	チョー	カメラ?
情	オーライーター	負の感情を吸収し自身を強化	コモレビ	頭上の鳥
斬	四閃三獄	最大十二人の剣技をコピー、その太刀筋の斬撃を同時発生	コルクマリー	小剣?
餌	ドラゴンスフィア	あらゆるものを球状に封じ込める	シャルロック	必要なし
嘘	暗黒魔眼球	嘘をついた相手を爆殺する	ダークアイ・Q	謎のマスコット
凍	アイスランランス	動くものを凍らせる	リゼル	必要なし
命	命七乱月	禁断五大魔のひとつ魔法を超えた存在を生み出す	メモリア魔法陣優勝者	巨大な剣

[編集] 用語解説

存在変換（そんざいへんかん）: ティトォ、アクア、プリセラの3人は、星のたまごの力で不老不死になっている。; しかし、物理的な致死ダメージを受けると魂が入れ替わり肉体も別の存在となる。この入れ替わりを存在変換という。; ただし魔法による死亡では存在変換は発動しない。女神はその点を利用して魔法を持った刺客「女神の三十指」を送り込む。
女神の三十指（めがみのさんじゅっし）: 女神であるグリ・ムリ・アの配下たる30人の魔法使い。; 元々高い魔力とマテリアル・パズルを操る素質を持った者達が、グリ・ムリ・アに魔法器具を渡され、配下となっている。ただし、グリ・ムリ・アの本当の目的を知っているものは少なく、特に指令がないときは、それぞれが好き勝手な活動をしている。; 家族や友人の死をグリ・ムリ・アにつけ込まれ、グリ・ムリ・アに忠誠を尽くす者も多い。; ただし、単にマテリアル・パズル目的で仲間になる者、女神に近づくために仲間になるものなどもいる。素質がある者をかまわずスカウトしたため、全員が女神に忠実というわけではない。
五本の指（ごほんのゆび）: 女神の三十指の中でも特に能力が優れている5人のこと。; 鬼人ジール・ボーイ、斬り裂き魔コルクマリー、魔人ジャンクーア、死神ヨマ、守護騎士ナトラレーゼがこれにあたる。; 他の三十指とは比較にならない実力を持ち、例を挙げれば死神ヨマは、本来なら格上の三大神器であるブライクブライドを（相手は魔法未使用ではあったが）血祭りにあげるなど、そのどれもが演出的に非常にインパクトのある登場をし、作中でも強敵として圧倒的な存在感を誇る。
三大神器（さんだいシンキ）: 女神の三十指の上に立つ3人。ブライクブロイド、舞響大天、そしてクゥのこと。; それぞれが禁断五大魔と呼ばれるマテリアル・パズルでも最強の部類に入る魔法を所持している。; 三人ともかつてのドーマローラの生き残りの者達で、ティトォ達と同様に一時的だが不老不死である。
五大石（ごたいせき）: 強力な魔力を持つ石。5つを揃えると大魔王さえ抑えつける力を発揮すると言われている。; そのため女神が回収に取り当たっており、既に4つの石は女神のものに渡っている。; 石の精霊使いであるサンに語りかけたことから、他の石と同じように何かしらの精霊が宿っている可能性がある。
禁断五大魔（きんだんごたいま）: 最強ランクとされる5つのマテリアル・パズルのこと。; ブライクブロイドの持つ"真紅虎龍牙"、舞響大天の持つ"ヘルキルデスベル"、クゥの持つ"マザー"、グリンの持つ"ゴッドマシン"、メモリアの地に封印されている"命七乱月"がそれに当たる。
メモリア魔法陣（めもりあまほうじん）: 作中において登場する禁断魔法「命七乱月」の封印を解除するための武術大会。正式名称「禁断魔法命七乱月封印解除兼継承者選抜戦闘儀式」。; 18人の魔法使い、もしくはそれに準ずる実力者が揃い、メモリア王が儀式を行うことで発動する。; 出場者達が争い、勝ち進むことにより一つずつ封印が解除され、優勝すると封印が解除される。
マテリアル使い（マテリアルつかい）: 魔法と言える程ではないが常人離れした何かしらの能力（強靱な肉体、精霊や動物と話す超能力など）を持つ者達。
『大魔王』デュデュマ（だいまおうデュデュマ）: 伝説において世界を滅ぼし、人々から大魔王と恐れられている存在。100余年前のドーマローラ国にも出現し、ドーマローラ消滅の一因となった。; が、その正体は星のたまごを護るための、大地の防衛システムとも言える存在であり、その活動も何者かが私利私欲のために手に入れた星のたまごを、再び大地へと回収するためのものであった（しかしそのためには人類を躊躇なく滅ぼすという点では大魔王という比喩と一致する）。; 巨大な竜の頭らしき部分（樹のような土のような質感）以外は、ほぼ全てエネルギー体のような姿をしている。
『女神』（めがみ）: 伝説において人間に魔法の力を与え、その魔法使い達を率いデュデュマを倒したと言われている存在。詳細は不明。; グリ・ムリ・アはこの伝説の女神を名乗ることで三十指や人々の信頼を集めている。